旅屋おかえり

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714463

感想・レビュー・書評

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  • ドラマ化されたのを機に読んでみた。ドラマとは少し設定が違っていたが個人的にはこちらの方が好きだった。

    売れないタレント・丘えりか、通称「おかえり」唯一のレギュラー番組『ちょびっ旅』が打ち切られたタイミングで舞い込んだ不思議な依頼。
    難病で入院中の娘に代わって旅をしてくれないか…『旅屋おかえり』の誕生だ。

    数年前に様々な理由で旅が出来ない依頼人に代わってぬいぐるみを預かって、ぬいぐるみの目線で旅の様子を録画して依頼人に送るサービスが紹介されていたのを思い出した。
    だがおかえりの『旅屋』は単に依頼人代わりに旅行を楽しむという気楽なものではない。
    最初の依頼は依頼人の娘・鵜野真与が入院前に家族でした旅のあまりに苦い記憶を払拭すると共にそれ以来ギクシャクしている真与と父親の関係を取り戻すこと、さらに出来れば真与が前向きになれるような、そんな旅にしたいのだ。

    大変なミッションだが、おかえりは自分で言うように周囲の人々や旅先で出会う人々に恵まれている。長年旅番組をやって来たという経験値だけではこんなに温かな旅の映像は出来ない。

    おかえりは北海道礼文島で高校まで過ごしてから東京に出てきた。その直前に父親を亡くしたおかえりにとって事務所の萬鉄壁社長は父親のようなものかも知れない。
    副社長の元セクシーアイドル・澄川のんのも、『ちょびっ旅』の市川ディレクターやスタッフたちも番組が打ち切られても『旅屋』に協力してくれて、家族のように温かい。

    ところが後半の『旅屋』の依頼は厄介だ。依頼人は『ちょびっ旅』の元スポンサー〈江戸ソース〉の江田会長で、彼女が幼い頃に生き別れた妹の一人娘、つまり姪の元に行って共に妹の墓参りをしてほしい、墓前に供えて欲しいと袱紗を託されるというプライベートに踏み込んだ内容。
    そのミッションをクリアすれば『ちょびっ旅』を復活させるとの言葉に沸き立つおかえりや萬社長たちだが、江田会長が訪ねて欲しいという姪の名前を聞いた途端に萬社長や市川ディレクターらが顔色を変える。

    こちらの話は最初の依頼以上に家族関係に踏み込んだ話だった。おかえりのキャラクター通り真っ直ぐに姪・国沢真理子にぶつかるのだが、見事玉砕。さらには萬社長まで行方不明になってしまう。
    長年拗れた関係を修復するのは難しい。家族(元も含めて)なら尚更のこと。そこをおかえりがどう繋ぐのかと思っていたが、おかえりが何かをしたというよりはタイミング良く彼女が現れたという印象。
    ただおかえりの年齢といいキャラクターといい、真理子や萬社長にとって良い出会いだったということだろう。

    旅に直接行けなくても『美しい風景を、とびきりの笑顔を、きらきらした思い出を』届けてくれるおかえりの旅。
    おかえり自身も『おかえり』が聞きたくて旅をしている。『おかえり』と言ってくれる人がいる。そのありがたさを感じるために旅をしているのかも知れない。
    旅と『おかえり』。反対のようで繋がっている、良いタイトルだ。

  • まっすぐで情が深い旅屋おかえりさんが、大きな辛さを抱えた人々に旅がもたらす感動を与え、壊れかけた絆を取り戻してくれる経過に、胸が熱くなった。おかえりさんを取り巻く仲間たちもとても心が温かく、読んでいて優しい気持ちになれる作品だった。

  • 「 旅屋 おかえり 」なんて、タイトルがしゃれている
    「旅をしたい誰か」 に代わって旅する『旅屋 」なんて、仕事があったんだ!
    そして『おかえり 』とは、旅から帰った人を温かく迎えているのかと思ったら、もちろんその意味も兼ねているのだが、旅人丘えりかこと、おかえりだったのだ
    上手いこと言うなと唸ってしまった

    旅人おかえりがあった旅先で会った人は、
    いろんな事情を抱えた旅人を無条件に温かく迎え入れてくれる
    玉肌温泉の三代目湯守の玉田大志さんと子どもたち、そして大ばあちゃん
    大洲和紙工房のヤンさんと千絵子さん等々

    旅の成果物として差し出された袱紗の中には、和紙の一筆箋に書かれた手紙が・・・
    「 悦子おばさまへ
    旅をなさいませんか。私の母と娘がやすらかに眠る場     
     所へ。
    新しい人生を歩み始めた私と、ご一緒に。 真理子 」

    私も久しぶりに旅に出たくなった

  • おかえりさんが、いつも故郷のお母さんを想いながら旅しているのが良いですね。
    礼文島にみんなで旅して欲しいと思いました。

  • ハッピーエンドへどんどん向かっていく感じが堪らなく良い
    旅したくなった〜〜〜〜〜

  • 大好きな原田マハさんの作品。
    サラサラ~と読めて、楽しめるのですが、原田マハさんの作品にはどうしても【楽園のカンヴァス】のようなものを期待してしまって・・・

  • 旅は自分で行って何かを感じる事ができるし、テレビや雑誌などを通し、そこへ行った気分になれる。旅先で出会った人たちの心の温かさや美味しい食べ物がこの本ではてんこ盛りに書かれている。いってきます、おかえり、の言葉が成立して旅は完結し、また新たな旅に出る事ができる。旅は人の心を豊かにし、いいものだなぁ、と。

  • 今週、東京へプチ出張ですw

    ってな事で原田マハの『旅屋おかえり』

    こんな職業有れば憧れるなぁw

    まあ、ある意味旅屋みたいな事しとるけど(笑)

    落ちぶれた元アイドルの丘えりかは、小さな芸能事務所よろずやプロの唯一のタレント。

    丘えりかの唯一のレギュラー番組は旅番組の『ちょびっ旅』しか無かったのだが、スポンサーを激怒させるミスをしてしまいちょびっ旅も打ち切りに…。

    そこから色んな人との出逢い等から、新たな『旅屋』を開業。

    旅屋の仕事とは色んな事情があって旅ができない人の代わりに旅する仕事。

    夢みたいな仕事じゃけど、依頼主に感動を与える仕事にw

    まあ、ええ話じゃけど、ちょっと無理が有るかなw

    2016年6冊目

  • 私も旅行がしたいなぁ
    go to travel

  • 思ってたよりドタバタだなぁ

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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