- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713268
感想・レビュー・書評
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著者のマーラーへの思い入れの深さを感じました。戦争中に「少年の不思議な角笛」を聞いたことからマーラーに開眼。死に直面して時代であることから、詩と死の深い対話が織りなされている描写は素晴らしいです。音楽の権威者である著者が「マーラーが第9交響曲の名称を避けた」とのアルマ夫人の言葉の伝承について触れているが、それだけマーラーの曲調が死と隣り合わせだったのでしょう。著者がグリーグの「ソルヴェーグの歌」が可憐で北国の清冽さが匂うとして若いころに好きだったというのは意外なことです。
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この御年までこれほどの書を書き続けてこられた頭脳の若々しさには、ひたすら感服するのみ!
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最初の「愛の喜び」だけは、音楽を離れて読める。
音楽評論なのだから当たり前だが、その他は、曲をどれだけ知っているかによって、共感度がかわってくる。そして、曲を知っていれば、詩と音楽の間に深く立ち入って、様々な感情を適切な言葉ですくいとる著者の音楽へ姿勢に感嘆することができる(気がする)。
この巻はマーラーの歌曲が多く扱われていて、私も昔から知っている曲ばかりだが、いかにいい加減にしか聴いてこなかったというのを痛感させられる。(もっとも、そういう聴き方が悪いというわけではない。)
最後の「告別」はもっと音楽をゆっくり語ってほしかった。 -
マーラーについて、しっかり向き合わなければいけないのでは
そんな思いになりました。
早速歌曲を聞きながら、先生の本を再読。
正直幸せな時間です。