雨やどり (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087495669

作品紹介・あらすじ

舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 半村良といえば「戦国自衛隊」だけど、まずは、1975年直木賞作品。
    半村良といえば、SF。若かりし頃、何作か続けて読んだ記憶。「雨やどり」は、夜の新宿を舞台にした艶っぽい人情小説。
    新宿のバーでバーテンから人脈を築き、店を持った男仙田を主人公とした連作短編8編。
    「おさせ伝説」のみにSFっぽさが仕込まれている。
    「雨やどり」が直木賞受賞。
    決まった女性を作らなかった仙田が、店を持ちマンションを買い、さてこれからという時に 彼のマンションで雨やどりをしていた女とのあれこれ。
    情は深いけど後腐れもない新宿の粋な男の生き方。
    夜の新宿のことは、今も昔も知らないけれど、カラオケなるものが世に出る前の世界観なのでしょうか。

    ペンネームが、イーデスハンソンからっていうのは、誰かのイタズラみたい。

  • 1974年の直木賞受賞作を含む連作短編集。新宿のバーテンダーが主人公。知りもしないのに1970年代の新宿歓楽街に想いを馳せてしまう。

  • 新宿歌舞伎町の夜の世界を、連作短編で描く。
    1990年に文庫化されているので、古き良き時代?
    人情や仲間意識が強く、何かあると皆が集まる。
    バーのオーナーやバーテンダー、ホステス。
    みんな何かと訳ありである。
    そんな一昔前の夜の世界を垣間見ることができる。

    2019.10.10

  • バーテンの仙田を主人公に新宿の夜の世界に生きる人々の人情話による短編連作。プロに対してこういう言い方は大変失礼なのだが、本当に小説が上手い作家だなぁというのが率直な感想。文章に安心感、落ち着きのようなものがあり、それがまた描かれる夜の世界の人間模様にぴったり合っている。作者は作家になるまでバーテンを含めいろんな職業を経験されたそうだが、この小説はその経験の中で常にアンテナを張り人間観察を続けた賜物ではないだろうか。

  • 昭和の時代の隙間から新宿の夜の街に流れ着いてきた人たちが、人情で繋がっている。かつてこういう時代があったのだなぁと思ったが、今も形を変えて息づいているのかもしれないな。
    新宿の夜の街という舞台がみんなの逃げ場所であるようにも思えるし、結果的にただ少し時間を潰しただけの人もいれば、次第に浸かりきってしまう人もいるのだろう。どちらにしても夜の世界のこと、男と女の駆け引きはよく分からないことだらけだ。

  • 直木賞作品の表題作を含む8編の連絡短編集。第1話の「おさせ伝説」を読むと、さすが「戦国自衛隊」の作者だけあってSF的作品が連なるのかと思いきや、残りは昭和の古き良き新宿を舞台にした酒と人情の世界を描いた作品ばかり。

    どの短編にも登場するのがベテランバーテンの仙田。彼が主人公や狂言回しとなり、様々な新宿の夜の顔を紹介する。

    ちなみに、作者曰くバーやクラブ、キャバレー、スナックに違いはないとのこと。その店が名乗れば、それはバーとなり、スナックとなる。こうした境界のない混沌した世界を、住民たちは堪能する。

  • 新宿をバーを舞台に展開する物語。
    短編集だが、けっこうそれぞれにつながりがあったりする。

  • 『新宿馬鹿物語』
    おさせ伝説
    ふたり
    新宿の名人
    新宿の男
    かえり唄
    雨やどり
    昔ごっこ
    愚者の街

  • この本、何冊かったかわらない。ふらりと入ったときわ書房で平積みされていたから思わず購入。何回読んでもこの世界観いいなぁ。

  • 新宿。Bar。男女の間で揺れ動く心の機微。
    都会の喧騒の中で、実は人情深い登場人物たち。
    飲食提供店の内部事情も見え隠れしていて、興味深い。

    この作品が直木賞を受賞したのは、40年以上前だが、今も尚、面白い。
    舞台となっている1970年代の新宿。
    その人情風情が、現在も残っていることを願う。

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著者プロフィール

1933年東京都生まれ。都立高校卒業後、紙問屋の店員、板前見習、バーテンダーなど様々な職業を経験した後、広告代理店に勤務。62年「SFマガジン」第2回SFコンテストに「収穫」が入選。71年初の単行本『およね平吉時穴道行』刊行。73年『産霊山秘録』で泉鏡花文学賞、75年「雨やどり」で直木賞、88年『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞受賞。『石の血脈』『戦国自衛隊』『妖星伝』など著書多数。2002年逝去。

「2023年 『半村良“21世紀”セレクション1 不可触領域/軍靴の響き 【陰謀と政治】編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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