銀河鉄道の夜

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1321
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520033

作品紹介・あらすじ

青や橙色に輝く星の野原を越え、白く光る銀河の岸をわたり、ジョバンニとカムパネルラを乗せた幻の列車は走る。不思議なかなしみの影をたたえた乗客たちは何者なのか?列車はどこへ向かおうとするのか?孤独な魂の旅を抒情豊かにつづる表題作ほか、「風の又三郎」「よだかの星」など、著者の代表的作品を六編収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 宮沢賢治の作品は、小学校の国語の教科書に載っている『雪わたり』『やまなし』や『雨ニモマケズ』くらいしか知りませんでした。

    本書には、著者の代表的作品が6編収録されています。たまには文学を読んでみようと手に取ったものの…難解でした。

    読むのは速い方だと思っていましたが、読み慣れない言葉や漢字が多く、巻末の語注を頼りに読んだので、とても時間がかかりました。

    生と死について描かれている作品が多いのは、実の妹の死が関わっていると、解説で述べられていました。文字を追うのに精一杯だったので、解説がありがたかったです。宮沢賢治が人間としても魅力的な人物であったことがよくわかりました。

    宮沢賢治の世界観を捉えきれたわけではないですが、自分なりに情景をイメージするのはとても新鮮でした。
    他の文学にもふれてみようと思います。

  • 久しぶりに再読。以前は「銀河鉄道の夜」しか読まなかったが、今回は通して読んだ。
    「ひかりの素足」が怖い。
    地獄のような足に棘が刺さるつらい道を、子供達が泣きながら歩き続ける様子は、発想力が化け物。
    風の又三郎が弟にだけ見える死神のように描かれるので、その次の章の「風の又三郎」の話も不気味さが残ってしまったね。
    父親も送りを頼まれた人も、子供たちだけで雪山を先に行かせたら駄目でしょう、と思う。

    「銀河鉄道の夜」は大人になって読むと、夜の電車の暗い中、外の風景の輝きが流れていく雰囲気が思い出される作品だと感じた。

  • 「宮沢賢治の彼方へ」を読むため、予習あるいは復習として読んだ。妹から贈られた図書カードで購入した。
    宮沢賢治の童話で代表的なものはおそらく一読しているはずだが、内容をあまりよく覚えていないものもあり、その中の一つが「風の又三郎」だった。
    同作は、記憶や印象の中にあるよりもかなり現実的な内容だった。解説にもある通り、例えば「銀河鉄道の夜」などと違い、一見すると現実に起こり得るような出来事しか語られていない、あるいは、子どもの思い込みや想像の一部でしかないようにも思える。しかしそのことがかえって、まったくのファンタジーよりも、大人たちからするとなんの変わり映えもないような日常の中に、子どもたちの世界で、実は不思議なことが隠れていると言ったような雰囲気をうまく作り出していたと思う。
    また「銀河鉄道の夜」については、もう何度も読んでいるはずだが、やはりまず第一の感想として、描写が美しい。宮沢賢治はやはり童話においても、詩人であり、かつやはり農学や天文学など、理系的学問の広範な知識を持つ科学者でもあるのだなと改めて感じた。銀河鉄道のどの景色や風物も、登場のたびにその美しさが強調される。想像上のそれらがどんなに美しいかを、現実の植物や鉱物を引き合いに出したりして表現しているのだが、なんとなくだが、作者賢治がそれら植物や鉱物のどれにも深い関心や愛着を持っているように思われる。そしてこの作品は、銀河の風景の光り輝く美しさと、「死」を重要なテーマにしている。死を美化しているとまでは思わないが、妹のそれを乗り越えるためには、物語が必要だったのだろうか。
    宮沢賢治の童話集は他の出版社からも出ているが、本書は、特に有名なものを数を絞って収録していて、手軽に読めるので、見つけることができてよかった。

  • 集英社文庫の「ナツイチ2020」でフェアの対象書籍を購入するとよまにゃブックバンドを貰えるということで折角なので買ってみた。名作である「銀河鉄道の夜」を含む六編が収録されている。「銀河鉄道の夜」と「よだかの星」は随分昔にちゃんと読んだ覚えはあるが他の四編はタイトルや概略を知っているだけだったのでこの機会に読めてよかったと思う。「銀河鉄道の夜」の最後の何とも言えない終わり方は今でもどんな感慨を胸に抱けばいいのかよくわからない。それでもそのわからなさこそが後世にずっと残り続けていく所以なのだと思った。

  • この本に掲載されている物語の良さを理解する想像力は私にはまだ(?)無かった…

    「ほんとうの幸いとはなにか…」を問いかける物語

    中村文昭さんの解説がおもしろかった。

    やまなし
    いちょうの実
    よだかの星
    ひかりの素足
    風の又三郎
    銀河鉄道の夜

  • 『カムパネルラ』 (創元SF文庫) 著:山田正紀
    を読んで、子供のころに読み終えることができなかった
    『風の又三郎』と『銀河鉄道の夜』が収録されている
    本書を購入。

    『風の又三郎』は当時なぜ読み終えることができなかったのだろうと疑問に思うほど、自然の中の子供の世界の幻想的な世界が詰まっている。
    一方、『銀河鉄道の夜』は、二人の少年の星座をめぐる鉄道旅の幻想の世界に、この歳(表紙イラストの作者名で『BADだねヨシオくん!』を即思い出す年代)になって理解できる味わい、死の世界。

    『ひかりの素足』なんて兄弟愛の話かとおもいきや、自然の驚異と死後の苦しみ、一方で信仰、現世の苦しみからの解放、そしてそれを深い悲しみのなか受け入れる、死後の世界に救いがあるはず、という姿勢。

    で、現在子供たちが悲しい思いをしないよう、希望に満ち溢れ能天気にみんなハッピー、なありもしない理想の世界を描くよう物語に期待されている部分があるように聞くこともあるけど、現実を見て、生きて、苦しみ、自ら、世界の幸せを求めて、もがく、人間としての弱さと強さを、幻想的な世界とともに突き付けて、自ら考え、苦しみ、乗り越える強さを与える物語も、芯のある大人になるために、子供・少年少女には必要なのではないかと思わされる。

  • 読んで聞かせるような文章で描かれているのは幻想的で美しい情景。でもとても哀しく、苦しく、時に烈しい痛みすら感じる物語でした。童話のイメージが強かったけれど、『とても消耗する』というのが正直な感想。けれど見たこともない世界が本の中にはあり、次に読むのも宮沢賢治の作品になる、そんな予感がします。

  • 映画『怪物』に感動したので、関連があると噂の『銀河鉄道の夜』を読んだ。「よだかの星」が一番好きだった。理解しきれていない部分があるので、時間をおいて再読したい。

  • 大人になって銀河鉄道の夜を見返したが、ジョバンニの夢の情景が非常に見事で、宮沢賢治の描く綺麗な透明感のある世界に引き込まれていきました。
    様々な解釈がある小説であり、色んな所に伏線があるので、読むたびに違った一面を見せてくれるのではないかと思います。
    また、『やまなし』の独特な世界も面白く、この歳になって宮沢賢治ワールドに魅了されました。

    • このはさん
      宮沢賢治さんの本はとても表現が面白くて、
      本当に宮沢賢治さんの世界に吸い込まれます!
      宮沢賢治さんの本はとても表現が面白くて、
      本当に宮沢賢治さんの世界に吸い込まれます!
      2022/08/14
  • 宮沢賢治の童話って初めてしっかり読んだ気がする。子供の頃、少し読んだがあまり好きになれなかったのは、エンディングがどことなく物悲しいからなんだろうな。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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