- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712889
作品紹介・あらすじ
与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子-近代文学を代表する女性作家たちの足跡を追い、著者はウラジオストクからモスクワ、パリまでの鉄道を完乗。勇敢な女たちのエネルギーに思いを馳せ、現地の人々の声に耳を傾けながら、旧社会主義国の重い歴史を体感する。評伝×鉄道が合体した傑作ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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2021年1月期の展示本です。
最新の所在はOPACを確認してください。
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00291347 -
文学
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姦しい女三人の旅行記と思って読み始めたら、全然違いました。
与謝野晶子は好きでなく、中條百合子のことは知らず、林芙美子はなんとなく知っている程度。
文学的ですが、感動や情緒というよりは評論のよう。
百合子が大名旅行と書いてますが、筆者もなかなか優遇されています。
何度も同じ文がでてくるのは連載を一冊に纏めたからでしょうが、編集していただきたかった。
左巻きな中盤、戦争にふれる後半。あんまり気軽に読める内容ではなかった。 -
与謝野晶子、中條(宮本)百合子、林芙美子、それぞれのシベリア鉄道の旅を辿る旅行記。作者である森まゆみさんを含め、みな、なんと力強く、思い切りのよいことか。
旅行記としても面白く、また3人の女性たちの評伝としても面白い。 -
与謝野晶子や林芙美子、ただ者ではないにしても、あの時代シベリア鉄道で一人旅とは勇気あります。どちらも「男に会いにいく」という目的ゆえでしょうか。本場のボルシチ食べたいです。続けて、本書で引用されていた林芙美子の「下駄で歩いた巴里」も読みたい。
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読んでいる途中も、読後感もとても良かった。与謝野晶子、中條(宮本)百合子、林芙美子の3人はそれぞれにシベリア鉄道でパリ(百合子の目的地はモスクワだったが、パリにも足を伸ばしている)に向かう。その間の、そしてパリでの3人を、それぞれの日記や短歌、小説から追想したエッセイ。作者の森まゆみ自身もシベリア鉄道でパリにたどりつくのだが、これらの3人に寄せる筆者の共感はしみじみと暖かく、彼女たちの人生や感性に寄り添っていく。
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三人とも面白い。この三人をすぐ隣にいる女性のように感じられる、もしくは現代の週刊誌をにぎわしている女性作家のように感じられるのは、著者のおかげだと思う。
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大変面白く、読みごたえのある本でした。
与謝野晶子・宮本百合子・林芙美子という三人の作家がシベリア鉄道に乗って、ロシア・ヨーロッパを旅していますが、その軌跡を辿るように著者が旅をしていきます。
豊富な文学知識と親しみのある文章で語ってゆく紀行。対象となる作家に寄り添う体温を感じる理知的な文章は当該の作家の作品をも読んでみようかと思わせます。
いずれにしても、シベリア鉄道という旅愁を誘う取材対象だけでも惹きつけられる本です。
近代文学がお好きなら是非どうぞ。 -
面白かったです。日本近代文学を代表する3人の女性たちと、著者自身のシベリア鉄道の旅が鉄道の進行と共に進んでいきます。三人の旅行の、それぞれの経緯や時代背景、各地の風景今昔、著者が出会った人々との交歓…と盛りだくさんです。1冊なのに何冊分か読んだような気がします。
与謝野晶子にはふてぶてしいイメージを持っていたのですが、この旅においてはとても不安げな様子が可哀想に思えてきました。現代でもすんなりといかない(と思われる)ロシアの旅行へ、当時の女性たちがよくも果敢に出かけたものだなあと思います。
著者の旅では、具体的な列車での旅模様が面白いです。列車の旅っていいなあ。旅情をかきたてられます。各地に残るソヴィエト時代の名残り、シベリア抑留者、ロマノフ一家、レーニンやスターリン…等々のエピソードも興味深いです。