友情・初恋 (集英社文庫)

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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520200

作品紹介・あらすじ

若い作家・野島は、劇場の廊下で初めて杉子を見たときから、その美貌に心を奪われてゆく。彼のひそかな思いを知った年上の友人・大宮は、恋の成就のために力を貸すことを約束した。しかし、意外なことに杉子の思いは大宮に傾いてゆく…。友情と愛情、恋愛と失恋を描いた近代日本文学の代表的青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 今から100年も前に書かれた作品だけれども、好きな人の言動に一喜一憂したり、好きな人を思ったりするのは現代の人々と変わらないのだなぁと思いました。

  • 友情…
    学生以来の再読です。
    読みやすい簡単な文章で一気に読めます。
    最後はこうなるよね…と予想はしていたものの
    胸が痛むというよりは、胸をグサッと刺されたような一撃のラスト。
    人間の本質、妬み、欲望、葛藤… 友情と恋愛
    人間模様が丁寧に描かれてますが、最後痛々しくて寝る前に読んだらうなされました。
    『初恋』は主人公の心の動きが野島と似ている部分があり目新しさを感じなかった。

  • 集英社文庫の2007ナツイチ限定カバーに惹かれて購入したが、絶えず手元近くにありながら、積読からようやく解放に向かった書である。『友情』にしろ、『初恋』にしろ、とにかく甘酸っぱいし切ない。自身の思い出がよみがえる。

  • 年一くらいに再読してます
    友情…

  •  古典文学っていうのは、時代の流れに逆らって評価され続けたことが何よりの面白さの証です。
     同じ古典文学の恋愛について書いてある夏目漱石のこころと少し似ていて、この本も友情と恋愛がテーマです。(まぁネタバレをすると結末はこころの真逆になってます)
     内容は夏目漱石のこころと同様で、ある程度察しのいいひとには読んでいる時点で恋の行方がどうなっていくか予想がついてしまうのですが、その展開はとても面白くてその描写も秀逸なものとなっています。
     武者小路実篤の本を読んでいると、(特にこの本は友情と一緒に初恋という武者小路実篤のエッセイのようなものが掲載されているためなおのことよくわかるのですが)、武者小路実篤の性格がとても分かってくるようで面白いです。私には彼がおこりんぼうで癇癪もちで結構卑屈だけど同時に楽天家であるとみて取れ、多くの人の共感を呼びやすいわかりやすい正確なのも、時代を超えて読まれている理由なのだと思います。

  • ‹内容紹介より›
    若い作家・野島は、劇場の廊下で初めて杉子を見たときから、その美貌に心を奪われてゆく。彼のひそかな想いを知った年上の友人・大宮は、恋の成就のために力を貸すことを約束した。しかし、意外なことに杉子の想いは大宮に傾いてゆく……友情と愛情、恋愛と失恋を描いた近代日本文学の代表的青春小説。

    ーーーー
    自分に自信がない、文学青年・野島。
    彼は友人の妹である杉子に一目ぼれをして、どうにか彼女を伴侶として迎えたいと強く願うようになる。
    まだ作家としては無名であり、胸を張って彼女にアピールすることができない野島が、恋の相談をしたのが年上の作家・大宮であった。
    大宮は野島の相談に乗り、杉子と野島が結ばれるよう協力するが、杉子が自分に恋をしていることを知り、日本を離れることを決意する。
    日本から自分が去れば、杉子は野島と結ばれるだろうと考えていたのだが、離れれば離れるほど杉子の想いも、自分の恋心も強くなっていることに気が付く。

    友人の想い人と付き合う、というよくある「三角関係」の話ではありますが、『こころ』のようにみんな精神的に病んで死んでしまったりすることもなく、泣きながらも立ち上がろうとする野島にエールを送りたくなるラストです。
    ただ、ストーカー気質な熱の上げ方をする野島や、野島からの好意を「有難迷惑です」とばっさり切り捨てる杉子など、なかなか過激な部分もあるように感じます。

  • 友情というタイトル以外考えられない作品。恋をした人間の醜さを感じられる。それでも恋は人間にとって天から与えられた人生において欠かせない素晴らしいもの。

  • 主人公・野島の一方的な片想いを描いた話。
    中学時代に読んだ時は、夏目漱石の「それから」より深みがないと思ったものだが、今読むと、はっきりした物言いや友人・大宮の告白の仕方など相当挑戦的な話である。
    あるいは大正時代の日本人は、現代より素直に感情を表現していたのか。武者小路実篤が裕福な家庭に育った故か。
    杉子の「私は野島さまの妻には死んでもなるつもりはありません」、「野島さまのわきには,一時間以上は居たくはないのです」という台詞、当時の日本人がこんなにはっきり言うこと自体が驚きだった。

    海外へも気ままに行けるほどの裕福な人たちの生活、生活苦がなく、恋だの友情だのに特化した話は好きだ。
    (図書館)

  • 『友情』だけれど、かなり『初恋」の話。(『初恋』はまた別の話)
    過去形の、簡潔な文章。会話が多く、読みやすい。
    『桐島、』を読んだあとだからかもしれないけれど、こんなに描写が少なくてもいいんだな、と思った。

    杉子を一途に想う、感じやすく傷つきやすく、でも自尊心だけは強い主人公。この恋はうまくいかないだろう、と思うものの、最後の親友と杉子の手紙が圧巻。自分が感じる自分と、他人から見える自分(特に女から男)の違い。
    すごく面白かった。

  • 2013年9月に行われた「ビブリオバトル首都決戦予選会in 城西」にて、バトラーにより紹介された本です。
    詳細は図書館HP (http://libopac.josai.ac.jp/) より『ビブリオバトル』で検索!

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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