ジヴェルニーの食卓

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著者 : 原田マハ
  • 集英社 (2013年3月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715057

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ジヴェルニーの食卓の感想・レビュー・書評

  • この評価はずいぶん偏っているかもしれない。
    なぜなら登場する画家が個人的に好きだから。
    「楽園のカンヴァス」のルソーに関しては実物の絵画を見た事があるにもかかわらず記憶にすら残っていないありさま。
    でも物語としては文句なしの一級品だった。
    そう考えると、この本に登場する印象派の画家たちに全く興味がないとしたら評価はどうなっていただろう。
    まあ、多少の偏りには目をつぶろう。
    だって掛け値なしに素敵な物語だったから。

    マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネ。
    それぞれにまつわる短編集。
    もう名前を聞くだけでうっとり。
    特に好きなのはマティス。
    マハさん、選んでくれてありがとう!
    マティスは最初のお話「うつくしい墓」に登場する。
    ピカソとの友情を描いたお話もさることながら、いや~、マハさん困ります。
    これを読んじゃうともうどうしたってヴァンスのロザリオ礼拝堂に行きたくまってしまう。
    持ち運びできる絵画や彫刻だったらいつかは日本にやってくるかもしれない。
    しかしロザリオ礼拝堂は現地に行くしか方法がない。
    前々からバーンズコレクションの壁画「ダンス」を見たいと思っていた。
    この本を読んでさらにマティスを見に行きたい場所が増えてしまった。困った・・・。

    そして、圧巻は最後のお話「ジヴェルニーの食卓」。
    モネの世界観に圧倒されてしまった。
    モネの愛した庭や風景が眼前に迫ってくるようで。
    彼は数多くの「睡蓮」を残した事で有名だが、やはりオランジュリーの睡蓮をなくしては語れないだろう。
    この睡蓮が完成するまでのいきさつが描かれていて、なるほどあの空間はモネの思いが詰まっているんだと思うと尚更だ。
    睡蓮の間に入るともうそこはジヴェルニーの世界。
    真ん中に置かれたソファにゆったりと座り四方を見渡す。
    あー、贅沢だな。もう一度行きたいな。
    それとジヴェルニーのモネの邸宅にも是非行きたい。

    この本を読むと今すぐにでもフランスに行きたくなる。
    うーん、次の印象派展まで待つか。
    現実にはそれしかないけど・・・。
    マハさんには美術シリーズ(?)是非続けてほしい。
    興味のない作品もきっと好きになれるはず。

  • 『楽園のカンヴァス』の時もそうだったのだけれど
    原田マハさんが絵画をテーマに書いた作品を読むと
    それまで全く興味のなかった画家を急に好きになってしまいます。
    まるで、それまで意識してなかった隣のクラスの男の子が
    ひょんなきっかけで気になってしかたなくなる思春期みたいに。

    今回は、とにかく、マティス!
    とりあげられた4人の画家では、ドガやモネのほうが好きだったのに
    物語を読んだあとでは、だんぜんマティスが素敵に思えてきて。
    晩年のマティスが壁や天井に描いている作品を
    最初のひと筆から、時を遡ってじっと眺めていたくなります。

    『楽園のカンヴァス』が、飲まず食わずでもページを繰る手が止まらない大作とすれば
    この『ジヴェルニーの食卓』は、紅茶とお菓子を傍らに用意して
    1篇ずつ、じっくり味わいたい珠玉の短編集。
    暑さが一段落したら、久しぶりに美術館を訪れたくなりました。

  • 『楽園のカンヴァス』で原田マハさんの描き出すルソーの虜になってしまいました。
    本書も、時代の流れに逆らうように新しい芸術を生み出した4人の芸術家の物語ということで、読むのをずっと楽しみにしていました。
    期待に違わぬ作品で、ゆるゆると満足感にみたされる読後です。

    マティス、ドガ、ルノワール、モネの4人の芸術家を、彼らの周りで時を共に過ごした人物の視点から描いた4つの物語。
    そのうちでも、特にマティスの物語が印象的でした。
    マティスの目に秘められた、芸術への情熱に射抜かれるような感覚にどきどきしてしまいます。
    読んでいると、まるでマティスの絵のように鮮やかな色がぱぁっと広がっていく物語でした。
    マグノリアの花の白と、その花をいけた翡翠色の花瓶。
    マティスの部屋の床に散らばる、色とりどりの色紙。

    また、モネの物語でも太陽の光がさんさんと降り注ぐ彼のアトリエの様子にうっとりとしてしまいました。

    マハさんの作品を読んだあとにその芸術家の絵を見ると、以前よりも親しみ深いものに思えてくるのが不思議です。
    芸術家の素顔を垣間見たような、そんな気持ちにさせられるからなのでしょうか?

  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
    彼らと、彼らの時を共有した周りの人々を描く4つの短編集。


    子どもの頃住んでいた街の駅前に三和銀行(ずいぶん前に統合やら何やらがあって、今はなんというんだったか?)があった。
    年末に配られるポスターのようなカレンダーは、ルノアールだった。
    毎年そうだったのか他の画家の作品もあったのか、今では思い出せないけれど、
    1年中壁に貼られた絵は印象派を知るきっかけになっていた。
    作家の名前も覚えないまま、子ども心に「好きな絵だ!」と思っていた。色合いも素敵で・・・。
    大学生になって絵を見る機会が増えると、印象派の中でも特に
    モネが好きだと、はっきりした。
    卒業旅行で見たオランジェリー美術館の「睡蓮」は圧巻だった。
    声もなく、その色の中に溶けていくような錯覚を感じた。


    本の装丁は、あの何ともいえないブルーの睡蓮。
    まだ行ったことのないジヴェルニーも憧れだ。読む前から、想像が膨らむ。

    第4話はモネ。
    画家という人に対して若干の狂気を感じていたが、
    モネの愛情に包まれた幸せな暮らしぶりにほっとする。
    貧しさや別れ。
    暮らしは楽ではなかったし、苦しくつらいことも多かったと思うけれど、
    岐路に立たされたときには、幸せで暖かい方を選択していたように思えた。
    これからモネの絵を見るときには、この幸福感を思い出すだろう。

    最も好きだったのは、第1話。
    マティスと彼を深く理解している「マグノリアのマダム」のお話。彼らに仕える若い家政婦マリアの目を通して描かれている。
    マティスとマダムの抑えた表現が胸にしみる。
    互いを思いやり、言葉は交わさなくても心のうちを読みとることができたようだ。
    相手が何を求めているのか、今の自分に提供できるもっとも喜ばれることを知っている。
    知的な愛情を感じた。
    さらに色鮮やかな絵と対比するような、シンプルで強い意志を感じる白いマグノリア。
    孤児院、お邸、古いホテル、礼拝堂、墓地、修道女。
    読みながら、映像を楽しむ。
    マハさんの豊かで鮮やかな言葉の数々。
    その中で、人々は静かに穏やかに凛として生きている。
    このお話、大きなスクリーンで観たいなぁ。

    ドガの踊り子たちに抱く思いや、セザンヌたちを支えたタンギー爺さん。
    絵の背景を知ることは、絵を観る楽しみが増えるということ。
    次のアートストーリ、楽しみです。

  • 昨年出産してから慌ただしく、全く本を読まなくなりました。
    これが2か月ぶりの読書で、読むのに1週間もかかってしまった^^;
    なかなか読め進められなかったけど、とても面白かった~!
    ルソー一色だった楽園のカンヴァスとは違い、4人の芸術家に焦点をあてた短編集。

    原田さんの芸術ものは、専門的な知識や考察を背景に、実在の芸術家たちが活き活きと輝きを放つ。
    マティスのマグノリア、ドガの踊り子、セザンヌのりんご、モネの睡蓮…
    絵といえば漫画だろうというくらい疎い私でも、作中出てくる絵に魅せられ、そして昔から知っていたような気持ちになる。
    どのお話もよかったけれど、売れない若い画家に、絵と引き換えに絵具を売る、借金漬けだけど絵が大好きで画家が大好きなタンギー爺さんのお話が一番好き。
    (それにしてもタンギー爺さんてばものすごい見る目。今や誰もが知るような大画家の絵ばかり集めていて、そのまま持っていたらすごいことになっていたんだろうなぁ。ってたぶんフィクションだけれど。笑)
    印象派が歯牙にもかけられず馬鹿にされていた時代には、二束三文で叩き売られていた絵が、今では億単位で取引されるんだから、芸術って何なんだろうな~^^;

    読んだあとはしばらく、読後感にほわほわっとなって幸せだった。ちょっとずつまた本の世界に戻ってこよう。

  • 「私のアトリエはね 、ブランシュ 。この空の下なんだよ。」この文を読んだ時どんより暗い私の部屋がパッと光り輝いた。目に映るのは青い空、緑の木々、川のせせらぎ、輝くばかりにうつくしいジヴェルニー。今日みたいな晴れた日はふたりでアトリエに行っているだろうなと思いながら本を閉じた。

    モネの絵を検索していたら『舟遊び』に出会った。ブランシュだ!
    「ひょっとして 、百年後 、どこかの美術館か収集家の家で 、誰かが自分の姿を絵の中にみつけるのだ 。そう思うと 、ブランシュは 、百年後のどこかの誰かに語りかけたいような気分になるのだった 。この絵を 、どうかこのさきもずっと大切にしてくださいね 、と 。」
    モネらしい素敵な絵だね、と語りかけた。いつか本物に会いに行きたい。

  • モネの絵を前にしている私は今、
    一体、どこにいるんだろう?

    それがわからなかった。

    でも、
    わからなくていいと思った。

    初めて3D映画を観た時よりも、
    ずっとずっと、心がちりぢりになるよな感覚。

    透明な水の流れに
    とろりと溶けて、自分が何者でも無かった事を思い知らされる様な、

    ただ、光のなかに息づくだけの、いっこの命に過ぎない事を、
    やっと認めて、安心出来たかの様な。

    私は、
    言葉をひとつも思い出せずに、それでも、ただ、じっ、と眺めていても許される、
    モネの絵が、とても、とても好きだった。

    だから、この本を手にした時は少し、複雑な気持になった。

    この中にモネがいる?

    その絵の秘密を誰かが暴露している?

    知りたいような、
    知りたくないよな。

    でも。

    そんな私のささやかな不安なぞ、
    まるで置いてけぼりの世界が広がっていた。

    キャンバスと、
    画家との間にある光。

    人は時間の中に滅びても、
    決して消えないその光を、ぽうっと浮かび上がらせてくれる物語。

    「うつくしい墓」 アンリ・マティス

    「エトワール」  ドガ

    「タンギーじいさん」  セザンヌ

    「シヴエルニーの食卓」 モネ

    どの短編も素晴しく、
    読後、物語に登場した絵はすべてNETで検索、

    2度、感動を味わえる、素晴しい作品だった。

  • 印象派の画家のことを身近な女性の視点から描いた短編集。
    画家への尊敬と芸術への愛情が感じられて、とてもさわやか。

    「うつくしい墓」「エトワール」「タンギー爺さん」「ジヴェルニーの食卓」の4編で、マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネなどが語られます。

    「うつくしい墓」は、アンリ・マティス。
    短期間、家政婦を務めた若い女性が、マティスのもとへマグノリア(日本でいうタイサンボク)の花を届けるエピソードから。
    うつくしい墓とは、マティスが絵を描いたヴァンスの礼拝堂のことですね。
    芸術の生まれる一目惚れの瞬間を常に待ち続けていたマティス。
    烈しい性格だったピカソが、マティスとの友情を大事にしていたことも印象に残りました。

    「エトワール」とは、バレエ・ダンサーのトップのこと。
    バレリーナを柔らかいタッチで描き続けたドガ。
    一体だけ、リアルな少女の像を作り、物議をかもしたことがありました。ライバルだった女流画家メアリー・カサットの視点で。

    「タンギー爺さん」とは、ゴッホの有名な絵。
    画材屋だっただけでなく、印象派の画家達を熱烈に見守り応援し続けた男だったのですね。
    当時としては革命的で、まだ世に容れられていなかった画家たちのことを‥
    「ポール・セザンヌが彼自身になるまで」と。

    「ジヴェルニーの食卓」は、モネ。
    モネが暮らし、庭造りに没頭し、睡蓮を描いた家ですね。
    若い頃のモネは暮らしにも困るほどで、自然豊かな環境のパトロンの家に同居して作品を描いたのですが、その後に家の主人が財産を失って国を出て、家に戻らなくなるという事情があったのですね。
    それでも、家に残された人々には互いに思いやる、こまやかな暮らしが続いていたこと‥
    モネを見守った義理の娘の視点から描いていきます。

    人の胸を打つ美しい作品が作られるにいたる環境もまた、切なく、魅力的です。
    画家が鍛錬し、時には絶望と闘い、周りの人々の心が寄り添い、作品に命が吹き込まれたその瞬間を見る思い。
    絵画の雰囲気に寄り添うような丁寧な文章がいいですね。
    長年蓄えた専門家の知識を掘り起こして、優しい心づかいで結晶させた小説でした。
    猛烈に、題材になっている作品をまた見たくなりますね。

  • 友人が原田マハさんの講演会に出かけて購入したこの本をプレゼントしてくれました。
    なんとサイン入りです!
    大好きな原田マハさんの本。
    もううれしくて、うれしくて!!

    ゆっくり時間をかけて読みました。
    【楽園のカンヴァス】は美術ミステリーでしたが、こちらは“読む美術館”と言われる作品。
    「うつくしい墓」はマティスを、「エトワール」はドガ、「タンギー爺さん」はセザンヌを。
    そしてタイトルにもなっている「ジヴェルニーの食卓」はモネを描いています。

    これまで完全美術音痴だった私ですが、原田マハさんの本を読んで、絵画の背景にある物語を楽しむという、新たな扉が開かれたような気がしています。
    読みながら感じる。素敵な本でした。

  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネという、19世紀後半から20世紀前半を彩ったフランスきっての画家たちの人生を、彼らをそばで見つめ、支えた人々の視点から描いた四編からなる作品集です。

    「美しい墓」
    晩年そばに仕えた家政婦マリアが語る、底抜けに明るい色彩を描き続けたアンリ・マティスの姿と、対照的な面が多かったけどマティスの親友だった巨匠ピカソとの交流。

    「エトワール」
    友人だったアメリカ出身の女性画家メアリー・カサットが思い出す、バレリーナを多く描いたエドガー・ドガの、既存芸術との狂おしい戦いと執念。

    「タンギー爺さん」
    貧しい芸術家たちを快活に支援し続けた画材屋タンギー爺さんの娘が書いた手紙を通して読む、タンギー爺さんの慧眼と優しさ、林檎の静物画で名高いポール・セザンヌ芸術の前衛性と偉大さ。

    「ジヴェルニーの食卓」
    妻の連れ子にして助手でもある女性ブランシュが見つめ続けた、自然の光と風景を愛し屋外をアトリエと称していたクロード・モネの姿と家族の記憶。

    既存の芸術の壁に挑んで大成した四人の偉大な画家たちそれぞれの人生や作品だけでなく、彼らに寄り添った人々の人生までも慈しむかのように温かい視点で丁寧に綴られているのがよかったです。

    どのお話も、短いけれど読後感が清々しくて、とても幸せな気持ちになれました。

    ただ、最後の「ジヴェルニーの食卓」は、モネの後妻にしてブランシュの母であるアリスが残したレシピから、ブランシュが作る料理の数々がものすごくおいしそうで、お腹が空きました。夜中に読むのは危険です。

    実在の絵画もたくさん登場するので、インターネットなどで検索しながら読むのも楽しい作品集でした。

  • マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、モネ。新しい美を求め、時代を切り拓いた巨匠たちの人生が色鮮やかに蘇る。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、“読む美術館”。
    [BOOKデータベース]より

    原田さんの小説を読んでいていつも思うことは、読んだ後、穏やかな気持ちになる、ということ。
    みずみずしい感性で絵を描いて行くには、いくつ年を重ねても、卑屈になることなく、子どものような感性を持っている必要があると思う。
    そういった環境を整えるために周りの人たちが心を配る様子に心が温かくなる。

  • 祝!!直木賞受賞!!
    と先走って書いたりする。

    でも本命じゃないかな、今回は。
    湊かなえは厳しいと思う。
    対抗は恩田陸『夜の底は柔らかな幻』。
    ちなみに芥川賞はいとうせいこうの「想像ラジオ」と予想。
    こちらの対抗は戌井昭人『すっぽん心中』。
    さてさて、前回はほぼパーフェクトの快挙予想を成し遂げた私ですが、
    今回はどうなるでしょうか。
    明日17日の夜にニコニコ動画で生中継されます。
    楽しみ楽しみ。

  • 原田マハの文章のうまさには、見事というしかない。
    美術史に燦然と輝く有名な画家、マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、モネの人生を
    鮮やかに生き生きとその作品とともに描いて見せる。
    彩ある一文一文は、、その時代背景から生まれた
    その作品への経緯と画家たちの作品にいたる思いを浮かびあがらせる。

    美術展に行くと、説明書きが立派なボードに書かれているけれど、限られた文字数では、画家たちの生きた時代を第三者の目で淡々と描くことしかできない。もちろん限られた文字数に、絵を扱うプロの思いは感じられる。
    しかし、この小説は、それぞれの画家の性格をきちんと描ききっていて興味深い内容となっている。

    読んでからすぐにインターネットで、それぞれの絵を検索。深いなあ~~。本物を見たくなった。

  • 『楽園のカンヴァス』に続く、原田マハの美術小説。

    マティス、ドガ、セザンヌ、モネのそれぞれをテーマにした4編の連作短編である。
    いずれも、画家本人ではなく、むしろ周囲の誰かにスポットが当てられている。
    画家を支えた人の視点を丹念に描くことで、その画家の「素顔」が浮き彫りになっていく仕掛けである。
    背景はかなり綿密に調べられている印象があり、「史実を元にしたフィクション」という著者自身のひと言が頷ける。

    自らにとっての真の美を追求する、優れた芸術家。そして彼がまだ認められていないとしても、そのすばらしさを知っている理解者。
    芸術家を見つめる理解者の思いには、もしかしたら、「描けない」者の哀しみもいくぶんかは混じるのかもしれない。しかしこの著者の描くそれは、常に、黒く凝固したものを含まない。ただ羨望として、憧れとして、はるかな高みを賛美するまなざしがすくい取られている。
    その憧れには、キュレーターであったという著者自身が、優れた芸術作品に対して実際に感じる思いが重なるのだろう。それこそが、著者の作品群を貫く、泣きたいほどの温かさの源なのかもしれない。

    そう、世界には美が満ちあふれているのだ。そして美の面影を捉えることの出来る芸術家は、やはり賞賛されるべき天才なのである。

    絵を見に行こう、と思える1冊である。

  • 原田マハさんによる『読む美術館』。

    楽園のカンヴァスの雰囲気が好きだったので、
    読む前から好きな一冊になる予感があったが、やはり良かった。
    睡蓮の装丁も素敵な仕上がり。

    前作のミステリ的な話とはまた違い、
    有名画家とその傍で関わった女性の視点で描かれる、
    4つの物語。

    印象派が産まれたその時に、画家が注いだ情熱や、
    苦労を感じ、その魅力に自分も惹かれる。

    しかもちょうど彼らの作品がプーシキン美術館展として、
    来日しているものだから、更に感慨深い。
    この内容を分かっていたら、本を読んだ後に観に行ったのに・・・。
    先に絵画を観たことが少し悔やまれた。

    この本を読んだ前と後で、画家に対するイメージや、
    作品そのもののイメージまで変えてしまう。

    フランス絵画の移り変わりの雰囲気を感じられ、
    作中に登場する絵画そのものではないけれど、
    彼らの作品を観ることができるプーシキン展と、
    併せて楽しむのがお勧めです。

    4人の画家だけでなく、そこに関わるピカソや他の画家、
    かの有名な「タンギー爺さん」の人となりも知ることができ、
    また一つ絵を観る楽しみを増やしてくれた。

    マティスのロザリオ礼拝堂やオランジュリー美術館の睡蓮。
    遠い地フランスに想いをよせて読了。

  • 女性たちの、美しい言葉によって語られていく、画家たちの物語。
    じんわりとしみいるような作品。
    新しい芸術が生まれる、時代の息吹のようなものを感じる。
    人柄までも生き生きとえがかれる画家たちが、みんな魅力的。
    美術品の描写も素晴らしく、思わず読後に検索。

  • マティス、ドガ、セザンヌ、モネ…画家たちの周囲で彼らを見つめ、サポートした人たちを視点に据えた中編集。

    「読む美術館」と銘打って売られているが、まさにその通りだと思う。

    印象派に関する美術史の知識もふんだんに盛り込まれているし(ハッキリと豆知識とわかるように書いてある部分もあれば、これ見よがしには書いていないがちゃんと美術史上重要なキーワードが入っている場合もある。と言っても小説である以上フィクションも入っているのでそこは注意が必要だけど)、この本をきっかけに「この作品に出てきたあの絵ってどんなものだろう」とGoogle画像検索をかける人もきっと多いはず。
    脇に出てくる人物もタンギー爺さんやゴッホ、ピカソなど豪華。メアリー・カサットは日本では無名だと思うが、たまたま吉原真里の「Embracing the East」を読んでいた私はまさか小説で彼女の名前を見る日が来るとは思わずビックリした。

    また「読む美術館」というだけあって、作品で描かれている感情がどれも美しい。決して清い感情だけじゃなく、悲しみや嫉妬なども描かれているのだけれど、そういう感情もどこか美しいと感じさせる筆遣いとなっている。全てどこかせつない。

    最初のマティスのエピソード「うつくしい墓」は、語り手の女性が「カフーを待ちわびて」の幸を思い出させると共に、物語に出てきたヴァンスの大聖堂に行ってみたくなった。
    ドガのエピソード「エトワール」は私的ベスト。女性二人のドガに対して抱く想いのせつなさがたまらない。
    最後のモネのエピソード「ジヴェルニーの食卓」は、そのままモネの「睡蓮」を思い出させる穏やかだけど少し淋しさの混ざる作品で、読み終わったときに私の頭の中には夕焼けに染まるルーアン大聖堂(オルセー美術館に置いてある、モネの一連のルーアン大聖堂画の中でも輪郭がとりわけ曖昧な一枚)が浮かんだ。

  • 書かれた画家それぞれに、もっと残酷な現実も過酷な日常もあったと思うけど、その作品たちのように穏やかで美しい一時が綴られている。
    主題となる作品を見ながら、当時に思いを馳せて読む。

  • 美を追求する人間の見る世界や語る言葉を原田マハ先生が描くと、こんなにも鮮烈な色彩を帯びてしまうのね、と美の一端を垣間見れたような気分に浸れました。
    帯に書かれた「読む美術館」という言葉は、言い得て妙だなァ。素敵な修辞だわ。

    昨今、「驚愕のラスト!」だったり「全員が騙される!」だったり、センセーショナルな煽り文句が書店の平積みに散見されるけど、そんなビビッドな帯の中にこういう静かな言葉があると、かえって気になるものですね。

    うーん、大ドンデン返し系の帯が付いた作品には漏れなく手が伸びる人間が言えたセリフじゃないな←


    芸術を鑑賞する審美眼は、悲しいかな正直あまり持ち合わせてない自覚だけはあるのですが(笑)、芸術やその作品に触れた人間の機微を表現しようとする本作のセンテンスからは、確かに鮮やかだったり陰鬱だったりな色彩を感じることができたのは意外な収穫だったかなーと!

    本を読んでると、紙面に色が乗ることはままあるんですが、本作はその感覚が一層際立っていたのが心地よかった。

    印象派だから良かったのかしら。
    これがエコールドパリだったら、ちょっと輪郭がガチャガチャしそうだよねぇ(笑)。



    【自分の言葉で内容まとめ(ちょっといつもより時間かけて頑張ってみました!)】

    ◉うつくしい墓 La belle tombe

    「君は、どうしてその花瓶を選んだのかね?」ーー巨匠アンリ・マティスの問いかけに対する答えがキッカケで、彼の家で家政婦として働くことになったマリア。きっかりと手順が定められた折り目正しい奉公の日々を、静かな喜びを以って過ごす彼女に、ある日、主人の元をもう一人の巨匠が訪問するという知らせが入る。


    ◉エトワール L’etoile

    一瞬一瞬の躍動をキャンバスに留めることに苦心した画家、エドガー・ドガ。彼の絵に魅了され、影響を受けながら時に反発し、自らの絵を追求した女流画家、メアリー・カサット。ドガの没後、彼のアトリエから出てきた1つの少女像が、かつてパリの画壇で共に苦悩した時代の記憶を呼び覚ます。

    ◉タンギー爺さん Le Pere Tanguy

    芸術やそれを生み出すアーティスト達を愛し、とりわけセザンヌを愛した画商、タンギー親父。貧しい絵かき達の為に心を砕いた男の娘がセザンヌに送る、赤裸々で思いやりに溢れる書簡。

    ◉ジヴェルニーの食卓 Une table de Giverny

    広大なジヴェルニーの庭をこよなく愛したクロード・モネは、国に寄贈する「睡蓮の大壁画」の創作に苦慮していた。白内障を患い、愛する妻と息子を喪った彼は、創作に対する情熱を急速に失っているかのように見えたが…。
    彼の義理の娘であり生涯唯一の助手ブランシュと過ごす静かな晩年と、彼等の出会いから親子になるまでの過去の回想。

  • 有名な西洋画家4人について、それぞれ別の語り部たちが語ったもの。
    語られる画家はすべて男性。
    語り部は女性。
    ・・・となると、二人の関係は恋愛関係と単純に思いがちだけど、この本での関係はちょっと違う。

    最初の物語、「うつくしい墓」で登場するのはアンリ・マティス。
    語り部は彼の所で働いていた家政婦の一人である女性。
    この話からはマティスの暮らしぶりと彼の美に対する独特な感覚、ピカソとの交友がうかがい知れる。

    「エトワール」は踊り子の絵で有名なドガの物語。
    彼とモデルとなった14歳の踊り子の少女の様子をつぶさに眺め、語り部となったのはドガと同業の女流画家。

    「ダンギー爺さん」で語られるのはセザンヌ。
    彼の物語は、彼にあてた手紙の中で語られている。
    差出人はセゼンヌの行きつけの画材店の娘。

    「ジヴェルニーの食卓」はモネの物語。
    彼のことを語るのはモネの娘。
    と言っても、彼女とモネとは血のつながりはない複雑な関係。

    どの話も今の時間には画家たちは存在しない。
    彼らは語り部となる女性たちの追憶の中に存在し、そして生き生きと語られていく。

    どれも雰囲気のある作品だと思いました。
    盛り上がりや刺激には欠けますが、その分、静けさと独特な美の世界を感じます。

    とても上手に書いてると思いますが、いかにも日本人が西洋の世界を想像して書いた作品だと思いました。
    以前、とても筆力のある作家さんが同じように外国を舞台にした本を書いたのを読んだ時も全く同じように思いました。
    どこまでも日本人感覚というか・・・。
    内容が外国が舞台なのでそうなんだ・・・と思うような、そんな感じ。
    反対に、ちょっと感覚的についていけないような話を普段書く人が「これ、本当に日本人が書いた小説!?」と思うような作品を書いたりするのもあるし、こういうのって、文章力とは関係ないんだな・・・と思います。

  • 原田マハさんの本には、辛い経験をした人が元気を出すキッカケや希望が書かれているものが多いように思います。

    それがひとたび絵画をテーマにすると、全く違う著者の様な輝きを放ちます。衝撃を受けた【楽園のカンヴァス】。それから日本が舞台の本を読みそれなりに面白かったのですが、今回は特別。待ちに待った絵画をテーマにしている本を逸る気持ちで手にしました。

    読み始めは期待が大きくて、なかなか物語りに入っていけなくて何度も同じページを読み直しました。お話しは4編。いづれも有名な画家達と作品に纏わるものです。

    * うつくしい墓 *
    アンリ・マティスとパブロフ・ピカソの話しです。
    マグノリアの花と共にマティスに仕える事となったアリアが、ヴァンスの礼拝堂にて思い出を語る構成。マティスの実際のお墓はシミエにありますが、晩年自ら4年の歳月をかけて造ったヴァンスの礼拝堂が本当の意味での墓だと明かします。そして生涯をかけて仕える為に修道女となったマリア。そうした無償の愛も美しく感じました。南フランスに詳しいともっともっと楽しめそうです。

    * エトワール *
    女流画家のメアリーは、印象派のドガを母国アメリカに紹介した立役者。その彼女とドガと作品とモデルとの関わりでの構成。死後見つかったロウソクでできた像《十四歳の小さな踊り子》の秘話も興味深かったです。

    エドガー・ドガによる踊り子の絵はあまりに有名で、私の最も好きな絵画です。ドガの時代のフランスでは、貧困に苦しむ家族を救う為にバレエ学校に進み、パトロンを見つけ、やがてはエトワールになるという方法がありました。そうしたバレリーナを熱心に見つめ、目にとめた14歳のオペラ座の踊り子をモデルにした小さな蝋製の像を沢山作っていたというのを始めて知りました。

    いつかドガの作品を観にオルセー美術館に足を運びたいと思っていましたが、この秘話を読み、更に思いが深まってしまいました。

    * タンギー爺さん *
    セザンヌを始め、モネ、ピサロ、ゴッホ、スーラ、ベルナールもお世話になった画材屋の店主タンギー爺さんのお話し。タンギー爺さんの自画像はゴッホの作品としても知られています。貧乏な売れない画家達の絵と売り物の絵の具を交換してしまい、溜まりに溜まった絵の具のツケは表向きは売れたら返すという事になっています。それを黙認しつつ不満を募らせる妻と、落胆しながらもあたたかな目で見守っている娘。そのタンギー親父の娘からの視線で物語が進みます。

    タンギー爺さんは売れない画家達の新しい作品をたのしみに生きていて、なんとも楽天的な性格です。訪ねてきた画家達を無条件に受け入れ、絵の具をお土産に持たせるだけでなく、ワインや軽食を振る舞って美術話しに花を咲かせる毎日。そうしたところも愛される要素だったんじゃないかと思います。無数の絵を見てきた彼は、やはり無名だった画家ポール・セザンヌのリンゴの絵を特に自慢にしています。先見の明があったのがまたスゴイところで、もう一度セザンヌに会いたいと思いながらこの世を去ります。

    パリの画家には、力強い皆のパトロンがいたかと思うと、ほんわかした気持ちになります。以前観た三谷幸喜さん作の舞台に、ゴーギャンとスーラとゴッホの日常の描いた愉快な芝居があったのですが、それを思い出しました。

    * ジヴェルニーの食卓 *
    本の題名にもなっていますが、ここまでくるとスッカリ、原田マハ・ワールドに入り込んで読めました。巨匠クロード・モネのお話しです。

    モネに寄り添った後妻の娘で実の息子の嫁・ブランシュから語られる構成です。複雑とも言える2つの家族が狭い家で暮らし、徐々にモネの絵が世間で認められるようになり、理想の家を作ります。美しい庭に、光に満ちたアトリエ、花の彩りでこだわった邸宅。舞台はシヴェルニー。

    黄色で統一された明るいダイニングは家族が食事をとる笑いに包まれたスペースでした。近くの畑で日々収獲される新鮮な野菜と美味しい料理が並び、そこは理想郷のようなところです。

    死別や子供たちの自立で、最後に残されたのはモネとブランシュ。それから優しい使用人たち。無二の巨匠となっていたモネは国への寄贈契約した対策《水連装飾画》に取り掛かっています。しかし白内障を患い難航してしまいます。旧友やシヴェルニーの人に励まされ、白内障の手術と回復を待ち、もう一度気力を取り戻します。

    淡い色彩でなんとも和ませてくれるモネの作品達。それはきっと彼の人に恵まれた穏やかな日々から生み出されたのだと知る事ができました。


    それぞれのお話しは女性の視点から書かれています。感想を書くのにも久々にくたびれ、それだけ書き残したいという思いが強かった一冊です。もう一度読み返したらもっと深くなるかもしれませんが、それはまたいつか・・・。

  • カテゴリをミステリにしちゃったけど、どうなのかなぁ。
    『楽園のカンヴァス』と対になっているようで、視点は異質なのかな。
    こっちのスタイルの方が、通常のマハさんのスタイルに近いような気がする。
    取り敢えず思ったのは『楽園のカンヴァス』を読了しておいてよかったということ。
    この2冊はセットで読んだ方が絶対面白い。

    マティス、ドガ、セザンヌ、モネと、今となっては高名な画家たちを描いた連作短編集。
    それぞれの画家の晩年、しかも関わりのある人たちの視点で語られることで
    マハさんが持っているこの画家たちへの愛情、
    そして作品たちへの愛情がよりくっきりと描き出されていると思った。
    『楽園のカンヴァス』に出てくるルソーとも時代が被っている。
    この時代の、特にフランスの画壇がお好みなのかな。

    この感想を書き終えたら、
    まず最初にここに出てくる画家たちをWikiってみようと思う。
    印象派は個人的にあまり詳しくないので(ルノアールくらいしか知らない)
    逆に興味をそそられた部分もあるのだが
    どこかに寄稿されてたフェルメールの話も面白かったので
    19世紀末よりもっと前の画家の話もマハさんの筆で読んでみたいと思った。
    中世の宗教画とか、フランスやスペインの宮廷画家の話とか。

  • 美術界の4名の巨匠を描いた短編4作。
    登場した絵を一つ一つ調べ、眺めながらゆっくり読み進めました。

    『うつくしい墓』…マティス
    老年の男女と、天才画家を優しく結んだマグノリアの花。目頭が熱くなった。

    『エトワール』…ドガ
    「瞬間」を捉える天才ドガ。彼の唯一の彫刻作品『小さな踊り子』の誕生に秘められた切ない背景。

    『タンギー爺さん』…セザンヌ
    セザンヌに宛てられた厳しい手紙は少しづつ変化を見せる。駆け出しの画家たちを支えたある一人の男性。

    『ジヴァルニーの食卓』…モネ
    モネが愛した庭は、ジヴァルニーに暮らす家族に繋がっていた。切なくも温かな昼食の光景。

  • うつくしい墓(マティス)
    エトワール(ドガ)
    タンギー爺さん(セザンヌ)
    ジヴェルニーの食卓(モネ)

    それぞれの画家に魅せられた女性の視点から語られるそれぞれの画家の生き方。
    フィクションだけど、本当にこんなことがあったんじゃないかなぁって思う。

    マティスの切り絵は大好きで、いつか行ってみたいと思っていたロザリオ礼拝堂。
    それが目の前にあるような気がした。
    床に散らばる色を踏まないように、部屋のすべてものに意味があるように、
    自分がその部屋の中にいるような感覚になれた。

    実は、私は印象派の画家には興味がない。
    マティスも切り絵は好きだけど、油彩画には興味がない。
    それでも、それぞれの画家が何を想って描いていたかが作品から伝わるような気がした。

    ここに描かれている絵を、本物を見たことがある。
    でも興味があるかないかで、意識が変わってくると思う。
    もしもう一度見る機会があれば、また違う見方が出来るかもしれない。


    (図書館)

  • その一瞬に、向き合い、戦い、恋をする。

    誰もが名前くらいは聞いたことがあるであろう著名な画家たちが、何を描こうとしたのかを、彼らを取り巻く様々な立場の人の目線で語る作品。
    当たり前だが、マティスやドガが生きた時代なので、国も情勢も文化も私の世界とはかけ離れているのに、読んでいるとどんどんその世界観に引き込まれていく。
    今は便利な時代なので、本の中で出てきた作品をすぐさま検索してこの絵がそうかと確認できる。本当に「読む美術館」という表現がふさわしい作家さん。

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ジヴェルニーの食卓の作品紹介

「この世に生を受けたすべてのものが放つ喜びを愛する人間。それが、アンリ・マティスという芸術家なのです」(うつくしい墓)。「これを、次の印象派展に?」ドガは黙ってうなずいた。「闘いなんだよ。私の。――そして、あの子の」(エトワール)。「ポール・セザンヌは誰にも似ていない。ほんとうに特別なんです。いつか必ず、世間が彼に追いつく日がくる」(タンギー爺さん)。「太陽が、この世界を照らし続ける限り。モネという画家は、描き続けるはずだ。呼吸し、命に満ちあふれる風景を」(ジヴェルニーの食卓)。モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、珠玉のアートストーリー四編。

ジヴェルニーの食卓のKindle版

ジヴェルニーの食卓の文庫

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