新訳決定版 ファウスト 第一部 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ G 1-1)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610086

作品紹介・あらすじ

学問と知識に絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売りわたすかわりに、地上の快楽を手に入れ、人間の生のあらゆる可能性を体験しようとする。メフィストと組んだファウストの遍歴が始まる。霊薬を手に入れ、若返った青年ファウストがマルガレーテを見そめる。恋の成就、マルガレーテの母親の死と兄の殺害、そして、マルガレーテによる嬰児殺し。マルガレーテの処刑とともに愛を巡る劇は終わる。

感想・レビュー・書評

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  • 池内紀さん翻訳のファウスト、初めて読みましたが、とても読みやすく、また頭に残りやすく大変満足しています。あえて散文調で翻訳されたこともあり、池内さんが最後に書かれているように「名のみ高くて読まれることの少ない古典を雲の上に祭り上げる代わりに、われらの同時代に引き込もうとした」という目的は十分に達成していると思いました。

    第一部はファウストが悪魔メフィストフェレスと約束をして、地上のあらゆる快楽の可能性を手に入れますが、そのモチーフの一つが限りない欲望です。そしてそれが引き起こす悲劇が第一部のクライマックスとなります。本作品からは人間の欲望を刺激し続けながら発展する資本主義も連想できましたが、さて悪魔メフィストフェレスは資本主義では誰なのかな、と想像するのも面白いです(もしかするとこれまでの人生でメフィストフェレス的な人と遭遇しているかもしれませんね)。

    本書では最後に「『ファウスト』第一部-その楽しさ」、「文豪と金融王」(ゲーテとロスチャイルドについて)という池内さんの解説&補論があって、こちらも大変興味深かったです。まずはこちらを読んでから本文を読み始めてもよいかもしれません。

  • 後書きの解説によると、ゲーテはファウストを二十代から書き始め、完成したのが八十歳頃らしい。ファウストはもともとドイツの民俗話。それを基に書かれたのがこの作品ということになる。主人公は年老いた学者のファウストで、悪魔メフィストフェレスと血の契約を交わし、若さと地上の快楽を手に入れる。だが何も失わずに得るなんてそんな上手い話があるわけもなく、その後彼は様々な悲劇に見舞われる。という教訓?話。

    悪魔メフィストフェレスや恋人マルガレーテが登場するまではひたすら詩の連続で、正直意味不明だった。悲劇と題しているのに、その肝心の悲劇の描写が特にないという斬新さもあり、戯曲ってこういう感じなんだとまぁ勉強にはなった。劇で見たらまた違って面白いのかもしれない、と思った。戯曲は想像力が問われるような気がする。

    ドイツ語の原文は韻文で美しい詩になっているらしい。けれど翻訳の過程で散文詩になっていて、(ゲーテが詩体を通して伝えようとしたことを、より柔軟な散文でとらえる訳者の狙いがあったという)少々自由過ぎる印象を受けた。日本語で原文の響きを伝えるのは無理があるのだと思う。ドイツ語ができればと生まれて初めて思った。(たぶんこれが最初で最後)

  • 先生。うけるのを書いてくださいよ。ということで、ゆるい魔性のようなものと感じる。一部は若い頃の完結した作品なのだろう。

  • 戯曲なので、展開が速い。内面の描写はセリフのみ。付録の3つの文書が良い。
    キリスト教への皮肉が鋭い。
    私がしっていた『ファウスト』はこの1部だけだったかも知れない。2部に進む。

  • 筋書きはなんというか特別な感動はありません。

    しかしそれは、この作品を下敷きにした近現代のたくさんの小説や映画などに触れて変に慣れてしまっていたせいなのかもしれません。

  • どうせ私には読めないだろうと完全に敬遠していたが、この度ソクーロフの映画を見てSNSに「つまらない、これがゲーテなのか」と書いたが、「原作の解釈が面白い」という意見があり、読まずして文句を言ってはいけないと反省して手に取った。
    カフカでもお世話になった信頼の池内訳を選択。韻文の原書を散文に置き換えているため、すごく読みやすい。読みやすすぎて超訳なんじゃないかと心配になるほどだ。そして面白い。ゲーテを教養として読んでいるヴェネツィア映画祭の面々がソクーロフを面白がる意味がやっと分かった。(とはいえソクーロフの映画の評価が上がるわけではなかった)
    三浦しをんのベストセラーをけなしてゲーテを褒めるというスノッブさが自分でも嫌になるがまぁしょうがない。

  • 散々オマージュ作品に触れた上でやっと元ネタを読了。手塚治虫の「ネオファウスト」が思ったより原作に準拠していたことに一番驚いた。ファウストとメフィストが名前似すぎでたまに訳わかんなくなる。

  • 池内さんの訳が読みやすくて、身構えて読み始めたが、楽しく読めました。
    ファウストとメフィストの掛け合いが、面白い。

    どうなってしまうんだ、ファウスト。。。第二部へ。

  • 第1回アワヒニビブリオバトル「時」で紹介された本です。
    チャンプ本
    2015.06.10

  • ずっとぶつくさ言うファウストを小馬鹿にしてる、メフィストの態度がかわいい 世が世なら京アニがアニメ化してた

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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