- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087710458
作品紹介・あらすじ
優れた歌人として、また藤原道長から「浮かれ女」と呼ばれ、恋多き女として語られる和泉式部。恋をしたのは次々と恋を失ったから、不運な出来事が続いたから……。和泉式部の実像に迫る、歴史小説。
感想・レビュー・書評
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背景の物語が提示されると、和歌の味わいも深くなる。恋愛小説と思って読んでいたら、藤原道長の治世で政治に翻弄された女性をめぐるミステリー小説の要素もあった。
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時代小説あまり読まないのですが、何かで紹介されていて。諸田玲子さんの著書も読んでみたくて。
恋多き女性というイメージがあった和泉式部ですが、そうせざるを得なかった状況に追い込まれてという感じ。でもその度に情熱的に思い合っていて、女性として幸せな事だと思う。
久しぶりに平安時代にひたった。むかしあさきゆめみし読んだ頃を思い出した。 -
和泉式部、百人一首の和歌を知っている程度でした。
この本のお陰で、立体的な和泉式部像を掴むことができました。
平安時代は、平安なのにドス黒い! -
第10回 親鸞賞 受賞作
比類なき和歌の才能で王朝の宮廷に名を馳せながら、藤原道長からは「浮かれ女」、紫式部からは「けしからぬかたこそあれ」などと揶揄され、派手好みの恋多き女性というイメージが強い和泉式部。彼女の素顔はいかなるものだったのか。和泉式部の養父である大江匡衡と赤染衛門の娘・江侍従は式部に魅せられ、「和泉式部物語」からあえて省かれてしまった真実を探ろうと奔走するが…。
※親鸞聖人の遺徳をしのび顕彰するために、またこれからの日本の文化と文学の振興に寄与するために、本願寺維持財団(当時:現一般財団法人本願寺文化興隆財団)が2000年に創設。日本の宗教風土とそこに根差した精神文化に基づく、人間の深い希求の心を感じ取ることの出来る優れた作品に贈呈している。
同財団では、親鸞賞(フィクション対象)と蓮如賞(ノンフィクション対象)を隔年で開催している。 -
和泉式部は歌詠みの職人、「天皇」と同じ。いとも容易く歌を詠みます。ただその権力の側におさまりきらないところがあって、はみ出します。そこが面白い。諸田さんにしては珍しく、少し凝った構成のサスペンス仕立て、最後は哀しい結末だけれど読後は満足。馴染みの名前が次から次にあらわれて、これも楽しい。
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和泉式部が亡くなったことを知った彼女に縁のある人々が恋多き和泉式部が本当は誰を一番愛していたのかと語り合う導入から始まり、和泉式部自身が語る半生と赤染衛門の娘江侍従が和泉式部の人生をより知ろうと縁の人々から情報を集める物語が交互に描かれ、やがて和泉式部の死におけるミステリーとなるという展開は面白かったが、和泉式部の恋多き部分に酔いしれるとしたら、まだ瀬戸内寂聴さんが出家される前に書かれた「煩悩夢幻」の方が好き。