オーダーメイド殺人クラブ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 688
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714036

感想・レビュー・書評

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  • 誰にもあかすことのできなかった趣味、少年Aたちの事件記事をスクラップする少女は中二病真っ最中でした。バスケ部の派手めな友達からは、ハブられたり仲直りしたりの油断できない関係が続くなか、普通の人間がヒエラルキーの支配を越え特別な存在になる方法は事件を起こす事。美しい人形の猟奇的な写真を何度も立読みしながら、これまでにないクリエイティブな死を夢想する。
    地味に目立たず群れて遊ぶ少年が捨てたネズミの死体を見たのがきっかけとなり「私を殺してくれない?」と依頼する。
    いとも簡単に引き受ける少年、どちらの闇も深そうです。
    辻村深月さんがどのように少女を葬るのか実は興味持っていました。私の思い込みかもしれませんが、辻村さんはとても愛情持って痛み苦しみ繊細に表現しキャラを活かすことのできる作家さんなので、殺しはできないって確信がありました。この作品のタイトルみた時、どんな感じでジタバタするのだろうってドキドキしながら見守ってました。思春期の男女の心理や友達間の微妙なバランス感覚の描写が秀逸だし展開も見事。
    黒歴史を葬りラスト10ページはウイニングランのように爽快で期待通りの展開に大満足でした。

    • かなさん
      しじみさん、こんばんは!
      私この作品読もうと思ってて
      積んでます(^-^;
      しじみさんのレビューのおかげで
      読むのが楽しみになってき...
      しじみさん、こんばんは!
      私この作品読もうと思ってて
      積んでます(^-^;
      しじみさんのレビューのおかげで
      読むのが楽しみになってきました!
      ただ、図書館本がどうしても先になっちゃうんで
      なかなか家の積んである作品が減っていかないんですけどね…。
      2023/11/25
    • つくねさん
      かなさん、こんにちは♪

      そうなんですよね。買うといつでも読めると安心してしまうので積読になっちゃいますね。
      図書館の本を優先しちゃい...
      かなさん、こんにちは♪

      そうなんですよね。買うといつでも読めると安心してしまうので積読になっちゃいますね。
      図書館の本を優先しちゃいますね。
      この作品、小林アンって14歳の少女視点で書いてあるのですが、クラスメイトの徳川勝利くんの男心にも注目ですよ。「殺」のところ「愛」とかに置換したらなんとなくいいかも(*'▽'*)
      2023/11/26
  • タイトルから想像していた話とは全然違って驚きました。この本は思春期の感情がとても繊細にかかれています。私も女子なので共感できるところもたくさんありました。
    思春期の女子はみんな共感できると思うのでおすすめです!

  • 伊集院光がラジオで名付けた「中二病」と呼ぶと矮小化した感じになってしまうが、自分の回りの極小さな世界で必死だった中学生時代を覚えているひとであれば、「あー、分かる」と思って読むのではないだろうか。

    どうか主人公の小林アンがホントに死んだりしませんように、と祈るような気持ちで読み進めた。

    X デー(嘱託殺人決行予定日)の前と後で、まったく空気感が異なる描き分け能力がすごい。まるで憑き物が落ちたような爽快感だ。

    昆虫系少年徳川勝利君が、超ヤバいやつ兼絵の才能溢れるやつ、という設定は、(元)リア充少女の小林アンといい関係になる(なりそうな感じで物語りが終わる)には、必要な設定なのだろうけど、絵の才能がなくても成立して欲しい関係性だった。

    P366
    自分の世界で手一杯で、人のことが見えず、人の話を聞かない、考えることと人をバカにすることだけ一人前で、隣にいる男子一人が抱えた事情にも気持ちにも気づけなかった、中二の小林アンに、教える。

  • 中2のリア充!?女子、アンがクラスの冴えない昆虫系男子、徳川に「私を殺して...」と殺人を依頼するお話し。女子同士のドロドロな感じが初めは、読んでいて辛かったけど学校では、全く話さないアンと徳川がひっそりと会って殺人計画の相談をしている時は、恐ろしいことを話しているのになんか2人の会話が笑えました。
    後半は、涙が止まらず最後は、とっても爽快感のあるお話しでした。

  • 評価が分かれそうな作品だなぁと思いました

    辻村深月さんの猟奇的な部分が強く出てたように感じます
    ぐいぐい引き込まれるとかってわけでは正直なかったんですけど、これ着地どうするの?ってのが気になって一気に読んでました
    ただなんかこう大人な着地だったかも
    もっと振り切っても良かったなぁ
    編集者の人になにか言われたんかな(邪推)

    澁澤龍彦、自分もちょうど中学生の頃読んだなあ
    背徳感?みたいなのを感じるのが良かったんだろうなあ
    遠い昔をちょっとだけ思い出したました

  • 2020/02/27読了
    #このミス作品12冊目

    なかなか振り切ったストーリーだが
    それでもリアルさが伝わった。
    とりあえず女の子って面倒くせー。

  • 徳川はずっと、どんな気持ちでこの事件に協力していたのだろう。猫の件だって河瀬の事だって、本当は。ずっと、アンに気付かれなかった想いを、彼はどんな風に抱え込んでいたのだろう。読み終えた後で、そればかりをひたすら考えた。この、何とも言い表しがたい彼の想いごとすべて抱きしめたい。
    死のうと、殺そうとしていて立てていた計画だったのに、互いが互いの生きる理由になるなんて。でも、長い時間がかかったけれど、徳川は徳川のやり方で約束を果たしたんだって、考えていいよね?これからだ、これからまた2人はうんざりするような長い時間を紡いでいくのだろう。あの頃とは違う小林アンと、徳川勝利と。それがどうしようもなく、愛しい。殺せないのなら、死ねないのなら、生きるしかないんだ。

  • ただの死にたい願望と殺したい願望の少女少年の物語ではなかった。
    少年A候補・徳川の気持が分かった時、彼の気持や苦しみ、切なさがどどどって一気に伝わってきた。切なかった。
    この本は徳川の視点を分かった上で、もう一度読みたい。

  • 忘れたい黒歴史をつきつけられるような本。
    前半はドロドロした女社会にうんざりしたけど、斜に構えて自分は特別だと信じてる主人公がだんだん現実に染まっていくところがとてもリアルでよかった。読後感もすがすがしい。
    あと欠点がない人がほぼいないところもよかった。(河瀬を除く。たまにいるな、顔が良くて性格もいい男の子‥)
    忘れた頃にまた読みたい。

  •  死に漠然と憧れることって、たしかにある。生命エネルギーがあふれてこぼれそうな中学生のころは特にそうだ。リア充女子の小林アンが、死に憧れたのは、今に危険がないからなんだろうな。命に危険がないからこそ、現実から程遠い死に憧れたりするんだろう。そのことに、アンは気づくべきだと思う。母親のこと、ぼろっかすに言う前に。親いないと、中学生は生きられないのに。ただ、私も中学生のときはアンと似たり寄ったりの考えしかしてなかったから、アンのこと悪くいえない・・・

     「私のこと殺してくれない?」と頼まれた徳川勝利が、「いいの?」と即答したのは驚いた。「本気か?」と思ったけど、本気じゃなかった。徳川くんはアンのこと好きだったのか。普通の男の子だ。表現の仕方が独特なだけの。徳川くん目線で話が進んでいたら全然作風が変わっていたんだろうな。

     女と男はこんなにも違うのか。少女Aと少年Aは、別世界の住人なんだろうなあ。そして、一線を越えられなかった少女と少年は、こうやって大人になっていくんだな。
     かつて私も感じた狂気に、大人になって再会できた気がした。なんだか懐かしくなった。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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