我が家のヒミツ

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716252

作品紹介・あらすじ

どうやら自分たち夫婦には子供が出来そうにないと感じ始めた夫婦、実の父に会いに行く女子高生、母の急逝を機に実家暮らしを再開した息子…。人生が愛おしくなる、笑いと涙がつまった平成の家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • どこにでもいる普通の家族の、ささやかな物語。

    どうやら家シリーズで2冊出ているらしい。
    読む順番間違えちゃったかな?

    「手紙に乗せて」が良かった_φ(・_・

    奥田英朗こんなのも書くのね。
    ほのぼの系…癒されます♪

  • 奥田さんの我が家シリーズ 
    ー 帯には家の中には秘密(ドラマ)がいっぱい
     どこにでもいる普通の家族愛おしい物語6編 ー
    とある

    まさしく愛おしいという言葉がぴったり!
    しみじみとあったかくて、優しくて、ちょっと切なくて
    このシリーズ大好き、というか奥田英朗さん、大好き
    とっても読みやすい

    特に気に入ったのは、
    『虫歯とピアニスト』
    20代一躍脚光を浴びたピアニストの大西文雄
    人生は有意義で輝いていなきゃダメと思い込んでいた20代から路線変更して、ブラブラしていた30代・・・
    そして、周囲に流されることなく自然体でいくことを掴んだ40〜50 代

    子供が出来ず、周囲からうるさく言われていた敦美に、大西がしたアドバイスにグッときた

    人間なんて呼吸してるだけで奇跡

    プランAしかない人生は苦しい。一流のスポーツ選手、演奏家、俳優たちは、常にプランB、プランCを用意し、不測の事態に備えている。理想の展開なんてものを端から信じていない。理想を言い訳にして甘えてもいない
    プランBやプランCを楽しく生きればいい

    実家の両親に毅然と言い放った敦美の夫孝明にも拍手!

    このシリーズお馴染みの最後の作家の一家の話
    前作は、夫がN木賞をとった途端、生活が一変、ロハスに夢中になる妻の話だったが、今回は、何と妻が市議会議員選に出馬する話

    これもよかった。おもしろいし、家族の絆にちょっとグッとくる

    どれもハッピーエンドなので、心穏やかに読み終えることができる

    順番が違ったようだが、我が家シリーズの残り1冊「我が家の問題」も借りてこよう




  • 家シリーズ第3弾ですよね。

    どんな家族にも、大なり小なり人に言えないヒミツがある。

    ちょっぴりほろ苦くせつない人生の機微も、
    奥田さんならではのユーモアをまじえた軽快な文章で、全編楽しく読めました。

    あ、でも妊婦さんのお話がね、
    お腹の赤ちゃんのことばかり心配しちゃって…。
    妊婦さんじゃなければ、もっと楽しく読めたのになぁ。

    様々な問題があっても、根底には互いを思いやる家族愛があって。
    しみじみとしながらも、ほのぼのほっこり。
    やっぱり奥田英朗さん大好きです♪

  • 奥田英朗のソフトカバー 家日和、我が家の問題、に続く我が家モノ。
    面白くないわけがない。

    が、今回の面白さは爆笑系ではなく、じんわり温かく泣かせてくれる。
    どうやら子供ができそうにない妻、biological fatherにはじめて会う娘、そのへんにいくらでも転がっているハナシだろうが、ひとりひとりにとっては大きな困難、人生のハードルだ。
    とくに、出世競争に破れた男や 妻に先立たれた父 の話は 真に迫っていて もう滅茶苦茶に切ない。
    そんなのよくある話、みんな頑張ってるんだからお前も頑張れ、という励ましはもうたくさん。
    疲れた。
    とっても疲れた。
    そんな気持ちに、奥田氏の平易な言葉遣いがとても合う。
    通勤で混雑する駅のホームに備え付けたいくらいだ。

    ところで、文章の上手さは変わらない奥田氏だが、大きく変わってきたなぁと思うのが、メディア露出。
    かつて、伊良部シリーズなどが大評判だったころは検索しても いったいどういう方なのか?情報がとても少なかった。

    でも、今は写真はあるわ インタビューはあるわ、ファンとしては喜ばしい。

    今回の家シリーズは 妻の選挙出馬を応援するという体で、落ち目の作家が登場する。 
    以前にも、夫が作家として売れてしまって近所付き合いが難しくなってきた妻がマラソンに挑戦する というのがあった。
    どちらも双子の息子が登場する。
    もう大学生だそうだ。

    売れなくて困ってるなんてことはないだろう。
    けど、お子さんが大きくなってきて、メディアから家族を護る必要も小さくなった? と勝手に想像する。

  • 家族がテーマの短編集。
    やっぱりこれもよかった。
    「虫歯とピアニスト」と、「妻と選挙」が好き。

  • ほっこりする短編集。
    ・虫歯とピアニスト:不妊に悩む敦美にラッキーな出会いと素敵な旦那さん。大西さんも飄々としててズボラなところもかわいくて素敵だ。気持ちの良いお話。
    ・正雄の秋:出世競争に負けた正雄さん。奥さんも含めて素敵だなあ。自分はこんな短期間に許せるだろうか。器が小さいわ自分。
    ・アンナの十二月アンナのお父さん、何ていい人。鼻の奥がツンとした。
    ・手紙に乗せて:身内を亡くした悲しみ、経験した同士にしかわからないこと。石田部長の情の厚さに笑ってしまった。
    ・妻の選挙:奥さんの選挙。いい旦那さん、いい家族だなあ。スピーチの上手い旦那さんに笑った。最後はうるっと来た。おめでとう。

  • それぞれの家のストーリー、短編6作品。

    最初の「虫歯とピアニスト」、続く「正雄の秋」までは、主婦の日常や、仕事人間だった中年オヤジの悲哀とかを書いた作品で、さらっと読めて通勤にピッタリね、、と思ってましたが。

    高校生の気持ちが揺れる「アンナの十二月」、オジサンたちを見て大人って良いなと思う「手紙に乗せて」の2作品は、ほっこり、じんわり、いいお話です。

    ここらで落ち着いて読もうかと思い、「妊婦と隣人」は少しだけドキドキ感を味わえて。
    最後の「妻と選挙」で家族っていいなー!と思わされ。。

    結局、一気に読んでしまいました。
    奥田英郎さんの作品は、こういう系が好きです。

  • 「家日和」・「我が家の問題」に続く、家族を描いたシリーズ第三弾!
    どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編

    ・虫歯とピアニスト
    ・正雄の秋
    ・アンナの十二月
    ・手紙に乗せて
    ・妊婦と隣人
    ・妻と選挙

    結婚して数年。どうやら自分たち夫婦には子供が出来そうにないことに気づいてしまった妻。
    53歳で同期のライバルと長年の昇進レースに敗れ、これからの人生に戸惑う会社員。
    16歳になったのを機に、自分の実の父親に初めて会いに行こうとする女子高生。
    53歳の母が急逝。憔悴した父のために実家に戻ることにした青年。
    隣に引っ越してきた夫婦が謎めいて気になって仕方ない産休中の主婦。
    妻が突然市議会議員に立候補すると言い出して戸惑う作家。

    我が家のヒミツってタイトルからどんなヒミツが、描かれているんだろうって
    思っていたけど、どこにでもいそうな普通の家庭に起こった出来事を、
    家族が見守り心を寄せる姿、家族の絆が微笑ましく描かれていた。
    ユーモアたっぷりに暖かく描かれていた。

    「虫歯ピアニスト」・「正雄の秋」・「手紙に乗せて」がよかった♪
    「手紙に乗せて」は、妻を突然亡くして意気消沈する父親とその子供達の物語。
    勿論、子供達は憔悴していく父親を心配し心を砕くんだけど、
    そんな父親に光を届けたのは、家族でも友人でも同僚でもなく、
    かつて同じ思いを味わったことのある面識のない息子の上司からの手紙。
    涙が零れました。
    以前、新聞に載っていた僧侶の言葉
    『悲しみは悲しみをしる悲しみに救われ/ 涙は涙にそそがれる涙にたすけられる』
    この言葉を思い出しました(*´˘`*)♡

    「妻と選挙」は、前2作に登場していた作家の大塚家がまたまた再登場
    とっても嬉しかった~(*´∀`*)
    4年経って、双子の息子は大学生となり、家族の姿や距離感は全く違ってたけど、
    やはり、家族が団結して応援する姿は感動しました。

    どのお話も、とても身近に感じれスルリと引き込まれました。
    ほっこりしたり、ほのぼのしたり、イラッとしたり、クスッて笑わされたり、
    ハラハラしたり、グッと胸がつまりホロリとしたり…。
    それぞれ心の琴線に触れる言葉が入ってて、うんうんって思った。
    どれも明るい未来を感じさせられ、心が温かくなりました。
    家族って良いなぁ。大切だなぁ。

  • 奥田さんの本は何冊かしか読んでませんが「家シリーズ」と「伊良部医師」のシリーズだけは完読です。
    で今作品。ほっこりうるうるでした。
    正直そういうテイストで来ると思ってなかったので、全編やられた感満載でした。確かに「我が家のヒミツ」です。

    どの話もジーンとするのですが「正雄の秋」と「手紙に乗せて」がたまりませんでした。

    特に「手紙に乗せて」は「こんなことあるわけないだろう」と思うものの、最初から涙が止まらない。どんなに年を重ねていても経験していないとわからない感情と言うのはあると思います。
    特に肉親を不意に喪う、配偶者を不意に喪う、ということの衝撃や空虚感などは想像しても経験しなければわかり得ない感情だと思います。そのことが、そして残された家族を思いやる気持ちが、夫・息子・娘それぞれの立場から細かく描写されていてぐっと迫りました。

    そして肉親でもわからない、同じ立場の者でないとわかり得ない感情というのがこの話の核です。
    息子や娘では夫や妻を亡くした者の気持ちはわからないでしょう。

    短編集なので人それぞれ思い入れのある話は違うでしょうけれども、この一冊は読んだ人の心を温めてくれると思います。

  • ☆5つ

    もの凄く面白かったので、色々沢山カンソーを書こうと思ったけど、ここのところ長い感想文が続いているのでそれはやめて一言だけ。 第五話の「妊婦と隣人」を除いて死ぬほど感動的で面白い物語たちです。 特にわたしら奥田英朗と同世代にはもうたまらん!

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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