宵山万華鏡

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713039

感想・レビュー・書評

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  • 「これは世界の外側にある玉だそうです。今夜のわれわれはね,この玉で覗かれた世界の中にいるんです」
    宵山での,不思議な体験。これは,偽祇園祭なのか,現実の祇園祭なのか,もう一つの繰りかえされ続ける祇園祭なのか。複線と複線が絡み合い,虚実ない交ぜで織り上げられる物語は,ふわふわなのにきめ細かく,甘くてどこか寂しくて。
    とても好みでした。祇園祭が楽しみ。京都の伝統的な雰囲気が,不思議な物語を成立させている。東京の祭りでは,この雰囲気は出せない。ちゃきちゃきしていて,好きではあるけど笑

    「焼きトウモロコシや唐揚げ,金魚すくい,くじびき,フランクフルト,たまごせんべい,お面にヌイグルミ。彼女は姉と一緒にそれらの露店を眺めていった。どこまでいっても祭りが続いているようで,まるでお祭りがどんどん増えて,街を飲み込んでしまったようだと彼女はおもった。」
    「・・・なにしろ歴史ある行事だからね,妖怪ぐらい出るよ。お祭り気分で浮かれてはだめだ。」
    「祭りがぼんやりと輝く液体のようにひたひたと広がって,街を呑みこんでしまっている。」
    「恐るべし京都,恐るべし祇園祭,恐るべし宵山。
    素人の俺が,1人でほっつき歩くべきではなかったのだ。」
    「彼女たちは,客席から見るバレエよりも,幕の陰から見るバレエの方が好きであった。それはなんだか神秘的に見えた。いつの日にか,自分たちもああいう風に踊れるようになり,あの光景のン赤へ溶け込んでいるのだとおもうことが,彼女たちをわくわくさせた。」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「甘くてどこか寂しくて。」
      学生の時に、よくブラブラしたのを懐かしく思い出します。
      音色の所為なのか、それとも終わった後にひっそり佇む山鉾の...
      「甘くてどこか寂しくて。」
      学生の時に、よくブラブラしたのを懐かしく思い出します。
      音色の所為なのか、それとも終わった後にひっそり佇む山鉾の所為なのか、、、甘く淋しい。それは天神祭の翌朝の空気感も同じ。祭りの熱気が急激に冷やされて人々の思いだけが残ったような。。。
      2013/05/21
  • 独特の語り口調とは別の、もう一つの森見ワールドである幻想的な描写が全開の作品。祇園祭の宵山を舞台に、一見不可思議ながら実は人為的な出来事と、本当に不思議なモノが入り混じって、幻想的な短編集に仕上がっています。今年は2年ぶりに祇園祭りに行ってみようかな。

  • 森見ワールド!だまされてるんだか真実なんだか、夢なのか現実なのか。何が何だかだけどもそんなところが大好きです。

  • うまい。




    少しずつ話をリンクしてるとか、一日を繰り返すだとか、設定や手法はありきたりなんだけど、それがすごく上手くて、

    と見せかけて…

    っていう。
    本の中の幻想に満ちた宵山がすごく鮮やかで、本物の宵山を今までみたことがなくてよかったと思うくらいでした。

  • 日常から非日常の移り変わりが急展開すぎてついていけなった。

    宵山劇場はとてもテンポがよく、面白かった。
    やっぱり大学生がばたばたしているものを書くのが上手い。
    巻き込む人と、巻き込まれる人がとても魅力的。

    宵山回廊も不気味で良かった。

    最初と最後を読むには、とても想像力が必要。
    あと漢字力。

  • 今年は、絶対祇園祭を見に行こうと思う。
    森見作品のなかで、一番好きかも。

  • 森見本即買い。

    バカ話は好きだが、オカルトな不思議部分にあまり惹かれない。
    いろんな森見カラーが出ているとは思う。

  • 2018.11.8

    なんだか不思議だったなぁ。短編かと思いきや登場人物たちがそれぞれ繋がってて、でもある話で現実的な種明かしをされたと思ったら他の話でやっぱり謎で包み込んでくるから後味は不思議な感じ。だけど、不快な不思議さではなくて、ぼーっとその世界観にまだまだ浸っていたいと思えるような不思議さ。夜にお祭りに行った時に、帰りたくない、ここから抜け出したくないって思うのと同じ感じかも。
    あとがきに「祭りというものは神秘的で、あの異世界に迷い込んだような感覚は私を惹きつける。見物する心構えをして出かけるよりも、日常の延長で何かの拍子に祭りへ迷い込んでしまうのが私の好みである。京都にはそういう祭りが散らばっていた。」ってあって、京都羨ましい!住みたい!って思った。宵山行ってみたいと思ってたけどそれじゃあ日常の延長にはなり得ないから。

  • 「宵山」の1日を繰り返す設定は、四畳半が延々と続いた『四畳半神話体系』を彷彿とさせる。こちらの作品の方が京都の妖しさに溢れ、個人的には四畳半よりも好み。森見作品に欠かせないお馬鹿なことに全力を注ぐ人物も登場し楽しめる。

  • 面白い

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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