意識のリボン

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711288

感想・レビュー・書評

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  • 序盤は、あれ?これってエッセイ本だっけ?と思うような、実体験風とくにオチもない作品がいくつか続き、「履歴のない女」ですら、一瞬エッセイとして読みかけた。たぶん「こたつのUFO」あたりがフックになっていて、作家が作品と本人を混同されることについての述懐など、ずっと意識の底に残っているので、そのあともずっと作者の実体験とそこから膨らまされた創作部分について創造しながら読まされるはめになってしまったのだと思う。(それも計算?)

    ある意味実験的ともいえる作品が多かったのかも。「怒りの漂白剤」はあるなら私も欲しい。「声のない誰か」で急にホラー。「意識のリボン」は胎内記憶や臨死体験の話で、はっきり創作とわかっていてもとりとめなく、どう受け止めていいか戸惑った。

    ※収録
    岩盤浴にて/こたつのUFO/ベッドの上の手紙/履歴の無い女/履歴の無い妹/怒りの漂白剤/声の無い誰か/意識のリボン

  • 建前と欺瞞渦巻く世の中にあって提示されたものをそのまま鵜呑みにするのはあまりに愚か。大人であれば、これまで歩んできた経験を活かして裏道を行くのもあり。他方、見えない分からない出来事まで邪推していると、選択肢を狭めることにもなる。色々と疑いたいのを一旦こらえて細かい文句をつけずに勇気をもって受け入れてみるのも大人だからこそできる素直さ。肩の力をすっと抜いて、世の中の身近な平和を喜びながら、色んな物を見て聞いて、できる限りたくさんの経験をする。すいすいと歩いていく。これが大人の賢明な生き方。

  • 綿矢りさは「蹴りたい背中」が好きで、その雰囲気を感じられる話もあった。表題作はそんなにハマらなかったけど。

  • 短編集だった。
    はじめの岩盤浴の話で出てくるパワーバランスがおかしい二人組。あーいるいる、って思いながら読んだ。聞き手が何も話さないのって、話を聞いてあげてて優しいね感出てるけど、ほんとは優しくなくて、相手に自分の情報を与えたくないだけじゃないかってモヤモヤしてたからなんかそれを言語化してくれてスッキリした。

    1番好きな話は、『声のない誰か』っていう、デマだけど不審者情報が広がっていく話。
    ラストの声のない誰かのサインを感じ取ることで事件を未然に防ぐしかないってのが良かった。小さな事件でも大きな事件にならないように、、。

    最後の、題名にもなってる意識のリボンは死んでしまった時の魂になる感じとか?よく書かれていた。本当にこうだったら良いなぁ

  • どの話も考えさせられる。
    自分だけが悩んでいると思いがちだが、同じように悩んでいる人は腐るほどいる。そう思うと安心するような、なんだか切ないような。

  • 様々なシチュエーションでの女性の視線から見える世界を描いた短編集。
    1作1作に重みはないけれど、ちょっとしたフレーズに共感出来る作品。
    一番のお気に入りは「怒りの漂白剤」。自分もこの作品の主人公のように感情をコントロール出来ない時期があって、それを過ぎて、妥協出来るような人間になったんだなぁ、と物凄く共感。
    短い作品の中に考えさせられる部分も多く、「絶対読みたい!」と言う作品ではないけど、「読んで良かった」と思える作品。

  • すごいなこの人は、、、
    息継ぎせずに捲し立てるみたいな文章に感じてポルノグラフィティの歌詞みたいだなと思った。
    言葉選びが独特で不思議。

  • タイトルと同じ「意識のリボン」が一番よかった。
    死後の世界の本は色々読んだけど、だいたい同じ。
    家族のふれあいがとても温かいストーリーだった。

  • 最後のタイトルにもなっている「意識のリボン」が良かった
    死んだらこんな感じなのかな〜とぼんやり不思議な気持ち。

    「履歴のない妹」も心に残る。
    確かにどんなに魅力的な写真でも、裸体は残しておけない。
    でも、そんな危うい写真だからこそ人の心を揺さぶるのかなと考えたりした

  • 時間は有限だ。体力も気力も野望も十分にあってこそ挑戦できる、意識のない時間はもっと贅沢だ。寝るのも大切。

著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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