神々の流竄 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087490640

感想・レビュー・書評

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  • 高校時代に初めて読んだ梅原古代学の傑作を、久々に読了。何度読んでも、仮説に誤りがあっても、梅原さんの情熱あふれる文章にふれるだけで、エネルギーをもらえます。

  • 古事記、日本書紀は藤原不比等が作ったのでではないか。古代の神々は出雲へ追放され、あらたな国家作りが行われたのではないか。パッと浮かんだ説にとらわれ、熱に浮かされたように根拠を探し、行動している感じ。何が真実かはわからないが、その熱狂が面白い。

  • 古代日本の神々の故郷は出雲であるという定説に疑問を投じ、当時大和で起こった権力闘争との関連で新宗教としての確立と記紀編集に隠された秘密などを解き明かそうとする。古代史ミステリとしては面白い。しかし半分は雑誌「ムー」に掲載された記事ではないかと思うほどの思い込みで筆が進む。梅原猛がこれで良いのか?とも思うし、梅原猛でもここまでハマるかとも思う。色々な楽しみ方ができる本だ

  • 這部作品先提到所謂的出雲神話,其實是大和國的神(以及信仰的豪族)被流放到出雲的過程。三輪山的祟り神大國主命,スサノオ,物部的咒術神フツ大神等等都被流放或者被置換/偷天換日,鹿島和香取的神也被藤原家併吞。古事紀(秘密文書,閱讀對象是元明女帝)和日本書記的撰寫,其實背後是藤原不比等的計畫,創出天孫降臨的神話鞏固(討好)女帝的天智血統至上主義及皇孫即位計畫,此外讓藤原家掌握軍事權(天孫降臨和讓國神話中最重要的是タケミカヅチ和フツヌシ的活躍),法律(律令制度,刑罰制度)配合藤原家神道(和中臣家分家,由中臣控制,說來就通通是藤原家),硬是把藤原宗教裡的ミソギ和ハライ變成唯一的神道思想,雖然大家以為這很清淨,而作者指摘其字源的本意原本是刑罰,罰金,藉由受罰讓罪過放水流,同時也將收錢這件事合法化看起來比較不骯髒而高尚,這個權力從民間變成國家享有,這也是律令制度和藤原神道的目的。這種收錢的政策儼然就是跟後來的密傳、流派吸金結構一脈相承。

    作者提到古代史是血腥的時代,思想戰鬥的時代(我非常同意,不然哪來那麼多怨靈,還繼續互殺)。神與神的戰爭,接著是神與佛,第一次佛失敗了(聖德太子一族的悲劇),除了本地思想,甚至還有儒教想擠進來。但在白村江之戰後,日本面對失去韓殖民地跟海洋強國的地位,轉變變成農業社會,需要一種新的宗教;和平也需要新的國策。因此也在這個時候,渡來人集團協助建立律令和法律制度,以他們的智識也鐵定主導了撰史的工作。不比等父親鎌足是天智方,後來他失去父親之後投靠山科渡來人處度過青春學習法律,這也讓他獲得主導政策的背景知識。而藤原家就透過正好是女帝(持統、元明、元正)+男系幼小的空窗期(文武、聖武),進行這些改革,也順便進行宗教改革,把許多源頭的神道掩蔽,把藤原神道弄成唯一的神道(導致後世的人所認知的神道就只有藤原神道),再用古事紀等撰史事業把藤原家的慣用伎倆乗っ取る合法化(並順便洗掉別人家和別的豪族的歷史,或者寫成對自己有利的),創造出皇室的神凌駕其他豪族神的概念(在這之前並非如此!!!),擴大建造原本的地方海社神弄成伊勢神宮,擴大建造,並同時在出雲建造大社,把其他豪族神流放到出雲,古事記的內容也強化這個政策。正好也在這段時間強行遷都到奈良,把飛鳥淨御原朝的豪族拋在腦後,原來偷走古神之地改成春日大社這招,以前就在鹿島和香取幹過同樣的事情。這兩個被偷走的神(古神就被洗掉了)變成藤原家的神(前兩柱),在記紀裡面扮演讓國的主要角色(肯定藤家掌握軍事權),藤原家四柱的第三柱神就是天孫的外公(藤原家飛黃騰達的秘訣,肯定藤家當外公掌握政治),第四柱就是伊勢神宮女神(這種大膽不敵也很藤原。伊勢神宮的內宮裡面和天照大神一起被供奉的也是藤原男神)。總之這所有的制度都是經過縝密的配合與思考,目的就是讓藤原家掌握政治、軍事、宗教所有一切鋪天蓋地的權利,而且是,悄悄地不留痕跡。

    但是話說回來,雖然聖武朝後女帝無後,後來進入平安京的時代一度可以去除藤家這個病根(才剛讓寄主滅亡),不過從冬嗣開始這個藤蔓又捲了回來,開啟了所謂和平與藤家的盛世,矛盾的是,這個改革真的成功了,至少讓古代史的腥風血雨有某種程度的緩和,不過這藤蔓從此以後也未曾放過日本列島就是了。

    躲在幕後操控,從權力者的女性開始掌握,不取代之只當阿公慢慢來洗你的血統,大膽無比地掌握一切,把證據抹得一乾二淨,取而代之,完全不留痕跡,久而久之期間過了就變成名門、年代古老的神,然後吸取寄主的養分也是殘忍且恥力破表地大膽不敵,顯然不把寄主放在眼裡。這種手法一而再再而三的使用,不禁讓人無比熟悉。就是那個人,就是那一家。犯罪手法如此精細,居然可以矇過一千多年來的所有人。作者的筆鋒燃起控訴的火焰,我也感到他的使命感與神啓的力道。作者說此人是極其出色的政治家,一點都沒錯,其他歷史人物真的連車尾燈都看不到,不過我所感覺到的是,此人配備的武器,其實是大陸文明的精華,中國和半島的所有政治手段和政治思維這個人應該都瞭若指掌,無怪乎其他人如小兒般被他玩弄於指掌之間,他背後代表的是幾百年累積的文明的智慧與厚度,根本就是是否已知用火的天壤之別,而且他手上拿的可是六韜,又很有耐心,其他人當然被電假的。此人的城府之深真的令人不寒而慄,能夠把自己完全隱藏在黑暗中的,也只有徹底的黑暗吧。

  • 学生時代、「隠された十字架」の勢いのままに読んだ。今読み返すと・・・筆者の熱さがイタイ。スゴイ思いつきに夢中になるあまり、クールな史料批判などをほっぽり出しているものなあ。でも、内容は面白いですよ。

  • 梅原氏の「隠された十字架―法隆寺論」の感想も以前書きましたが、今回も面白いです。
    梅原氏の仮説、私が教科書や他で知っている伝説の姿をがらりと変えてしまいます。
    梅原氏自身、最後にはこの仮説を否定的に捉えているようですが、仮説に至る根拠が、説得力あるんですね・・これが。

    例えば「ヤマタノオロチ」。
    梅原氏によると、このオロチの正体は奈良県の三輪山ではないかと言う仮説が。

    オロチ=三輪山(奈良県)

    よく川が龍や蛇に例えられたりすることはありますが、このオロチが山の象徴である上に、出雲ではなく奈良が舞台であると言う説。

    もうびっくりです。

    古事記によれば、ヤマタノオロチは『蛇の一種であり、八つの頭と八つの尾を持ち、その背中に苔や、檜・杉の木などが生えていて、かなりの巨体、その目は真赤である』と言う特徴を持ち、また伝説からも酒好き、女好きであると言う特徴も合わせて持っていると思われます。

    杉や檜が生えている巨大な蛇のイメージ・・それは蛇を御神体とする山を連想させ、それが三輪山のイメージにぴったりなのです。
    三輪神社はオオクニヌシの別名オオナムチの和魂(*にきたま)、オオモノヌシを祀っています。そして、荒魂として蛇が、祀られているのです。
    (*和魂と荒魂と相反する神の力で、和魂は雨や日光の恵みなど、神の優しく平和的な側面を持ち、荒魂は荒ぶる魂で、天変地異などを引き起こす力を表しています)

    この社には酒と卵が供えられているとか。
    山のあちこちの磐にお酒をかけるとかで、山全体が酒の匂いに包まれるというのも、オロチの酒好きと共通であり、またこの三輪山の蛇神様は多くの女性のもとへ通ったとか。
    女好きの蛇と言うのもオロチと共通の特徴です。
    ちなみに今、卑弥呼の墓ではないかと言われている「箸墓古墳」、この箸墓の由来は、この蛇の神様が通った女性、ヤマトトトビモモソヒメが、相手の正体が蛇だと分かると、箸で陰部を突いて死んだことによるそうです。(痛そう・・)
    また八つ頭に八つの尾というのは、山の尾根ではないかと言う説。
    そう言われれば、山の姿がヤマタノオロチと符号する気がしてきました。

    梅原氏によれば、ヤマタノオロチ伝説は出雲の話が大和に伝わったのではなく、大和から出雲へ伝わったのではと言うことでした。
    出雲自体、大和から流れてきた人々が多くいたと言う話も聞いたことがあるので、この話は納得できる仮説ですね。

    そして、「因幡の白兎」。

    梅原氏によると、この舞台は島根県の「隠岐の島」ではなく、北九州の沖にある、「沖ノ島」ではないかと言うものでした。

    沖ノ島に伝わる「みあれ祭」。
    船が島と島の間に集まるその光景は、まるで兎を渡らせるワニのよう。
    沖ノ島は神聖な島なので、上陸する際は衣服を脱いで、海水で禊(みそぎ)をしなければならない点も、皮を剥がされて、海水を浴びさせられた哀れな兎の姿と重なります。

    子供の頃、帰省の際に途中で立ち寄った鳥取県の白兎海岸・・
    因幡の白兎の話を聞かされた場所ですが、それが覆されようとしてます。苦笑

    この本の面白いのは、政治・政権によって、神までもが葬られ、あるいは追放されようとしたと言う話ですね。
    権力者一族には、それぞれ祀る神がいたのですが、一族が滅ばされたり、追いやられたりすると、その一族が祀っていた神も追いやられてしまうのです。そして残った権力者たちは自分たちの神を国の中心に据えようとする・・。
    あからさまにそれをすれば、非難や敵をむやみに作ってしまいそうですが、周りに分かりにくい方法で、そっとそれをやり遂げようとする者の存在・・。
    それが藤原一族・・その礎を作った鎌足、不比等。
    天皇の側で、常に蔦のように皇族に絡み付いて伸びてゆく、まさに藤の木のような策略。

    そして古事記は誰のために書かれたものだったのか・・。

    稗田阿礼は実在したのか・・。

    本当の編纂者は誰か・・。

    と言うところも、仮説ながら面白かったですね。

    歴史も見方を変えると、こんな風になるのかと思いました。
    何より、柔軟な考えで仮説を立てて、それが正しいか、あるいは間違っているかを調べていく梅原氏の情熱に驚かされます。

    歴史は奥が深いですね・・・。

  • 因幡の白兎のくだりが特に面白かった。

  • 梅原さんの本は読み終わるのに時間がかかります。古事記と日本書紀のお話です。出雲には是非いってみたいなあ。
    因幡のシロウサギの舞台は別に隠岐でもよいと思うのですが素うさぎで白くなかったかも知れないと言う事は知らなかったです。原文を読んでみるって事は必要なことだなあ、なんて思いました。先入観やイメージで観念として刷り込まれてしまっていることをそのまま鵜呑みにするのは恐ろしいなあ、と。水に流す、お払い箱にする、などの言葉の由来もハライ・ミソギの発想から来ているのでは、と言う説も面白かったです。
    途中随分強引な説もあるなあと思ったのですがそれはそれで面白かったです。古事記と日本書紀と言う書物が作られた訳、そして古事記のほうが物語性に優れているという理由も面白かったです。

  • 歴史研究をするなら絶対外してはならない書です。梅原猛氏入り口とも言えますね。

  • 再読。稗田阿礼って名前だけ覚えてもしょうがないね。って事に気づかされます。目から鱗必至。

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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