少女は卒業しない

著者 :
  • 集英社
3.76
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本棚登録 : 2246
感想 : 380
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  • / ISBN・EAN: 9784087714425

作品紹介・あらすじ

今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと-。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望-。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • はい!青春!

    ものすごい青春!

    むちゃくちゃ青春!

    これ読んで思いました

    もう一度、高校生に戻りたい
    もう一度、卒業式をしたい

    高校の卒業式、ふつうは3月のはじめに行われる
    しかし、とある高校は3月25日が卒業式
    それは廃校が決まった高校だから
    全校生徒のアンケートの結果、取り壊し工事が始まる前日の3月25日に卒業式が行われることに決まった
    在校生も卒業生といっしょに、この高校に別れを告げる
    舞台はいろいろなさよならと旅立ちが詰め込まれた最後の卒業式の一日

    大好きな先生との別れ

    退学してしまった長馴染と迎える卒業式

    卒業する先輩へ送辞で贈る愛の告白

    卒業後、別々の道へ進む大好きな彼に告げる別れの告白

    ただひとり心を許せる親友との別れ

    彼女たちにとっては今までで一番大きな、大切な、忘れることのできない一日だろう

    いや〜、素敵!
    若いっていいなぁ!
    私も卒業式のあの日を思い出しましたよ!
    おっさんの青春時代には興味がないと思うので語りませんが…w

    • 1Q84O1さん
      かなさん、おっさんの青春の1ページですか〜w
      恥ずかしいなぁ…(/ω・\)キャッ♡

      渡り廊下から見るあの子の姿…
      放課後の教室…
      部活終わ...
      かなさん、おっさんの青春の1ページですか〜w
      恥ずかしいなぁ…(/ω・\)キャッ♡

      渡り廊下から見るあの子の姿…
      放課後の教室…
      部活終わりの校門で…

      やっべ〜、マジで恥ずかしくなってきました!!!
      青春から逃げろ〜ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      2023/10/08
    • なおなおさん
      おっさんの青春の1ページ、読んじゃいました。
      素敵です。目に浮かぶよう…( ⸝⸝っ·̫ •⸝⸝ )ハズカシ
      1Qさん、詩を書いてみたら?才...
      おっさんの青春の1ページ、読んじゃいました。
      素敵です。目に浮かぶよう…( ⸝⸝っ·̫ •⸝⸝ )ハズカシ
      1Qさん、詩を書いてみたら?才能アリかも。
      2023/10/08
    • 1Q84O1さん
      なおなおさん、なんてことを言い出すんですか!?
      詩ですって?
      恥ずかしい〜Σ(´∀`;)
      私を誰だか知ってますよね…
      絵心なし、字が汚い、音...
      なおなおさん、なんてことを言い出すんですか!?
      詩ですって?
      恥ずかしい〜Σ(´∀`;)
      私を誰だか知ってますよね…
      絵心なし、字が汚い、音痴な私ですよ!w
      ハードルが高すぎます!w
      2023/10/08
  • 遠く離れて学生時代を
    振り返ると、

    何もかもまばゆい光に
    包まれているけれど、

    孤独や不安を感じたり
    ときに過ちを犯したり、

    昏い影に覆われた事も
    たくさんあったことを、

    いまなおそれらが自分
    のなかに沈殿している
    ことを、

    今更ながらに思い出し
    ました。

    気づけば友達はみんな
    ばらばら。

    幸せな思い出も断片化
    してばらばら・・・

    ひさしぶりに寝転んで
    空を眺めたいな。

    大空に向き合って風に
    ふかれながら、

    忘れかけた友達の笑顔
    を思い出して、

    ばらばらな記憶の欠片
    をつなぎ合わせて、

    自分の来歴を確かめる。

    そんな時間を持てたら
    いいな。

  • “伸ばした小指のつめはきっと、春のさきっぽにもうすぐ届く。”
    最初の一文を読んだ瞬間から「ああ、これ好きだ」と思った。

    廃校が決まった高校の卒業式の日を描く連作短編集。
    7つの短編は主人公こそ違うのだけど、友達だったり後輩だったり、ちらっと出る人が共通していたりと少しずつ重なっている。時系列も重なりながら順に並んでいる。
    この重なり具合が絶妙で巧い。
    そしてどのお話も、冒頭の文章のようにみずみずしい言葉できらきら彩られている。
    朝井さんは「みずみずしい」と褒められることにとまどいがあると何かで読んだことがある。けれど、「みずみずしい」と言わずにはいられない数々の比喩たち。
    「みずみずしい」以外の言葉でどう表現すればいいのか、そのみずみずしい表現でもって教えてください朝井さん、ってくらいみずみずしいです(笑)※くどくてすみません(^^;)

    絞らずとも本を持ち上げただけで、きらきらぱたぱたと滴りそう。
    滴ってくるのは何だろう……青春の汗と涙?いやそんな(精神的に)ウエットな感じではなくて、フルーティなフレーバーウォーターみたいな。爽やかで甘く、時に酸っぱい。
    なんといっても“いちいちきゅんとしてやらないぞ、とあたしは心に決めていた。”(P228)という心持で読んでいた青春から遠く離れた私が、いちいちきゅんとするのだ。

    いつもより30分早く登校する作田さん。卒業前に先生に本を返すために。先生から卒業するために。「エンドロールが始まる」
    卒業式の後の恒例ライブ。宝物を自分だけのものと隠しておきたい神田さんと、みんなに知ってもらいたいと思う氷川さん。そしてヴィジュアル系の彼とビートルズ。「四拍子をもう一度」
    深夜、こっそり忍び込む最後の学校。思い出の教室。まなみと駿。駿と香川。香川とまなみ。夜が明けたら、きっともう一人で平気。「夜明けの中心」
    この3編が特に好きです。

    「スペードの3」で朝井さんの等身大の物語を読んでみなきゃ、と書いたところおススメしていただきました。
    新しくお仲間に加えてくださった朝井さんファンのブク友さま、いつもきりっと素敵なレビューのブク友さま、お名前だけでしたが現在お休みなさっている尊敬するブク友さま、おススメありがとうございました♪

    • 九月猫さん
      koshoujiさん、こんばんは♪

      おススメありがとうございました!
      みずみずしさと甘酸っぱさを堪能させていただきました(*´ω`*...
      koshoujiさん、こんばんは♪

      おススメありがとうございました!
      みずみずしさと甘酸っぱさを堪能させていただきました(*´ω`*)
      koshoujiさんのコメントを読み、早速、「もういちど生まれる」のレビューを
      ネタバレ被弾しないように薄目でざくっと見てきました(笑)
      「少女は・・・」と同じく連作短編集なんですね。
      実は私も長編の方が好きなのですけれど、連作短編集は大好きです。
      こちらも読みたいリストに書き加えなければー!
      次はvilureefさんへのお返事にも書きましたが、「桐島」予定です。
      楽しみが増えました♪ありがとうございます♪

      んで、ですね。
      >朝井君からみずみずしさが失われてダークサイドだけ残ったら
      こーれーはー・・・本当に、恐ろしい(笑)
      そんな日が来ませんように(^▽^;)
      2014/06/04
    • フーミンさん
      九月猫さん、はじめまして。
      フォローに花丸にコメントありがとうございます。とても嬉しいです♪
      ほんと、朝井リョウさんは言葉のひとつひとつ...
      九月猫さん、はじめまして。
      フォローに花丸にコメントありがとうございます。とても嬉しいです♪
      ほんと、朝井リョウさんは言葉のひとつひとつがとても素敵なんですよね。私もまだ3作品しか読んでませんが、すっかり彼に魅了されてます。ひねくれて言ってしまえば若造相手に何ときめいてるんだー!って悔しくもあります。笑。
      九月猫さんもとても素敵な表現で感想を述べてらっしゃるので、ただただ感動しております。
      これからも宜しくお願いしますね☆
      2014/06/05
    • 九月猫さん
      フーミンさん、こんばんは♪

      わっ、わざわざこちらの本棚までいらしてくださって、ありがとうございます!
      しかも拙いレビューまで褒めてく...
      フーミンさん、こんばんは♪

      わっ、わざわざこちらの本棚までいらしてくださって、ありがとうございます!
      しかも拙いレビューまで褒めてくださって、ありがたいやら照れくさいやら(*'ω'*)

      作品は違えど、朝井さん作品の読了数、同じです。
      これから読んでいく楽しみを共有できるようで、なんだかうれしくなりました☆
      一緒に、若造相手にときめいていきましょう(笑)

      あらためまして、こちらこそよろしくお願いします(*^-^*)
      2014/06/05
  • 「桐島、部活やめるってよ」の少女版!
    瑞々しい青春が詰まった群像劇で一気読み。
    爆笑必至のエッセイを書く朝井さんからは想像できないほどの甘酸っぱさで、そのギャップがとても良い!

  • 初朝井作品。
    どれもこれも予約がいっぱいでなかなか借りられず、遅まきながらやっと手にとった。

    いや〜、いい!青春だなぁ。
    透明感があってみずみずしくて切なくて・・・。
    おばさんこんなの読んだら若返っちゃう(←勘違い!?)
    自分と比較するのもなんだけど、こんな絵に描いたような高校生活送ってこなかったから何とも羨ましい。
    もう読んでるだけで擬似学園生活を満喫。
    あの頃の自分に勉強ばっかりしてるんじゃない!!と喝をいれてやりたい(笑)
    進路間違えたよ。

    私も相当ひねくれてるけど、こう言う小説書く作家って絶対優等生!って思ったら、やっぱり早稲田か〜。
    まさしくそんな匂いがするよ、うんうんと一人で納得。
    私だけか?こんなこと思うの・・・。

    いや、でも他の作品全部読みます。
    間違いないです、朝井さんは。

    • vilureefさん
      まろんさん、こんにちは♩

      おっと早くも全作制覇ですか!さすがです(o^^o)
      朝井さんならまだ頑張れば追いつけますね。
      図書館に蔵書がない...
      まろんさん、こんにちは♩

      おっと早くも全作制覇ですか!さすがです(o^^o)
      朝井さんならまだ頑張れば追いつけますね。
      図書館に蔵書がない作品もありそうですが、私も頑張ります(^_-)

      なるほど、エッセイだと朝井さんの別の面も垣間見れるのですね。いずれ読んでみますね。
      フフフ、楽しみです♩
      2013/05/05
    • nobo0803さん
      viluleefさん、こんにちは♫

      この作品、本当に若返った気分になりますよね。
      そして、羨ましくて自分もなんで、高校生活もっとたのしまな...
      viluleefさん、こんにちは♫

      この作品、本当に若返った気分になりますよね。
      そして、羨ましくて自分もなんで、高校生活もっとたのしまなかったのかなぁ・・とちょっぴり後悔もして。

      私も朝井さん制覇に頑張ってます。残り2冊ですが、なかなかまわってこないので、気長に待ってます!(^^)!

      まろんさんも、お勧めしているエッセイ、ぜひぜひ読んでみてください。朝井さんってこんな人??と小説とは違った一面がみれます(*^^*)
      2013/05/05
    • vilureefさん
      nobo0803さん、こんばんは。

      いや~、人気ありますね朝井さん!
      まだ一冊しか読んでないので分かりませんが、若さが溢れていてその若さゆ...
      nobo0803さん、こんばんは。

      いや~、人気ありますね朝井さん!
      まだ一冊しか読んでないので分かりませんが、若さが溢れていてその若さゆえのまっすぐさがおばさん心(?)を刺激しちゃうんでしょうね(笑)

      分かりました、エッセイですね。
      お二方にお勧めされたとあっては読まずにはいられません♪
      私も朝井リョウ制覇がんばるぞ~!!
      2013/05/05
  • 朝井リョウくん、初めて読みきった。
    実はしばらく前に「もう一度生まれる」を図書館で借りたとき、
    1つ目の話を読んだところで進まなくなり、期限切れで返却したのだった。
    20代の司書さんから、
    「うーん、朝井さん、高校生や大学生の世代の人たちにはずいぶん共感を得ていて、
    人気なんですけどね・・・。」
    と残念そうに言われて、
    あらら、高校生からかなり時間が経ってしまった私にはキビシイのかな?と思いつつも、
    今度こそ!と手に取ってみた。

    「もう一度生まれる」もそうだったけれど、タイトルと表紙に惹かれる。
    前を一心に見つめ、自分の意志で選んで進んでいく女の子を想像させた。


    廃校が決まった高校の卒業式の日に起こる7つの物語。


    大勢に流されたり、その中にいっそ飛び込んでしまった方が楽な時もありそうなものだけれど、特有の「潔さ」と「青さ」を持った少女たち。
    恋心や後悔、今まで言えなかったことに向き合い、節目となる1日に足あとを残す。
    普段なら見逃してしまいそうな些細なことがらも一つひとつ掬いあげて、
    きらきらと光の中に浮かび上がらせる。
    そんな描写が、同世代の人たちの気分を表しているのだろう。

    一番印象に残ったのは、「四拍子をもう一度」
    好きな男の子の一番魅力的なところを、みんなに知ってもらいたいと考える女の子と
    自分だけが知っている秘密にしておきたい女の子。

    正直なところ、私は後者でしたね。
    特に「一見・・・なんだけれど、実はこんなに・・・なんだよ!」みたいなのが、
    かなり好きだったのを思い出した。
    今は、むしろミーハーに「あの人のこんな素敵なところを最初に見つけたのは私!」と
    おしゃべりする方が楽しいのは、「恋」から遠く離れた証拠でしょう。

    そして、第6話に登場する"The long and winding road"
    めちゃくちゃ懐かしい。
    高2の文化祭でクラスで映画(ビデオ)を撮ったときのBGM。
    結局大成功と言えない結果になったことを思い出し、ちくんと胸の奥が痛む。

    甘美でほろ苦い。
    涙を流しても、優しい風が吹いて頬を乾かす。
    まっすぐすぎて、咽喉の奥がひりひりする。
    照れくさく苦笑いする。

    高校という閉じられた世界の中に存在する、
    そこでしか味わえない気持ちや情景を切り取って表現するのが上手い人だなと思った。
    自分自身が全く同じ気持ちを持てなくても、
    たぶん同じ空間の誰かが感じていただろうと想像できる。
    空気が伝わってくる1冊だった。

  • 若いってすごい!びっくりです。

    『チア男子!!』が、面白いけど整理されてない印象で
    「まだ若いんだし、がんばって♪」と勝手に応援している気分でいたので
    この短期間での急成長ぶりに「ゴメンナサイ!」と平身低頭したくなってしまった。。。

    作者が伏せられていたら、女性作家が書いたに違いないと思わせるほど
    リリカルな文章に、宝石のような比喩。
    若い作家さんだからこその、今しかできない
    細胞の奥から湧き上がるような身体的感覚を反映させた表現を、
    高みから俯瞰してコントロールする冷静さもあって。

    統廃合で明日には取り壊される高校で行われる、最後の卒業式。
    その早朝から深夜、翌日の夜明けを迎えるまでの一日が
    7人の少女の目線で描かれます。

    憧れの先生にいつまでも返したくなかった本。
    ショートヘアを焦って伸ばし、どうしても左側に結ばなければいけなかったシュシュ。
    はみだしてしまいたくて、殻を破ってみたくて、やっと最後にサボった卒業式。
    憧れの先輩に勉強を教えてほしくて、頼み込んで順位表から削除してもらう名前。
    恋する相手の綺麗な歌声を、みんなに聴かせたい彼女と、秘密にしておきたい私。
    「化けてまで会いたい人がいるって、素敵なことじゃないのかな」とつぶやきながら
    彼のなごりを探して歩き回る、真夜中の学校。

    明日には学校を去る少女たちの想いをしなやかに掬い取る手腕にため息が洩れます。

    ソルフェージュやら和声の作曲やら論文やら、大学入試が5次試験まであって
    北海道にとんぼ返りできず、卒業式に出られなかった私も
    (何十年ものブランクは、おこがましくも置いておくとして)
    一緒に卒業式の一日を過ごしている気持ちにしてくれた
    切なく、みずみずしい短編集でした。

    • まろんさん
      砂に水が滲み込むように、今の空気をいっぱいに吸い込んで
      めざましい成長を遂げている作家さんだと思います!
      この本があまりに良かったので、次は...
      砂に水が滲み込むように、今の空気をいっぱいに吸い込んで
      めざましい成長を遂げている作家さんだと思います!
      この本があまりに良かったので、次はエッセイを読んでみようと思って
      早速図書館に予約したところです♪
      この本がまだ2冊目なので、あこさんが読まれた作品でおすすめのものがあったら
      ぜひ教えてくださいね(*'-')フフ♪
      2012/11/07
    • macamiさん
      五次試験までとは!お、お疲れさまでした・・・
      その部分に一番目を奪われた私です。

      急成長、わたしも同じことを思いました。
      そこに目がとまっ...
      五次試験までとは!お、お疲れさまでした・・・
      その部分に一番目を奪われた私です。

      急成長、わたしも同じことを思いました。
      そこに目がとまったはじめでしたが
      五次試験で、しばらくどこかへいきました。(笑)
      2013/02/14
    • まろんさん
      macamiさん☆

      無駄に長かった入試を思い出すと、今でもきー!と叫びたくなります(笑)

      私の出身高校は、もともと制服があったのを、昔々...
      macamiさん☆

      無駄に長かった入試を思い出すと、今でもきー!と叫びたくなります(笑)

      私の出身高校は、もともと制服があったのを、昔々の先輩たちが学校側との戦いの末
      私服登校を勝ち取った学校だったので、卒業式には
      部活のユニフォーム姿やら、意味不明のコスプレやら
      カラフルな姿が乱舞する、とても楽しい卒業式で有名だったのです。
      ああ、参加したかったなあ。。。

      それはともかく、朝井リョウさん、書くごとに急成長する凄い作家さんですよね(*'-')フフ♪
      2013/02/15
  • 7人の少女が卒業式を迎え、それぞれの大切な人との別れが書かれている。
    前回読んだ「チア男子」とは違って、すごく瑞々しくて、キラキラしている本でした。
    男の視点で書かれているのと、女の視点で書かれているのとで、
    こうも表現が違うのか!!と一緒の作家さんよね??と、読みながら作者名を確認してしまいました・・。

    自分が高校卒業するときって、こんなにキラキラしてたかなぁ・・と
    この本に出てくる少女たちが羨ましく思いました。

    • まろんさん
      noboさん、こんにちは!

      読んでいるだけで枯れたお肌も甦りそうな、みずみずしい物語ですよね。
      私も朝井さんは『チア男子』から読んだので、...
      noboさん、こんにちは!

      読んでいるだけで枯れたお肌も甦りそうな、みずみずしい物語ですよね。
      私も朝井さんは『チア男子』から読んだので、別人としか思えない筆致に驚きました。
      宝箱にしまっておきたいような、きれいな比喩がいっぱいで、大好きな本です♪
      2013/04/16
  • 冬の終わりとも春の始まりともつかない時期、三月の終わり。
    凛として冷たく、それでいて柔らかさもある風がすうっと肌を撫でていく。
    切ない卒業式のそんな空気感を持った、爽やかで瑞々しい作品集。

    作者である朝井リョウ君の感性と才能はなかなかなものではないかと。
    ふーむ。最近の「都の西北」の学生にも、見所のある若者がいるのだなあと。
    それにしても、某映画配給会社に就職して、今後作家活動などできるのだろうか。
    それが、少し心配ですが。

    ふんわり浮かんだ大きなシャボン玉
    耳を澄ませば聞こえる川のせせらぎの音
    ツンと鼻の奥をくすぐる樹木の緑の香り
    目に飛び込んでくる透き通るような青い空
    日の差し込む窓から見える風景
    角がまるくなった消しゴム
    0.5mmのシャープペン
    カッターの傷跡の残った机
    あの子の座っていた木製椅子
    赤ペンで滲んだ答案用紙

    傘置き場に忘れさられた一本の傘
    蝶番の壊れた下駄箱
    体育館の床に貼られた白いテープ
    自分の背より低くなった演壇
    風になびく体育館の暗幕
    誰もいなくなった教室
    砂煙の舞いあがるグラウンド
    文化祭で使われた古いパイプ椅子
    卒業生の書いた壁画

    たいせつな仲間たち
    そして、それらすべてに決別する卒業式

    いくつになっても、いつになっても、ずっとずっと忘れないだろうたくさんの思い出

    瞼の裏に浮かぶ涙は何ゆえか。
    ああ、やはりあれは間違いなく青春という言葉だったなあと。
    青春というかけがえのない時期だったなあと。
    決して忘れてはいけない真っ直ぐな心だったのだと。

    いかにも生の、今そこにいる高校生の息遣いが聞こえてくるような透明感。
    好きでした、と秘かに憧れていた先生へ、心の中にだけ聞こえるように呟く別れの言葉。
    これからの路は別れ別れになる二人の屋上での切ない会話。
    在校生代表の送辞の中で先輩への思いを敢えて告白する二年生女子。

    別れ、そして旅立ち。
    でも、少女たちは卒業しない。

    七本の絡まりあった短編すべてが、切なく胸に響いてくる作品でした。
    ああ、こんな時代が自分にもあったのだなあ、と遥か昔を思い起こさせてくれるような。

    この年になっても、こういう作品を読むと昔の自分を思い出して胸が熱くなる。
    アルバムを見て呟く。好きだったんだ、君のことが、と。
    私も、まだ卒業できていない。

    • まろんさん
      ため息が出るほど素敵な短編集でした!
      比喩の美しさ、みずみずしく繊細な表現、
      卒業式の一日を早朝から深夜まで、別々の視点で切り取る構成、と
      ...
      ため息が出るほど素敵な短編集でした!
      比喩の美しさ、みずみずしく繊細な表現、
      卒業式の一日を早朝から深夜まで、別々の視点で切り取る構成、と
      なにもかもすばらしくて、朝井リョウさんを見直すきっかけとなった作品です♪
      koshoujiさんも好きになってくださったことが、とてもうれしいです。
      2012/12/29
    • koshoujiさん
      まろん様。コメントありがとうございます。
      この作品、よかったですねえ……。
      胸がキュンキュンしちゃいました(笑)。
      それと、おっしゃる...
      まろん様。コメントありがとうございます。
      この作品、よかったですねえ……。
      胸がキュンキュンしちゃいました(笑)。
      それと、おっしゃるとおり、比喩の美しさが。
      綿矢りささんの比喩とは、また違った美しさでした。
      朝井リョウ君、只者ではないな、と。
      デビュー作「桐島、部活やめるってよ」を始め、ほかの作品も読みたいと思いました。
      2012/12/29
  • 桐島を読んだ時も思ったけど、朝井さんが書く学生たちにはスクールカーストがまとわりついてると思う。

    学校が舞台になると、どうしてもカースト上位の子が主役な物語になりがちで、クラスで目立たないグループの子は脇役扱いなことが多いと思う。
    ただ、この本にはカースト上位の子のストーリーはなかった気がして。
    誰しも自分が主役の毎日を生きてるって、そんな当たり前なことにスポットライトを当ててくれる短編集でした。高校生という時間軸だからこそ、卒業式の1日に起こったこと、そこに込められた感情がより鮮やかなんだと思う。それを丁寧に書き上げる朝井さんがやっぱりすごい。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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