東京ロンダリング

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著者 : 原田ひ香
  • 集英社 (2011年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714111

東京ロンダリングの感想・レビュー・書評

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  • ロンダリングとは元は洗濯する、洗浄する、綺麗にするという意味。ここでのロンダリングは不動産ロンダリングだ。つまり事故物件に雇った誰かを1ヶ月住まわせることにより、その後はその物件を事故物件だと公表しなくても良いという仕組み。この仕組みは以前友人から聞いて知っていたが、それを職業としている人がいるのは本当の話なのかな?
    主人公は自身の不倫により離婚し居場所がなくなった事からロンダリングを始めた女性。作り笑いしかできず、全てに投げやりだった主人公が、少しずつ自分を取り戻していく。その序盤といった感じ。読みやすくて、あっという間に読めた。内容も大きな波はないものの面白かった。原田さんの他の話も読んでみたくなった。

  • 賃貸物件で派手な騒動や死者が出た場合、不動産屋には次の入居者にそこが「事故物件」であることを説明する義務がある。ただし、入居が決まり、誰かが住んでしまえば、次から説明責任はなくなる。不動産価値を下げないため、不動産屋の依頼に従い事故物件に住む仕事が「ロンダリング」だ。自らの不貞で離婚をし、居場所をなくしたりさ子はロンダリングを仕事とし、住まいを転々と変えて生きている。

    感情の起伏を感じさせない彼女が、次第に感情を取り戻していく再生の物語。都会にはいまもどこかにりさ子のようにひっそり、事故物件に移り住むひとがいるのかもしれない。

  • 楽しみにしていましたが、ちょっとどれもこれも中途半端な感じでもったいない~(汗)…と思いました。もう少し長かったら、もっともっと面白かったのに。

    舞台や演劇っぽいと思っていたら、ひ香さんはラジオドラマ大賞を受賞なさっていたのですね。なるほど納得!「はじまらないティータイム」は、あれはラジオでやったらかなり面白いだろうと思った。

    真鍋夫人、うちの親みたいでムカッときてしまいました。作品内に必ず嫌なおばちゃんが出てくるね。

    実際にロンダリングしている人もいるんだろうなぁ…と感心しつつ読了。星は2つですが、ひ香さん好きです♪

  • 原田ひ香さんの作品を読むのは初めてで、この作品もあらすじなどよく知らずに手に取ったのだが、これが予想以上に大当たりだった。東京で何をロンダリングするのかと思ったら、まさか「事故物件」に住むことだったとは。主人公のりさ子はこの「ロンダリング」の仕事を始めて1年。事故物件に住むということの難しさは、たとえ短期間とはいえどれほど大変で、向く人が限られているかは読んでみてよくわかる。次から次へと住まいを変えるということもあり、離婚してすぐこの仕事を始めたりさ子の日々は、生活感がなく無色透明でつかみどころがない。喜怒哀楽といった感情もどこかに置き忘れたかのようだ。一応、「いつもにこやかに愛想よく」はしているのだけど。
    そんな彼女の暮らしは、谷中のロンダリング先の大家の老女と関わり始めたことで大きく変わっていく。この大家(真鍋夫人)、いかにもな下町のばあさんで、りさ子の愛想笑いを看破し、人のテリトリーに容赦なく介入してくる。他人に踏み込まれることが苦手な私も、読んでいて「こりゃ厄介なことになってきた」と鬱陶しくなった。その真鍋夫人のお節介で行きつけの定食屋「富士屋」を手伝うこととなり、富士屋の息子・亮とも親交を深めていく。様々な干渉により、根なし草っぽかったりさ子の日々が彩られていく。ということは…とベタな展開を予想してしまうのだが、後半から事態は急展開する。
    先輩同業者の男性・菅さん(なかなかの不思議キャラ)が失踪し、彼が入居していた都内の高級マンションに突如入ることとなったりさ子だが、このマンションが実に胡散臭い。初めは、ロンダリングとはいえ羨ましい…と一瞬でも思ってしまった私だが、便利さやラグジュアリー感が却って様々な感覚を狂わせてしまうのだとぞっとした。
    思いがけない形でりさ子の離婚の真相も明らかになるのだが、そんないくつものハードルを越えながら彼女が少しずつ逞しくなっていく過程がいい。原田さんはシナリオも書いている方だからか構成も上手く、自分のベタな予想の斜め上をいく着地で、清々しく読めました。「東京で生きていく」ということの一面を垣間見ることが出来たかな。フード描写も秀逸でした。富士屋のこしょう焼き、りさ子発案のナンプラー入り煮玉子、おいしそうだった~。

  • 賃貸住宅のワケあり物件を浄化(ロンダリング)するために、
    一定期間住むお仕事をしているりさ子。
    そうすることで次の住人に、いわくつき物件の説明義務がなくなるらしい。

    そんな空恐ろしいお仕事を、特に不安に思うこともなく
    淡々とこなしているりさ子。
    離婚されて一人になって、感情も失ってしまったのでしょうね。
    深く人と関わることを避け、作り笑いを浮かべて…。

    そんなりさ子が、
    マイペースでずけずけ物を言う、大家の真鍋夫人、
    定食屋「富士屋」の亮とかかわるようになり少しづつ自分を取り戻していく。
    真鍋夫人、苦手なタイプではあるけれど、
    こういうおせっかいも時には必要なのかも。(特に今の世の中)

    そして「富士屋」の定食が、それはもう美味しそうで♪
    亮に相談されて新メニュー作りをするくだりがとても好きです。
    やっぱり人間は”きちんと食事すること”が基本なんですね。

    根無し草のような日々から、立ち直ることができそうで良かったです。

  • 都内の訳あり物件に住むことを仕事にしているりさ子。
    転居を繰り返す生活で、自分自身を見失っていた中、巡ってきた場所で新しい自分の世界を見つけて行くようになる。 


    手に取った著者の作品2作目。
    作風が合うのかな、とっても好きでした。
    淡々と流れていく日々の中、りさ子さんの少しずつ前に進んでいく気持ちが分かるようで、入り込んで読んでいました。

    過去と決別した主人公が、自分を取り戻していく再生の物語をいくつか読んだように思いますが、どれも淡々とした語り口のものがリアリティーがあっていいですね。

    今後、りさ子さんが幸せになれそうだなと思える終わり方に、気持ちよく本を閉じました。

  • 1日でさくっと読めちゃいました。
    不動産ロンダリングって初めて聞いたけど、実際にもある仕事のようです。
    変死や殺人事件が起きた物件は次の入居者に説明責任があるそうですが、不動産屋が用意した人物が入居して一定期間暮せば、その次の入居者には説明する必要がなくなる。

    そうして事故物件も問題なく貸せると。


    りさ子は、不倫の末にバツイチになり、生きることに無関心になっていて、淡々とロンダリングをこなしていた。

    けれど、谷中でロンダリングに入った部屋で出会った真鍋夫人や行きつけの定食屋・富士屋の亮と関わって少しずつ変わっていく。


    生気を取り戻したようになったりさ子だけど、
    急きょ、いわくつきの丸の内スカイガーデンレジデンスに入居することに…


    亮との関係が変わりかけているときだったのに、
    また元の生気のないりさ子に戻ってしまうと
    読みながらハラハラしていたら、また亮の登場!!

    亮と話したことで、
    ロンダリングを消極的に捉えていたりさ子が
    それを自分の仕事として、自分の能力として
    受け入れた上に、自発的に富士屋の手伝いもすると決意する。

    さらに
    ロンダリングの先輩の菅さんの一件を解決したことで、

    りさ子は自信を取り戻したように思えた。


    ロンダリングは浄化という意味だけど、
    いつの間にか、りさ子のことも浄化して再生させてたんだなと感じました。

    清々しいラストでした◎

  • おもしろく、さらっと読めました

    最後が唐突です
    話がつながらない感じ。
    この著者の他の作品を、探して読もうとは思わない。

    こんな職業があるかもしれない。と思いました
    オカルトの話ではなく、ちょっといい話系
    都会に住む人の心得『いつもにこやかに愛想よく、でも深入りはせず、礼儀正しく、清潔で、目立たないように』
    つきあいの浅い方、あまり深入りしたくない方達にはこういう態度を望みます。
    あまりお付き合いをしたくない方に、上記心得でない態度を一方的にとられると、それはストーカーですから。
    ただ、どこかにそうではない人たちがいるという前提で。
    全てが心得のような人たちばかりだと、寂しくなるでしょうね。

  • テーマは面白いのに、展開がみえみえ。なにも考えずに本を読みたいときにはいいかもしれない。

  • 「東京ロンダリング」興味深いアプローチで書かれた物語でした。
    ロンダリングとは”洗浄”とか”浄化”を意味する言葉、不正なお金を公正なお金に替えるマネーロンダリングなどという言葉もありますが本作では賃貸物件のロンダリングのお話です。
    孤独死、変死、自殺者などが出た賃貸物件は法的に次の契約者に詳細な説明が必要となりますが一度、誰かが一定期間、住めばその次からは契約者への説明義務はありません。
    そのロンダリングを行う主人公は夫の離婚陰謀に嵌められバツイチとなり心が折れてしまったまま、ただ生きている「りさ子」です。
    指定された、いわく付き物件に、ただ住み、そして報酬を貰う生活、そんな生活の中で彼女はプロとしてのロンダリングを自覚するようになります。
    物語は単に法的手続き上のロンダリングばかりでなく、りさ子の身辺で起こる騒動の関係者や元夫の陰謀離婚に心を痛めている元義父の心の中までロンダリングがされていく様は、人間の心模様を写しだしたものです。
    大都会東京の街にはこうしたプロの賃貸ロンダリング人がなくてはならない存在かなと思わせてくれる物語でした。

    読後感=世の中には色々な職業があるものです・・・・

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東京ロンダリングの作品紹介

内田りさ子、32歳。わけあって離婚。戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。失意の底、孤独で無気力な毎日を過ごしていた-。移り住む先々で人と出会い、衝突しながら、彼女は何を取り戻したのか。東京再生、人生再生の物語。

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