植物性恋愛 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 86
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087497519

感想・レビュー・書評

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  • この書名は何を意味するのか?倒錯した性の世界を意味していたのだった。10歳で少女強姦に遭った沙江子は高校時代には名も知らない中年の男と軽蔑しつつ度々関係を結ぶ。しかもこの男は不能だった。性欲を覚えながら、主人公は愛するということを知らない。大学生になり、女性研究会で男性シンとの出会い、シンもやはり不能だった。シンと沙江子が全裸でプールで泳ぎ、キスをするシーンが「まるで人魚のようだ!」と表現されるほど、艶めかしい。そして隣人の女装の美男子・光。彼もまた異常な過去を持っていた。登場する誰もが異常な性の世界の人たち。そして沙江子の愛猫・夜がなんと去勢した雄猫という徹底ぶり。

  • 2019.8

  • 問題作だと思う。

  • 官能小説?

  • 小学生の時に性の暴力を受けた紗江子。思春期を迎えても、愛と性の接点が見いだせない。
    同じアパートに住むゲイバーでバイトしている光の告白には、そういう事情、考えがあるのかとも思ったが、性暴力を容認はできない。

  •  少女時代に強姦された女性の愛と性の分離ということがテーマになっていて、男である自分にはわからないところだなと思いながら読んでいた。男である僕が何を言おうともという感じだろうか。しかしそんな強姦された経験といった極端なものでなく、女性の恋愛に対する考え方には時折触れることある。そういった考え方を聞いたとき僕は「極端だな」といった感想を持つことが多い。でもこの小説での沙江子の考え方の変化などを読んでみると、きっと彼女たちも強く主張しながらも自分の考えに揺れていたりするんだろう、といったような気がする。そうじゃないような感じもするけど。

  • なぜ持っているのかわからないし、幼い頃に性暴力を受けた女性の話で解説が上野千鶴子。自分で読むつもりになるとは思えないんだけど、なぜか本棚に発見。

    iPad用にどんどん本を「自炊」しているんだけど、その際に見つけた気になる本を読む一環として。

    で、読了。どうもステレオタイプな表現が多く感じて面白く感じられなかった。

  • 読始:2009,2,24
    読了:2009,2,24


    主人公は小学生の時にレイプ(強姦)された女性。
    当時は何も理解していなかったが歳を取るにつれ自分に何が起こったか理解し、同時に愛と性が自己の中で分離してしまう。
    幼少の体験を経た視点から性を描く

    強姦とはその行為そのものは非日常的なものかもしれないが、その背後には有るものは、女性の性への軽侮や、女は男の支配下にあり女の性は男の自由にできるというごく日常的な認識かもしれない。
    (私がそう思っているわけではないが)

    非日常的な行為だからということで、それだけでその問題から目をそらすというのは違うと思う。
    そういう意味でこの種のジャンルの本を読むのはそれだけでも意味があることだと思う。
    (読んで見て好みじゃなきゃ以後は進んで読む必要もないが、最初から毛嫌いして読まないのは単に嫌なことから目を背けてるだけな気がする)
    ↑この小説のレビューじゃないですねww

    この小説に関しては一度は読んでみてもいいが、再読するほどのものではいというのが正直な感想。
    性をテーマに扱ってはいるが、内容がそこまで深くないというか、いわゆる女性側にたった一般論を画いてるだけで特段“性”を考えさせるということもなかった。
    冒頭強姦される話で始まるが、全体を通して重い話ではなく淡々と読める。
    逆に淡々と読めるがゆえに読後物足りなさを感じる

    性を画くことが一番にあり、全体のつながりとか流れにどこか滑らかでない部分があるというか
    何かしっくりこないものが残る

    うーん

    読んだことで自分のプラスになるようなことはなかった気がする…
    ★2ぃゃ★1……★2かな?

  • ちょっと内容忘れたけど

    幼い時に性的暴力を受けて
    愛と性が一致しなくなってしまった人の話。

    最後が嫌い。
    そんな終わり方をした作者は度胸あるけど
    イヤだなぁと思った。

  • 10歳で性暴力を受けた女性の物語です。
    小説としてサバイバーのこころを真正面から取り上げた作品で、着眼点は素晴らしいと思います。
    ただし、多少フェミニズムが目立ちすぎるきらいがありますので、差し引いて読みましょう。

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著者プロフィール

島根県出雲市生まれ、筑波大学卒。『巨食症の明けない夜明け』(集英社)ですばる文学賞、評伝小説『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』(光文社文庫)で新田次郎文学賞。著作はイタリア、中国、韓国で翻訳出版される。『赤毛のアン』シリーズ(文春文庫)の日本初の全文訳を手がけ、作中の英米詩、シェイクスピア劇、聖書など数百項目を訳註で解説。金子みすゞの弟で脚本家の上山雅輔の日記と回想録を読解して小説『みすゞと雅輔』(新潮文庫)を発表。著書に幕末小説『島燃ゆ 隠岐騒動』(光文社文庫)、『英語で楽しむ赤毛のアン』(ジャパンタイムズ)など。趣味は編み物、洋裁、「すてきにハンドメイド」鑑賞。

「2021年 『金子みすゞ詩集 2022年1月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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