ガダラの豚 3 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484823

作品紹介・あらすじ

通訳のムアンギ、テレビクルーたち。6人もの犠牲者を出して大生部は娘を取り戻した。「バナナのキジーツ」の志織を奪いに呪術師バキリは東京に来ている。番組関係者の回りでは次々奇怪な事件が起こる。司会者嬢の惨殺、清川の変死。元・プロデューサーの馬飼は大生部一家と大呪術師バキリが対決する生番組を企画した。光と影、呪いと祈り。テレビ局の迷路でくりひろげられる世紀末スペクタクル大団円。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • とくに後半はバタバターっとホラーとハードボイルドとコメディがごちゃ混ぜになって面白かった。また、逸美が1巻2巻3巻と進むにつれ強くなっていくのが妙に嬉しかった。
    大宇部教授と共に行動してきた仲間を容赦なく何人も派手に殺しちゃうのが中嶋らもさん流なのか?他の本も読んでみたくなった。

  • 勢いがありすぎて、少し引いてしまいました。でも面白いお話でした。

    アフリカの事情・背景をよく研究されているからこそ描けるお話なのだと思います。このような背景を理解したうえで、観光に出かけるのなら、きっと得られるものは多いことでしょう。

    全体を通して、信じられないお話になっています。
    世界中のひとたちが、宗教を信じています。日本人は無宗教が多く、最近ではさらに宗教離れが進んでいることを感じています。その日本人であっても、お参りにいくことだってあるでしょう。Amazonで藁人形だって買えますよね。科学的に証明できないだけであって、頭から否定して考えるべきではない、というようなことを訴えたかったのでしょうか。TVは安全な窓のようなもので、人々はその窓をとおして危険なもの、危ないものを見たがっている、おお、怖い。(そうかも。よく考えると辛辣なことをいいたかったのかもしれません。)

  •  これぞ大スペクタクル! 細かいことはきにしちゃいけません(笑)

     散々呪術に対して、様々な科学的な見地を加えたり、トリックの検討をしたりしてきたのに、後半はそんなの関係ねえ! とばかりの超常的な幻術や、催眠のオンパレード! 

     テレビ局を舞台にしてのスプラッタや大立ち回りは良くも悪くもB級ホラーのようで、良いキャラだった主要人物たちも、容赦なく退場させられます。三巻途中まであった、リアリティとフィクションの間をギリギリで綱渡りしているような感覚は、粉々に壊されます。

     三巻での超展開は、レビューを見た感じでは賛否両論みたいです。「人が死にすぎ」「現実味が一気になくなった」「結末が雑」等々……。そのレビューは確かに当たっています。でも個人的には、それはそれでいいじゃない、とも思っています。

     全三巻を通してみると、登場人物は同じで話もつながっているはずなのに、一巻ごとに作品のジャンルがまったく違うのに驚きます。

     一巻が手品や新興宗教のトリックを暴くミステリー。二巻がアフリカを舞台にしたロードノベル。そしてこの三巻はスプラッタホラー。

     それは著者の中島らもさんが、自分の面白いと思うものを全部つぎ込んだ証のような気がします。

     だからこそこの作品の吸引力やテンションは、本当にすごいですし、これと同じような作品を思い浮かべてみろ、といわれても何も浮かびません。それだけ唯一無二の作品だと思うのです。

     読む人によっては、この三巻が肌に合わない人はいると思いますし、自分も手放しでこれを人に勧めるのは躊躇します。それでもこの作品は、面白いと思うものを詰め込んだびっくり箱だと言えると思います。

    第47回日本推理作家協会賞
    1994年版このミステリーがすごい! 5位

  • バキリのキジーツとして囚われていた、死んでいたはずの娘・志織を救出した大生部一家だが、穏やかな日々は続かなかった。志織を取り戻す為、バキリが東京に現れる。大生部一家を追い詰めるように次々と残虐な形で殺されていくふるみ、清川、ルイ、そしてミラクル。さらにバキリと大生部一家の対決と言う生番組企画が立ち上がり、サブリミナル効果によって志織を除いた大生部一家は視聴者全員に殺意を持たれてしまう……!? テレビ局の迷宮が地獄と化し、満身創痍、絶体絶命万事休すのピンチに覚醒するのは――スリルとホラーとアクションが入り乱れる大長編、ここに完結!

    いやー思った以上に早く読んでしまった。と言うかぐいぐい読まされたと言いますか。ページが少なくなっていくのが何とも寂しいというか、もう終わっちゃうのー?って感じでした。ので、久々に☆5をつけるのです。これは文庫三冊で長いけど、面白いもの読みたいって人には読んでもらいたいなあ。人によるかもしれんけどね。
    喩えて言うなら「今までTRICKを見ていると思っていたが、いつのまにかSPECになっていた」って感じの第三部。いや、私SPEC見たことないんですけど、ミステリだと思ってたらいつの間にか異能バトルものになってた戯言シリーズみたいな感じで、今まであやふや、いやむしろインチキ寄りだった呪術がこれでもかと襲い掛かってきて、こんなに突然バトルものになっていーんだろーか!って思った。面白いのでいいんですけど。一人一人バキリの手にかかって落ちていくのは正直絶望しか募りませんでしたね……しかもホラーな感じなんですよ、あらすじにも書いたけど。クライマックスに至っても全然勝利のイマジネーションが見えてこないので、これもしかしてバキリの圧勝で終わってしまうんでは……って半ば本気でそう思いかけた。特に隆心和尚が相討ちしたのがバキリじゃなくてキロンゾだったとこ読んだときゃあマジで万事休すだと思ったよ… ほんとに清川もルイもミラクルもばたばた死んで絶望しかなかったよ… これは上田と奈緒子でもお手上げだと思ったさ。てっきりミラクルが何もかも解決してくれるもんだと思ってただけにね。清川は第二部で好印象に変わっただけに退場が惜しかったヽ(;▽;)ノ ルイも好きだったのにー でも道満が無事でよかったー。
    最後のテレビ局での死闘はすごすぎた。なんつーか大生部一家が段々クレしんの野原一家に思えてきてクレしん劇場版にありそうなんて思った。そんで志織が記憶取り戻すところ涙ぐんでしまった…だから家族ものは弱いんだよおワタシ。しかも超クライマックスでハラハラドキドキなとこでの記憶復活だし、素晴らしい展開、能力についてのミスリードも最高だった。そう、絶体絶命大ピンチなところでまさかの大生部ですからね…TRICKで言うなら奈緒子の霊能力で何とかするんじゃなくて上田がベストマンに覚醒した感じです(伝わるのか)虫だから映像化した時は目も当てられないと思うけどw テレビ局死闘のオチもね、なんだあってホッとしたわw いやーホント面白かったです。なんで推理作家協会賞なのかは謎だけどw 考えてみればTRICKもこういうのになってたかもわからんね。

  • 七年前に気球の事故で行方不明となり、ケニアの呪術師バキリの「バナナのキジーツ」となっていた詩織を取り返した大生部たちは、日本に帰国を果たします。通訳のムアンギと六人のテレビ・スタッフを失った取材のテープは、テレビ局にお蔵入りとなってしまいますが、無事に日本へと帰ってくることのできたメンバーたちは、すこしずつ日常を取り戻すはずでした。

    ところが、大生部の関係者が一人また一人と奇怪な死を遂げていくことになります。そして大生部は隆心老師から、バキリが志織を取り返すため、東京に来ていると告げられます。そんななか、大生部たちが出演するはずだった番組のプロデューサーを務めていた馬飼が、大生部一家とバキリが直接対決するという番組を企画します。

    全三巻とややヴォリュームのある物語にもかかわらず、序盤のつかみもうまいし、中盤も中だるみすることなく、終盤は一気にクライマックスへ畳みかける構成は見事だと思います。呪術とトリック、心理に関する細部の設定もおもしろく読みました。強いて不満な点をあげるとすれば、着地点が家族愛というのは少し陳腐に感じられる点かもしれませんが、エンターテインメント小説の醍醐味を十分にたのしむことができました。

  • 長らく積ん読状態であったが、読み始めたら一気読み。
    たしか、オウム事件の前に発売されてたと思うので(記憶違いかもしれないが)
    一巻で逸美が、新興宗教にはまって行く様は、作家の世間を予見する能力の高さを感じさせる。

    終わりは、エンターテイメント小説のお約束通りの大団円だが、これでいいのでしょう。

    評価は全体を通してのもの。

  • 3作通してめちゃくちゃ面白かったです。Ⅱが、キャラクターたちの立て方も含め爆裂面白かったのでその気持ちのままⅢを読むと心が追いつかなくなる…新興宗教の段階からは思いもよらない展開だけどちゃんとずっと繋がりがあったりしっかり怖かったりするのが良かったです。雪崩込む知識もすごい…だいすき

  • 後半の展開に気持ちがついていかなかった。

  • 一、二巻と比べるとファンタジー要素が高くなってこれまでの呪術と理屈の狭間の往復がなくなってしまった感があって残念。

  • 舞台は、アフリカの事件から7ヶ月後の東京へ。大生部らに掛けられたバキリの呪いは消えていなかった。アフリカ取材・番組関係者が次々と変死していく。石野ふるみ、清川慎二、ミスター・ミラクル、秋山ルイ。バキリの目的は志織の奪還と関係者全員の死だ。ジャブ漬けの元プロデューサー馬飼は、視聴率を当て込んでアフリカロケと殺人事件の関係をテーマとした特番企画をテレビ局に強引にねじ込む。そして番組当日、更なる惨劇が…。

    最終巻では、あまりにもあっさりと、しかも残忍な手口で関係者が次々惨殺されていく(清川や秋山ルイはいいキャラだったのに、如何にも残念)。しかも、主人公達は友人・知人の死をあっさり受け入れてケロっとしている。まるでB級ホラー映画を見ているようだ。読んでいてドン引きしてしまった。

    第3巻はかなり期待はずれだったな。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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