ジヴェルニーの食卓

著者 :
  • 集英社
3.80
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感想 : 465
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715057

作品紹介・あらすじ

「この世に生を受けたすべてのものが放つ喜びを愛する人間。それが、アンリ・マティスという芸術家なのです」(うつくしい墓)。「これを、次の印象派展に?」ドガは黙ってうなずいた。「闘いなんだよ。私の。――そして、あの子の」(エトワール)。「ポール・セザンヌは誰にも似ていない。ほんとうに特別なんです。いつか必ず、世間が彼に追いつく日がくる」(タンギー爺さん)。「太陽が、この世界を照らし続ける限り。モネという画家は、描き続けるはずだ。呼吸し、命に満ちあふれる風景を」(ジヴェルニーの食卓)。モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、珠玉のアートストーリー四編。

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハさんのこの手の作品群は(あくまで自分にとっては)大きく2つに分類することができる

    知らなくても存分に楽しめる作品

    知らないと損した気分になる作品

    本作はどうやら後者の方
    4人の画家にまつわる史実を元に独立した4つの中編で構成されていて画家の作品群や生涯を知っていればより深く楽しめるのだと思う
    本当にこんな会話があったのかな〜とマハさんと一緒に空想の羽を広げるのも良し
    いやいや自分はこう考えるよ!とマハさんに議論を挑むも良し
    そんな楽しみ方が王道なんだと思います

    と同時に誰もが王道を進まなくたっていいじゃん!とも思うのでした

  • さてさて : 絵の見方がわからないんですがどうすればいいですか?
    偉い先生 : それはねえ、君。君の好きなように見れば良いんだよ。
    さてさて : orz

    世の中には色んな世界があり、なかなかにその全てに精通している人はいないと思います。自分の知らない世界を知る勇気、そして第一歩を踏み出す瞬間に、『偉い先生』みたいなことを言われるとそこでその貴重な一歩は幻に終わります。私には過去に『絵の見方』でとても素晴らしい第一歩のサポートをしてもらったことがありました。そう、あれは大学で『楽単』で取った美術の授業でした。一度も出席せず、定期試験の説明があるというので初めて訪れた教室。プロジェクターに映し出されていたのは泣く子も黙る『モナ・リザ』でした。このくらい、知ってますよ、いくらなんでも、私だって。という私の耳に聞こえてきたS先生の講義は、そのモナ・リザの背景に描かれている景色についての説明でした。どうしてこんな険しい山々が肖像画の後ろに広がっているのか、肖像画の左右の背景が繋がっていない別の世界に見えるのは何故なのか。えっ?そんなところ気にしたこともなかった。意識して見たことなかったよ…。絵って面白い。こういう瞬間を『目から鱗が落ちる』というんだな、と思いました。そして同時に、あ〜あ、今日最終回だよ、真面目に出席しておけばよかった。『後悔先に立たず』という、ふたつのことわざが相次いで頭に思い浮かんで苦笑いしたのを覚えています。『人それぞれ、絵は好きなように見れば良い』まあ、『偉い先生』からしたらそうなのかもしれませんが、絵画に出会う、絵画の世界に初めて出会うためには何かしらきっかけは必要なんだと思います。そして、それは美術ガイドでも、Webサイトでも、きっかけはなんでもいい。でも、このサイトを訪れ、この感想を読んで下さっているような方には小説が最もふさわしい。そう、あなたが絵に少しでも関心があるな、と思ったら原田さんのこの一冊。Webでそれぞれの絵画を検索表示させながらの読書、ゆっくりと自分のペースで味わっていく。美術館の中で絵画と私たちを仕切るチェーンのあの先にある絵画を身近に感じるための第一歩への入口がここにあります。

    4つの短編から構成されるこの作品。真ん中の二つが少し短くて、かつ〈タンギー爺さん〉は4つの手紙だけで構成されるという変化球。全体としてとても読みやすいという印象を受けました。そして同時に、ドガやモネなど印象派の巨匠が次々に登場して、絵筆をふるう、そして偉大な作品たちが今まさに誕生しようとするまさにその場面に立ち会っているかのような臨場感ある描写の連続に興奮しっぱなしの読書でした。

    4つとも魅力どころが違って甲乙つけがたいですが、次の2つの短編を取り上げたいと思います。まずは最初の短編〈うつくしい墓〉です。アンリ・マティスが登場します。主人公は家政婦を務めるマリアという女性。彼女が初めてマティスの住まいを訪ねるシーンです。『そう、光 ― でした。部屋いっぱいに満ちあふれる光。ニースで生まれ育った私の目は、明るい日射しに慣れっこだったはず。それなのに、その刹那、私は生まれて初めて光にさらされたように感じたのです』という表現。色彩の魔術師とも言われるマティスに欠かせない光、光、光。マティスの部屋を訪れるマリアの前に広がる何か神々しいまでの光を感じさせてくれます。そしてそこに入るマリアの心情を『その中へ入っていくことをためらいました。一瞬、自分を異物のように感じてしまったんです』、さらに『ずっと行きたかった遊園地に、予告もなく連れてこられた少女の気分』とも表現していきます。そして原田さんは、マリアの語りを通してマティスの絵画の世界を次のようにも語ります。『光、色、かたち、配置。どれほど速く、的確に、また心情をこめて写し取るか。一瞬を、逃がしてしまってはだめ。一分後には世界は変わってしまっている』。光を大切にするマティスという画家の画家としての姿勢に対する見事な文字による表現。もう、マティスの絵画がたまらなく愛おしく感じられてしまう素晴らしい表現だと思いました。

    そして、最後の短編〈ジヴェルニーの食卓〉ではクロード・モネが登場します。八十歳を越えたモネ。『きれいな白いひげに頬をすっぽりと覆われた顔』と原田さんは表現します。そんなモネが取り組んでいるのがオランジュリー美術館の癒しの空間『睡蓮の間』の壁面を今も飾る大作『睡蓮』。フランス政府に寄贈する前提で創作されたというこの作品。元首相を務めたクレマンソーが登場し、モネのこの作品がきちんと展示されるよう尽力してくれます。でも、モネは自身のこの作品をどうしても楕円形の部屋に展示することに拘ります。これにクレマンソーは『君の言う通り楕円形の展示室に飾ったのなら、このみずみずしい池と睡蓮の花々に囲まれて、いっそう見る者は圧倒されるに違いない』と尽力を惜しみません。私もオランジュリー美術館でこの楕円形の部屋に展示された大作を目にしましたが、楕円形の部屋ならではの奥行き感と、包まれ感にただただ圧倒されたことをよく覚えています。『モネの描いた睡蓮の絵に囲まれるというのは、そういうことだった。自然を忠実に写し取った作品を鑑賞する、という生易しいものではない。モネという画家の、感性の泉の真ん中に飛びこむことにほかならないのだ』というモネの感性の世界。『早く仕事を始めないと、睡蓮はさっさと花を閉じてしまうからね』と睡蓮のある景色を自分の中に一つの世界として形作り、その魅力を余すことなく巨大なカンヴァスに描き出したこの大作。原田さんのこの作品を読んで、私の中に刻まれた記憶の中の睡蓮に、さらに奥行きが、そして深みが増したように感じました。

    最後の一回だけ出席しただけの美術。『楽単』とは、それでもAをいただけるありがたいものです。でも、私はあの一回の出席でいただいたA以上に、自身の人生を豊かにする、自身の人生に彩りを与えるためのヒントを教えていただいたように思います。『好きなように見れば良い』なんて言われても、前には進めません。何か気になる、もうちょっと見たいと思う絵に出会うにはきっかけが必要です。でもそれは必ずしも絵そのものでなくてもいいのではないでしょうか。その絵が生まれた時代の匂い、その絵に込められた画家の思い、そしてその絵が描かれた時代にその絵に魅かれ、人生を豊かにした人たちがいました。たくさんの人々の人生を彩ってきた絵画たち。自分もそれを見てみたい、その絵の世界を感じてみたい、原田さんのこの作品は、そんな読者の思いを満たしてくれるものだと思います。

    マティス、ピカソ、ドガ、そしてモネという絵画界の巨匠が次から次へとリアルに登場するこの作品。原田さんのアート作品は「楽園のカンヴァス」、「たゆたえども沈まず」、そして「暗幕のゲルニカ」など傑作、大作揃いですが、それらは時空を超えたり、ミステリー要素が含まれたりと画家を中心にしたフルコースの料理を味わうような豪華さを感じさせます。それに対して、この作品は短編4つのアラカルトをいただくといった趣きでしょうか。しかし、そのアラカルトで取る品々は、画家その人の生き様がギュッと凝縮されたような味わい深い逸品揃いです。人によって感じ方は異なるかもしれませんが、私は前出の三作品よりもこの一作により強い魅力を感じました。余計なものを一切削ぎ捨てた素材そのものを、しかも飛びっきりの素材をそのまま贅沢に味わう、まさにその感覚。文字を読んでいるのに頭の中は絵画でいっぱいになるという不思議な感覚。光の眩さに心洗われ、色彩の鮮やかさに心ときめき、そしてその絵に込められた画家の思いに心揺さぶられるこの作品。頭の中が色鮮やかな絵画でいっぱいになった圧巻の一作。素晴らしい読書の時間を過ごさせていただきました。

  • 2013年に本書が発売された時に読んで、久しぶりに再読。結構、内容を覚えていたことに、この本が好きだったことを再認識した。

    アカデミズムの呪縛から逃れるように19世紀後半のフランスを中心とし、アカデミズムとは相反する手法、構図、概念を持つ新しい芸術家たちが怒涛の海へと舟を漕ぎ始めた。後に彼らは印象派としてその地位を確立していくことになる。
    本作はそんな大海原で苦闘し、それでも自分たちの芸術を勝ち取り、作品として世に残していったマティス、ドガ、セザンヌ、モネの闘いの記録である。


    うつくしい墓 La belle tomb
    アンリ・マティスの最晩年をお世話することになった少女時代のマリアから見たマティスの回想を70歳となったマリアが語る。

    『ダンス』や『マグノリアのある静物』、大原美術館で見た『マルティニックの女』。どれも色彩豊かな絵画が印象的である。

    中学生くらいの時に、ダンスなら私にも描けそうかもとどでもないことを考え、父にカンヴァスを取り寄せてもらい模倣したのだが、出来栄えは言うまでもなく、とんでもなくオリジナルとは異なっていた。

    エトワール L’etoile
    アメリカの女流画家・メアリー・カサットが回想するエドガー・ドガの『踊り子』製作における闘い。

    ドガと言えば、繊細(と、いうより線が細い)で気難しそうなイメージが、ドガ自身が描いた『自画像』から感じていた。
    実際、性格的にも難しそうではあったのだが、私がイメージする風貌通り彼から生まれる作品は、繊細でその姿、形を忠実に再現しており、また、色彩が柔らかくて実物よりも美しく感じる。
    特に『踊り子』、『踊り子たち』は、バレエの持つイメージと相まって、可愛さと美しさに響く作品だと思っている。

    作品が出来上がった時に放つオーラが製作過程での凄まじさを感じさせないために、壮絶な闘いを本作で知り今後の作品鑑賞の想いに影響しそうである。

    タンギー爺さん Le Pere Tanguy
    画材商ジュリアン・タンギーの娘からポール・セザンヌに宛てた手紙。

    著者の他の作品でも複数回登場している「タンギー爺さん」ことジュリアン・タンギー。
    パリのクローゼル通りで画材店を営む。デビュー間もない貧しい画家たちが画材を購入するためにここにやってくるが、購入した商品の代金を支払う余裕がないため、支払いの代わりに彼らのまだ価値のない作品を預かっていく。そのうちに店内は作品でいっぱいになり画商も営むようになる。
    ここタンギーの元にゴーガン、ファン・ゴッホ、モネ、セザンヌなど名高い画家たちがまだ、世に名前が知らしめられていない頃に通っていた。

    また、セザンヌは「りんごひとつでパリを驚かせたい」のエピソードがあるように、「りんごの画家」としてりんごの作品が数多い芸術家。


    ジヴェルニーの食卓 Une table de Giverny
    クロード・モネとその娘・ブランシュの最後の睡蓮製作までの道のり。

    印象派の名前の由来になった代表作『印象・日の出』が有名で、私でも知っている。

    「自然に対して自分が認識した感覚を表現する」の印象派哲学を一貫して実践した芸術家。本作でも紹介されているが、時間と共に変化する光の変化と季節の移り変わりを作品に残していくため、時間帯や視点を変えて何度も同じ風景を描いている。代表作に『印象』や『睡蓮』シリーズがある。『パラソルをさす女』は、ブランシュだったのだろうか。『昼食』は、ブランシュの母・アリスへの想いが描かれたのであろうかと、私が知る数少ない作品でも、作品にまつわるモネの気持ちを想像することができ、鑑賞の楽しみが生まれた。

    • りまのさん
      私は荻須高徳が大好きです。
      私は荻須高徳が大好きです。
      2020/08/08
  • 原田マハさんの画家4人にまつわる短編集。

    『うつくしい墓La belle tombe』
    アンリ・マティスのお邸に仕えたマリアの回想録。
    ピカソがマティスの元を訪問し、楽しく食事をする場面は、二人が正反対の性格でありながらも、互いを労わり思い遣る関係であることが伝わってきて、温かい気持ちになった。

    エトワールL'étoile
    エドガー・ドガを師のように慕い、友好関係にもあったアメリカ人女流画家のメアリー・カサット。メアリーの回想によって、ドガとドガのモデルであった踊り子のマリーとの関係性、ドガの作品制作への執念が明かされる。
    現代ではお金持ちのスポーツという印象が強いバレエだが、当時は、貧しい家庭の娘が、気鋭の画家のモデルとして報酬をもらうことを目的に、踊りのレッスンに通っていたということを初めて知った。また、これまでは美術館で裸体の女性を観ても、一枚の絵画として当たり前のように鑑賞していたが、この作品によってその背景を知ったことで、今後は、モデルとなっていた少女達の気持ちや画家達の気持ちを少しでも推し図りながら鑑賞できたらいいなと思う。

    タンギー爺さんLe Père Tanguy
    「タンギー親父」の愛称で、多くの新進気鋭の画家達の拠り所であった画材屋の店主の娘から、ポール・セザンヌに宛てられた手紙が、そのまま一つの章になった物語。
    画材を買うお金もないほどの貧しかった画家達が、作品を生み出し、美術の世界に革新を与えることができた背景には、お金持ちのパトロンだけでなく、タンギー爺さんのような寛容で柔軟な商人の存在があったんだなと、温かい気持ちになった。

    ジヴェルニーの食卓Une table de Giverny
    クロード・モネとパトロンの娘であり、モネの助手として仕えたブランシュの信頼と愛情に満ちた関係を描いた物語。
    モネの、仕事(絵を描くこと)に対して真面目で、家族への愛に溢れた穏やかな性格が伝わってくる作品。これまでの作品は基本的に画家はお金がないというイメージが多かったけれど、モネは時代が芸術に追いついてきた頃の画家だったこともあってか、裕福な生活を送れていた時期もあったことが食事や庭の描写から伺えて、生まれた時代でこんなにも変わってしまうものなのかと驚いた。モネとブランシュの心で深く繋がった関係性が温かくてほっこりさせられた。

    どの作品も、それぞれの画家の個性を知ることができ、温かさも感じられる作品。
    ただ、個人的には、『リボルバー』と『楽園のカンヴァス』を上回るまでは至らず。
    短編でサクッといろんな画家の物語読みたい、という方にはおすすめです。

  • この評価はずいぶん偏っているかもしれない。
    なぜなら登場する画家が個人的に好きだから。
    「楽園のカンヴァス」のルソーに関しては実物の絵画を見た事があるにもかかわらず記憶にすら残っていないありさま。
    でも物語としては文句なしの一級品だった。
    そう考えると、この本に登場する印象派の画家たちに全く興味がないとしたら評価はどうなっていただろう。
    まあ、多少の偏りには目をつぶろう。
    だって掛け値なしに素敵な物語だったから。

    マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネ。
    それぞれにまつわる短編集。
    もう名前を聞くだけでうっとり。
    特に好きなのはマティス。
    マハさん、選んでくれてありがとう!
    マティスは最初のお話「うつくしい墓」に登場する。
    ピカソとの友情を描いたお話もさることながら、いや~、マハさん困ります。
    これを読んじゃうともうどうしたってヴァンスのロザリオ礼拝堂に行きたくまってしまう。
    持ち運びできる絵画や彫刻だったらいつかは日本にやってくるかもしれない。
    しかしロザリオ礼拝堂は現地に行くしか方法がない。
    前々からバーンズコレクションの壁画「ダンス」を見たいと思っていた。
    この本を読んでさらにマティスを見に行きたい場所が増えてしまった。困った・・・。

    そして、圧巻は最後のお話「ジヴェルニーの食卓」。
    モネの世界観に圧倒されてしまった。
    モネの愛した庭や風景が眼前に迫ってくるようで。
    彼は数多くの「睡蓮」を残した事で有名だが、やはりオランジュリーの睡蓮をなくしては語れないだろう。
    この睡蓮が完成するまでのいきさつが描かれていて、なるほどあの空間はモネの思いが詰まっているんだと思うと尚更だ。
    睡蓮の間に入るともうそこはジヴェルニーの世界。
    真ん中に置かれたソファにゆったりと座り四方を見渡す。
    あー、贅沢だな。もう一度行きたいな。
    それとジヴェルニーのモネの邸宅にも是非行きたい。

    この本を読むと今すぐにでもフランスに行きたくなる。
    うーん、次の印象派展まで待つか。
    現実にはそれしかないけど・・・。
    マハさんには美術シリーズ(?)是非続けてほしい。
    興味のない作品もきっと好きになれるはず。

    • まろんさん
      vilureefさん、こんにちは!

      いいなぁ、もうこの本、読めたんですね!
      図書館に入るやいなや予約したんですが、既にもうものすごい予約数...
      vilureefさん、こんにちは!

      いいなぁ、もうこの本、読めたんですね!
      図書館に入るやいなや予約したんですが、既にもうものすごい予約数で(>_<)
      キュレーターとしての経験がきらきらと反映されているようなマハさんの美術もの、
      私も『楽園のカンヴァス』以来、楽しみでたまりません♪
      他ならぬvilureefさんが「掛け値なしに素敵な物語」と仰るからには
      気が遠くなるくらい素敵なんだろうなぁ♪ 
      前の人たち、早く読んで~!と祈ります(笑)
      2013/06/12
    • vilureefさん
      ユウさん、はじめまして!
      花丸&コメントありがとうございます♪

      パリではルーブル、オルセー、オランジュリーと駆け足で回りましたが、オランジ...
      ユウさん、はじめまして!
      花丸&コメントありがとうございます♪

      パリではルーブル、オルセー、オランジュリーと駆け足で回りましたが、オランジュリーが一番良かったです。
      いい意味で美術館の概念を吹き飛ばすというか・・・。
      是非訪れてみてくださいね(^_-)

      今後ともよろしくおねがいします!
      2013/06/12
    • vilureefさん
      まろんさん、こんばんは。

      そうなんです、もう読んじゃいました(^^;)
      新刊の発売に気づいたのは最近で、ポチッと予約したらあっという間に手...
      まろんさん、こんばんは。

      そうなんです、もう読んじゃいました(^^;)
      新刊の発売に気づいたのは最近で、ポチッと予約したらあっという間に手元に・・・。
      ブクログ仲間さんの間ではマハさんすごい人気なので申し訳ないですす。
      まだ手元にあるので今すぐにでもまろんさんの元へ駆けつけて、読んで読んで!って言いたくなります(笑)

      印象派の画家たちを集めているのに、ルノワールが落選(?)しているあたり、マハさんのこだわりでしょうかね?

      まろんさん、早く読めるといいですね!
      レビュー楽しみにしています(^_-)
      2013/06/12
  • やはりマハさんのアート小説は、好きです。文章もステキでうっとりしちゃいます。どのお話しもステキでした。
    マティス、ドガ、セザンヌ、モネ...印象派と呼ばれる人たちのお話し。今回も絵や建物、検索しながら読みました。美術館に行きたくなりました。

  • 『楽園のカンヴァス』の時もそうだったのだけれど
    原田マハさんが絵画をテーマに書いた作品を読むと
    それまで全く興味のなかった画家を急に好きになってしまいます。
    まるで、それまで意識してなかった隣のクラスの男の子が
    ひょんなきっかけで気になってしかたなくなる思春期みたいに。

    今回は、とにかく、マティス!
    とりあげられた4人の画家では、ドガやモネのほうが好きだったのに
    物語を読んだあとでは、だんぜんマティスが素敵に思えてきて。
    晩年のマティスが壁や天井に描いている作品を
    最初のひと筆から、時を遡ってじっと眺めていたくなります。

    『楽園のカンヴァス』が、飲まず食わずでもページを繰る手が止まらない大作とすれば
    この『ジヴェルニーの食卓』は、紅茶とお菓子を傍らに用意して
    1篇ずつ、じっくり味わいたい珠玉の短編集。
    暑さが一段落したら、久しぶりに美術館を訪れたくなりました。

  • 印象派の画家のことを身近な女性の視点から描いた短編集。
    画家への尊敬と芸術への愛情が感じられて、とてもさわやか。

    「うつくしい墓」「エトワール」「タンギー爺さん」「ジヴェルニーの食卓」の4編で、マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネなどが語られます。

    「うつくしい墓」は、アンリ・マティス。
    短期間、家政婦を務めた若い女性が、マティスのもとへマグノリア(日本でいうタイサンボク)の花を届けるエピソードから。
    うつくしい墓とは、マティスが絵を描いたヴァンスの礼拝堂のことですね。
    芸術の生まれる一目惚れの瞬間を常に待ち続けていたマティス。
    烈しい性格だったピカソが、マティスとの友情を大事にしていたことも印象に残りました。

    「エトワール」とは、バレエ・ダンサーのトップのこと。
    バレリーナを柔らかいタッチで描き続けたドガ。
    一体だけ、リアルな少女の像を作り、物議をかもしたことがありました。ライバルだった女流画家メアリー・カサットの視点で。

    「タンギー爺さん」とは、ゴッホの有名な絵。
    画材屋だっただけでなく、印象派の画家達を熱烈に見守り応援し続けた男だったのですね。
    当時としては革命的で、まだ世に容れられていなかった画家たちのことを‥
    「ポール・セザンヌが彼自身になるまで」と。

    「ジヴェルニーの食卓」は、モネ。
    モネが暮らし、庭造りに没頭し、睡蓮を描いた家ですね。
    若い頃のモネは暮らしにも困るほどで、自然豊かな環境のパトロンの家に同居して作品を描いたのですが、その後に家の主人が財産を失って国を出て、家に戻らなくなるという事情があったのですね。
    それでも、家に残された人々には互いに思いやる、こまやかな暮らしが続いていたこと‥
    モネを見守った義理の娘の視点から描いていきます。

    人の胸を打つ美しい作品が作られるにいたる環境もまた、切なく、魅力的です。
    画家が鍛錬し、時には絶望と闘い、周りの人々の心が寄り添い、作品に命が吹き込まれたその瞬間を見る思い。
    絵画の雰囲気に寄り添うような丁寧な文章がいいですね。
    長年蓄えた専門家の知識を掘り起こして、優しい心づかいで結晶させた小説でした。
    猛烈に、題材になっている作品をまた見たくなりますね。

  • 『楽園のカンヴァス』で原田マハさんの描き出すルソーの虜になってしまいました。
    本書も、時代の流れに逆らうように新しい芸術を生み出した4人の芸術家の物語ということで、読むのをずっと楽しみにしていました。
    期待に違わぬ作品で、ゆるゆると満足感にみたされる読後です。

    マティス、ドガ、ルノワール、モネの4人の芸術家を、彼らの周りで時を共に過ごした人物の視点から描いた4つの物語。
    そのうちでも、特にマティスの物語が印象的でした。
    マティスの目に秘められた、芸術への情熱に射抜かれるような感覚にどきどきしてしまいます。
    読んでいると、まるでマティスの絵のように鮮やかな色がぱぁっと広がっていく物語でした。
    マグノリアの花の白と、その花をいけた翡翠色の花瓶。
    マティスの部屋の床に散らばる、色とりどりの色紙。

    また、モネの物語でも太陽の光がさんさんと降り注ぐ彼のアトリエの様子にうっとりとしてしまいました。

    マハさんの作品を読んだあとにその芸術家の絵を見ると、以前よりも親しみ深いものに思えてくるのが不思議です。
    芸術家の素顔を垣間見たような、そんな気持ちにさせられるからなのでしょうか?

    • vilureefさん
      こんにちは。

      「まるでマティスの絵のように鮮やかな色がぱぁっと広がっていく」
      おっしゃる通り!!
      物語を読みながら南仏の光が満ち溢...
      こんにちは。

      「まるでマティスの絵のように鮮やかな色がぱぁっと広がっていく」
      おっしゃる通り!!
      物語を読みながら南仏の光が満ち溢れてくるような気分になりました。

      素敵な本ですよね。
      マハさんの絵画シリーズが続く事を祈っています(^_-)-☆
      2014/01/23
    • すずめさん
      viureefさん、こんにちは!

      そうなんです!目の前にマティスの部屋が広がっているようでした~。

      私もマハさんの絵画もの、もっ...
      viureefさん、こんにちは!

      そうなんです!目の前にマティスの部屋が広がっているようでした~。

      私もマハさんの絵画もの、もっと読みたいです!
      マハさんの絵画もの以外の本を読んだことがないので、そちらもチャレンジしたいです☆
      2014/01/23
  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
    彼らと、彼らの時を共有した周りの人々を描く4つの短編集。


    子どもの頃住んでいた街の駅前に三和銀行(ずいぶん前に統合やら何やらがあって、今はなんというんだったか?)があった。
    年末に配られるポスターのようなカレンダーは、ルノアールだった。
    毎年そうだったのか他の画家の作品もあったのか、今では思い出せないけれど、
    1年中壁に貼られた絵は印象派を知るきっかけになっていた。
    作家の名前も覚えないまま、子ども心に「好きな絵だ!」と思っていた。色合いも素敵で・・・。
    大学生になって絵を見る機会が増えると、印象派の中でも特に
    モネが好きだと、はっきりした。
    卒業旅行で見たオランジェリー美術館の「睡蓮」は圧巻だった。
    声もなく、その色の中に溶けていくような錯覚を感じた。


    本の装丁は、あの何ともいえないブルーの睡蓮。
    まだ行ったことのないジヴェルニーも憧れだ。読む前から、想像が膨らむ。

    第4話はモネ。
    画家という人に対して若干の狂気を感じていたが、
    モネの愛情に包まれた幸せな暮らしぶりにほっとする。
    貧しさや別れ。
    暮らしは楽ではなかったし、苦しくつらいことも多かったと思うけれど、
    岐路に立たされたときには、幸せで暖かい方を選択していたように思えた。
    これからモネの絵を見るときには、この幸福感を思い出すだろう。

    最も好きだったのは、第1話。
    マティスと彼を深く理解している「マグノリアのマダム」のお話。彼らに仕える若い家政婦マリアの目を通して描かれている。
    マティスとマダムの抑えた表現が胸にしみる。
    互いを思いやり、言葉は交わさなくても心のうちを読みとることができたようだ。
    相手が何を求めているのか、今の自分に提供できるもっとも喜ばれることを知っている。
    知的な愛情を感じた。
    さらに色鮮やかな絵と対比するような、シンプルで強い意志を感じる白いマグノリア。
    孤児院、お邸、古いホテル、礼拝堂、墓地、修道女。
    読みながら、映像を楽しむ。
    マハさんの豊かで鮮やかな言葉の数々。
    その中で、人々は静かに穏やかに凛として生きている。
    このお話、大きなスクリーンで観たいなぁ。

    ドガの踊り子たちに抱く思いや、セザンヌたちを支えたタンギー爺さん。
    絵の背景を知ることは、絵を観る楽しみが増えるということ。
    次のアートストーリ、楽しみです。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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