教団X

  • 3941人登録
  • 3.18評価
    • (111)
    • (285)
    • (397)
    • (172)
    • (75)
  • 425レビュー
著者 : 中村文則
  • 集英社 (2014年12月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715903

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

教団Xの感想・レビュー・書評

  • 松尾が語る世界観は人間とは何か、神とは何かという核心にきりこんでいくようで、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を思い出させ、ちょっとわくわくしたが、沢渡教祖周辺の話に露骨な性描写が多すぎてだんだんうんざりしてしまった。女性も消費されるだけでリアリティがない。
    松尾と沢渡の人間性を対比するためかもしれないし、おそらくは著者の重大なテーマなのかもしれないが、ここまで表現する必要性があるのだろうか?
    掏摸ぐらいにクールにまとめたらノーベル賞いけたかも。残念。
    松尾と奥さんの話にはちょっとホロリ。

  • 松尾正太郎の講話「教祖の奇妙な話」だけで十分に読みごたえあり。仏教入門は、あの中村元さんの原始仏教論まで交えて分かりやすく説く。宇宙科学では素粒子物理学、さらに今話題の暗黒物質についても触れる。余剰次元、ここで言う異次元との往来パターンの解説も、人間の脳がつくり出す意識という未知の領域の考察に巧みに結びつける。最後には反戦論、第二次世界大戦において世界でも特殊な経験をした日本が歩むべき、特殊な道を探る。他の国と同化せず、ひたすら平和追求国家でありたいという願いに帰結する。エログロあって、国際的テロも陳腐に感じるけれど、著者が懸命に学び伝え、正当に主張する上での照れ隠しってことで…

  • アメトーーク経由。確か去年の夏頃図書館に予約して、順番が回ってきたのは年明けの1月末。初めて挑んだ中村さんの作品だ。

    タイトルはとんだ「かませ犬」だったのか…。残念ながら、私にはそうとしか思えなかった。
    読後思うのは、やはり全体的な規模の小ささではないだろうか。教団と名のつくからには、どうしてもあの教団の一連の事件を想像させられる。結局、事実は小説より奇なりで、作り話は現実を超えられないのかと。

    総じて、題材をいろいろ集めたけどいまいち消化しきれない、不完全燃焼の感が残った。おそらく全ての題材を存分に活かし切るには、ボリュームも倍以上になるだろう。

    以下、☆マイナス3つ分の理由。

    やはりどうしても目につく性描写は、何かの受け売りのようで厚みのない表現が随所で繰り返され、分量かさ増しの感がした。

    松尾や教祖付近の、教団幹部を始めとするそれぞれにつく若者たちが、没個性的で分かりづらい。仮に映像化されるとしたら、俳優さんで彼らの違いを認識するかも知れない。
    教祖の話も、著者の持論をお披露目しただけかなと、軽く読み流してしまった。正直そこには読ませるだけの魅力が感じられなかった。
    松尾の奥さんが女郎あがりの設定だが、当時の女郎さんが簡単に結婚できたのかという疑問。結婚に至る過程の描写がもっとあれば、奥さんのラストの言動に対して、もっと深みや凄みを感じられたかもしれず、残念。
    冒頭のみ登場する、教団側も一目置くキレもの探偵の存在が活かされず、もったいない。
    松尾と教祖という大戦を生き抜いた2人の、互いに意識して対となる描写がもっと欲しかった。

    教団信者の年齢層と過去に幅がなく、限定的。
    限定するならそれだけ説得力のある設定が欲しかった。仮に「性行為を崇めるこの教団の信者は皆、性の重い過去を持つ若者」というひとつの型にあてはめたいとして、それを教祖の存在だけで説得させるのは、ちょっと無理があるのでは。「性の重い過去を持つ若者は、皆この教団の信者」とは言いきれないだろう。

    以下☆2つ分の評価。

    圧倒的な負の魅力を放っていたのは、教団メンバーの中にいた、常に自分以外のせいにして見下すことで自分を高みに置く男性だ。置かれた立場はいち信者である。所詮モブキャラな彼の言動思惑全てが、いちいち癪に触って腹立たしい。きっと、他の信者に対しては、彼らではどうしようもない重い過去を背負っていると読者側が認識しているから、同じ行動でも慈悲の情が沸いてきてしまう。しかし、彼には同情するに値するほどの過去が与えられていない。腹立たしい感情が噴出し、読み進めるスピードが一気に加速した。

  •  4月になって、読書量が急激に落ちた。自分の読書生活に少し疑問が生じたようだ。手当たり次第に本をネット注文するのだが、少し捲っては挫折することの繰り返しであった。久しぶりに大量の積読書ができている。
     この間、子供の影響もあって、3DSの妖怪ウォッチに熱中した。攻略本片手に、今も家庭そっちのけで夜な夜な没頭している。また自室のパソコンも買い換えた。最新のパソコンで何か新しいことをやってみたいと、衝動買いした。今のところ快適である。

     そんなわけで、この本は残り四分の一を残して本棚に放置していたのだが、新調したパソコンいじりと、3DS遊びがひと段落して、また読みたくなり、一気読みした。
     作中の松尾氏の講義という形をとった、筆者の主張が膝を打った。さすが今を時めく作家であると思う。話の展開自体は、途中で中断していたせいもあるのか、よくわからなかったし、正直どうでもよかった。

     これからは、あまりブクログにアップすることや自分自身の読書記録を残すことにこだわり過ぎずに、軽い気持ちで読書と向かい合っていくべきかなと、思い始めている。

  • 思っていたのとは違っていました。
    エロ描写がヒドい…

  • つまらなかった…
    書きたいことが分散してるし残らない

  • 読書というより、自傷。
    読み進めるうちにそんな気持ちにさせられたが、途中でやめられなかった。
    松尾さん夫婦には救われた。

    芸人に帯を書かすな。
    村上龍氏とかが良かったのでは。

  • アメトークの読書芸人で紹介されてからずっと読みたかった作品。
    ひょんなことから安く仕入れることが出来やっと読むことが出来ました。
    とにかく壮大なストーリーに惹き込まれ一気に読んでしまいました。
    印象としては村上春樹の「1Q84」に近い感じを受けました。

    とにかく松尾さんの話が本当に興味深いです。
    古い宗教も形式的になってしまっているし、新興宗教も胡散臭いし
    という中でこの松尾さんの話は宗教的でない点も多々ありますが
    あるべき新興宗教の姿というかそんなものが描かれているように思います。
    哲学的でありながら現代科学も織り交ぜながら宗教的でもある
    表現するならばそんな感じでしょうか。
    特に私という存在を考えた時、「私」を司る脳の部位は無く、
    脳の大局的な動きによって「私」という意識が生み出されており
    意識である「私」が考えたと思っていることは実はその前に脳が
    既に反応しているという事実(この本に書いてあるだけで確かめてないですが)
    は非常に興味深いと思いました。

    第一部で松尾さんが死んでから第二部では本来の教団Xの話になって行き
    教祖の沢渡よりもむしろテロを実行しようとする高原が主人公のように
    なって行きますがアフリカの某国の話が出てきたあたりから
    何か話が大きくなり過ぎて発散気味となってしまったなと思います。
    面白いんですけどね。ちょっと広げ過ぎでしょうと思いました。

  • 話題になった際に購入していたのを思い出してようやく読了。
    己が理想とは乖離した現実にものがき苦しみ、生きる意味を見失い、救いを求めて新興宗教団体に身を委ねた人間達の物語。

    絶望的なエネルギーが詰まった物語で終始圧倒されっぱなしだった。特に松尾老人の話が面白かったし、イエスを多重人格と言い放ってしまう作者がすごい。教祖一人の経験から世界全体の善悪の曖昧さを論じるのは些か飛躍しすぎではないかと思ったけれど、すごいことに変わりはない。
    どの頁を開いてもビリビリと胸を突き刺されて、こういうのを単なるエンタメ小説ではなく文学というんだろうなあと思った。

    登場人物の気持ちがわかると言ってしまうと大袈裟だけど、大なり小なり私の中にも同じ気持ちが巣くってる。人には打ち明けられない後ろ暗い気持ち、たいした展望も見込めぬ人生を、作者が余すところなく代弁してくれた気がして安心した。
    救いを求めて何かに縋ったとしても、結局のところ最後は自分自身で決断しなきゃ道は変わらない。でも今の自分自身を変えたいとか漠然とした欲求のために頑張るのって難しいと思う。どうすればいいのかわからないし、誰か認めてくれる人がすぐそばにいないなら、やる気が続かなくても何かと理由を付けて自分を甘やかして妥協してしまえるから。誰かに尽くすために、他人を理由にして努力する方がよっぽど簡単だと思う。

    人は他者との関係性の中で傷付けられるんだから、最初から独りでいた方が自衛になる。でもそれじゃほんとは辛くてさ、もっと普通の人達みたいに生きたい、と思ってもがき苦しんじゃう。
    新しい出会いにはこれまでの自分を否定してくる価値観も潜んでいて、傷付けられることもあるけれど、それでも嘗て負わされた傷を癒すには、他者との心のふれ合いを通してリハビリしてゆくしかないんだろう。

    今の自分にそれなりに満足してる人達、挫折したことない人達、ポジティブでリア充な人達、簡単に友達ができて人付き合いがそつなく出来てしまう人達とかには、この小説、この登場人物達は理解出来ないんじゃないのかな、と思った。

  • いや、お腹いっぱい。
    未来亭のカツカレー大盛りを食べたくらいの満腹感で、お腹がはち切れそうです。
    って言っても分かりませんね。
    最近ハマっている中村文則さんの大長編小説。
    ハードカバーの単行本で567ページの大部ですから、勤勉な会社員の私には、1日2日ではとても読めません。
    中身も重厚そのもの。
    タイトル通り、公安から「教団X」と呼ばれるカルト教集団を描いた物語ですが、宇宙や生命、宗教、善と悪といった、壮大で普遍的なテーマを扱っています。
    こういうテーマに臆することなく真正面から向かっていく作家が日本にいることを、私は言葉の正確な意味で誇らしく思います。
    物語はスリルと緊迫感があって面白く、しかも純文学の濃密さを備えています。
    中村さんが近年、求めてきた方向性の、ひとつの達成と言えましょう。
    それにしても、よく、ここまでいろいろと調べたものです。
    特に宇宙や生命、宗教といった分野では、先端的な知見を貪欲に吸収し、惜しげもなく本書の中で披露しています。
    読む人によっては少し飽きるかもしれませんが、私は括目して読みました。
    描写もさすがに中村さんだけあって冴えています。
    教団Xはフリーセックスを信奉していますが、めまいを覚えるほどのセックスの描写は読みどころのひとつでしょう。
    それから沢渡が過去を述懐するシーン。
    悪がこれほど鮮烈に描かれている小説は、ちょっとほかに思い当たりません。
    難を言うと、終盤に「さすがにこれは…」と思うようなリアリティ-に欠けるシーンがあって、それが気になりました。
    特に、自衛隊機を巡るあのシーンで、政府の対策本部であんなやり取りが交わされるとは、とても思えません。
    思想というか観念を優先した結果なのだと想像します。
    もっとも、それだけ思想・観念とリアリティーを両立させるのは困難だということも言えます。
    ないものねだりは止めましょう。
    世界に誇れる文学作品の誕生を言祝ぎたいと思います。
    次はどの中村作品にしよう。

  •  信仰の快楽と性的な快楽が一致した宗教があれば、きっと誰もが理性を放棄する。そんな人間によってとても都合の良い教団の核にあるのは気だるさだったりする。

     そんな教団が目の前に現れた時、人間であることを保てるのだろうか、それがどれだけ退廃的であったとしても快楽に沁んすることを拒否できるのだろうか。

     未だに新興宗教が存在しているのにはちゃんと理由があって、とうてい受け入れられないような不条理を被った人を生きながらえさせられるのは宗教しかないと思う。
     とても苦しい経験をした人はすべからく何かに寄りすがったのであり、それが宗教だったか友人だったという違いのみであり、伸ばした手に触れたのが何だったのかを批判することなんてとうていできない。手を伸ばさざるを得なかったということを見過ごすことはできない。

  • 教祖の話が難しかったり、性描写が多かったり、そういう点が批判されているけれども、作者の言いたいことは1つだけ。

    「どんな困難な人生でも生き続けなさい。」

    それが自分にとっては物凄く勇気づけられた。
    人間は不安定で不完全だけど、強い。

    借りて読んだけれども、文庫が出たら買って読みなおそう。

  • いやー途中まではすごい良かったんだけどなー。教祖の奇妙な話とか最高だったな。誰にでも分かる、アインシュタインの相対性理論!という本より分かりやすい自然科学の話であり、ソフィーの世界よりも分かりやすい哲学講話で、柳田國男より分かりやすい文化人類学の導入で、西田幾多郎より分かりやすい宗教学の説諭。この話もっと生かせなかったかなー。すごい興奮したのになー。そこに必要のない官能小説が入ってきた時点で違和感。教団Xのあからさまな暴徒化で興醒め。いやー残念!!教祖の話の部分だけ、別冊にして欲しい。

  • とにかくすごかった。
    戦争が、貧困が、飢餓が、格差が仕組まれている事。それは本当の事なんじゃないか。

    社会の事や未来の事、ちゃんと考えなきゃ。

    人間ってこうやって洗脳されていくんだ。

  • 評判だというので読んでみたが、、、。結論から言うと今一つ。松尾の話は同じようなことが繰り返されて、実際重要かと言われるとクエスチョン。セックス教団の存在意義やなによりセックス描写が必要なのだろうか。最後のまとめ方なら普通のクライムサスペンス風で良かったのでは。何より30代の男にずっと君付けは違和感。

  • 哲学的な宗教家の話の部分とそれとおそらく関連していると思われる宗教内部にいる人々のエロい話から構成された小説です。その関連がよくわかりません。官能小説としては、哲学的な話の部分が邪魔ですし、哲学的な個人的見解を書いた本としては、なぜエロがいるのか不可解です。哲学的な宗教家の話の部分は、相対性理論から脳科学、戦争論、戦前戦後の歴史見解みたいなのが入っており、最初の相対性理論から脳科学の部分からかなり個人的見解が含まれ、おそらく著者が言いたいことが入っているんだろうなと思われました。ただひょっとあらわれた宗教家がなぜこんなに広範囲な知識を有しているのかが不可解でした。その師匠が博識だからという説明がなされていますが、結局説明になっていません。学生運動に時代から素粒子の話をしていたようで、天才過ぎるでしょう。またこの宗教家たちは、太平洋戦争前からこの戦争はダメと分かっていて、学生運動前から、この運動はダメと分かっていたようですが、出来過ぎのように思います。
    まるで・・・のように、という比喩表現が頻発しますが、村上春樹のようだな、と思いました。国際的な賞を取っているようですが、国際的には、このような一律な比喩表現頻発が好まれるのでしょうか?
    高原が、理想を立花に語るシーンがありますが、かなり飛躍があり、理詰めでおかしい感じの所が多く、高度経済成長期に宗教に入る人が増えたとか、登場人物は皆かなり頭がよい人が多そうですが、なぜそのような人がそのような理論的におかしな話を、鵜呑みにしているのかが不可解です。狂気に走る新興宗教家としては、ありがちなんでしょうか?。松尾の独白みたいな部分や高原などが語る部分などに、恐らく著者の言いたい意見があるんでしょうが、ここまで独白みたいに、話されると、小説に溶け込まず、違和感があります。説明的に書かれていますが、不可解な部分が多く、入り込めなかったです。
    あまりに警察などがポンコツ過ぎる展開にも違和感があります。よくわからない情報のみで、宗教施設へ機動隊が突入するとかもありえなさそうだし、立花が人質のふりをして、救急車で脱出する時も、拳銃を持っているのに、誰かも確認せずに、乗せて、逃げられるとかも、ありえなさそう。
    哲学的に言いたいことがありそうですが、それが長すぎ、また繰り返しが多すぎて、ストーリーがよくわからない、不可解な印象でした。本屋大賞っぽいとは思います。

  • これだけの長さのある小説だとエンタテイメント系であると思うと、中身は純文学的。教団の長である松尾の説法はとても面白く、含蓄に富んでいるが、これだけの長さになると、どうしてもカタルシスを求めてしまう。そこがないのがかなり物足りない。壮大なしりすぼみ感。

  • Uさんのお勧め。
    といっても、読んだ訳ではなく、テレビで勧めていたと教えてくれただけだが。

    正直言って、つまらなかった。
    筆者が太平洋戦争、宗教、政治、世界情勢、精神世界について書きたいことを、
    無理やり、宗教団体でつなげた感じ。

    ある登場人物の言葉で「神は人間を殺せとは言わない」とあったが、
    それは違う。
    人間を殺せと言えるのが神だ。
    殺せと言う権能を神に与えるのが人間だ。

  • 500P超の厚さだが読ませるパワーを持つ。ただ、教義や政治的主張の部分はわざとそうしているのか、陳腐。システマチックなカルトセックス教団と、福岡伸一の動的平衡論を軸とした先端科学のつまみ食いをしたような原始宗教のせめぎ合い。FAQに対して理論武装されたような国家・戦争論は少し気恥ずかしい。
    急に、登場人物ではなく作者の思想が語られるように見える感じは、高野和明「ジェノサイド」であったり、あるいは「永遠の0」を思い起こす。あるいは、前半の蠢くようなおどろおどろしい感じから、後半のドタバタ活劇にまとまっていくのは薄めの「ガダラの豚」か、あるいは「悪の教典」か。

  • 気になる作家さんでしたが今まで手に取れず、最初に取ったのがこれというのはかなりヘビーだったかも(笑)

    重厚ですね。内容も文字通り本の厚みも。上下分冊にして欲しかったな、と重みに耐えながら読みましたが確かにこれは読み終えてみたら上下にしてしまうよりまとめたほうが良い内容であると感じました。

    すごい作家さんですね。壮大、かつ深遠。今までもったいないことをしていたのかも。でもちょっととっつきにくい。いやそこがすごくいいと思うのですが。
    好き嫌いというよりは「とっつけるとっつけない」で分かれそうな作家さんですね。

    こういう教祖、こういう世界観自分の知らないところに存在していそうです。何故だか「居場所」ということをすごく考えさせられましたね。

    「中村文則にはまる」までは行きませんが、どうにか手を出して行きたい(?)価値ある現代の作家さんの一人であるように思いました。

  • テレビで紹介され、評判になっていた。だから期待値が高過ぎないかと心配した。
    とある仏教系宗教団体、この教えが結構面白い。人間を構成する原子は、1年もすればすっかり入れ替わる、つまり人間とは身体は全部入れ替わっているのに「自分」というものがあるのだと思い込んでいる結合体と仏陀は判っていた(これって人はATフィールドで実体化されているという事だ)、なんていう人間論から始まり、また全編を通して人間の性に対する想いが、生物として行動の動機となる大きな要素であるという主張がされている。
    また、戦争を支えるナショナリズムの気持ちよさ(犠牲の美、大義に生きる、軍国主義者達は思想に飲み込まれ、考えることから解放され、自身の卑小な思考回路を、尊大なものと思い快楽を感じるという思想論も面白い。
    公安のセリフでは、他国への嫌悪が、無意識では自身の人生に対する不満の表れである、と本質を突く。
    前半は、そんな教団の背景を深く知る事となる。
    後半、やはり教団はテロを起こす。しかもそれは極めて効果的なやり方だ。一気呵成に進むテロは話の流れを加速させる。
    テロの中で実行犯は自分たちの主張を展開、他国と同化することで、この国の平和主義というオリジナリティを失うことの愚かさ、日本は平和追及国家になると良い、それが太平洋戦争で失われた膨大な命を無駄にしない方法であり、国に命を捧げた軍人達も、自分達を英雄としてくれなどという狭い精神の持ち主では無い筈、という主張がなされる。
    ラストには首謀者によるテロの本当の目的が明らかになるが、信者達はなお、信念に基づき前に進もうとする健気な姿を見せる。
    海外でも幾つも賞を受け、評価されている著者であり、これも翻訳されるのだろうが、外国での評判はどうなるのか興味がある。
    ただ余り万人には薦められないので・・・

  • 宗教、世界平和、貧困、戦争。今の私にとって興味深い内容でした。考えることを止めて大きな流れに沿うことに善を感じている自分自身がいます。自分の信じていた思想が崩れることを受け入れることのできる人間の強さを信じたいです。松尾さんの言葉。誰に何と言われようとも、私は全ての多様性を愛する。考えさせられる本でした。

  • 非常に良くできた宗教学書、哲学書、科学書である。もちろん純文学書、エンタメ文学書でもあり、かなりの割合で官能小説書でもある。

    といった具合に様々な側面を持っていて、百科事典かと言わんばかりの超大作。これまでの中村文則の長編小説は全て読んでいるけど、それらのいいとこ取りもしてあり、まさに彼の全てが詰め込まれた作品だと思う。

    心に染みる言葉が多く、貼った付箋は35枚に上った。


    1.俺のこれまでの人生? そんなものに何の価値がある?

    2.目の前に神を見た感動に包まれれば、人間の内面は相当活性化されるはず。

    3.宗教家が不本意に誕生していく、奇妙な構図だった。

    4.ここにお前の人生がある。お前の生きる目的の全てがある。私はこの世界を変えるつもりでいる。お前の力が欲しい。

    5.彼がしていたのは、あらゆる欲望をなくすこと。快も不快もなくし、感覚的な感受も喜ばず、これはあれ、あれはこれ、という識別作用もなくした「無」の状態。

    6.もしかしたら、私達の意識は、何も決めてなんかいないのかもしれない

    etc.


    2015.9.10

  • 露骨な性描写が結構多くて、
    カフェで読んでたのですが中断しました。
    部屋で1人で読んだ方がいいです。

    あまり好きなタイプの話ではなく、
    世界情勢や政治的思想、原子の話や神の話、作者が語りたいことを教祖や各人物の台詞として語らせている感じがします。世界情勢の裏については、読後はもう何を信用していいのかわからなくなる。

    また、悪と性を様々に書いた結末が、大きな母性愛であったり、純愛であったり、アフリカの少女の笑顔であったり、きれいに終わらせようとしているところが、ただの賢者タイムにしか見えない。

    間間に挟む性描写も企画もののAVのようで、

    世界情勢とか語る

    安いセックス

    賢者タイム

    非常に男性的な小説、という感想になりました。


    『教団X』というタイトルから、
    もっとエンタメ度の高いものを想像していたのですがちょっと違いました。

  • 読書芸人や、多数の人が絶賛してたが、わからない…

全425件中 1 - 25件を表示

教団Xに関連するまとめ

教団Xを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

教団Xの作品紹介

絶対的な闇、圧倒的な光。
「運命」に翻弄される4人の男女、物語は、いま極限まで加速する。
米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)年間ベスト10小説、アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞、いま世界で注目を集める作家の、待望の最新作!

謎のカルト教団と革命の予感。
4人の男女の「運命」が重なり合い、この国を根底から揺さぶり始める。
神とは何か。運命とは何か。
著者最長にして圧倒的最高傑作。ついに刊行。

ツイートする