竹取物語・伊勢物語 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087492385

感想・レビュー・書評

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  • 現代語訳が読みやすい。読み返そうと思ったときに役に立つ1冊。

  • 竹取物語は田辺先生がおちゃめに遊び心たっぷりに現代語訳した読みやすい文章で楽しかったです。
    これなら中学生からでも読めるのではないでしょうか。

    伊勢物語は・・・久しぶりに読破出来ず挫折してしまいました(苦笑)
    アニメ「うたこい。」は和歌をその背景と合わせて物語として描いてくれてたのですごく面白かったのですが、和歌を和歌だけで読み解くには私の知識では全然歯が経たなくてもうお手上げですw

  • (2004.01.01読了)(2003.11.14購入)
    日本文学の古典の田辺さんによる現代語訳です。
    ●竹取物語
    ご存知「かぐや姫」の話なのですが、できたのは、900年ごろということです。作者不詳。
    かぐや姫は、竹の中にいたわけですので、大きさは10センチぐらいだったそうです。大きさなんて知らなかった。このあと竹取の翁が竹を切りに行くと節と節の間に黄金が見つかったそうです。誰か知らないけどちゃんと養育費も用意したんですね。こんな話だったとは知りませんでした。
    大きくなると5人の求婚者が現れて、それぞれに難題を持ちかけて、困らせるわけですが、そのうちの「蓬莱の珠の枝」をもってこいといわれた皇子が鍛冶匠に作らせて、蓬莱へ行って持ってきましたと差し出します。本物と思い結婚せざるを得まいと思っているところに作品を作った鍛冶匠たちが制作費を払ってくれといってきたために贋物と分かってしまいます。もう少しのところだったのに残念です。
    最後に帝からまで求婚されるのですが、月から迎えが来ることが分かっていたので、断ります。月からの使者が迎えに来て、天の羽衣を着るように言われると、「羽衣を着ると地上の人間と心と変わってしまう」といって、羽衣に着替えるのを待ってもらって、帝にお詫びの手紙を書いて、不死の薬を送ります。着るものによって心が変わるというのもなかなか面白い話です。不死の薬をもらった帝は、かぐや姫がいない世に不死の薬も何の意味もないと富士山の頂上で焼かせてしまいます。なんとももったいない話です。

    ●伊勢物語
    岩波文庫の「伊勢物語」と併読しました。全部で125段の話なのですが、田辺訳は、かなりの段が抜けています。残念です。
    何故「伊勢物語」なのか? 定説は無いようなので、伊勢の斎宮との恋物語が含まれているから、という説を採用します。作者は、これも定説がないので、在原業平の覚書を下に紀貫之が編集した、ということにします。
    ありわら-のなりひら【在原業平】(825-880) 平安前期の歌人。(大辞林より)
    き-のつらゆき【紀貫之】(866?-945?) 平安前期の歌人・歌学者。(大辞林より)
    話は、在原業平の成人から死までの一代記? 逸話集? 主に恋の駆引き集? 
    どこかで聞いたような短歌が結構出てきます。
    第8段 信濃なる浅間の嶽(たけ)に立つけぶりをちこち人の見やはとがめぬ
    (田辺訳 おお煙 見よ煙 信濃の浅間の山に立つ煙 遠く近くゆく人よ なぜ おどろいて見上げぬのか 旅人には珍しいものを)
    第9段 名にしおはばいざこと問とはむ都鳥わが思ふ人は在りやなしやと
    この歌は、ご存知隅田川を渡るときのものです。
    富士山のことを比叡山を20ぐらい重ねたぐらいの高さで、形は塩を造る時の砂の山みたいだといっています。なかなかうまいたとえです。
    第14段 夜も明けばきつにはめなでくたかけのまだきに鳴きてせなをやりつる
    (田辺訳 くそ もう あの腐れ鶏め 夜が明けたら水槽にぶちこんやるわ 夜も明けないのに早々と鳴いて いとしいあの人を帰してしまうんだもの)
    なんとも分かりやすい訳です。
    第23段 筒井つの井筒にかけしまろがたけたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
    短い話が多い中で、この段は割りと長いほうです。
    第32段 いにしへのしづのをだまき繰りかへしむかしを今になすよしもがな
    この歌は、静御前が、源頼朝の前で舞を命ぜられ舞う時に歌ったといわれる歌、「しずやしずしづのをだまき繰りかへしむかしを今になすよしもがな」の元歌でしょうか?
    第63段 百年(ももとせ)に一年(ひととせ)たらぬつくも髪われを恋ふらしおもかげに見ゆ
    何歳になってもいい男と熱い恋をしたいという老女の恋に業平は応じたという。
    第82段 世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし

    ●関連図書
    「伊勢物語」大津有一校注、岩波文庫、1964年
    ☆田辺聖子さんの本(既読)
    「甘い関係」田辺聖子著、文芸春秋、1975.02.
    「絵草紙源氏物語」田辺聖子著・岡田嘉夫絵、角川文庫、1984.01.10
    「むかし・あけぼの(上)」田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
    「むかし・あけぼの(下)」田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
    「おちくぼ姫」田辺聖子著、角川文庫、1990.05.25

    著者 田辺聖子[タナベセイコ]
    1928年3月27日 大阪生。
    樟蔭女子専門学校国文科卒業。
    1956年 「虹」で大阪市民文芸賞受賞。
    1964年 「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」で芥川賞受賞。
    1987年 「花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女」で女流文学賞受賞。
    1993年 「ひねくれ一茶」で吉川英治文学賞受賞。
    1994年 菊池寛賞受賞。
    1995年 紫綬褒章受章。
    1998年 「道頓堀の雨に別れて以来なり」で読売文学賞、泉鏡花文学賞、井原西鶴賞受賞。
    2000年 文化功労者に顕彰。

    (「BOOK」データベースより)amazon
    竹の中から誕生した美少女・かぐや姫は多くの貴公子や帝の熱烈な求愛を退けて月の世界にかえっていく。人間的情愛と異次元のロマンに彩られた、日本文学の源流ともいうべき古物語「竹取物語」。元服にはじまり死に終わる、在原業平に擬せられた男の恋と友情と反逆の人生。奔放な愛に生きた男一代の歌物語「伊勢物語」。千年の命を得て、人々に親しまれる2大古典が現代小説によみがえる。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

田辺聖子の作品

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