- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713480
感想・レビュー・書評
-
この人の書く物語に出てくる人はみんな根が好い人というか、厳しさの中に優しさがあって、弱い人にもいいところはあって、ちょっと出来すぎだなと思うけど安心して読めた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こういう系好きかも。
ハートウォーミング?
ヒューマン系? -
恵まれた環境から、父親の不祥事で考えもしなかった生活を余儀なくされた陽介。彼は賢いので、自暴自棄になったりせず、足元を見つめ、将来をきちんと描き時には涙しながらも進んでいく。
周囲の大人がいい。今時、このように懐の深い大人がいるのだろうか…。魴鮄舎の子ども達と恵子おばさん、陽介達のその後が気になる。 -
506
2017年では140冊目 -
文学小説なんですかね。確かに力やエネルギーは感じる作品だけど、このまとめ方はあまり好きなやり方ではないので少し低めの評価。
-
強いおばさんだな。
-
久しぶりに、実に久しぶりに、まっとうな、というか、メインストリームにある小説を読んだ気がする。
自分にはない彼らの爽やかさ。
語り手である「おれ」、父、母、おばさん、
施設の中学生たち、
彼らを取り囲む大人たち。
全員が全員、決して悪人ではない。
いわば市民(小市民)としてまっとうに生きている。生きようとしている。
社会や世間への違和を、表明しない。
中上健次が何度も書いていた「まっとうな生活」とはこんな感じか。
そしてこの爽やかさを裏打ちするのが、語り手の大人っぽさ。
彼は登場時点から成長しきったような視点でいて、しかし終盤になると確かに成長しているのだ。
などなど。
考えながら読んだ。 -
陽介をはじめ児童養護施設に暮らす子どもたちの環境と心情・葛藤、そのまわりの大人がとても細かく描かれていた。
一番印象的なのは、野月さんには独特の弱さがある気がする、と陽介が言ったところ。この弱さって本当に幼いときの経験・体験と出会った人との付き合いの深さではないだろうか。父親母親から育てられる愛情、愛着の大切さをひしひしとかんじる。でもこの施設の子どもたちはいろいろな環境から来ているわけで。15歳までしか施設にはいさせない、それまでに鍛えるって言ってるおばさんの存在ってすごいなって本当に思う。
弱さもぐっと引き戻してくれる人が身近にいることで救われることも多いし、そのまま悪の道に行く人も多いだろう。その弱さって人間の分かれ道なんじゃないか。改めて自分また他人でも一人一人をとりまくまわりの暖かさをひしひしと感じる。野月も結果的に良かった。
中学生ながら客観的に見れるところに関心したし、陽介の客観的な見方で書かれる文(きっと作者さんの思いと見方なんだろうけど)で私たちもハッとさせられた。
育てられるという基礎、そして育つ環境。子どもたちだけではなく、おばさんだって施設の子どもたちと出会ったことで次の道へ進む。誰もが社会に必要とされるということ、そして人とのつながりの大切さを考えさせられた本だった。 -
人生が父親のせいで一気に変わってしまったエリート中学生が主人公。北海道のホウボウシャで同世代の子どもやパワフルなおばさんに囲まれて生活する…。いろんな人たちがいろんなことで傷ついて、労りあいながら暮らす様がよかった。
-
東京の難関中学・開聖学園に入学して間もないGWあけ。高見陽介の日常はガラリと変わった。
父親が会社の金を横領(愛人にマンションを貢いだ)して逮捕されたのだ。家や家財道具、貯金の多くが差し押さえられる。学校は退学、北海道に住む母の姉の所に陽介だけ身を寄せる事となった。それまで優雅に専業主婦をしてきた母は東京に戻り、弁護士との話をしたり、借金返済のため住み込みで働く事になった。
母の姉、おれのおばさんは、
魴鮄舎(HOBO=SHA)という児童養護施設を切盛りしている。普通の児童養護施設であぶれた中学生たち(おれを含めて)男子8人女子6人が暮らしている。
普通の施設からあぶれた者たち・・・ではあるかもしれないが、迫力満点、肝っ玉母ちゃん的に押しの強いおばさんのもと、みんな平穏に暮らしている。
陽介は学力を落とさないよう、それまでと変わらないスタイルで勉強をし、施設にすむ同級生・拓也とも友情を深めてゆく。
突然の事に嘆く暇もなく、支えてくれるであろう大人や友人たちだって、いろんな事情があり、
でもみんな生きている。
主人公が賢く、冷静に事実を受け止め、それでも自分のスタイルを貫いているのがいい。そして、まわりの人に思いやれるのがいい。