地獄変 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 129
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520118

感想・レビュー・書評

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  • 私が読んだ本はこの表紙ではなかったけれど、多分中身は一緒のはず。

    先日読んだ乙女の本棚の蜜柑以来、芥川龍之介をもう少し読みたい、と思って最寄り図書館にあったやつで有名どころが入ってるものを選んできました。

    改めて読むと、色々発見がありました。

    地獄変はかいつまんでストーリーは知っていたけどちゃんと読んだのは初めてかもしれない。猿の件とか、父親がお弟子さんたちにしてきたこととか、あれらを含めて最後の狂気にたどり着くんだな。

    奉教人の死、も、あぁ、そうだった、としみじみ。

    個人的に1番印象に残って好きだったのは、秋。
    これも初めて読んだけれどすごく切ない、美しいけれど真実味のある作品でした。

    2024.3.31
    56

  • 非常にビジュアル的。多くを説明しない文章から立ち上がる映像が色鮮やかだ。

  • 羅生門、鼻、地獄変、蜘蛛の糸、藪の中くらいしか覚えていない。藪の中が一番好き。きっと真相は存在しなくて、それをそのまま受け止めるのが正しい。

    ・大川の水
    ・羅生門
    ・鼻
    ・芋粥
    ・地獄変
    ・蜘蛛の糸
    ・奉教人の死
    ・蜜柑
    ・舞踏会
    ・秋
    ・藪の中
    ・トロッコ

  • 「秋」と「蜜柑」が読みたくて購入 好きだわぁ

  • (久保帯人さん画の表紙で読みましたが、小畑さん画の表紙でという方も数人いらっしゃったので、小畑さん画もあるのでしょうか。)『大川の水』や『奉教人の死』など未読のものが幾つかありましたが、未読の中では登場人物の心情や情景が想像しやすいからでしょうか、『蜜柑』が一番印象的でした。『秋』は珍しくメロドラマっぽい?

  • 青空文庫でよみました。
    なんともどう解釈したらいいのかわからんのですよ。

    元々殿様に仕えている人という、フェアな立場ではない語り手の言う事をどうしても鵜呑みに出来なくて、何度読み返しても殿様が一番酷いと思うんですよね。。
    懲らしめるためにって言ったって、娘に火をつけたのは殿様なのですから。

    殿様を立てなければならない立場でありながら、ところどころこっそり殿様への不信を忍ばせているようなところもあるんですよね。
    はっきりとは書いてないけど、車を燃やそうとした御所では妹が化けて出る噂があると、そんな化けて出るような死に方をしたということを暗に示唆していたり。
    まるで遠まわしに断罪しているようだなと思うのです。

    でもそうなると良秀が夢の中で娘が地獄に行く事を知っていたのはなんだったんだろうなと。
    そんな罪をあの娘が負っていたのかと。それを父親が知っていたのかと。
    もしくは父親が関わっていたのかと。

    娘があの夜、会っていたのが誰ととるかで、この話は変わるのよね。
    殿様か。父親か。はたまた第三の男か。

    とまあ、こうやってぐるぐる考えられるのが面白いってことなのかな。間違いなく名作だと思います。

  • 私が買ったのは、小畑健の表紙だったのですが。同じ「地獄変」でも随分と雰囲気の違うイラストでした。
    久々の文学ものでしたが、やっぱり流石、の一言に尽きると思います。12編の小品が納められていますが、中でも特に心に残ったものたちの感想をば。
    「芋粥」読んでいて、悲しくなりました。涙が出るほど、という意味ではなくて、ただただ「哀れ」とはこういうことなのか、と。
    「地獄変」お殿様の口の端からこぼれていた涎が、ぱっと見えるほどに、業火と呼ぶにふさわしい火の熱さを感じるほどに、生々しいお話でした。終わり方も素晴らしい。
    「蜜柑」ここまでの短編で、これほどまでに鮮やかに日常の一瞬を切り取って、なおかつ普遍的なものと絡めながらも不安定な色を残してのけるのは、やっぱり芥川龍之介が文豪だからなのでしょう。ははーと頭を垂れたくなるくらいに、立派な作品だと思います。
    「秋」信子の感じた「残酷な喜び」がすべてを物語っていると思います。多くは語らず、でも目を背けたくなるようなことから目を背けず、善と悪のどちらかに傾きたくても傾けない人間の業のようなものを感じました。
    「舞踏会」「われわれの生(ヴィ)のような花火のことを」こんなにも悲しくも美しい、儚くもしぶとい言葉に、長い間触れていなかった気がします。
    純文学は、たまに触れると精神をゆさぶられて、とても気持ちが良いです。現代作家の中では、数十年後、数世紀後、誰が「純文学」のカテゴリーに名を連ねるのだろうと思ったりもしました。

  • どれもいいけど『藪の中』が一番好き。『秋』は芥川っぽくないな。

  • 中学以来の芥川龍之介。
    普通におもしろかったです。しかもこの本、代表作ばっかり入ってるのでお得です。笑
    「羅生門」「鼻」「地獄変」「蜘蛛の糸」「藪の中」「トロッコ」「芋粥」などなど。

    一番どきどきしたのは「地獄変」だったかな。最後の場面は山登りしながら読んでたんだけど、映像が目に焼き付いて怖かった。
    これは、ある絵師が極限のリアリズムを追求し、全てを犠牲にして、究極の地獄絵図を描き上げるという話。題材は宇治拾遺物語。
    この人の特徴の一つなのかな?文章がNHKの大河ドラマのナレーターみたいな語り口調なので昔話っぽくて意外。
    短編って長編以上に技術が必要っていうけど、この人の文章はほんときれい。無駄が多いとかないとかはわからないけど、こんな目に焼きつくような文章なんだからすごいに違いない。


    P.35 「鼻」
    人間の心には互いに矛盾した二つの感情がある。もちろん、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。ところがその人tがその不幸を、どうにかして切りぬける事ができると、今度はこっちでなんとなく物足りないような心もちがする。少し誇張して言えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れてみたいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。
    P.37
    内供は鼻が一夜の中に、また元の通り長くなったのを知った。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。


    これはきっと今の整形に対する批判に間違いない。笑
    んで表紙は芥川龍之介なのか?


  • 文章が、まず驚くほど細部にいたるまで美しい。
    これが私が生まれるより以前に作られた物語なのかと思うと、芥川という人の、万人が認めた才気に溜息をつかざるを得ない。

    どの短編も味わい深かった。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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