楊令伝 4 雷霆の章

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  • 集英社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712124

感想・レビュー・書評

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  • 北方謙三『大水滸伝シリーズ』には子午山という特別な場所がある(子午山自体は実在する)

    都を追われた元禁軍武術師範の王進がその母である王母と隠棲する人里離れた場所である

    そこには心に問題を抱えた好漢たちが預けられ、王進と王母様、時には同時に預けられた者たちと暮らす中で、王進の厳しくも凛とした強さと、王母様に厳しさの中にある深い優しさに触れ、人として成長し「新たな命」を与えられ、闘いの中に再び旅立って行く

    それは武松、史進、鮑旭、馬麟、楊令、張平、花飛麟、ひまわりめろんの八人の漢たちだ(ひとり思いっきりひらがな混じってますけど!)

    そして王母様が亡くなられた

    馬麟は言った「この八人は終生の兄弟だと」

    鮑旭は地に自分の名を書き泣いた
    書き方は王母様が教えてくれたのだ

    張平が王進の言葉を伝える「母は何人もの息子に恵まれて、幸福な生涯だった」と

    鮑旭はひとりひとりの心の中に王母様は生きていると考えた

    大事なものをなくしたとは、ひとりも思っていない
    王母様は心の中にその大きさで、その強さで生き続けるからだ

    もちろん王母様は北方水滸伝を愛する読者たちの中でも生き続ける
    そして王母様が心の中に生き続ける限り自分も八人目の兄弟と思っていいのだ
    言うまでもなく兄妹もありだ

    そして最も重要なことは、さすがひまわりめろんさんいいこと言うってことだ
    しびれるね

    • 1Q84O1さん
      (・д・)チッ
      (・д・)チッ
      2024/01/21
    • kuma0504さん
      くま入りまーす!
      え?ひまわりめろん?誰それ?
      くま入りまーす!
      え?ひまわりめろん?誰それ?
      2024/01/21
    • ひまわりめろんさん
      黒騎兵です
      次シリーズの主人公です 『閑滅梠伝』ですて特攻服の背中の刺繍か!
      黒騎兵です
      次シリーズの主人公です 『閑滅梠伝』ですて特攻服の背中の刺繍か!
      2024/01/21
  • やはり北方ワールドに引き込まれた!前にのめり込むように本を貪り、そして号泣。男ならと言いたいのかもしれないが女性でも共感は得られそうな気がする。日本にも多くの中国人がいてこの本を手にとっていると思う。どんな思いで見ているんだろうか?

    誰もいじれない禁断の書とも言える「水滸伝」を北方流に解釈して書き上げて続編

    水滸伝のエンディングで梁山泊にこもる全ての人の命ともいえよう「替天行道」の旗を宋江から渡された青面獣楊志の子、楊令。

    序盤戦はいくつもの愛を受け育った楊令が幻王と名を変え、水滸伝とは異なる人格を見せる。生き残った史進、呼延灼、張清らが残存勢力を維持して楊令を首領として迎えると同時に再建を果たす!ここからが悲劇の連続だった。

    水滸伝の中で地方軍の将から梁山泊入りした呼延灼将軍。梁山泊では常に本隊を率い全面の敵と向かい合っていた楊令伝においても役割は同じなのだが、老いに加え息子の凌が梁山泊入りをしていた禁軍の童貫将軍との決戦の折に宿敵趙安将軍を打ち破るが、一安心もつかの間で息子の凌の背後へ5000の騎馬隊が襲いかかろうとしていた。

    初めて父が息子の背中を守った。息子は父が背中を守ってくれてるとは知らずに…「行くな!」読みながら呟いていた。呼延灼はただ1騎!5000の騎馬隊を止め散っていった。凌に双鞭をあずけて……涙止まんないから!これを書こうと頭の中で考えているだけでもこのシーンは泣けてくる。

    激しい戦の中で父親としての優しい顔を見せた張清。

    前作で片足を失うも片足での騎乗で禁軍を悩ませた馬麟。

    元盗人上がりの鮑旭は部下の損害が最も少ないとされる名将であったが、呼延灼と同じように部下を守り仁王立ちの末に散っていく。

    呉用に公孫勝や戴宗などは憎まれ役をかいながらも若者を育てるそんな役回りの末にやはり身を挺していく。

    張橫の息子で楊令を影から支える青騎兵の張平や、弓の名人であった花栄の息子の花飛麟

    この幾多の勇士のひとりひとりの生き様を描ききった作品に言葉はいらない。ただ読むたびに思い出すたびに涙がこぼれてくる。エンディングで楊令が死に、ひとり残された史進…彼の苦悩は岳飛伝に続く……

    生涯でこれだけ泣けた小説はきっとあとにも先にもないことだろう!

  • 遼崩壊後の燕雲十六州を巡る攻防が面白い。新しい国を夢見る遼の3将軍と宋の超安のぶつかりあいが良かった。戦闘シーンがリアルで、男たちの息づかいが聞こえてきそうだ。南も童貫が泥沼の戦いを繰り広げる。その間、梁山泊は力をのばす。

  • 王母が亡くなってから、子午山で生まれなおした6人が語らうシーンが好き。
    馬麟の「ここにいる六人と、武松を入れた七人は、終生の兄弟ではないか」
    には感動。

  • 江南における方臘の乱が激化し、北方でも燕雲十六州の回復が急務になった宋は、ついに禁軍を二分し、二正面作戦へ。
    北方へ向った趙安は、新独立国「燕」の建国を目指す耶律披機、蕭珪材、耶律大石ら旧遼軍の名将らとの激戦を展開。
    南方へ向った禁軍元帥・童貫は喫菜事魔の100万信徒らによる「度人」を打ち破るべく、恐るべき殺戮を繰り広げる。
    その間隙を衝いて、楊令率いる梁山泊軍も大きく動き出す。

    『楊家将』、『血涙』の流れを汲む名将・蕭珪材が登場!
    さらには中国史上に永遠に名を刻印された売国奴・秦檜も!
    そして梁山泊戦士たちの母ともいうべき、王母様が・・・

    ニン、トン♪

  • ほうろう・・・。残酷なんだけど、呉用に優しくて今の時代ならいい人なんだろうなぁ。


  • 若いメンバーと立会い打ちのめす史進。
    皆の心のつながりを示すシーンが沁みます。
    死んだ仲間を思い出すシーンはどれもよいです。

    王母の死と息子たち。
    急成長する、花飛麟や穆凌の2世達。

    圧巻は、1万頭の馬による連環馬!!


  • 王母様ー!!子午山で過ごした兄弟たちと楊令。そこでは梁山泊頭領の楊令も一人の男。集まって酒を飲む場面が泣ける。

  • やはりおもしろい。いろんな作家のいろんなジャンルの本を読んでいるけど、毎回一気読みできるのはやはり北方謙三の『水滸伝/楊令伝』シリーズ。作者はこの本一冊を 小説すばる への連載にて三ヶ月で書き上げている。スゴイと思う。

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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