団地の女学生

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著者 : 伏見憲明
  • 集英社 (2010年4月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713398

団地の女学生の感想・レビュー・書評

  • 「爪を噛む女」「団地の女学生」の2話。
    爪を噛む女:美弥 (ヘルパー)の心理描写がすごいと思った。美弥の気持ちがよく分かるということは、私自身が爪を噛む女なのだろう。

  • タイトルに惹かれて。

  •  2010発表、伏見憲明著。団地で介護の仕事をする主人公の、有名歌手になったかつての友達Miiyaへの嫉妬「爪を噛む女」。老女瑛子が、隣に住む中年男性ミノちゃんと故郷を訪れる「団地の女学生」。
     表紙を見てもっとポップな小説なのかと思っていたが、全くそんなことはなかった。どちらも実に純文っぽい文体で、皮肉とユーモアを絡みつかせ、辛辣な現実が露骨に描かれている。
     特に「爪を噛む女」は、男である著者がどうやって書いたのか感心するほど、嫉妬する女の心理描写がリアルだ。読んでいると本当に主人公は嫌な女だなと思いつつも、何となく同意できてしまう部分もあり、それがまた余計に後味が悪い。
     「団地の女学生」の方も、取り残されてしまった老人の寂しさがよく描写できていると思う。また、ミノちゃんの掴みどころのない気持ち悪さが、ほどよくパンチになっている。ただ一点だけ若干気になるのは、途中まで瑛子寄りの三者視点で書かれていた文章が、不意にミノちゃん寄りに変わる部分。「ミノちゃんの」といった呼称で書かれているので瑛子が彼のことを観察しているのか思ったら、そうではない。完全に神の視点である。節が変わってそうなるのなら納得できるが、こうも平然と書かれてしまうとちょっと無神経だなと感じる。

  • 団地を舞台に繰り広げられる人間模様。
    個人的には表題「団地の女学生」が一番面白かった。
    団地って、秋の夕暮って感じだな・・・と思った。

    狭い空間での人間関係は密で、団地を舞台にした小説は魅力的だ。

  • 40代中年太めの男性ミノちゃんと、老年の女性瑛子のちょっとした遠出。瑛子が学生時代自分を好いていてくれた男性に、約60年ぶりに会おうと思い、遠方に出向くに対し、ミノちゃんは掲示板でその場限りにセックスできる男性を探す。こちらは『魔女の息子』のように、中年のゲイの男性と、老年の女性が出てくるが、もう一つ収録されている「爪を噛む女」は、これがまた女性の嫉妬の話で意外だった。同級生を見下し、自分が面倒を見てあげていると思っていたが、その同級生はスターとなり、しかも学生時代自分のことを実は慕ってくれているわけではなかった。しかも結局、美弥の学生時代からの1人相撲だったっていうのが、すごく切ない。でも、どちらの話も、「人は人、自分は自分」スタイルで終わり、読後感は良い。瑛子もミノちゃんがゲイと知って驚くが、ミノちゃんに嫌悪感を抱くわけでもなく、昔の固定観念ゆえに「親がミノちゃんの育て方を間違ったのか?」と思ったりもしたようだが、結局は「不思議ねぇ」というふうに、ミノちゃんを思う。老人もアラフォーもゲ男女関係なく、そしてゲイも書けてしまう伏見さんは、すごく人間観察がうまいのでは。

  • 三浦しをん「本屋さんで待ち合わせ」より。表紙の絵が変だけど、意外と面白かった。2編入ってるけど、最初の「爪を噛む女」が断然良かった。表題作は団地に住むおばあさんが隣の40代のゲイと一緒に実家に戻るお話。途中急にゲイの語りが差し込まれるのが嫌。携帯の出会い系でさくさくと旅先の一夜の相手を決めてしまうことと、60年ぶりの幼馴染との再会が同時に起こってるって、現代はすごいなと思ってしまう。多種多様になったのだ。で、最初の爪…は、非常に身に迫る。38歳独身女性。やっぱ仕事があって良かったなと思う。私のおひとり様を支えるのは、経済力に他ならない。立派な中年となった息子とその嫁にたかられる内海香代さんはほんとに気の毒だ。こんな親不孝者は死ねばいいと思う。虐待じゃないか。ヘルパーさんはこういう人たちをたくさん見てるんだろうな。友達だった人が有名人になるって今のとこ私にはないけど、こういう複雑な気持ちになるんだろうな。

  • 団地 というモチーフには、不思議にそそられる。

    「ふつうの人」「ふつうの家族」が住むのに一番心地よい形態を
    戦後、何もない状態から、色々な賢い人たちが「頭」で考えて
    作ってきた居住形態。それが団地。
    それまでの歴史上、「都市」は作られることはあっても、それは
    経済活動(農工業や士業も含むよ)に密接に連携したものであって、
    ただ住むための場所 ってのはあまりなかったんじゃないかなと
    思う。行動より概念が先行してできた場所 のファーストモデル?
    そしてファーストモデルは、スタンダードになり、オールドモデル
    になってしまった。すたれはじめるの、早くないだろうか?

    そしてこの話は、題名通り、大規模な団地が舞台。
    荒川沿いの埼玉県、コンクリートの大規模集合住宅で、
    住民の高齢化が進んでいて、地域の貧富差が少なさそう って
    ことから、草加あたりがモデルかな~と想像しながら読んでゆく。
    --------------------
    1話目「爪を噛む女」
    美弥はホームヘルパーで生計を立てる、38歳の独身女性。3歳か
    らずっと団地で育ち、今もそこで母と暮らしている。かつての
    団地友達で、中学生の頃いつも一緒にいた、同級生の都と15年
    ぶりに再会するところから、話は始まる。
    都は、自分より学力も音楽の才能も、美貌もちょっと下だったのに
    ある日、時代を象徴するトップシンガーになってしまった。
    都を音楽に誘ったのは自分。才能があって美人だったのは自分だ
    ったはずなのに、気づけば毎日、老人の世話。
    美弥は、再開した都に嫉妬と羨望と愛情の入り混じった複雑な
    思いを抱えながら、都の挙動を見守り、かつてのようにコント
    ロールしようとする…

    美弥の行き場のない葛藤、桐野夏生の「グロテスク」を彷彿と
    します。ま、美弥の方が何だかんだ言って働いているし、周囲の
    老人のこともちゃんと人扱いしているので、黒さは淡くて読み手の
    ダメージも少ないです。
    周囲の老人たちも、口の悪い元演劇青年や、天使のように尽くす母
    など、いそうなキャラクターがしっかり描かれていて、読み応えが
    ありました。

    主題を二つぶちこんでしまったのは、好き嫌いあると思いますが
    団地はもう、概念ではなく、人のくらすただの「場」なんだなと
    感じるお話です。隣のことをよく知っていても、口を出さない。
    そして30年一緒なら、放っておいてもコミュニティが生まれる。
    団地に限らず、当たり前なんじゃないかと。
    --------------------
    2話目「団地の女学生」
    80代の瑛子が、長らく帰っていない故郷、高崎へ一泊二日の「帰省」。
    お伴は隣の部屋に住む、独身40代のミュージシャン崩れの実ちゃん。

    瑛子の回想は、本当にこんな生き方をしてきた女性はごまんといるん
    だろうなと思わせる回想。実ちゃんの、何も考えていない風な生き方
    も、すごく普通にいそうな感じがする。
    --------------------
    部屋が変わると住人も変わり、ドラマの内容も変わる。
    そして一人ひとりの生活そのものは、他人から見ればドラマ。
    --------------------

  • 団地の女学生
    伏見憲明(著)
    (出版社) 集英社
    (価格) 1260円
    (ISBN) 9784087713398
    あの女の凋落を私こそが見届けなければ!切なく愛しい「昭和の生き残りたち」桜草団地の住人たちが大暴走。
    (図書館)

    未婚でアラフォーで3K仕事でワーキングプアの美弥。 一方、かつて は『格下』で冴えない幼なじみだったはずが、今は一躍スター歌手としてもてはやされている都。二人が20年ぶりの再会を果たす。
    都への嫉妬と憧憬に苦悶する美弥の内面のドロドロっぷりがとにかくすごい!完全に一人相撲なんだけど…。ラストにはなにか救いのようものが描かれているのだが、どこか倒錯気味であるのが悲しい。。。でも、わかるなー、こうゆう感じ。人生ってやっぱり不平等だし、いくら自分は自分と割り切っても割り切れきれないものが残る。文体はいたって写実的だが、著者的には『コメディ』らしい。てか、『コメディ』って言ってもらわないと、痛くて切なくて読んでられないと思う。

  • 「爪を噛む女」
    人生の主役になったMiiyaと、その脇役にならざるを得なかった主人公との対比、主人公の内面描写などはとても良い。でも、読んでいて辛い。
    登場する老人たちの未来にも余りにも救いが無い。

    「団地の女学生」
    人生の終盤に差し掛かった瑛子と、その団地の隣に住む同性愛者のミノちゃん。
    瑛子が自らの故郷に帰り重層的に歴史を振り返るのに対し、ミノちゃんは掲示板でその日限りのセックスの相手を求める。その対比がとても良い。
    こちらの作品は後味も悪くない、いい作品だと思う。

  • 「爪を噛む女」のみ。タイトルがずばり。

  • 野次馬根性あるな、自分て実感した

  • 表題作「団地の女学生」と、中編作品「爪を噛む女」では団地周辺に住まう人々の関係性の中でストーリーが進んでいくが、後者はその微妙な関係を薄氷を踏みながら描ききることに成功し、前者は薄氷を踏み破ってしまった作品と言えるのではないか。
    「爪を噛む女」。
    老人ばかりが住む団地で働く独身の訪問ヘルパー・美也のもとに、大ヒットを飛ばす歌手となった幼馴染・都から連絡がある。
    色濃く都と美也の関係性が描かれ、周りはグラデーションのように美也を取り巻く老人たち、老人を取り巻く薄情な子供たち、そして、都を取り巻く人たちを描ききる。
    微妙な立ち位置で人間関係の危うさを、いやーな感じで表現し、残酷なまでに市井を生きる人の感情をまさに微妙な人間配置のなか、描ききっているのである。この筆力は何なのだろうと思った。きっとこの筆者の稀なる人間観察力、そして、人間のよりそう感情を正直に掬うことができるひとなんだろう。すばらしいの一言につきる。
    それに比し、「団地の女学生」はぎりぎりアウトである。あと少しなのである。
    老女となった瑛子が戦前の初恋相手を訪ねるとき、団地の近所に住んでいる40代のゲイ男性ミノと高崎までの道中を旅する。
    2人の人間のグラデーションがよくないのである。
    瑛子が主人公といえるのだが、その近所にいるミノというゲイの男性がいまいちシンボリックに生かされていないのである。
    筆者は90年代、ゲイ・ムーヴメントに影響を与えた人なのだが、ミノがただゲイというだけで、それだけがなんだか浮いてしまっているのである。ゲイであることはかまわないのだが、ただ出会い系だけを求めるような軽さだけで、意味合いをほとんど刻むことのないまま、存在しているのが惜しいのだ。
    あと一歩踏み込みが必要なのだ。
    改めて人間の関係性を表現することの難しさに気付いてしまいました。
    はたして私は、<私>として、どんな関係性をストーリー化すればいいのだろうか?
    ただ悩むばかりである。

  •  「爪を噛む女」について

     私と同年代の女性の挫折と、
    それを認めて生きていくまでの
    過程が滑稽かつ愛しく共感が持てた。

     随所に登場するパンチの効いた
    比喩表現やシニカルでいながら
    心温かい主人公も魅力的だ。

  • 初めて読む作家さんでした。

    2編が収録されていますが

    舞台は同じ団地内です。



    出だしのトイレ掃除の表現から

    この人なかなかうまい事かくな~と思いました。



    装丁から内容が全然想像できなかったけど

    なかなかおもしろかったです。

  • 2編あるうちの前半だけ読みました。
    人間の嫉妬に関しての話ですが、誰もが持ってるこの感情をうまく描いていておもしろかったです。

  • なんでこの本を図書館で予約したのか、思い出されへんのやけど、おもしろかった。美弥は私だって思う人多数やと思う。ほんで、そのさもしさは人に知られたら恐い。森三中の旦那が嫉妬年表を作ってたってゆうけど、すごいな。私は誰かに見られるのが恐くて作られへん。

  • 内容は
    団地に住む人の話が2編。
    表題作の『団地の女学生』は
    80代の婆さんと隣に住む中年ホモの話で、まぁまぁ。
    もう1つの『爪を噛む女』がよかったかな。
    同じ団地に住む同級生が歌手になって
    約20年間嫉妬をし続けていた女が、その歌手が
    凋落するのを見届けたい一心で20年ぶりに会うって話。

  • 団地が舞台の2編

    38歳独身女。
    夢をあきらめ老人の介護を職とする日々。
    若いころ、自分より下だと思ってた存在の親友が
    今はポップスの大スターに。
    嫉妬と憧れ、ねじれた感情

    87歳のおばぁちゃん
    若かったのはついこの前の気がするのに・・・
    古里へ、自分をしたってくれた男性の姿を見にワンデイトリップ

    どちらも、すごく実感がわいて読めます
    思ったより面白かった!

  • 女学生時代に友達だと思っていた彼女との話と
    ずいぶん昔に女学生だった老婆の話。

  •  切なく愛しい「昭和の生き残りたち」
     桜草団地の住人たちが大爆走! 
                     =帯より=
    ******

    旧盆関連のパタパタも昨日で無事終了。
    お疲れ様でした、ワタシ。
    メンズたちは、それぞれ外出しておるので
    夕方から、のんびり一人時間満喫。

    図書館は新着本がい~~~っぱい。
    遠慮なく5冊、新着本借りる。

    さ。
    これから読もう。

    タイトルと表紙が、昭和の匂いプンプン 

  • 『爪を噛む女』、『団地の女学生』の二編を収録。どちらも老朽化して立て替え寸前となっている団地に住む女性を主人公にした物語。タイトルだけ見るとなにやら色っぽことを想像しがちだけれど、片や老人ヘルパーの仕事をするアラフォーの女だし、表題作に至っては大正生まれの80代半ばの老女が主人公で、つけられたタイトルは逆説的だ。 一作目の『爪を噛む女』は、自分が叶えられなかったスターへの夢を実現した中学時代の同級生からの突然の連絡で始まる、アラフォー女性の心理的葛藤が描かれる。なかなか自分のプライドと折り合いをつけられない女の妬みや鬱屈した心理が、ささいなエピソードを重ねることで増幅されていく様子がなかなかリアル。一般的に言って、男性作家が女性を主人公とする物語を書く時、説得力あるキャラクターを作り上げるのは難しいようだ。この作品にもそれはあてはまる。 一方、タイトル作の『団地の女学生』は、一人暮らしの老婦人を主人公に、若かりし女学生時代のほのかな恋の思い出を確認する郷里・高崎への墓参り旅を描く。老女へ過去の思いを綴った手紙を送って来た懐かしの青年も、すでに痴呆気味の老年を迎えている。旅のお供をする同じ団地の40代シングル・デブ男はちょっと不気味。老人主体となった団地の世話係を請け負う気のいい奴だが、旅の道中、男性専用出会い系で現地でのお楽しみの相手を探すところなど現代的だ。老女の過去へ向かう思いとデブ男のあからさまな現実的な欲望が、気色悪いハーモニーを奏でる。

  • 朝日新聞の書評欄で見つけたホン
    著者がゲイだとかNOKKOと中学校の同級生だとか
    ノイズに邪魔されつつ読了
    団地住民としてオモシロかったです
    2編あって
    「爪を噛む女」
    団地の現在、
    高齢世帯の暮らしをあてにする
    単身の美弥が介護ヘルパとして未だ住まう
    言い得て妙
    同じ団地住民の同級生がシンガーソングライターとして
    華々しくデビュー
    落ちぶれて未だ団地に住む美弥にちょくちょくアクセスしてくる
    団地住民として
    高齢世帯をお客さんとする仕事への正義感と
    団地を出て行った同級生に対する嫉妬と毒づきなど
    バラバラな気持ちが交互に出て来て
    割と気持ちが悪の主人公なんだけど
    浄化されてく出来事が多い
    団地に悪人は似合わないようです
    「団地の女学生」
    こっちは高齢の女性が
    埼玉の団地から出身地の高崎へ
    墓参りと幼なじみの様子を伺いに
    ワンデイトリップする話
    お供に、仕事で忙しい実の娘ではなく
    隣に住む無職のぽっちゃりゲイ40歳ミノちゃん
    世話好きを連れて
    団地の懐の深さがあらわれるサクヒン
    高齢者とかアラフォー女性とか
    描き方が無理なく上手で驚きます

  • さらっと読めるのにドロドロしてて面白い。

  • 給与明細の引落で「介護保険料」の占める割合がだんだん大きくなってきて、このお金が使われている世界が気になっていました。ある意味、その回答があるのかもしれません。ホームヘルパーの美弥ちゃんみたいな人の生活の糧となっているのなら、まあ良いか。美弥ちゃんやオカマのミノちゃんの様な人達の比率が高くなって来ているのだとすると、それはそれで困るなぁ。この人達が介護される側の世代になった時、誰が美弥ちゃんとして現れるのでしょうか?なんて物語の内容とは関係ない事を考えてしまいました。物語は美弥ちゃんの心の動きが良い感じです。

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