- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713350
感想・レビュー・書評
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朝井さんのデビュー作。
朝井さんの作品を初めて読んだのは「星やどりの声」
表現の瑞々しさと、全体の透明感に感動し、朝井さんの作品を追っかけた。
この作品は、やっぱりデビュー作だなぁと思えるような初々しさを感じた。
でも、わずか数年でこんなにも変わるの??と逆に驚いた。
「桐島」がでてこないまま、話が進む。
意外だった。最後には出てくるのかな・・と思った。
高校生のリアルな現実が描かれていて、時代は変わっても悩んでることとか、そんなに変わらないんだな・・と実感した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桐島くんの学校を舞台とした高校生のオムニバス作品。文章がきれいで練られているといった印象受けた。
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そう言えば読んでいなかったと思い、読んでみました
ご存じの通り「桐島」は出てこないけれど、影響を受けた周辺の人たちそれぞれの話です
高校生らしさを出すための、独特の表現を良しとするかは微妙だと思いました
高校の時のルールや誤解を、そのまま社会へ持って行ってしまった人は少なくないと思います
自分で選択し、判断することを嫌う現代っ子の話ですね
この世代には「桐島」のような人間の方が、宇宙人なのでしょう -
有名な話だけど、桐島は出てこない。
もっと言ってしまえば、桐島は部活を辞めるらしいけど、それも物語の本筋ではない。
章立ては6章
菊池宏樹
小泉風太
沢島亜矢
前田涼也
宮部実果
菊池宏樹
桐島に見えて、あるいは映画の影響で前田に見えて、菊池がメインなんだろうなぁ、一応。
同じ高校に通う高校生が、関わり合い、あるいは関わらないままで、それぞれが主人公で進んで行く物語。
届かない思いとか、形のないもやもやとか、押しつぶされそうな羞恥心とか、焦りとか、リアル。
様々なカラーの登場人物が代わる代わる登場して、多彩だし、視点が変わるとはっとすることもある。
個人的には前田の回が好き。
中学まではうまくやれてたのに、とか、いつの間にか「ダサい」側に馴染んで、ぐっと黙ってしまう自分、とか。
でも大好きなことをしているとき、世界はぐっと輝きを増して。
かすみにも、伝えられるような気がする。そんな気持ちにさせてくれるものをちゃんと持ってる。
私の高校生時代は、どちらかと言えば前田タイプだったなー。
実果の話が唐突で、全体の中でがっつり浮いてる感じがする。
話としては好きだけど。
そして、恐らくメインの菊池。
「上」のグループにいながら、なんかいまひとつ納得できなくて。
いつも一緒にいる友人の軽薄な言葉にカチンときたり、彼女の価値観にちょっと引いたり、でも結局、自分もそうなんだって、わかってしまってる。
これが、高校生の間だけなんだとも、知ってしまってる。
ちょっと早熟で、感じやすくて、考えすぎちゃう男子校生。
うん、こういう子いるよなぁ。
斜に構えたイケメンだけかと思いきや、「青春小説」といえばまさにコレ!という王道を一手に引き受けてくれる子。傷つきやすく自分を持て余してる感じ。
たぶん、作者自身の姿を投影してるんだろうなぁ、なんて深読みしつつ。
最後まで読んでみると、桐島が出てこないことも、全く違和感がない。
結局高校生の頃って、友達が部活辞めるとか辞めないとかって、その程度の話題な気がする。
その子がどんなに真剣に取り組んでたとしても、「辞めるんだってさ」「まじかー」みたいな。
話題への返答として驚いてみせるけど、だからといって自分の生活に大きく何か影響するわけでもない。
だから別に、「桐島」に顔があろうとなかろうと関係ない。
作中に名前が出てる子たちもたまたま出てるだけで、本質的には特に変わらない。「自分」と、「今目の前にいる相手」と、「その他大勢」の世界。
ラストが、よくある希望を胸に前へ進もう!って感じじゃなくて、あくまで等身大な感じで終わるのがいい。
若い作者にしか書けない、リアルな作品だったと思います。
だからか、創作小説というよりは、自伝とかブログを読んでいるような気分で読めました。
読み物としてめっちゃ面白いかと言われると首を捻らざるを得ないけど、だからこそその分、斬新な作品だと思う。
高校生の頃の気持ちを思い出したいときとか、さっくり活字を読みたいときとか、いつもとちょっと違う毛色の作品を読んでみたいときにオススメです。 -
桐島くんが部活を辞めたところから話はスタートし
同じ高校の様々な子達のそれぞれの事情や悩みや葛藤が描かれ、あぁ、高校生の時ってこうだったなと自分が学生の時を思い返しながら読んだり出来て楽しかったです。
肝心の桐島くんは一切出てこないけれど...笑
タイトルにもなっているのに名前しか出てこない桐島くん。部活辞めた理由一体なんなのー?!
でも、ある意味面白いと思う。 -
久しぶりに(20年以上ぶりに)高校生の気持ちを思い出した。
もうすっかりと過ぎ去ったと思っていた高校生の時の行き詰まり感を久々に感じた本でした。そういえばこんなだったなぁとあの時の匂いまで思い出した。
でも、最後には希望が見えて前向きな気持ちで読み終えることができた。
高校時代を思い出したい時に読もうっと。 -
映画がよかったので、小説も読んでみた。前田涼也の章以外は、青臭すぎて感情移入が難しかった。
スクールカースト上位にいて、周りからもちやほやされて、いい気になっているけれど、高校を卒業したその先に何があるのか、ふと気づく狭い世界のお山の大将である宏樹。
中学のときはそんなことなかったのに、高校に入ってスクールカースト下位になってしまう。でも映画に対する情熱は高く、映画の甲子園で特別賞を取る涼也。
この二人の対比がよかった。
確かに、中高と目立つ子たちが東京に出てきて、社会人になるとさえない人になってしまうのはよくあること。宏樹はそこをなんとなく感じ取っていたんだろう。
と言って涼也がこののち、大成するかどうかはわからない。賞は取ったけど・・・というのもよくあること。
ただ、この時点で未来に向かって輝いているのがどちらかというのが重要。いつまでも輝き続けるのは難しいけど、高校生で日和るのも残念な話だ。 -
今から思うとものすごく狭い世界だけど、
あの当時はここが世の中のすべてだった。
将来やりたいことも、
卒業後にどこへ進んだらいいのかもよく見えないまま、
周りからどう見られているかを気にしながら、
過ごしていた息苦しさ。鬱屈感。
高校生の時って、ほんっとこんな感じだったよね、
と、自分の姿をまざまざと思い出させられた。
心がひりひり、そして恥ずかしい感じがするのは・・・
私だけかな。