靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査班 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606546

作品紹介・あらすじ

スウェーデン実業界の大物が連続して殺された。頭に2発の銃弾を撃つ手口はマフィアの処刑スタイルだ。国民を震撼させている大事件を一刻も早く解決するべく、国家刑事警察の特別捜査班が編成された。職務規定違反の疑いで内部調査を受けていたポール・イェルムをはじめ、それぞれに事情をかかえる刑事6名により、精力的な捜査が始まった。個性的なメンバーの活躍と地道な謎解きで人気の警察小説第1弾。

感想・レビュー・書評

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  • 北欧ミステリの中でも87分署ものに匹敵するとされる評判のシリーズ第一作だけれども、10年前に刊行されたきり続刊が出ることはなく、最近まったく別もののシリーズが訳出されたが、こちらは二作目が既に予定されてるらしい。

  • 北欧ミステリーでも先駆者にあたるのが本作、本シリーズらしい。とはいっても続編は未訳(刊行時点で10作品はあるらしいのだが)惜しいなぁ。

    チーム物というのが新鮮。中年の悲哀満載の主人公だけでも良い味出しているのだが、彼の仲間たちが実に個性的で良い。せっかくなんで、もう少し典型的にかき分けてくれたらありがたいのだが…と言うのも、北欧の名前が判別しにくく、主人公とリーダーと南米の人と女性警察官以外がどうもわかりにくい。登場人物紹介欄にも「同刑事」しか書いてない。

    だからこそシリーズを読んでいくうちに、彼らに愛情も沸いてくるんだと思う。版権等の問題があるのかもしれないが、シリーズの翻訳が待ち遠しいぞ。

  •  北欧ミステリをいろいろ読んでいるが、これも評価の高い一冊。たしかにおもしろかった。スウェーデンの国家警察に特捜部Aというどこかで聞いたことのあるような専属チームが結成される。国内各所から集められた一癖も二癖もあるそれぞれバラエティに富んだ6名が著名実業家連続暗殺事件に挑む。事件自体は大したことはないが、何よりリーダーと6名計7名のキャラが秀逸で、はじめはぎくしゃくしていたのが最後には見事なチームワークで事件を解決に導く、その過程が読みどころだ。主人公であるチームの一人ポール・イェルムのどこかで見たような私生活に問題を抱えた一匹狼的刑事ぶりも類型的とはいえ鉄板の安心感。このシリーズ続編があるのだが未訳とのこと。なんともったいない。早いとこ訳出してほしいものだ。

  • 「アンネ・ダール」の長篇ミステリー作品『靄の旋律―国家刑事警察 特別捜査班(原題:Misterioso)』を読みました。

    「スティーグ・ラーソン」、「アンナ・ヤンソン」、「カミラ・レックバリ」、「オーサ・ラーソン」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    スウェーデン実業界の大物が連続して殺された。
    頭に2発の銃弾を撃つ手口はマフィアの処刑スタイルだ。
    国民を震撼させている大事件を一刻も早く解決するべく、国家刑事警察の特別捜査班が編成された。
    職務規定違反の疑いで内部調査を受けていた「ポール・イェルム」をはじめ、それぞれに事情をかかえる刑事6名により、精力的な捜査が始まった。
    個性的なメンバーの活躍と地道な謎解きで人気の警察小説第1弾。
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    本作品は、スウェーデンの文芸評論家「ヤーン・アーナルド」が、小説を執筆するにあたり「アンネ・ダール」という筆名で発表したシリーズ作の第一弾、、、

    全10作で既に完結しているらしいのですが… どうやら翻訳されているのは、本作品だけのようです。


    ストックホルム郊外の警察署に勤める警察官「ポール・イェルム」は、ある日、アルバニア系移民「ドリテロ・フラクラ」が移民管理局で起こした人質立てこもり事件を正規の手順を踏まずに解決し、一躍マスコミの寵児となったが、、、

    人質救出部隊が現地に向かっていたのにも関わらず、単独で移民管理局に乗り込み、犯人を説得すると思わせながら銃撃したことが職務規定違反として調査を受けた「イェルム」は懲戒免職も覚悟する… しかし、彼に命ぜられたのは、懲戒免職ではなく、国家刑事警察に新しく設立された特別捜査班Aへの転勤だった。

    そこで「イェルム」はスウェーデン各地から集められた、個性的な7人のチーム(特別捜査班A)で実業家の連続殺人事件に取り組む、、、

    犯人は、実業家が深夜に帰宅する日を狙い、自宅に侵入して待ち構え、持参したカセットテープに収録された「セロニアス・モンク」の未発表音源の"ミステリオーソ"を聴きながら、帰宅した実業家の頭部に銃弾を2発打ち込んで殺した後、貫通後に壁に埋まった銃弾を持ち帰るという独特な手口で次々と実業家を殺していく… 殺人の手口がロシアマフィア等のプロの手口に類似していることや殺された実業家たちの共通点(取締役をやっていた企業、ゴルフ、ヨット、秘密結社…)等から特捜班Aの刑事たちは捜査の範囲を絞り込み、トライ&エラーを繰り返しながら真相に近付いていく。


    いやぁ… 警察小説ということで登場人物が多いのはやむを得ないのですが、、、

    被害者たちとその多くの関係者、刑事たちにその上司や同僚… 等々、登場人物が多いうえに、耳慣れない北欧の名前が覚えられず、なかなか一人ひとりの区別がつかなかったですね。

    一応、「ポール・イェルム」が主人公となっていますが、特別捜査班Aというチーム全体が主人公の警察小説でしたね、、、

    中盤までは、なかなか真相に近付けず、ややまごついた感じでしたが… プロローグでの始業前の銀行で行員がダーツを愉しんでいたところに銀行強盗が押し入るシーンが、実業家連続殺人事件にどう絡んでくるのかがはっきりした終盤から、事件が解決するエンディングまでの展開はスピーディーで一気に読めました。


    物語の展開や登場人物が多いことを考えると、映像化したら面白いし理解しやすいだろうなぁ… と思ったら、ドラマ化されているようでしたね、、、

    機会があったら観てみたいですね。


    シリーズ作品なので、次作からは登場人物に馴染めそうな感じがしますが、、、

    本作しか翻訳されていないのは残念… 「イェルム」の夫婦関係は絆を取り戻せるのか?「イェルム」と「シェスティン・ホルム」の関係は?等々、登場人物のプライベート部分の展開も気になるところです。



    以下、主な登場人物です。

    「ポール・イェルム」
     国家刑事警察特別捜査班の警部補

    「ヤン=オーロフ・フルティーン」
     国家刑事警察特別捜査班の警部

    「グンナル・ニーベリ」
     国家刑事警察特別捜査班の刑事
     
    「ヴィゴ・ノーランデル」
     国家刑事警察特別捜査班の刑事

    「アルト・セーデシュテット」
     国家刑事警察特別捜査班の刑事

    「シェスティン・ホルム」
     国家刑事警察特別捜査班の刑事

    「ホルヘ・チャベス」
     国家刑事警察特別捜査班の刑事

    「イリス・デース」
     公安警察官

    「マックス・グラーン」
     公安警察官

    「セシリア(シッラ)・イェルム」
     ポールの妻

    「クノ・ダグフェルト」
     有力実業家

    「ベルンハルド・ストランド=ユレーン」
     有力実業家

    「ニルス=エミール・カールベリエル」
     有力実業家

    「リカルド・フランセン」
     元判事

    「イーゴルとイーゴル」
     ロシア人マフィアの2人組

    「ヴィクトル・X」
     ロシア人のマフィア

    「レーナ・ハンソン」
     ゴルフ場の受付係

    「アントン・ルードストレム」
     ジムの元経営者

    「ヤコブ・リドネル」
     ロヴィセダール社の取締役会長
     
    「ヨーラン・アンデション」
     元銀行員
      
    「ドリテロ・フラクラ」
     アルバニア人の移民
       

  • 図書館で。
    この頃よく見かけるようになった北欧ミステリー。主人公が色々考えこみ過ぎていて背景が暗いイメージ。そして夫婦仲がうまくいって無い。さらに言うと社会的に麻薬問題を抱えていて、若い世代はドラッグから抜け出せなくて苦しんでいるイメージ。今回はさらに移民問題までプラスされていやぁ、大変そう。って他人事みたいだけど本来どこの国も抱えている問題なのかもしれない。

    それにしても捜査が随分と高圧的だなぁと思いました。舐められたら終わり、みたいな感覚なんだろうか?
    貧富の差が広がり、格差社会になると段々こういう問題も起こるのかもしれないなぁなんて思いました。正義の名を借りた私怨を晴らす行為。正当性があると信じちゃった自己流の正義は怖いよなぁ。
    勿論、今の日本でも他人事では無い問題ですよねぇ。

  • ヘレンハルメ美穂さんの翻訳が好きで読んでみた。
    刑事達それぞれのキャラクターが立っていて、捜査を進めていく様子が丁寧に描かれていて面白い。
    ただ他の北欧ミステリーと比べると事件に物足りなさはあった。

  • スウェーデンの警察小説。実業界のVIPが同じ手口で連続して殺される。捜査の為に作られた特捜班には、各地の警察署から曲者の捜査官が集められる。その中の1人ポール・イェルムが主人公。北欧の警察ものらしく事件の初動捜査から丁寧に描かれていて、捜査とはあらゆる可能性にあたって失敗を繰り返すことで、糸口が見えた時に確実につかめるようになるのだなと感じる。ポールの家庭や仕事の問題も興味深いが、チームの個性的なメンバー達の仕事の仕方の違いが面白い。シリーズの続きも訳して欲しいなあ。

  • ミステリーとしてはしっかりしていた。チームの捜査とかが警察小説に相応しかった。ただ、名前になじみがないし、全てが登場人物の表に載ってないから、誰だったっけと特定するのに大変だった。登場人物が多過ぎて混乱した。

  • 北欧ミステリー。

    北欧ミステリーと言うと、私はユッシ・エーズラ・オールスンの『特捜部Qシリーズ』を思い出すのですが、これはそれよりも先に出版されている作品です。なので、こちらが元祖というか、先輩ですね。

    特捜部Qの時はあまり感じませんでしたが、この作品は、よくも悪くも北欧を感じます。なんか、警察が非常に民主的に感じるんですよね。これは、アメリカやイギリスのミステリーとは大きく違うところです。

    そんな民主的なイメージの有る北欧ですが、先ごろのシリア難民で揺れています。この先の北欧ミステリーは、また違った感じになるんでしょうね。

  • これぞ北欧ミステリ。警察のチームものはやっぱり北欧がいい。

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