残酷な王と悲しみの王妃

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著者 : 中野京子
  • 集英社 (2010年10月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713817

残酷な王と悲しみの王妃の感想・レビュー・書評

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  • このシリーズ、最初に続編の2から読んでしまったけど、断然こちらの方が面白かった!
    もうこのシリーズはいいかな~と思いながら手にして読んだ所、中々面白いし引き込まれた。
    ちょっと嫌らしい言い方だけど、人の気を引く書き方が上手だと思う。
    まず、導入部にエリザベス一世とスコットランドの大使のやり取りが書かれていて、それを見るとその先が知りたくて次々と読んでしまう。

    この本には5話の王室、王と王妃のエピソードが描かれている。
    1章はスコットランド女王、メアリ・スチュアートについて。
    この話では王の存在が希薄で、タイトルの残酷な王・・・というよりはメアリ・スチュアート自身の不遜な態度が自らの悲劇を招いた事が描かれている。
    彼女は美人で、フランスじこみのエレガンスさを身に着けた魅力的な女性だったらしい。
    だけど、自分より容姿の劣るエリザベス女王、姑を見下していた。
    それが悲劇を生み、最後は斬首刑になるが、そこでも自分らしいファッションのこだわりを見せた事で最後の最後にさらなる悲劇を生むことにー。

    人間、いつ立場が変わるやら、状況が変わるやら分からない。
    絶頂の時にある時こそ、慎重に事を運ばねばならないと思わされる逸話だった。

    2章の王妃はスペインのマルガリータ・テレサ。
    当時としても流行おくれな古い格式、あまりに濃い血縁結婚・・・そんなスペイン王朝で育った彼女のはかない一生が描かれている。
    この章では彼女自身は平凡な女性なのに周囲が特異で、そんな彼女の肖像画を描いたベラスケスの筆の方に興味を惹かれた。
    ちなみにこの本の表紙は彼女の幼い頃のもの。
    愛らしいこの少女がたった数年で、平凡な容姿になりつつあるのを素晴らしい筆で描いている。
    それが興味深く、この章では何度も紹介されている絵を眺めてしまった。

    3章はロシアのイワン雷帝と7人の妻について。
    ここで紹介される妻はほとんど顔や生年が分かっていない。
    当時のロシアの夫婦の様子ー夫から妻に対するDVなど当たり前で、妻はただ子供を産む道具にすぎない事や、それに輪をかけて、残虐な上に絶対服従の権力をもつ王の妻となる悲劇が描かれている。

    4章は、ドイツのゾフィア・ドロテアについて。
    人生の3分の2を幽閉されなくなった女王。
    嫁ぐ前から婚家と自分の出自に因縁があると知っていた彼女は嫁ぐ前から嫌がっていた。
    もともと身分の低い出の彼女は結婚してから孤立無援、宮廷内で軽んじ続けられた。

    最後の話は、ヘンリー八世王妃アン・ブーリン。
    歴史上は悪女として知られる女性だが、そこにはどうしようもない事情がからんでいた・・・というのがこれを見ると分かる。
    手に入らないと余計に欲しがる子供のような王と、それを手練手管で手なずけて何とか自分の命をつなげようとする女性。
    手に入ればすぐに飽きてしまう・・・そんな男性の残酷さと計算高い立ち回った女性の、女性ならではの感情的な様子とそれによって堕ちていく様子が印象的だった。

    こういう話はただ王の残虐さや女性の悲劇的な部分だけを露悪的に描いていたのではただただ下世話な印象になる。
    本当の事を書いてあるのかどうか分からない週刊誌を読んだような印象になってしまう。
    でも、この本は客観性やちゃんとした印象を受ける。
    それは作者の文章力にもよると思う。
    歴史について詳しい人が読めば、こんな事は知ってるという事ばかりだろうけど、私は名前しか知らないという人物がほとんどで、読んでいて興味深かった。
    本に載っている肖像画の数々も見ていて楽しめた。

  • ヨーロッパの王族たちは同じ名前が多いし近親結婚もしているので、勉強してもすぐ混乱してしがちです。しかし、中野京子さんの読ませる文才と絵画との関連付けや強烈なエピソードで、歴史を見てきたように新鮮に印象に残りました。また、この本の構成も章ごとに近い年代、関連性を持たせて書かれているので、同じ位の時期に別の国で何が行われていたのか、また、誰と誰とか繋がっているのかが良く分かり、歴史を立体的に捉えられる点で良い構成だと思いました。

  • ヨーロッパにおける王と妃、その生涯を
    史実に基づいてわかりやすく解説。
    スコットランド女王メアリー・スチュアート
    ローマ帝国皇帝レオポルト一世皇妃マルガリータ・テレサ
    ロシア初代ツァーリ、イワン雷帝の七人の妃
    イングランド王ジョージ一世の妻ゾフィア・ドロテア
    エリザベス一世の生母アン・ブーリン

    「怖い絵」が面白かったのでこちらも読んでみました。
    とても興味深かった…
    このあたりのヨーロッパの歴史勉強してみようかな…

    個人的に一番印象に残ったのは
    ロシア雷帝かな…
    もう狂気としか言いようがないのに
    それを止められない地位と情勢…
    「女房を殴れば殴るほどスープが美味しくなる」
    という諺があったって…なんだそりゃ!
    それでも最初の妃アナスターシャが若くして不審死
    しなければ歴史も変わっていたのかもしれない…

    ただ、日本の歴史でも一族似た名前をつけるので
    覚えににくくて困るのに
    全く同じ名前をつけたりするもんだから
    分かりやすいように配慮して書いてくれてるけど
    なにがなんだかわからなくなる…
    (ゾフィア・ドロテアとか)

  • 怖い絵シリーズを読んでいるので、ヘンリー八世とかイワン雷帝の知識もあったが、さらに詳しく知ることが出来て、興味深かった。

  • グチャグチャなヨーロッパ王室にうへえだが、昔々世界史で習った時には伏せられていた、「大人の事情」が赤裸々に。
    できれば時代順に並べて欲しかった。メアリー・スチュアートで始まり、アン・ブーリンで終わるんじゃ、混乱混乱!

  • 絶対君主制時代の、華やかなだけでない実態が知れた。

  • 恐ろしい。
    今も昔も。

  • 歴史が詳しくないのにぐいぐい引き込まれて読んでいた。中世ヨーロッパの血縁関係は複雑すぎて、図解シリーズ片手に。
    同著者「怖い絵」も面白そう。

  • 中世西洋(ロシア含む)の王の結婚において、悲劇の運命を辿った、5人の王の王妃たちを取り上げた一冊。
    名画も合わせ、とても面白い内容でした。とは言え悲劇ばかりなので、とことん幸せな一冊ってのも読んで、気分直ししたいかも。

  • 5人の王とその王妃たちの生涯。

    『怖い絵』を読んでいてこの本を知りました。
    華やかのイメージのヨーロッパの王族だけど、そこにある影の歴史を知れて面白かった。
    ただ、私の勉強不足で王朝の名前を聞いてもさっぱり・・・詳しい人だと血縁関係を知ってもっと面白いと感じるんだろうなぁ・・・

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