- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713398
感想・レビュー・書評
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女学生時代に友達だと思っていた彼女との話と
ずいぶん昔に女学生だった老婆の話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
切なく愛しい「昭和の生き残りたち」
桜草団地の住人たちが大爆走!
=帯より=
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旧盆関連のパタパタも昨日で無事終了。
お疲れ様でした、ワタシ。
メンズたちは、それぞれ外出しておるので
夕方から、のんびり一人時間満喫。
図書館は新着本がい~~~っぱい。
遠慮なく5冊、新着本借りる。
さ。
これから読もう。
タイトルと表紙が、昭和の匂いプンプン -
『爪を噛む女』、『団地の女学生』の二編を収録。どちらも老朽化して立て替え寸前となっている団地に住む女性を主人公にした物語。タイトルだけ見るとなにやら色っぽことを想像しがちだけれど、片や老人ヘルパーの仕事をするアラフォーの女だし、表題作に至っては大正生まれの80代半ばの老女が主人公で、つけられたタイトルは逆説的だ。 一作目の『爪を噛む女』は、自分が叶えられなかったスターへの夢を実現した中学時代の同級生からの突然の連絡で始まる、アラフォー女性の心理的葛藤が描かれる。なかなか自分のプライドと折り合いをつけられない女の妬みや鬱屈した心理が、ささいなエピソードを重ねることで増幅されていく様子がなかなかリアル。一般的に言って、男性作家が女性を主人公とする物語を書く時、説得力あるキャラクターを作り上げるのは難しいようだ。この作品にもそれはあてはまる。 一方、タイトル作の『団地の女学生』は、一人暮らしの老婦人を主人公に、若かりし女学生時代のほのかな恋の思い出を確認する郷里・高崎への墓参り旅を描く。老女へ過去の思いを綴った手紙を送って来た懐かしの青年も、すでに痴呆気味の老年を迎えている。旅のお供をする同じ団地の40代シングル・デブ男はちょっと不気味。老人主体となった団地の世話係を請け負う気のいい奴だが、旅の道中、男性専用出会い系で現地でのお楽しみの相手を探すところなど現代的だ。老女の過去へ向かう思いとデブ男のあからさまな現実的な欲望が、気色悪いハーモニーを奏でる。
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給与明細の引落で「介護保険料」の占める割合がだんだん大きくなってきて、このお金が使われている世界が気になっていました。ある意味、その回答があるのかもしれません。ホームヘルパーの美弥ちゃんみたいな人の生活の糧となっているのなら、まあ良いか。美弥ちゃんやオカマのミノちゃんの様な人達の比率が高くなって来ているのだとすると、それはそれで困るなぁ。この人達が介護される側の世代になった時、誰が美弥ちゃんとして現れるのでしょうか?なんて物語の内容とは関係ない事を考えてしまいました。物語は美弥ちゃんの心の動きが良い感じです。
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「爪を噛む女」「団地の女学生」の二編。前者は昔の友達が有名人になっているのに自分は冴えない毎日・・・。みたいな劣等感や嫉妬に苛まれる都の気持ちが描かれる。現在の介護士という立場で接する老人達。手を尽くして育てた息子からは全く世話にならずに孤高を通す香代さんだったりかつてはそこそこの脚本家だったというお爺さんの人生が差し込まれている。香代さんの意外な趣味には人間の奥深さが。後者も、年老いた老女が昔自分に思いを寄せていたひとつ年上の男性を故郷に訪ねる物語。同行するのは同じ団地に住む世話好きのミノちゃん。ここでも年老いた人たちの哀しみや胸に秘めた熱いおもひでが描かれている。
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二編入ったもので、どちらも団地が舞台。
爪を噛む女は、38という齢を迎えた女の嫉妬との葛藤。
ずっと自分より下だと、見下していた女は卒業し、歌手になり、スーパースターとなった。そんな友人と再会を果たし、あの頃想像すらしなかった事実を知り、さらに嫉妬をする。そして会う回数を重ねるごとに腹黒さを知る傍らで、主人公は介護の仕事をせっせとおこなう。
その嫉妬との葛藤がリアルで、自分にも覚えがあり、あぁ、女ってこうだったなってありありと思い出させるのだ。
団地の女学生は、大正生まれのおばあちゃん、瑛子と、同じ団地に住むミノちゃんというゲイの男のはなし。ミノちゃんに猫を飼ってくれとせがまれるところからはじまる。
あるときバイトと持ちかけ、ミノちゃんと一緒に高崎へといく。その列車で瑛子は60年前の幼馴染の男のことを。ミノちゃんは出会い系サイトを使い今宵を共にする相手の男(若くて細い、あるいは筋肉質な)を探す。
コミカルなんだけど、はっとしたり、瑛子の乙女心にくすぐられたり、で楽しかったです。 -
購入日:未定
購入者:kdm