あのこは貴族

著者 :
  • 集英社
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  • / ISBN・EAN: 9784087710175

作品紹介・あらすじ

東京生まれのお嬢様・華子と、地方生まれのOL・美紀。出会うはずのなかった女二人が同じ男をきっかけに巡り合って──。東京の「上流階級」を舞台に、結婚の葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 東京の人
    狭い世界
    アフタヌーンティー


    男だ女だと
    括る世の中ではなくなってきてるけど、
    うん、
    やはり女性ってしなやかだ

    超箱入り娘の華子さんが
    覚醒したのちの世界を
    もう少し読みたかった

    読んで元気が出る1冊です
    図書館本

  • ものすごく良かった!
    生まれも育ちも東京のお嬢様の華子と、難関大学に受かり地方から上京してき美紀。華子と同じく生まれも育ちも東京のおぼっちゃまの幸一郎との三角関係。
    本の題名から、華子や幸一郎をこき下ろす、あるいは美紀の諦め、のようなお話かと思って読み始めたけどそんな単純な物語じゃない。
    確かに華子も幸一郎も由緒正しい家に生まれ、限られた人間関係の中で行動し部外者を受け付けない‥‥まったくもって貴族のようである。しかし、
    「そこに安住する人たちの狭すぎる行動範囲と行動様式」「驚くほど保守的な思考。飛び交う噂話」「同じ土地に人が棲みつくことで生まれる、どうしようもない閉塞感と、まったりした居心地の良さ」「その場所が田舎か都会かの違いなだけで、根本的には同じことなのかもしれない」
    そして、部外者であることは実はなんて自由なことなのか。

    〜他人は都合よく変わったりしない。でも、自分は自分の意志で変えることができる〜

    部外者であることは孤独ではなく自由!考え方が変わるだけで毎日が違ってくる、そんな清々しいラストでした。

    • こっとんさん
      衣都さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!
      衣都さん読み終わったばかり‥‥そのはずです。
      ブク友さんのたけさん(たけさん、勝手に...
      衣都さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!
      衣都さん読み終わったばかり‥‥そのはずです。
      ブク友さんのたけさん(たけさん、勝手にお名前出させてもらってます汗)のレビューを読んで『読みたい』に登録し衣都さんのレビューを読んで図書館に予約しましたから!
      衣都さんのおっしゃる通り、ドロドロした作品かと思わせておいて、まさかの爽快な読後感ですよね!
      私の中でかなりの高得点作品です!
      これからも色々な本を教えてくださいね!
      よろしくお願いします。
      2021/06/01
    • たけさん
      こっとんさん、おはようございます!
      「あのこは貴族」清々しいラストですよね。

      僕のレビューで「読みたい」登録されたとのことで、とても...
      こっとんさん、おはようございます!
      「あのこは貴族」清々しいラストですよね。

      僕のレビューで「読みたい」登録されたとのことで、とても光栄です。
      ブクログで誰かのレビュー読んで、読書の世界が広がる、というのがとても楽しいですよね。

      僕もコットンさんのレビュー、注目してます。
      これからもよろしくお願いします!
      2021/06/01
    • 衣紅*海外在住さん
      わあ!そうなんですね!
      それはわたしも光栄です(*^^*)
      こちらこそこれからもよろしくお願いします♪
      わあ!そうなんですね!
      それはわたしも光栄です(*^^*)
      こちらこそこれからもよろしくお願いします♪
      2021/06/01
  • 面白かった、
    自立が一番大事なんだ。
    第一章  東京
    第二章  外部
    第三章  邂逅
    終章   一年後

    一章と二章では趣が違う
    榛原華子ーよくわかる。というのも判で押したようなお嬢様
    何故なら福岡ではあるが行くつもりなかったのだけどよんどころなく幼稚園から高校までのいわゆるお嬢様学校に通ったため、ごろごろこの手のお嬢様ばかりだった。容姿端麗、出自も生え抜き
    おっとりして、やはり育ち、「いろんな人がいるのも事実だが」
    書かれてることに納得。

    二章の外部というのもわかりすぎるくらい
    幼稚園、小学校から中学、高校といる中に
    高校から入るとやはり外部
    疎外感半端ない。
    それにお嬢でもないし
    しかし観察はよくできたし〜ここも納得。

    やはり自分の考え、行動していくときに
    大地に根ざして人は生きていく
    後半は華子に拍手喝采。「よかった華子さん。」

    セレブの中でもセレブだけの狭さ
    東京は東京だけでの狭さ
    地方は地方だけの狭さ

    そうどこにいても狭い広いは関係ない
    所詮生き方。
    こんなこと言うのおかしいが
    山内マリコ、よくわかってらっしゃる
    (当たり前、作者なんだし』
    まだまだ他の本をよんてみたい。

    青木幸一郎の描き方、うまい
    もちろん華子も。
    登場人物いきいき描かれてる。

    「普通だろ」他人から見れば特別ハイソであっても
    それに比較するものを知らなければ
    それは全部普通。
    本文よりー「でもまあ普通って感覚は人それぞれだから」ー
    確かに。

  • 東京生まれ、東京育ちのお嬢様榛原華子と、地方から大学入学を機に上京した時岡美紀…。
    華子は与えられるものをそのまま享受しこれまで生きてきて、華子と同じ上流階級の幸一郎と結婚することになる…。一方、美紀は経済的な理由もあり大学を中退したがそれでも地元には帰らず東京にすがりつくように生き、そんな中、大学で一時一緒だった幸一郎と再会しそこから付き合うようになっていた…。

    この2人がこの先どうなるのか…気になって一気読みしました!どちらかといえば、美紀の方に共感を覚えました。私もいったんは田舎を離れ東京で暮らしたこともあるからかな…でも美紀と違うのは、さっさと地元に引き上げてきたことかな(^^;)

    この作品の読みどころは、華子と美紀が清々しいほどにその人生観を変えられたことかな~って思います!ふたりの友達もいい!!やっぱ、女の方が柔軟性があっていいんじゃない?そんな風に感じながら楽しい読書時間を持てました。

  • はじめての山内マリコさん。
    読みやすい文体で、共感しながらすらすら読めた。

    東京出身の「上流階級」のなかで育った華子と
    田舎から上京してきた美紀の話。
    最初はタイプの正反対な女性が、同じ男性を巡ってばっちばちに戦う話だと思ってた。笑
    けどそうじゃなく、むしろ同じ女性として、同志として、語り合う話だった。
    『本屋さんのダイアナ』(柚木麻子著)みたいな、違う環境で育った2人の女性の友情が好きな人は好きだと思う。ちょっとテイストは違うけれど。

    婚活に焦り、だけど男は自分と同等の「階級」の人がいいとじっくり品定めする華子の気持ちにも共感したし
    田舎特有の「地元愛」や社会の狭さ、閉塞感に心底呆れて上京し、苦労しながらもいろんな人に出会って強くなる美紀にも共感した。

    私は美紀のような「外部側」の人間で、だけど東京なんて怖くて行きたくないしましてや住むなんて論外(笑)と思ってきた。
    東京出身の人って洗練されていて、もちろん裕福で、田舎とは比べ物にならないくらいいろんな人にまみれて、いろんな世界を知っているものだとばかり思っていた。

    だけど田舎の人も東京(のごく一部)の人も同じなんだなと。
    お互い自分の「テリトリー」の中だけにいないで、自分のいる狭い世界から抜け出して、広い世界を見ることは自分自身のために大切なんだなと思った。
    今はコロナで好きに動けないけど、いろんな場所に行って、いろんな人と積極的に知り合いたいなと思わされた。

    爽やかな読後感だった。特に華子、よかった。
    映画も見てみたいな。こちらは、上映されないほどの田舎なのだけど。笑

  • よかった!すごくよかった!

    私も上京組なので、東京に憧れる気持ち、東京に出たらすべて解決するかのような夢見る思考が手に取るように分かる。
    そして、夢見ていた「東京」はどこにもなくて、東京に憧れる人たちによって作られる架空の「トーキョー」だと気付くところ、東京によってひどく傷つくこともあるところ、自分と階層が違うところにいる東京人を前にすると、自分がひどく地味で平凡で田舎者に感じることなど、時岡美紀と一緒に追体験するかのようだった。

    東京も田舎も実は同じで、お金持ちも田舎者も、みんな狭い世界で暮らしているだけなんだというのが目から鱗だった。
    あまりに東京を特別視していたことに、田舎を出てから20年以上経ってから気づいた。
    でもやっぱり、「トーキョー」が好きだし、引き続き東京で暮らしたいと思ってしまう。

    後半の美紀が熱く語っていたけど、女同士を分断させたり、結婚や家庭などの価値観に縛り付けたり、そういうのってやっぱり、男なんだ?!
    あーそうか、そうか。来世は男に産まれよう。

  • 東京しか知らない生粋のお嬢様の華子と、田舎から上京して東京を自力でサバイブする美紀。二人が引き合わされたことにより、双方視野が広がり、自己理解が深まる。それをきっかけとして、自分の人生を自分の元に手繰り寄せ自由を手に入れる様は爽快で清々しく、楽しい読書だった。

    シスターフッドという概念を理解してから、安易に男を取り合って女がいがみ合うという描写の物語を見ると興醒めするようになってしまった。冷静に自己の体験を振り返ると、女性同士でいがみ合うよりも連帯して助け合ってきた体験の方が多いのに、女性同士がいがみ合う物語が世の中に氾濫しているのは何でなんだろう。ライフステージ・雇用形態・階級が違っても女性同士が連帯するように促す物語がこれからも存在感を持って在ってほしいな。

    少し寂しく感じたのは、対照的な華子と美紀の対比の中にも、どちらも「地元」が存在していて、その性質は東京であっても地方であっても変わらないという共感が描かれていること。華子的な友人も美紀的な友人もいるので言わんとすることは理解しつつ、転勤族の一家に生まれ地元がない私は自分の根無し草具合が際立って寂しく感じた。

  • 結局、東京も1つの町に過ぎなく、人種は東京でも田舎でも、野心があって外向きに頑張るか、コンサバティブなタイプかの2種類しかないのかも。
    どちらを目指すのかは、自分次第。
    登場人物の関係性が面白い物語。

  • ジェーン・スーさんの
    「私がオバさんになったよ」で
    著者の山内マリコさんと対談されていて、
    こちらの本の話題がよく出ていて気になったので手に取った。
     
    慶応幼稚舎から大学に進学し、
    一般企業に就職した「華子」が、
    結婚を焦るがゆえに恋人に振られ、
    婚活に勤しむもうまくいかず、
    突然現れた、
    地元の名士の家系で、
    将来は政治家への道がほぼ約束されている
    表向きには「超優良物件」の男性幸一郎と結婚する、という
    一見幸せな物語。
     
    しかしその裏には
    恋人ではないが長年都合のいい存在の女性(美紀)が。
     
    美紀は地方から大学受験して慶応に入学し、
    東京と地方、上流階級と中流階級など、
    日常のあらゆる場面で「壁」を目にし、
    その階層のトップともいえるところにいる幸一郎と
    都合の良い関係を続けることで、
    違う世界とつながる感覚を楽しんでいた。
     
    ドロドロした恋愛ものでは決してなく、
    「東京」「地方」
    「上流」「中流」
    「男性」「女性」
    「正規雇用」「非正規雇用」
    「会社員」「事業主」など、
    気づかないうちにいくつかのグループに属し、
    そのグループでの常識が「当たり前」だと思ってしまう人間の性。
     
    知っている世界にいることは安全だけれども、
    「選択する」自由がなくなりがちであること。
     
    価値観が固まって、
    異質なものを無意識に排除しがちであることなど
    様々なメッセージを受け取った。
     
    自分は地方出身者で、
    内部生の多い女子大にいたので、
    美紀について書かれたところが
    一番共感できたかな。
     
    女性を記号のように捉え、
    本気で向き合おうとしない幸一郎も
    側から見たらものすごく恵まれているけれども、
    生まれた時から運命が決められていて、
    そこから外れることの許されない絶望感を考えると、
    悪者とも思えないし同情さえしてしまう。
    絶対にその場所に行きたいとも思わないけれど。
     
    最近話題になった某お笑い事務所の会見で、
    「周りに嘘をつくのが本当に辛かった」
    とある芸人さんが言っていたけれど、
    自分の言いたいことが言えて、
    やりたいことをやれることが、
    人間らしく生きるためには欠かせないんだな、
    と改めて思った。
     
    「多様性を大切にしよう」などという
    「わかった、でもどうしたら?」という
    漠然としたメッセージを何百回聞くよりも、
    自分と違う世界にも目を向けよう、
    という気持ちになる一冊。
     
    最後のタクシー運転手の
    「田舎はねぇ、
    どこもいいところなんだけど、
    人の流れが淀んでるから。
     
    人の流れが淀むと、
    なんでもダメね。
     
    お金も回らなくなるし、
    どんどん内向きになってちっちゃいことで揉めたりね。
     
    だから外から人に来てもらって、
    風通しよくしなくちゃダメなんだよ」
    というセリフ。
     
    田舎に限らず
    どのコミュニティにも言えることだなぁ、と。
     
    集団に問題が発生する時は
    人の流れが淀んでいる時なのかもしれないな。
     
    それは集団だけでなく個人でも。
     
    一つの考えに固執しすぎて
    頑固になっている時とか。
     
    とはいえ
    説教臭さなどは一切なく、
    小説として普通にと言ったら失礼ですが
    面白いです。
     
    婚活や結婚生活でモヤモヤしている人は
    特にオススメ。

  • 面白かった!
    東京出身で、今は地方に住んでいて、日々、東京と地方の違いを感じている私には面白いテーマだった。

    私は東京出身で、キリスト教の女子校に小中高と通っていたので、周りは華子みたいな友達や同級生が沢山いたなと思った。(私の家は華子ほどお金持ちじゃない)
    小1の時に、「お母様」「お父様」「お姉ちゃま」「おばあちゃま」とか呼んでる同級生にカルチャーショックを受けたのを今でも覚えている。
    「おばあちゃま」と呼んでることに突っ込んで良いのか一瞬悩んだ美紀に共感した。

    あと、クリスマスにミサに行くのが普通と思ってる華子はさすがに世間知らずすぎるなと思った。
    さすがに、周りの同級生も自分達が日本において特殊な環境で育ったことは、高校もしくは大学を卒業すれば自覚するようになると思う。

    華子は2017年で30歳だから、私とほぼ同世代なのに、華子自身も周りの家族も考え方が古すぎて、ひと世代くらい前の話かと錯覚しそうだった。
    どちらかといえば相楽さんみたいな、海外にも気軽に行っちゃおうみたいな人が私の周りには多い。
    でも、妻として旦那さんに尽くそうみたいな古すぎる考えの人はあまりいないけど、それ以外は華子の要素を持った友達はいるなと思う。
    私は相楽さんの、「ドイツが私にとっての上京」っていうのが共感した。

    ただ、青木幸一郎みたいに、そこまで上流階級じゃなくても、親に引かれたレールを生きている人はいまだにいるなぁと思う。私はいくらお金があってもそんな人生無理だなと思う。

    第一章の、華子の婚活の様子は、自分の女子校時代のお嬢様の友達が婚活してる様子と結構似てて、面白かった。

    あと、私は今地方に住んでいて、地元の人たちで、元ヤンのおじさんや、ヤンキーっぽい若者がイキってるのを見ると、なんでこんな狭い世界でイキってんだろうって思っていたけれど、東京から出ない東京出身の人達も、狭い世界だけで生きていることは同じだなということに改めて気付かされた。

    あと、私は美紀が好きって言ってた、うるさくてみんなお洒落してくる東京のお店は苦手だなと思った。なるほど、ああいうお店は東京に憧れる人達が作り上げだ理想の東京なんだと思った。

    それと、良い夫婦生活は、自分を出して対等に話すべき、っていう考え方は、本当にそうだと思う。
    華子が自分の世界を広げて、対等に幸一郎と話すことができて良かったなと、清々しい気持ちになった。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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