- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711141
感想・レビュー・書評
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久しぶりの桜庭一樹はやはりとても面白かったです。ひとつひとつの物語が生温かでぬめぬめとした甘さでもって絡みついてくる。甘い気持ち悪さ。
「なんかいやだなぁ、この人たち、なんかすごく変だし気持ち悪いしいやだいやだ」と思っているはずなのに、なんとも離れがたい。魅力的、とはちがう、なんでしょう、この引っ張られるような飲み込まれるようないやさは。
本当はものすごく純粋でけなげな何かを必死に守ろうとして、化け物じみた狂気をまとっているような。どこかでこの破滅を求める狂気に同化しようとしている自分もまた気持ち悪いヤツなのかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議な世界感。あまり好きにはなれないけど、何故か引き込まれて読んでしまった。歪んだ社会、歪んだ気持ち、絶望の先にある終着点を知りたかったのかもしれない。
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とても久しぶりに桜庭さんの本を拝読。
やはり私はこの方が書く思春期の少年少女が好きだなぁと思いました。
大人でも、心が思春期に置き去りのままの人も出てきてましたね。
それもひっくるめて、痛くて鋭くて、でも共感もできて。
読後感が「ヒリヒリする」というのは、桜庭さんならではな気がします。
どれも読んだあとザワリとする短編たちでした。 -
なんだろう?(--;)ドロドロした嫌~なモノを甘~いモノや可愛いモノで包んだような感じ?(;´д`)でもそれが癖になって桜庭一樹さんの作品は止められない!(^^;)
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「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」の後日譚が入っているという話だったもののどれが後日談だったのか(汗)
とても桜庭さんらしい短編集だと思います。
女の業というか、刹那的でかわいくてわがままで夢みたいにふわふわしていたい、けれど現実に食い殺されて蝕まれていく感じとか。
なんか切なくなるんですよね。 -
7編からなる短編集で、最初と最後のみ連作。
久しく読んでいなかった桜庭一樹だが、父と娘の歪んだ愛憎劇を初め、軽妙な語り口ながら淡々と狂っていく恐ろしさは顕在。
どの作品も衝撃的、絶望的な出来事であるにもかかわらず、深刻ぶらず、ときにはコミカルに描きつつも哀感を漂わせる。
強烈な短編にひかれて一気に読んだが、一作一作が重く、読後はかなりの疲弊感があった。 -
みんなの愛玩動物、由美子ちゃんセンセと一緒にわたしは退屈な放課後から逃げ出した-。表題作のほか、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の後日談「暴君」「脂肪遊戯」など全7編を収録。
「じごくゆきっ」や「脂肪遊戯」など10年以上前に書かれたものから2014年の作品までバラエティに富んだ短編集。過度に感傷的な文章の中にハッとする表現がある初期の作品の魅力は再確認できるのだけれど、1冊の短編集としての魅力はどうか?
(C) -
年下のたよりない女性に恋に落ちる中年男性。とてもリアルで面白い。「ビザ―ル」
逆に「A」はSF的だが、使命を全うした老女と最期をみとる五月雨に心うたれた。 -
読み始めてまだ数冊ですが、桜庭一樹さんの小説の世界観がとても好きで私もじごくゆきっまっしぐらです。
この本は7話からの短編集なので読みやすかったです。
特に最後の2話が好きです。
『ゴッドレス』
美しく奔放な父を持ちその関係に苦しみ続ける女性が主人公です。親と子の切り離せない歪んだ愛に惹き込まれました。
『脂肪遊戯』
『暴君』からの続編で、砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けないで描かれてたような、あがきながら戦う女の子の描写に胸がきゅっと苦しくなりました。