- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087714906
作品紹介・あらすじ
外国との戦争、反革命の反乱、革命裁判所の設置。ダントンへの嫌疑とマラの逮捕。二大派閥、全面戦争へ。ロベスピエール暴走の萌芽。
感想・レビュー・書評
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この間での主人公は政治新聞「デュシェーヌ親父」を発刊したジャック・ルネ・エベール、この小背うtの中では非常に粗野な言葉遣いの人物として描かれている(ウィキペディアによると、実際に卑語を駆使して政敵を攻撃したらしい)。それまで幅を利かせていたジロンド派に対抗してパリの民衆を扇動して蜂起させた人物。ジャコバン派の独裁政治が始まろうかというあたりまでが描かれている。
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エベールを通しての展開。皆、少しずつ自分の思いとは違う方向へ流れて行く。サン・キュロットの勢いに流されて行く。高邁な理想も大切だろうが、毎日の生活が革命の原動力!というかとでしょうか。
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語り手が下品になった…革命の主導権がサン・キュロットら大衆の手に渡ったということか。その語り手、第9巻で初登場のエベールは、大衆紙の発行人でパリ市の第2助役とそれなりのご身分なんだけど口を開くと下ネタばかりで読みにくくて、結局2回読む羽目になったよ…。時期はルイ16世処刑後の1793年1月21日以降5月31日のパリ蜂起まで。国王処刑におののいた諸国との戦争に、徴兵に抵抗する地方の農民と王党派が手を組んだ内乱が同時多発。ここに来て急進的なパリと地方との温度差が分かってきた。パリの自治委員会というのが火薬庫に当たるんだな。ロベスピエールも彼らを使って蜂起をけしかけたわけだし。そうしたパリの興奮した危ない空気をいち早く感じたロラン夫人は議会の移転で正常化を目論むが(敏感だし聡明)、ジロンド派の男どもは鈍い…政争ばかりだ。
デムーランは子供が出来て「保守」になった。この場合の保守はより革命を守ろうとするという意味で、我が子の未来を守る男というのは強い。デムーランこそが革命の本質を表していると感じる。
ダントンはさすがセンスがある政治家で、大局観もある。革命を守るのではなく、生まれ変わったフランスが壊れないように気を配るも思うようにはいかない。ミラボーの後を継ぐのはこの人だったと思うが…。終章のロベスピエールとの会話が美しくも悲しい。勢いのあるダントンは好きなタイプでなかったけど、人間としてできてる人。じわじわと惹かれていく。
ロベスピエール、彼は残念だ、言葉がスッキリして変なけれんがないのでとても聴きやすいが、ジロンド派の恨みが前に出過ぎて、それが大衆の恨みとシンクロしてしまった。純粋であまり周囲を見てないし、相手を完膚なきまで叩きのめす性格だし、ここまで読んできても尊敬できないし共感もできないのが残念だ。 -
ジャコバン・クラブはブルジョワに支持されるジロンド派と市民側のジャコバン派に分裂する。ジロンド派はジャコバン派の中心人物マラーを告訴するも裁判で敗訴。それをきっかけにジャコバン派、ロベスピエールはジロンド派を憎悪する。
という議会内対立が本巻のメインストリームだが、作者はエベールというゴシップ雑誌の編集者をクローズアップ。マラーをアイドル視する彼に下ネタを連発させながら、国王が処刑され、恐怖政治直前の不穏なフランス社会をコメディチックに描く。
あまりのエベールの能天気っぷりに比較され、ロベスピエールの激しい感情が印象に残る。 -
エベールの文体や、マラの口語が障害となって、読み進めにくかった。
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どんどん混乱していく。何もできない人は自分の優位な立場を求めてはいけない。
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いよいよ物語も佳境に入ってきた感じです。最近の数巻ではロベスピエールの存在感が薄かったのですが、この巻からまた前面に出てきたような感じです。
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ジャコバン派とジロンド派の泥試合はパリ市の蜂起で一挙にジャコバン独裁へと。優柔不断というか芯の座らない人物として描かれているロベスピエールが冷酷な独裁者へと向かうことになる歴史の流れ勢いを、著者は書きたかったんだろうなぁ。