愛をひっかけるための釘 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087483574

作品紹介・あらすじ

早く大人になりたい。空を飛ぶ夢ばかり見ていた少年時代、よこしまな初恋、金縛りから始まる恐怖体験、酒の正体…など、喜びと哀しみと羞じらいに満ちた遠い日の記憶を語る。

感想・レビュー・書評

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  • ああ、らもさんだ。
    2ページから長いものでも数ページ。
    場末路地裏コップ酒から、業界話、花鳥風月、科学に芸術。
    そのどこにもらもさんがいて、「へえ~」とか「ええー!そうなん?」とか「まあねえ…」とか、そんなボタンがあったら押したくなる話ばかり。
    話好きな人たちならこのどれか一編を肴に「自分なら」とまた盛り上がるんじゃないだろうか。
    らもさんの面白さ、忘れてた。
    ほかのらもさんも探そう!

    シャバシャバの液でしばらくするとヘナヘナにしぼんでしまうたこ焼き。
    今もどこかで売ってそう。

  • ◆タイトルは、フランスかイギリスだかの格言からとった。「女にとって男とは…」という比喩だったと思う、とのこと。恋におち愛し合うことを美しくうたいあげたかと思いきや、女房が質に入るなら絶対「流れる」まで近づかない(編集部へのお願い。この本は事務所あてにお願いします。自宅へは決して送らないでください)…なんで書いちゃうのは時代だなあ、と思ったり。筒井康隆の缶詰時のエピソードにくすりと笑ったり、顔に入れ墨する青年のその何ものをも寄せ付けない孤立に思いを馳せ、全曲が「眠りの予告編」的な静けさに満ちているゴンチチに魅入られ、心に重くのしかかるものがあるときは心の中で「てけてんてんてんてん」と6回唱えると心が軽くなると語る。◆西洋哲学は「フレット」のついた思考(略)しかし考えてみればこれは異常なことなのであって、世界は混沌であり、混沌は混沌のままに受け取られるべきなのだ。それは不安だし勇気のいる作業ではあるけれども。(p.144)には深くうなずく。◆あとがきで、茶道の本「なごみ」から連載依頼されたことを語り、"「作法を存じませんので」と一言。ぐいと茶を飲む。これなら僕にもできる。「作法を存じませんので」と絶叫しながら、いつもの場外乱闘を繰り返すのだ"といった心がまえで連載してたとのこと。その絶叫しているところの絵面を想像してしまって思わず笑ってしまった。

  • 終わりに近づくにつれて「千利休がレフェリーのリング内」での比較的作法を突き破らないような勝負にかかってる気がして、それで最後またも綺麗に収められちゃった気がして、悔しありがたい気持ちになった。すごく良かったです。

  • サヨナラにサヨナラ

    二本の腕は決して遠くからサヨナラの手をふるためにあるのではない

  • 「サヨナラにサヨナラ」より 人間の実相は刻々と変わっていく。無限分の一秒後には、無限分の一だけ愛情が冷めているかもしれない。だから肝心なのは、想う相手をいつでも腕の中に抱きしめていることだ。ぴたりと寄りそって、完全に同じ瞬間を一緒に生きていくことだ。二本の腕はそのためにあるのであって、決して遠くからサヨナラの手をふるためにあるのではない。 中島らもさんワールドにぐんぐん引き込まれて行く。この人の頭の中は面白いなぁ

  • 予想していたよりずっと健全でサクサク読めました。

  • 中島らもといえば、アル中&ヤク中(といっても風邪薬のブロン液)で、冴えない晩年とのイメージ強ですが、味のある文章を書かれるお方。本著は茶道誌に連載されていたエッセイで、内容的にはとりとめもない話が多いですが、タイトルからして味がありますね。タイトル買いです。

  • CFが自己完結してしまっていると、一度見たときは面白くても2回、3回と見ることができない。だからコントとして成立しているものはCFとしては失格なのである(P20)は、目から鱗。
    20年から30年のサイクルで何故不良どもが現れるのか。それは、連中が自分たちがかつて叩き壊した権威そのものになり、力と金がそこに集中するにしたがって豚にような悪臭を漂わせ始め、自分たちが養い育てた息子たちの世代によって引導を渡されるからである(P35)は示唆に富んだ指摘だと思う。

  • 久々にこの人の書いた本を読みました。
    当たり前の事だけれど、やはり独特です。アルコール中毒になったり、合法ドラッグに手を出したりする破天荒な人だけあって、物を見る角度が独特です。

    いやー、色んな人がいて色んな物の見方があります。

  • 読み損ねていたものを古本で購入。

    文章が綺麗で、時に、いや常にロマンチストである、ホワイトらもの良書。
    不思議なことに内容のほとんどを知っていた。
    エッセイの内容が他の作品とかぶっているのか?

  • 中島らものエッセイ.
    なんだか綺麗すぎて中島らもっぽくないと思った.
    あんまり好きじゃない.

  • ぴたりと寄りそって、完全に同じ瞬間を一緒に生きていくこと。二本の腕はそのため。サヨナラにサヨナラ、いい。雑賀氏だんけ。

  • らもさん36歳のエッセイ。ちょっぴりセンチメント、そしてキュートでシニカル。好きな人の子供時代の話を聞くような甘酸っぱさ。

    愛をひっかけるための釘、愛をひっかけるための釘。呪文を唱えるのだ。

  • 中島らもの短編エッセイ集。

    これぞ、中島らもエッセイの真髄。
    中島らもを知るには、この本を読むべき。

    酒の話、人の心情の話、プロレスの話、そして、

    それら全ては愛に満ちた話。

  • 中島らもが淡交社に連載で書いてたエッセイをまとめたもの。

  • 最初のエッセイが特にオチもない真面目系だったのでガッカリしかけるもその後は、全体的に真面目を基調としながらも、昔話にアルコール話、くだらん話やらプロレス話、オカルト話などいつものノリで、結果としてはなかなかバランスの良いエッセイ集だった。反省。

  • 【出会い】
    古本市でらも作品をまとめ買いしていたうちのひとつ。

    【概要】
    非常に短いエッセイ集

    【感想】
    サラッと楽しめた。
    あとがきにタイトルの由来があり、なるほどのオチだった。

  • タイトルだけでもろもろの価値がある。

  • ちょっぴりセンチメンタルなエッセイ。
    らもさんのキュンキュンポイントが分かります。

    ちなみに、私が大いにキュンとしたのは、
    らもさんが小さい頃空を飛ぶ練習をしていたこと。
    そしてキューピーを10歳くらいまで抱いて寝ていたこと。
    カワイイ笑

  • 今は亡き中島 らも氏が、
    ご自身の若い頃の出来事や考えなどを交えつつ
    世の中のあれこれについて考察する。

    一つ一つの文は短編で、文体も「らも節」で
    気軽に読めるが、洞察は常に深く、鋭い。

    氏特有のシャイで、世の中を斜めに見るようでいて
    その実心の中は誰よりもピュアで、傷つきやすく...
    それが自分でもイヤで、開き直って大けがして、
    それでまた落ち込んで...

    という性格? 生活? がよく出ていると思う。
    年上の「おっさん」に対して不適切かも知れないが、
    とても「チャーミング」である(^ ^;

    かなりアクが強いので、好き嫌いは分かれるかも。
    が、私のように、らも氏と同じ「万年青春病」を
    敬称ながら患っている者にとっては、
    「そうそう、よくぞ言ってくれた」と
    思わず膝を打つような文が何度も出てくる。

    いや、実際に打ちはしないが(^ ^;

    かえすがえすも、惜しい人を亡くしたものである。

  • サヨナラにサヨナラが大好きです。
    読み返すたびにいろいろなことを思う一冊。

  • サヨナラにさよならが素晴らしい。
    読んでるときゅんとするのです。

  • 美しい愛エッセイ。
    恋をしている人が読むと切なくなる。
    恋をしていない人は恋をしたくなる。

  • センチメンタルに。
    荒くれた中にキラキラ乙女ちっく。

    これはちょっと普段よりキラキラ多め。

  • Ticket to ride

  • 人間の実相は刻々と変わっていく.無限分の一秒前よりも無限分の一秒後には無限分の一だけ愛情が冷めているかもしれない.だから肝心なのは,思う相手をいつでも腕の中に抱きしめていることだ.ぴたりと寄り添って,完全に同じ瞬間を一緒に生きていくことだ.日本の腕はそのためにあるのであって,決して遠くからサヨナラの手を振るためにあるのではない.

  • この本に収録されている何作品かに、本当に感銘を受けた。初めて読んだとき、何度も何度も、繰り返し、繰り返し読んだのを覚えている。<Br>
    もうこのタイトルからして彼にやられてしまった。「無限分の一秒」で完全に心を掴まれた。<Br>
    中島らもはすごく賢い。学問上の勉強ができる賢さではなく、生きる上で、心のありようとして賢いと思う。すごい。

  • 美しい言葉の響きにうとりです。タイトルとかセンスのかたまりだと思う

  • 「花鳥諷月」の章がとても良いです。

  • 村上春樹ばかり読んでいると、ちょっと精神状態が危険になりそうな事があって、そういう時に中島らもは精神安定剤となる。本当の幸せは多分こっち。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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