失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ P 1-2)

  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610215

感想・レビュー・書評

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  • 2.9

  •  これは単なる小説というより一つの芸術作品という印象を受けた。とてつもなく凝った心理描写や情景描写のためにとてつもなく長い小説になったんだろうなという印象も受けた。

     名画を鑑賞するような気楽な気持ちで読むのがコツだろう。読書とは友人との会話であるとプルーストも言っている。現実の友人と違い、言葉を選んで会話する必要もないし、分からないところは分からないと言ってつきはなしてもかまわない。

    スワンは大した家柄でもないのに卓越した社交性だけで成金となった。こういう人物は今後も増えそうである。

    ああ、東京の「やりきれない連中」にはうんざりだ。
     
     

  • スワンの恋についてがメイン。
    最初はオデットがスワンに夢中になっていたのに、だんだん逆になり、スワンが恋に恋してイライラして苦しめられることに。
    その様子がずっと続く…そして冷める。

    でも、後に結婚することになる。
    どんな経緯でそうなるんだろう、まだわからない。

    p.156-157
    画家が「うんこでできている」と発したくだりは、笑ってしまった。
    その時の様子が面白い。

  • 面白かった。曖昧で突飛な時間軸の1巻と打って変わり、スワンのオデットへの恋を三人称で語られており、分かりやすく明確で、この恋がどうなるのか、とワクワク読み進められた。
    土地の名・名もジルベルトへの印象な仲良くなる様、想いが彩り豊かに描かれており、とてもまとまっている巻でした。
    なんとか以降も読み続けられそうだ、と安堵しました笑

  • まだ作品全体の構成はわからないのだが、何故ここで「スワンの恋」が語られるのだろうか。物語内の時間は、「私」が生まれる頃であるだけに「私」と直接「時」を共有しているわけでもない。しかも、オデットとの破綻に至るスワンの恋の顛末が、物語全体の中で果たす有機的意味も不明だ。もっとも、これは第3部で半ばは解決されるのだが。ただ、スワンとオデット、そして「私」とジルベルトといった対構造は理解できたとしても、第2部から第3部にかけての空白は今は語られていない。なお、第3部のエンディングはことのほか美しく散文詩のようだ。

  • 愛は時とともに風化してしまうものなのか。
    永遠の恋は存在するものなのか――?

  • 凡例
    はじめに
    第1部 スワンの恋
    第2部 土地の名・名
    訳注
    主な情景の索引
    本巻の主な登場人物
    エッセイ それぞれのプルースト 工藤庸子
    (目次より)

  • ほぼ三人称小説(ごくたまに私が顔を出す)の「スワンの恋」が中心。「土地の名・名」は少年時代の私の回想(第一巻と繋がる。ジルベルトとの話が主)。「スワンの恋」は、約400ページ、スワンさんとオデット嬢の恋の成り行きと、彼らの一挙一動を微に入り細をうがって、描写・分析し、相当程度の普遍性を感じさせるのは本当にたいしたものだと思った。日々こんなふうに観察したり考えたりして過ごしていたプルースト氏は頭の中は大忙しだったのだろう。問題は、// オデットは、はじめて片眼鏡をかけたスワンを見たときに、とび上がって喜んだ。「男の人の場合、これ、文句なくシックよ! こうやってると、あなた、とても素敵だわ! ほんとのジェントルマンみたい。ないのは肩書きだけね!」と彼女は、いくぶん残念そうにつけ加えた。彼はこんなオデットが好きだった。// という、極めてどっちもどっちな感じのスワンさんとオデット嬢に対して個人的に共感も反感も持てず、あまり物語に乗れなかったこと…。//そしてスワンは、悲しみが消え、それと同時に自分の道徳水準が低下するやいなや、たちまち間歇的にあらわれるいつもの下卑た口調で、内心にこう叫んだ。「まったく俺ときては、大切な人生の数年を無駄にしちまった、死のうとさえ思い、あんな女を相手に一番大きな恋愛をしてしまった。俺の気に入らない女、俺の趣味(ジャンル)でない女だというのに!」//という色ボケが覚醒したラストには無性に気が抜けた。でも多分娘のジルベルトの登場には必要な前置きだったのだろう。第三巻に期待。

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