八月の青い蝶

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著者 : 周防柳
  • 集英社 (2014年2月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715477

八月の青い蝶の感想・レビュー・書評

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  • なんか、良かった。青い蝶が目に浮かぶ。この時期に読めてよかった。この作家さん、爺さんかと思ったら案外若くしかも女性!

  • 第26回小説すばる新人賞受賞作。広島に落とされた原爆で引き裂かれた、幼い恋の物語。声高に「反戦、反核」を訴えるお話ではないのですが、日本人はヒロシマ、ナガサキを忘れてはいけないと改めて思いました。

  • きえさんのみらいは、わしがあげる。きえさんはお父ちゃんの変なものになっとるこたあない。きえさんは、わしの嫁さんになったらええ。

    きえさんにみらいはあげられなんだ。と亮輔は思った。
    ――あげられなんだどころか、わしのほうがもろうてしもうた。

  • 原爆関係の本は初めて読んだけれど、一般の人を題材にしているので読みやすいとおもう

  • 2014.2.10発行。第26回小説すばる新人賞受賞作品、「八月の青い蝶」、周防柳(すおう やなぎ)、女性作家さんの悲しい物語です。<昭和20年8月6日、広島で被爆した中学生の少年が、65年後死期が迫った病床で、悲しい初恋の記憶をふりかえる・・・「蝶」にまつわる物語です>紹介いただいた読友さんに感謝します!周防柳さんの次の著作、楽しみです!

  • 第26回すばる新人賞受賞作。
    新人の作品とはとても思えぬ筆致。
    1945年8月6日を生き抜いた人それぞれに歴史がある。
    被爆した亮輔と、娘きみ子の担任と
    のやり取りがこの作品の肝ではないか。
    語り尽くせぬ歴史が各人にある。
    胸に秘めて静かに生涯を終えようとしている亮輔の初恋、決意。
    これは、できれば8月の広島で読みたかった。

    映像化されたら正視できない描写もありますが、でも、あの日の広島は地獄のようだったのでしょう。

    作者は広島出身なのかと思わせるくらい、広島の言葉が自然に織り込まれていました。
    やねこい、えっと、さでこむ…

  • 「してみりゃ、わしらのように生き残った者はみな被害者ではなくて、すべからく、あんまりきれいではないわけよな。だって、みななんかごまかしとるもの。半分うそ、半分ほんとで生きとるもの。」

    戦後世代が太平洋戦争を書いていいものなのか。
    いい悪いを決めることではないと頭でわかっているのだけど、もやっとしたものが消えない。
    特に、「泣けた!」という感想が全面に出される作品などは、体験していない者が美談に仕立て上げているように思えて、美しいものなんかあるものかと歯がゆく思っている。
    もちろん、体験者による作品にも、事実しかないとは思っていない。
    意識してフィクションにしているところもあるだろうし、無意識に事実と異なることを、もしくは事実を減らしたことを書くこともあるだろう。
    けれど、そこには一定の共通認識がある。
    書き手にも、読み手にも。
    書かれていなくとも、例えば同じ町内にあって被災の度合いの違う不平等感だとか、そういった人のじくじくした思い、そういうものがあることが暗黙の了解としてあっただろうと思う。
    しかし、戦後世代の書き手にも読み手にも、そういったものを期待することは難しい。
    犠牲、という言葉だけがひとり歩きして純化させられて、輝かしいもののようにされている。
    特攻隊などは最たる例で、本当はあんなもの、愚行でしかない。
    それが以前は暗黙の了解としてあったと思うのだけれど、次第に薄れている気がする。
    亡くなった人々を惜しむことと、亡くなった原因の愚かさを追求することは全くの別問題なのに、「特攻隊」自体を非難することが非人情のようになりつつあるように思う。
    それはやがて、戦争そのものになるのではないか。
    そんな危惧を抱いてしまう。

    被曝、というのも一つ、ある種の聖域だ。
    もちろん、特攻隊とは異なる。
    確かに被曝された方達は被害者だ、しかも絶対に被る必要のなかったものを負わされた。
    けれど、ひとくくりに被害者とされて来た人達の中に、この作品は切り込んでいる。
    実際に被曝された方に聞いたり、書かれたものを読んだりもして描かれた作品だろうとは思う。
    しかし、ベースは戦後世代による推測だ。
    これまで書かれては来なかった、暗黙の了解の部分、それにはこういう苦しみや醜いものがあるのではないか、ということ。
    そこを考察するというのは、戦後世代の一つの義務ではないか、と読み終えて私は思った。
    戦争とは何なのか、これまで目に見えなかった部分まで考える。
    この作品に対して、同意だけでなく反発もあるだろう。
    けれど、この作品は一つの契機になるのではないかと思う。
    そして、戦争を知らない世代が戦争を描くことの意義の提議になるのではないかと。

  • 内容を知らずに読み始め、途端に引き込まれました。
    被爆したときの描写が細かくて、痛いです。
    読んでよかったです。

  • 最期を自宅で迎えようとする亮輔が大事に仕舞い込んでいたのは翅の一部が焦げた青い蝶の標本だった。ここから、少年時代の淡い恋心、被爆者の複雑な心理等、話は前後しながら展開し、やがて原爆投下の日となる。すばる新人賞受賞作品とはいいながら、かなりのベテランによる見事な作品だった。

  • 小説すばる新人文学賞受賞作。
    今死にゆく人と、その人の子どもの頃の淡い初恋が交互に描かれる。原爆が落ちる前後の出来事。そこを生き抜いた市井の人のありのままの気持ちがこちらに迫ってくる。
    とても良い作品だった。

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白血病で療養する父の持物の中にみつけた、小さな青い蝶がとめられた標本箱。それは昭和20年8月に突然断ち切られた、淡く切ない恋物語を記憶する品だった。圧倒的な筆力が賞賛された感動のデビュー作。第26回小説すばる新人賞受賞作

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八月の青い蝶のKindle版

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