銀狼王

著者 :
  • 集英社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713558

作品紹介・あらすじ

明治二十年、開拓期の北海道に齢五十を越える猟師がいた。初冬のある夜、彼は、知己であるアイヌの古老から、「銀色の毛並みの巨大な体躯の狼が生き残っている」という噂を聞く。老猟師は、その幻の狼を「銀狼王」と名づけ、ぜひとも自らの手で仕留めたいと、山に分け入るが…。銀狼王と老猟師のしたたかな駆け引き、そして-雪の舞う大自然の中で対峙した、彼らの闘いの行方は…!?獣と人間の枠を超え、魂と魂が激突する。著者渾身の傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 50才の現役猟師、二瓶。
    新冠のアイヌの古老から聞いた、銀色の狼を狙うことにして……。

    羆には勇猛果敢なのに、狼には超がつくほどの弱気。
    そして食事には目がなく、感情が常にあらわ。

    愛嬌のあるアイヌ犬・疾風が、愛くるしかった。

    家畜を襲わず、人間に迷惑をかけてない、絶滅寸前の狼を狩りに行くのは、主人公の身勝手。
    銀狼の賢さは光るが、疾風の件も逆恨みだし、二瓶の方に正義がなかった。

  • 50歳近い猟師の二瓶が、アイヌの古老から聞いた銀色の毛並みで巨大な狼・銀狼王を追い、銀狼王の家族を殺し、最期は重傷を負いながらも銀狼王も殺すというお話です。

    アイヌから譲ってもらい狩猟用に訓練した10歳のアイヌ犬の疾風も登場しますが、本の半ば当たりで銀狼王により瀕死の重傷を負い、二瓶の手でとどめをさされされます。二瓶は、疾風を家族と思っているようですが、その一方引っ叩いたり折檻したりということもあります。猟師と猟犬との関係はこんなものなんでしょうかね。

  • 熊谷さんのお話、どれを読んでもおもしろいな。
    いままでの作品をExcelで一覧表にして、チェックしています。
    全部で25冊くらいあって、まだ5さつくらいしか読んでないので、いまとても幸せなのです。
    あと、吉田修一かな。まだわかんないけど。
    おもしろいお話の作家さんに出会うととても嬉しいのです。

  • 明治初期北海道開拓期に内地から来た猟師の二瓶は、アイヌから銀色の巨大な狼を目撃したと聞く。二瓶は銀狼王と名付けたその蝦夷狼を撃ちに山に入る。文字通り一匹狼と思われていた銀狼王だが雌狼と三頭の子供を連れていた。二瓶は次々と三頭を殺し連れ合いの狼を瀕死にさせ囮として銀狼王を待つ。途中まで北海道の厳しい自然に魅了され羆や蝦夷鹿や狐など野生動物の息吹を感じて読んでいたが、二瓶は何故銀狼王を殺そうとするのか身勝手さに嫌な思いがしてきた。銀狼王は家族を殺され復讐心から壮絶な闘いとなるのだが。こうして狼が滅んだのか。

  • 狼との闘いは、獣を超えた生き物との人との知恵比べだけでない精神のぶつかり合いを感じ、あっという間に読み進んだ。
    その分あっけなく感じてしまったが、面白いことには変わりなかった。

    神への考え方も変えてしまうほど、北海道の開拓は厳しく、自然への畏敬が神への考え方を変え、神をつくっていく。

  • 銀狼は、人間に見つかることが危険だということを知っており、人間に被害を与えることもなく、痕跡を残すこともなく、山奥で家族と共に過ごしていた。
    そこに、ずかずか入ってきた人間が、自分の家族を次々殺していく。
    猟師としての、本能という理由だけで。
    読んでいて、全くこの主人公に共感できなかった。
    読み始めたときは、おもしろそうな話だという感じがしたが、読み終わってみると、後味の悪さしか残らなかった。
    残念だった。

  • ・銀狼との闘いが思った以上にあっさりしてて拍子抜け。銀狼王と言うよりは一人の猟師の半生についての本。山の描写はそれなりに興味深かった。

  • 動物を題材にした作品はことごとくひどい

  • ありがちな設定だったが。主人公に狼に対する尊敬の念が感じれなかったし、狩猟犬疾風に対する愛もかなり自分勝手なもので、とにかく読後感は良くなかった。

  • タイトル買い。『銀狼王』なんて、格好良すぎるじゃありませんか。表紙の狼の顔も良い。

    明治20年、舞台は開拓期の北海道。
    マタギである二瓶は、アイヌの古老から「銀色の毛並みの巨大な狼が生き残っている」という噂を聞く。
    狡知に長けた銀狼との闘い。
    追いつめるところ(あるいは追いつめられるところ?)までは良かったんだけど、闘い自体が意外とあっさり決着が付いてしまったので、少し残念でした。

    それにしても、100人読んだら99人は『狼王ロボ』を思い出しそうだ(笑)。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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