ジヴェルニーの食卓

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著者 : 原田マハ
  • 集英社 (2013年3月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715057

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ジヴェルニーの食卓の感想・レビュー・書評

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  • この評価はずいぶん偏っているかもしれない。
    なぜなら登場する画家が個人的に好きだから。
    「楽園のカンヴァス」のルソーに関しては実物の絵画を見た事があるにもかかわらず記憶にすら残っていないありさま。
    でも物語としては文句なしの一級品だった。
    そう考えると、この本に登場する印象派の画家たちに全く興味がないとしたら評価はどうなっていただろう。
    まあ、多少の偏りには目をつぶろう。
    だって掛け値なしに素敵な物語だったから。

    マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネ。
    それぞれにまつわる短編集。
    もう名前を聞くだけでうっとり。
    特に好きなのはマティス。
    マハさん、選んでくれてありがとう!
    マティスは最初のお話「うつくしい墓」に登場する。
    ピカソとの友情を描いたお話もさることながら、いや~、マハさん困ります。
    これを読んじゃうともうどうしたってヴァンスのロザリオ礼拝堂に行きたくまってしまう。
    持ち運びできる絵画や彫刻だったらいつかは日本にやってくるかもしれない。
    しかしロザリオ礼拝堂は現地に行くしか方法がない。
    前々からバーンズコレクションの壁画「ダンス」を見たいと思っていた。
    この本を読んでさらにマティスを見に行きたい場所が増えてしまった。困った・・・。

    そして、圧巻は最後のお話「ジヴェルニーの食卓」。
    モネの世界観に圧倒されてしまった。
    モネの愛した庭や風景が眼前に迫ってくるようで。
    彼は数多くの「睡蓮」を残した事で有名だが、やはりオランジュリーの睡蓮をなくしては語れないだろう。
    この睡蓮が完成するまでのいきさつが描かれていて、なるほどあの空間はモネの思いが詰まっているんだと思うと尚更だ。
    睡蓮の間に入るともうそこはジヴェルニーの世界。
    真ん中に置かれたソファにゆったりと座り四方を見渡す。
    あー、贅沢だな。もう一度行きたいな。
    それとジヴェルニーのモネの邸宅にも是非行きたい。

    この本を読むと今すぐにでもフランスに行きたくなる。
    うーん、次の印象派展まで待つか。
    現実にはそれしかないけど・・・。
    マハさんには美術シリーズ(?)是非続けてほしい。
    興味のない作品もきっと好きになれるはず。

  • 『楽園のカンヴァス』の時もそうだったのだけれど
    原田マハさんが絵画をテーマに書いた作品を読むと
    それまで全く興味のなかった画家を急に好きになってしまいます。
    まるで、それまで意識してなかった隣のクラスの男の子が
    ひょんなきっかけで気になってしかたなくなる思春期みたいに。

    今回は、とにかく、マティス!
    とりあげられた4人の画家では、ドガやモネのほうが好きだったのに
    物語を読んだあとでは、だんぜんマティスが素敵に思えてきて。
    晩年のマティスが壁や天井に描いている作品を
    最初のひと筆から、時を遡ってじっと眺めていたくなります。

    『楽園のカンヴァス』が、飲まず食わずでもページを繰る手が止まらない大作とすれば
    この『ジヴェルニーの食卓』は、紅茶とお菓子を傍らに用意して
    1篇ずつ、じっくり味わいたい珠玉の短編集。
    暑さが一段落したら、久しぶりに美術館を訪れたくなりました。

  • 『楽園のカンヴァス』で原田マハさんの描き出すルソーの虜になってしまいました。
    本書も、時代の流れに逆らうように新しい芸術を生み出した4人の芸術家の物語ということで、読むのをずっと楽しみにしていました。
    期待に違わぬ作品で、ゆるゆると満足感にみたされる読後です。

    マティス、ドガ、ルノワール、モネの4人の芸術家を、彼らの周りで時を共に過ごした人物の視点から描いた4つの物語。
    そのうちでも、特にマティスの物語が印象的でした。
    マティスの目に秘められた、芸術への情熱に射抜かれるような感覚にどきどきしてしまいます。
    読んでいると、まるでマティスの絵のように鮮やかな色がぱぁっと広がっていく物語でした。
    マグノリアの花の白と、その花をいけた翡翠色の花瓶。
    マティスの部屋の床に散らばる、色とりどりの色紙。

    また、モネの物語でも太陽の光がさんさんと降り注ぐ彼のアトリエの様子にうっとりとしてしまいました。

    マハさんの作品を読んだあとにその芸術家の絵を見ると、以前よりも親しみ深いものに思えてくるのが不思議です。
    芸術家の素顔を垣間見たような、そんな気持ちにさせられるからなのでしょうか?

  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
    彼らと、彼らの時を共有した周りの人々を描く4つの短編集。


    子どもの頃住んでいた街の駅前に三和銀行(ずいぶん前に統合やら何やらがあって、今はなんというんだったか?)があった。
    年末に配られるポスターのようなカレンダーは、ルノアールだった。
    毎年そうだったのか他の画家の作品もあったのか、今では思い出せないけれど、
    1年中壁に貼られた絵は印象派を知るきっかけになっていた。
    作家の名前も覚えないまま、子ども心に「好きな絵だ!」と思っていた。色合いも素敵で・・・。
    大学生になって絵を見る機会が増えると、印象派の中でも特に
    モネが好きだと、はっきりした。
    卒業旅行で見たオランジェリー美術館の「睡蓮」は圧巻だった。
    声もなく、その色の中に溶けていくような錯覚を感じた。


    本の装丁は、あの何ともいえないブルーの睡蓮。
    まだ行ったことのないジヴェルニーも憧れだ。読む前から、想像が膨らむ。

    第4話はモネ。
    画家という人に対して若干の狂気を感じていたが、
    モネの愛情に包まれた幸せな暮らしぶりにほっとする。
    貧しさや別れ。
    暮らしは楽ではなかったし、苦しくつらいことも多かったと思うけれど、
    岐路に立たされたときには、幸せで暖かい方を選択していたように思えた。
    これからモネの絵を見るときには、この幸福感を思い出すだろう。

    最も好きだったのは、第1話。
    マティスと彼を深く理解している「マグノリアのマダム」のお話。彼らに仕える若い家政婦マリアの目を通して描かれている。
    マティスとマダムの抑えた表現が胸にしみる。
    互いを思いやり、言葉は交わさなくても心のうちを読みとることができたようだ。
    相手が何を求めているのか、今の自分に提供できるもっとも喜ばれることを知っている。
    知的な愛情を感じた。
    さらに色鮮やかな絵と対比するような、シンプルで強い意志を感じる白いマグノリア。
    孤児院、お邸、古いホテル、礼拝堂、墓地、修道女。
    読みながら、映像を楽しむ。
    マハさんの豊かで鮮やかな言葉の数々。
    その中で、人々は静かに穏やかに凛として生きている。
    このお話、大きなスクリーンで観たいなぁ。

    ドガの踊り子たちに抱く思いや、セザンヌたちを支えたタンギー爺さん。
    絵の背景を知ることは、絵を観る楽しみが増えるということ。
    次のアートストーリ、楽しみです。

  • 昨年出産してから慌ただしく、全く本を読まなくなりました。
    これが2か月ぶりの読書で、読むのに1週間もかかってしまった^^;
    なかなか読め進められなかったけど、とても面白かった~!
    ルソー一色だった楽園のカンヴァスとは違い、4人の芸術家に焦点をあてた短編集。

    原田さんの芸術ものは、専門的な知識や考察を背景に、実在の芸術家たちが活き活きと輝きを放つ。
    マティスのマグノリア、ドガの踊り子、セザンヌのりんご、モネの睡蓮…
    絵といえば漫画だろうというくらい疎い私でも、作中出てくる絵に魅せられ、そして昔から知っていたような気持ちになる。
    どのお話もよかったけれど、売れない若い画家に、絵と引き換えに絵具を売る、借金漬けだけど絵が大好きで画家が大好きなタンギー爺さんのお話が一番好き。
    (それにしてもタンギー爺さんてばものすごい見る目。今や誰もが知るような大画家の絵ばかり集めていて、そのまま持っていたらすごいことになっていたんだろうなぁ。ってたぶんフィクションだけれど。笑)
    印象派が歯牙にもかけられず馬鹿にされていた時代には、二束三文で叩き売られていた絵が、今では億単位で取引されるんだから、芸術って何なんだろうな~^^;

    読んだあとはしばらく、読後感にほわほわっとなって幸せだった。ちょっとずつまた本の世界に戻ってこよう。

  • 「私のアトリエはね 、ブランシュ 。この空の下なんだよ。」この文を読んだ時どんより暗い私の部屋がパッと光り輝いた。目に映るのは青い空、緑の木々、川のせせらぎ、輝くばかりにうつくしいジヴェルニー。今日みたいな晴れた日はふたりでアトリエに行っているだろうなと思いながら本を閉じた。

    モネの絵を検索していたら『舟遊び』に出会った。ブランシュだ!
    「ひょっとして 、百年後 、どこかの美術館か収集家の家で 、誰かが自分の姿を絵の中にみつけるのだ 。そう思うと 、ブランシュは 、百年後のどこかの誰かに語りかけたいような気分になるのだった 。この絵を 、どうかこのさきもずっと大切にしてくださいね 、と 。」
    モネらしい素敵な絵だね、と語りかけた。いつか本物に会いに行きたい。

  • モネの絵を前にしている私は今、
    一体、どこにいるんだろう?

    それがわからなかった。

    でも、
    わからなくていいと思った。

    初めて3D映画を観た時よりも、
    ずっとずっと、心がちりぢりになるよな感覚。

    透明な水の流れに
    とろりと溶けて、自分が何者でも無かった事を思い知らされる様な、

    ただ、光のなかに息づくだけの、いっこの命に過ぎない事を、
    やっと認めて、安心出来たかの様な。

    私は、
    言葉をひとつも思い出せずに、それでも、ただ、じっ、と眺めていても許される、
    モネの絵が、とても、とても好きだった。

    だから、この本を手にした時は少し、複雑な気持になった。

    この中にモネがいる?

    その絵の秘密を誰かが暴露している?

    知りたいような、
    知りたくないよな。

    でも。

    そんな私のささやかな不安なぞ、
    まるで置いてけぼりの世界が広がっていた。

    キャンバスと、
    画家との間にある光。

    人は時間の中に滅びても、
    決して消えないその光を、ぽうっと浮かび上がらせてくれる物語。

    「うつくしい墓」 アンリ・マティス

    「エトワール」  ドガ

    「タンギーじいさん」  セザンヌ

    「シヴエルニーの食卓」 モネ

    どの短編も素晴しく、
    読後、物語に登場した絵はすべてNETで検索、

    2度、感動を味わえる、素晴しい作品だった。

  • 印象派の画家のことを身近な女性の視点から描いた短編集。
    画家への尊敬と芸術への愛情が感じられて、とてもさわやか。

    「うつくしい墓」「エトワール」「タンギー爺さん」「ジヴェルニーの食卓」の4編で、マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネなどが語られます。

    「うつくしい墓」は、アンリ・マティス。
    短期間、家政婦を務めた若い女性が、マティスのもとへマグノリア(日本でいうタイサンボク)の花を届けるエピソードから。
    うつくしい墓とは、マティスが絵を描いたヴァンスの礼拝堂のことですね。
    芸術の生まれる一目惚れの瞬間を常に待ち続けていたマティス。
    烈しい性格だったピカソが、マティスとの友情を大事にしていたことも印象に残りました。

    「エトワール」とは、バレエ・ダンサーのトップのこと。
    バレリーナを柔らかいタッチで描き続けたドガ。
    一体だけ、リアルな少女の像を作り、物議をかもしたことがありました。ライバルだった女流画家メアリー・カサットの視点で。

    「タンギー爺さん」とは、ゴッホの有名な絵。
    画材屋だっただけでなく、印象派の画家達を熱烈に見守り応援し続けた男だったのですね。
    当時としては革命的で、まだ世に容れられていなかった画家たちのことを‥
    「ポール・セザンヌが彼自身になるまで」と。

    「ジヴェルニーの食卓」は、モネ。
    モネが暮らし、庭造りに没頭し、睡蓮を描いた家ですね。
    若い頃のモネは暮らしにも困るほどで、自然豊かな環境のパトロンの家に同居して作品を描いたのですが、その後に家の主人が財産を失って国を出て、家に戻らなくなるという事情があったのですね。
    それでも、家に残された人々には互いに思いやる、こまやかな暮らしが続いていたこと‥
    モネを見守った義理の娘の視点から描いていきます。

    人の胸を打つ美しい作品が作られるにいたる環境もまた、切なく、魅力的です。
    画家が鍛錬し、時には絶望と闘い、周りの人々の心が寄り添い、作品に命が吹き込まれたその瞬間を見る思い。
    絵画の雰囲気に寄り添うような丁寧な文章がいいですね。
    長年蓄えた専門家の知識を掘り起こして、優しい心づかいで結晶させた小説でした。
    猛烈に、題材になっている作品をまた見たくなりますね。

  • 友人が原田マハさんの講演会に出かけて購入したこの本をプレゼントしてくれました。
    なんとサイン入りです!
    大好きな原田マハさんの本。
    もううれしくて、うれしくて!!

    ゆっくり時間をかけて読みました。
    【楽園のカンヴァス】は美術ミステリーでしたが、こちらは“読む美術館”と言われる作品。
    「うつくしい墓」はマティスを、「エトワール」はドガ、「タンギー爺さん」はセザンヌを。
    そしてタイトルにもなっている「ジヴェルニーの食卓」はモネを描いています。

    これまで完全美術音痴だった私ですが、原田マハさんの本を読んで、絵画の背景にある物語を楽しむという、新たな扉が開かれたような気がしています。
    読みながら感じる。素敵な本でした。

  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネという、19世紀後半から20世紀前半を彩ったフランスきっての画家たちの人生を、彼らをそばで見つめ、支えた人々の視点から描いた四編からなる作品集です。

    「美しい墓」
    晩年そばに仕えた家政婦マリアが語る、底抜けに明るい色彩を描き続けたアンリ・マティスの姿と、対照的な面が多かったけどマティスの親友だった巨匠ピカソとの交流。

    「エトワール」
    友人だったアメリカ出身の女性画家メアリー・カサットが思い出す、バレリーナを多く描いたエドガー・ドガの、既存芸術との狂おしい戦いと執念。

    「タンギー爺さん」
    貧しい芸術家たちを快活に支援し続けた画材屋タンギー爺さんの娘が書いた手紙を通して読む、タンギー爺さんの慧眼と優しさ、林檎の静物画で名高いポール・セザンヌ芸術の前衛性と偉大さ。

    「ジヴェルニーの食卓」
    妻の連れ子にして助手でもある女性ブランシュが見つめ続けた、自然の光と風景を愛し屋外をアトリエと称していたクロード・モネの姿と家族の記憶。

    既存の芸術の壁に挑んで大成した四人の偉大な画家たちそれぞれの人生や作品だけでなく、彼らに寄り添った人々の人生までも慈しむかのように温かい視点で丁寧に綴られているのがよかったです。

    どのお話も、短いけれど読後感が清々しくて、とても幸せな気持ちになれました。

    ただ、最後の「ジヴェルニーの食卓」は、モネの後妻にしてブランシュの母であるアリスが残したレシピから、ブランシュが作る料理の数々がものすごくおいしそうで、お腹が空きました。夜中に読むのは危険です。

    実在の絵画もたくさん登場するので、インターネットなどで検索しながら読むのも楽しい作品集でした。

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ジヴェルニーの食卓の作品紹介

「この世に生を受けたすべてのものが放つ喜びを愛する人間。それが、アンリ・マティスという芸術家なのです」(うつくしい墓)。「これを、次の印象派展に?」ドガは黙ってうなずいた。「闘いなんだよ。私の。――そして、あの子の」(エトワール)。「ポール・セザンヌは誰にも似ていない。ほんとうに特別なんです。いつか必ず、世間が彼に追いつく日がくる」(タンギー爺さん)。「太陽が、この世界を照らし続ける限り。モネという画家は、描き続けるはずだ。呼吸し、命に満ちあふれる風景を」(ジヴェルニーの食卓)。モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、珠玉のアートストーリー四編。

ジヴェルニーの食卓のKindle版

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