ママ・グランデの葬儀 (集英社文庫 40-A)

  • 146人登録
  • 3.45評価
    • (6)
    • (22)
    • (42)
    • (0)
    • (1)
  • 14レビュー
制作 : 桑名 一博 
  • 集英社 (1982年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087600797

ママ・グランデの葬儀 (集英社文庫 40-A)の感想・レビュー・書評

  • マルケスの魔術的リアリズムの都「マコンド」を舞台にした短編集。
    その後のマルケス作品の特徴でもある幻想性や魔術的手法はほとんど目立たたない。
    徹底的なリアリズム視点で、
    20世紀南米の「貧しさ」「政治の腐敗」が極めて端的に語られる。
    ただし、人々の生活をリアルに描けば描くほど、
    むしろ日常がどこかねじれた滑稽なものとして浮かび上がる。
    『大佐に手紙は来ない』
    『火曜日の昼寝』が特に印象深い。
    「貧しさ」は大抵正直者(いささかの皮肉も込めて)に押し付けられ、
    往々にして賭け事や犯罪と隣り合わせで、
    いつの時代も「政治」によって生み出される。

    何十年も前に政府からもらえると言われたはずの恩給の通知がいつか来るはずだと信じ続ける大佐。
    信じる大佐がおろかなのか、政変を理由に「無かったこと」にする政治が悪いのか。

    「そんなのんきなことではいけませんよ、大佐」先生が言った。「われわれはもう救世主を待っていられるほど若くはないんですから」

    年金問題を考えると、地球の裏側、半世紀前の話と笑ってもいられない。

  • 大佐に手紙は来ない、火曜日の昼寝、最近のある日、この村に泥棒はいない、バルタサルの素敵な午後、モンティエルの未亡人、土曜日の次の日、造花のバラ、ママ・グランデの葬儀

  • ふと立ち寄った古本屋で、絶版文庫を発見。160円ほどで買えてほくほく。ウキウキしながらページを繰ったのだけれど、読んでいるうちに、救いのなさにだんだん元気がなくなってくる(苦笑)。

    短編集ですがすべて「百年の孤独」と同じ架空の町マコンド周辺を舞台にしており、テーマも手法も百年の孤独とは違うけれど、スピンオフ的な感覚で読むとまた印象が違うかも。

    自殺する鳥と100歳近い神父さんの奇妙な言動がいちばん“ガルシア・マルケスっぽい”気がする「土曜日の次の日」と、百年の孤独のテイストに近い気がする表題作「ママ・グランデの葬儀」、リアリズムなんだけど、お腹の中にきのこが・・・とか考えちゃう大佐がやっぱりラテンアメリカ的(※個人のイメージです)だと思ってしまう「大佐に手紙は来ない」が好きでした。

    ※収録作品
    「大佐に手紙は来ない」「火曜日の昼寝」「最近のある日」「この村に泥棒はいない」「バルタサルの素敵な午後」「モンティエルの未亡人」「土曜日の次の日」「造花のバラ」「ママ・グランデの葬儀」

  • 表題作を含む9つの短篇を収録する。物語の舞台はいずれもマコンドとその周縁であり、その意味でも『百年の孤独』との親縁性は大きい。私は、荒唐無稽な(これもまた、ガルシア・マルケスの特質の一つではあるのだが)「ママ・グランデの葬儀」よりも、作家が極貧の中で11回も書きなおしたという巻頭の「大佐に手紙は来ない」のリアリズム系列の方を取る。ここにあるのは15年間も諦めない執拗さと、それとは矛盾するようだが、願望が実現しないことを知っている諦念とが共存する。そして、その底流にあるのは「ここではないどこか」への想いだ。

  • マルケス初期の短編。
    後に書かれた短編と比べてみると、まだまだ「いわゆるマルケス」ぽくないのだけど、それでも熱帯地域の熱、長雨、倦怠、痛みが登場人物達にまとわりついて離れないところが彼らしい。

  • (1983.01.05読了)(1982.12.25購入)
    *解説目録より*
    灼熱の大地にくり広げられる飢えと孤独、暴力と革命! いかなることも起こりうる架空の地マコンドの地母神ともいうべきママ・グランデの葬儀を奇想に満ちた文体で描く表題作。

  • どの話でも、登場人物は誰にも助けてもらえない。ひとりで穴に落ち込んで、そこから出られない。太陽は暑すぎるし雨はやまない。なんでこんなに非情な世界ばっかり書くんだろう。自分の日常が甘ったるくてウソみたいに感じるくらいだ。

    「ママ・グランデの葬儀」以外は、ひらひらのないくっきりした文体で、読んでいて気持ち良い。女の人の芯が強いのもいい感じ。

    「大佐に手紙は来ない」の「出る家を間違える幽霊」のエピソードが、にやりとさせられて妙に心に残った。

  • 「大佐に手紙はこない」が名作中の名作。このどうにもならなさ。描き方がドライで、まったく突き放しているだけに、かえって真に迫る感じ。だってその分委ねられた自由を使って、読者は物語に入っていくわけだものね。事実を提示してやるだけの慎ましさが、逆に強める毒味かね。最後の台詞はすごい。すごすぎる。
     あとは「この村に泥棒はいない」、かなあ。実は喜劇にアレンジされても全然いけそうなぐらい、ユーモアのセンスが活きていて、抑制は効いているのだけど、確実にこの人物の捉え方は喜劇映画だと思う。それが悲劇にも転じ得る、という曖昧なところに宙吊りにされたまま、物語が開いて閉じる、そこが面白いのかなあ、とも。関係性のお話。それだけにこのどうにもならなさは、どこか魅力的でもあります。

  • 『百年の孤独』のマコンド関連の短編集。アウレリャーノ・ブエンディアという名前にも聞き覚えが。文体がだいぶ違うけれど、そこはかとない悲しさが漂っていてよいと思う。表題作『ママ・グランデの葬儀』がいちばん好きかな。

  • かたりさらりとした乾きめの文体。これはこれで面白いではないか。

  • 中編「大佐に手紙は来ない」のほか、マルケス初期の7編の短編をおさめた作品集。
    マルケス自身が『百年の孤独』以前に書いた作品は、すべて『百年の孤独』を書くための習作だった、と言っているが、この本は彼の作風が変化していく過渡期にあたるもので、その意味でなかなか興味深い。
    「大佐に手紙は来ない」など収録作の多くはリアリズムの手法をとられ簡潔な文体描写が特徴であるが、後ろのほうに入っている「土曜日の次の日」「ママ・グランデの葬儀」などは『百年の孤独』を彷彿とさせるいわゆる魔術的リアリズムの萌芽がみられる。

    どの短編にも共通していえるのは、彼の短編には、必ず一人(あるいは二人)印象的な人物が登場し、その人物を実に生き生きとじっくり描いている点で、それが彼の小説に圧倒的な「本当らしさ」を付け加えていると思う。振り返ってみると、どんな話だったか覚えているものはあまりなかったりするのだが、にもかかわらず読んでいる最中は不思議と小説世界に引き込まれてしまうのは、登場人物がもつ圧倒的な現実性に由来すると思う。

    やっぱりマルケスは上手いなあ、と思い知らされてしまった。『百年の孤独』と併読すると面白さが増すと思う。

  • 孤独の積算で歴史は織り成されるということ。

    虚構と現実の等しく絡むるの地・マコンドを舞台にした短編からなる本書は、各編に様々な実験的手法が用いられて肌ざわりが異なる素材ではあるものの、時間軸をなくした一葉の群像劇であるかのような印象を受ける。

    主人公たちは一様に死と密接に関わりながら、穏やかな自殺をするかのようにそれぞれの孤独を味わっている。どの物語もささやかな着地を試みながら、その果てのない、あてどもない行く末を匂わせている。

    リアリズムと幻想文学の蜜月を感じさせてくれる珠玉の一冊。私は古書として巡り合ったが、鮮やかな表紙にとりつかれる想いがした。

  • ・・ただいま読書中・・
    暴風雨の日、忙しさにふと隙間ができた日に
    ちょっとマコンドへ立ち寄る感覚。
    ちまちま読んでいて今半分越えたぐらい。ガボの文章を読むと安心する。
    ★表紙がもうすでにマジックリアリズム!

全14件中 1 - 14件を表示

ママ・グランデの葬儀 (集英社文庫 40-A)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ママ・グランデの葬儀 (集英社文庫 40-A)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ママ・グランデの葬儀 (集英社文庫 40-A)の単行本

ツイートする