- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087496710
感想・レビュー・書評
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心情描写が素敵すぎる。ラストについては賛否があるけど、個人的には好きかもしれない。過食のイメージは「外から強いプレッシャーを受けるとそれに潰されないように内側からの圧力を欲し、内側から満タンにして圧力に反発するよつに食べる」という感じで、なんかそうじゃない過食もあるよなあと思っていた。内側の空虚感を埋めるために食べる感じ。「巨食」という表現に腑に落ちた。
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一番最初のぬるま湯のくだりはかなり気に入りました。身体のなかにすっと入るものがあって、なかなか良い。
中間の、巨食症を説明しているあたりもわりとよく研究されているし、とくに精神科医とのやり取りを客観的でありつつも主観的に表すこの方法に、なるほど、と感心。
ただ、最後が少し雑かなと感じる点が多々あり。
これは女性の感覚を描いているけれど、でもできれば女性でなくて男性(とくに若い子)に勧めたい。 -
一章のバスのぬるま湯につかった出だしは上手いと思った。10.5.2
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描写は引き込まれるのだけど・・・
すばる文学賞受賞作。第十一回、1988年くらい、かな?の作品です。
本を開いてまずびっくり、著者のブロマイド写真。
え?すばる文学賞で、なぜ?綿矢りさの蹴りたい背中でもこんなの、無かったでしょう?!
と思って思わず調べちゃったよね。
『ニュースステーション』の初代天気予報担当キャスター、リポーターをしていてこの本が出て、ベストセラーになってテレ朝退社という経歴の方だからこういうことになっているのね。
さすがに30年近く経っているとその辺りの空気感は全く分からず。
大石恵がラルクのハイドと結婚した時くらいの衝撃だったのかしら、と私の知っているニュースステーションのお天気キャスター最大のニュースを思い出してみます。
冒頭のお風呂に入っているシーンから、デパートの食料品の描写など、表現は結構好きなのですが、ストーリーが、まぁ幸せなお嬢様の話、ですねといったもの。
最後10ページでがっくり来ちゃったんですよね、「えっ・・・」っていう。その構図さえなければ、ラストはあの4行でいいんですけどね。
さーっと世界観から引いてしまう自分を覚えてしまいます。
ちなみに、本人が言うまで「巨」食症とは気づきませんでした。
まぁ過食症です。 -
最終章でのまさかの展開に驚愕。それまでの食への執着、きらびやかなデパートの食品売り場の描写や失恋から暴食へ向かい、その現実を何とかしようとするもどかしさが良かっただけ少々困惑。主人公は「巨食症」としての自身を肯定し「拒食症」とは違うとしながら、後半突如太るのを拒み、食べた物を嘔吐し、つかの間の安堵を得る。そうした物語の破綻を受け入れる終わり方としては、たとえその方法しかなかったとはいえ、あまり納得がいかない。
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自分がだらだら食べ、酒飲み、吐かずなので、この小説から何か得られればと思って読みました。
駄目な精神科医にガッカリ。料理を美術品に例えるくだりは好き。
しかしラストでなんだかよく分からなくなった。つか、結局摂食障害って親との関係が~なのよね。うーん。
読み終わって、ネットでこの本の他の方の感想を読んだとき、「ナルシシズム」という単語が目に入って、確かにと感じてからそうとしか思えなくなってきた。「そんな美化して感じ取れる行為じゃねーわ」って。食べてテンションを上げられるかどうか。まぁ食べてる間しかテンション上がらないからだらだら食いになるんですがね、テンション上がらないのが嫌でこんなこといつもやってます。これでも摂食障害じゃないらしいですよ色んなサイト曰く。 -
この感性には共鳴できない。
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友人が拒食症になり激ヤセになりタイトルが気になり手に取りました。
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古本屋でタイトルに惹かれて購入。作者の名前も知らない。ただ「巨食症」と書いてあるから食に関する葛藤を描いた小説なのだろうと検討をつけた。
1991年のすばる新人賞作品らしい。ニュースステーションの初代お天気キャスターらしい。
主人公は摂食障害に悩む大学生。
ものが食べられない拒食症でも過食嘔吐を繰り返す過食症でもなく、いわば過食から嘔吐を差し引いたような症状。
ひたすら食べまくって吐かない。だから太る。巨大に食べる。「巨食症」と主人公は自分の病状にしっくりする名前をつける。
それが失恋がきっかけであったり母親との関係のうまくいかなさが根底にあったりと、なかなか教科書的な流れなんだけど、言葉が率直なせいかすごく響いてきた。
私はどちらかと言えば食べたくない人間だから共感には程遠いけど、ただ切実さだけに共感した。