- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087714111
作品紹介・あらすじ
内田りさ子、32歳。わけあって離婚。戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。失意の底、孤独で無気力な毎日を過ごしていた-。移り住む先々で人と出会い、衝突しながら、彼女は何を取り戻したのか。東京再生、人生再生の物語。
感想・レビュー・書評
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死んだ人の部屋に住むのが彼女の仕事。
すなわち【ロンダリング】である。
内田りさ子、32歳、わけあって離婚。
戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。
自殺であれ孤独死であれ物件で人が死ぬと事故物件だそう。
その部屋を次の住人に貸す際は事故物件であることの
説明が法律で義務付けてあるらしく。
やはり事故物件として紹介すると入居率もさがり
賃料をさげるなどの負の連鎖が始まるので
1ヶ月その事故物件に住み、
いわく物件というレッテルを払拭するというお仕事。
1ヶ月のロンダリングが終わったらまた次の物件に移動するりさ子。
だから近所付き合いなんてしないし、
物品も小さなキャリーに入る分だけ。
りさ子は自分の生活に負い目を感じているけれど不動産会社からは、
あなたは東京を浄化しているんだ、どんな大手不動産会社でもできないことは人の死を防ぐこと、そして人が相手である以上は抗えないということ、手助けをしているのだから胸を張りなさいと。
そうやって色々な人たちと出会い、衝突しながら自分の道を見つけていくストーリー。
200頁もないんだけどすごく深い物語を読んだ気持ち。
大学生のときに住んでたマンションの内装が
タワーマンション並だったのですが
家賃は貧乏アパートレベルでした。
見えない物は怖くない派なんだけど
1日中続く心霊現象に耐えられなくて
半年で引っ越したのを思い出しました(笑)
よく半年もったな私(睡眠も妨害されるほどの現象でした)
あの場所も誰かにロンダリングされてたのかなぁ。
ロンダリングもだけどお祓いも必須なような。。。
この感想で事故物件て打ちすぎて予測変換で事故物件が出てくるのがなんか嫌だわぁ。怖詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
事故物件に住む仕事をしているりさ子の物語
夜なかなか眠れず
パラっと読み始めてみたら
あっという間に読み終わってしまいました
こういう仕事、確かにありそう。。
でもこんなにみんなやれないものなんですかね
いざ住むとなると難しいのかな
ある物件に住むことで
りさ子が少しずつ変わっていきます
変わりはじめたところで物語が終わる感じかな
スカッとしすぎないのが
原田さんらしい気もしますが
なんとなく物足りないような。
さらっと読めてしまったので物足りなかったのかな?
人情っぽい話なのに
なんか薄気味悪い雰囲気があって
不思議な感覚でした
原田さんの作品には
すごく生活力のある人が
結構出てきますよね
(今回は大家さん)
そういう人のことを読むと
自分の生活を見直したり
老いた先の生き方をふと考えたりします
私もずっと働きながら、
楽しみながら生きたいなあ
続編もあったようなので読んでみよー -
内田りさ子32歳。すべてを失い、トランク一つで始めた仕事は、事故物件で暮らすこと。
りさ子は、ロンダリングの仕事を続けるうちに出会った人達との関わりのなかで、自分自身も浄化されていく。
次は必ず幸せに。
続編を早速読んでみます。
それにしてもこの本は2010年に作られています。
本の裏にある著者の紹介写真。
原田ひ香さん、ものすごい美人。
最近雑誌でみた原田ひ香さんと、えらい違うような。
これが一番、心に残りそう -
本書の続編の方、『事故物件、いかがですか?』を先に、今から2ヶ月前に読んでいる。
そこのレビューに「本書を忘れないようになるべく早いうちに『東京ロンダリング』を借りて読まなくては…」と自分が書いているが、ものの見事に忘れている。
谷中の定食屋、高円寺の不動産屋と「まあちゃん」、タワーマンション。
それらの単語をぶつ切りになんとなく思い出せるくらいだ。
本書は短時間で読み終えた。
またすぐに本書の内容も忘れてしまうだろうな。
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ロンダリングとは元は洗濯する、洗浄する、綺麗にするという意味。ここでのロンダリングは不動産ロンダリングだ。つまり事故物件に雇った誰かを1ヶ月住まわせることにより、その後はその物件を事故物件だと公表しなくても良いという仕組み。この仕組みは以前友人から聞いて知っていたが、それを職業としている人がいるのは本当の話なのかな?
主人公は自身の不倫により離婚し居場所がなくなった事からロンダリングを始めた女性。作り笑いしかできず、全てに投げやりだった主人公が、少しずつ自分を取り戻していく。その序盤といった感じ。読みやすくて、あっという間に読めた。内容も大きな波はないものの面白かった。原田さんの他の話も読んでみたくなった。 -
賃貸物件で派手な騒動や死者が出た場合、不動産屋には次の入居者にそこが「事故物件」であることを説明する義務がある。ただし、入居が決まり、誰かが住んでしまえば、次から説明責任はなくなる。不動産価値を下げないため、不動産屋の依頼に従い事故物件に住む仕事が「ロンダリング」だ。自らの不貞で離婚をし、居場所をなくしたりさ子はロンダリングを仕事とし、住まいを転々と変えて生きている。
感情の起伏を感じさせない彼女が、次第に感情を取り戻していく再生の物語。都会にはいまもどこかにりさ子のようにひっそり、事故物件に移り住むひとがいるのかもしれない。 -
所謂事故物件に一定期間誰かが住まう事で、次の居住者には事故につい説明する必要もなく何事もなかったかのように貸し出すことができる。
事故物件に住まい浄化することをロンダリングと呼び、その仕事をしている東京在住の女性のお話。
ロンダリングという設定がもう面白い。
主人公はいたって普通な訳あり女性。
ロンダリングという謎の仕事と、淡々とした女性のリアルな心の声のギャップがいい。
なのにドロドロした感じがない不思議。
原田ひ香さんの本、もっと読みたいです!
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主人公りさ子はわけあって離婚。実家にも帰れず、それでも職を得て生きていかなければならない・・そんなとき出会った職が「ロンダリング」。生きていくために必要な職だが、どうもりさ子には生気が感じられない。それを見とがめたのがお節介なあの大家さん。りさ子にとって、いい出会いがあってよかった。
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設定がとても面白い。キツく辛い話なのかと読み始めたのだが、ハートフルな話だった。ラストの出来事がエンタメ性が強く、そこが残念だった。
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原田ひ香さんの作品を読むのは初めてで、この作品もあらすじなどよく知らずに手に取ったのだが、これが予想以上に大当たりだった。東京で何をロンダリングするのかと思ったら、まさか「事故物件」に住むことだったとは。主人公のりさ子はこの「ロンダリング」の仕事を始めて1年。事故物件に住むということの難しさは、たとえ短期間とはいえどれほど大変で、向く人が限られているかは読んでみてよくわかる。次から次へと住まいを変えるということもあり、離婚してすぐこの仕事を始めたりさ子の日々は、生活感がなく無色透明でつかみどころがない。喜怒哀楽といった感情もどこかに置き忘れたかのようだ。一応、「いつもにこやかに愛想よく」はしているのだけど。
そんな彼女の暮らしは、谷中のロンダリング先の大家の老女と関わり始めたことで大きく変わっていく。この大家(真鍋夫人)、いかにもな下町のばあさんで、りさ子の愛想笑いを看破し、人のテリトリーに容赦なく介入してくる。他人に踏み込まれることが苦手な私も、読んでいて「こりゃ厄介なことになってきた」と鬱陶しくなった。その真鍋夫人のお節介で行きつけの定食屋「富士屋」を手伝うこととなり、富士屋の息子・亮とも親交を深めていく。様々な干渉により、根なし草っぽかったりさ子の日々が彩られていく。ということは…とベタな展開を予想してしまうのだが、後半から事態は急展開する。
先輩同業者の男性・菅さん(なかなかの不思議キャラ)が失踪し、彼が入居していた都内の高級マンションに突如入ることとなったりさ子だが、このマンションが実に胡散臭い。初めは、ロンダリングとはいえ羨ましい…と一瞬でも思ってしまった私だが、便利さやラグジュアリー感が却って様々な感覚を狂わせてしまうのだとぞっとした。
思いがけない形でりさ子の離婚の真相も明らかになるのだが、そんないくつものハードルを越えながら彼女が少しずつ逞しくなっていく過程がいい。原田さんはシナリオも書いている方だからか構成も上手く、自分のベタな予想の斜め上をいく着地で、清々しく読めました。「東京で生きていく」ということの一面を垣間見ることが出来たかな。フード描写も秀逸でした。富士屋のこしょう焼き、りさ子発案のナンプラー入り煮玉子、おいしそうだった~。