失われた時を求めて 7 第四篇 ソドムとゴモラ 1 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ P 1-7)
- 集英社 (2006年10月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087610260
作品紹介・あらすじ
シャルリュス男爵と仕立屋ジュピヤンの出会いをきっかけに、同性愛(ソドムの世界)の主題がくっきりと姿をあらわす(第四篇1)。ゲルマント大公夫妻のサロンでの、ソドムの男たちの描写とドレーフュス事件の影。章末の一節「心の間歇」では、祖母を巡る過去が突然に蘇る(第四篇2第一章)。アンベルチーヌとの交際の深まり、そして彼女と女友だちの関係への疑惑。ここから、ゴモラすなわちレズビアンの世界が、徐々に始まってゆく(第四篇2第二章)。
感想・レビュー・書評
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第1巻から自明なのだが、こんなところまで読み進めてきてあらためて思う。「私」はアルベルチーヌについて語る場面で次のように言うのだ「それがこのときすでに始まっていた」。そして、そのしばらく後には「もうこの世に存在しないアルベルチーヌ」という表現が現れる。「私」が、これを「書いている」現在時とはいつなのだろう。そして、もう1つの疑問は、この巻で語られるホモセクシュアル(ソドム)とレスビアニズム(ゴモラ)を対岸視し、ストレート(ヘテロ)の恋愛に耽る「私」の存在とはプルースト自身にとって何なのだろうということだ。
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3.3
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「失われた時を求めて」完読マラソンは折り返し地点に到達した。ここまで1か月半。完読するには3か月ほどかかりそうだ。
第4篇はソドムとゴモラということで、同性愛がテーマだ。ソドムとゴモラは有名な都市だが、なぜ滅ぼされたのかはよく知られていない。ソドムとゴモラの住民が同性愛者の集まりで淫らな行為にふけっていたため、天罰を受けたということらしい。そんなわけで、同性愛者が白い目で見られる理由も理解できた。私は同性愛者に対する差別感情は全くないが、こういう人たちを嫌う心理は理解できた。また同性愛者の心の葛藤なんかも詳しく描写されていた。
相変わらず、不毛な社交界の内幕についてしつこい描写が見受けられるが、ゲルマント夫人の人気の陰り、オデット、ヴェルデュラン夫人の人気上昇があって、このあたりも面白くなってきた。 -
腐女子なので最初のシャルリュス氏とチョッキ職人とのソドムな描写がとても萌えました‥‥悔しい。美しい文章。
唐突に挿入される「心の間歇」であんなにあっさりしていた祖母の死を突然急に本当に悼む主人公。そうだ、人の死ってそういうことがある。その場では実感できなくても、あるとき本当に気づくことになるのだ。その人の永久な不在に。夢の中で不明瞭な文だけれど、心を描くときにはそういう世界の方がより深くなれるのかなと思いました。
アルベチーヌのゴモラの世界が徐々徐々見えてくる‥‥
ところで、これを読みながらちょっとやっぱり長いなあと他の小説に手を出してたんですが、この文読むくらいなら「失われた時を求めて」読みたいな、と思うことが結構あって、なんか知らずの内にプルーストの手の内に落ちちゃってた気分です笑さすが世界の名著。 -
凡例
はじめに
Ⅰ
Ⅱ
第1章
心の間歇
第2章
訳注
主な情景の索引
本巻の主な登場人物
エッセイ 過激にして明晰 三木卓
(目次より)