ホワイト・ノイズ

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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087731699

作品紹介・あらすじ

アメリカの大学町で、ヒトラー学科を教える大学教授は、なぜピストルを手に殺人にむかったか。本書は、アメリカの全知識人を震撼とさせ、同時に、大感動をまき起こした。日常生活の不安を描きながら、それを崇高な芸術作品にまで高めたと評価され、1985年度全米図書賞を受賞。これは地球の終末の地に住む、現代アメリカ作家だけが書くことのできた信じられないようなすばらしい小説である。

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  • 3.65/105
    内容(「BOOK」データベースより)
    『アメリカの大学町で、ヒトラー学科を教える大学教授は、なぜピストルを手に殺人にむかったか。本書は、アメリカの全知識人を震撼とさせ、同時に、大感動をまき起こした。日常生活の不安を描きながら、それを崇高な芸術作品にまで高めたと評価され、1985年度全米図書賞を受賞。これは地球の終末の地に住む、現代アメリカ作家だけが書くことのできた信じられないようなすばらしい小説である。』

    原書名:『White Noise』
    著者:ドン・デリーロ (Don Delillo)
    訳者:森川 展男
    出版社 ‏: ‎集英社
    単行本 ‏: ‎360ページ
    受賞:全米図書賞

    メモ:
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
    ・オールタイムベスト100英語小説(Time Magazine)「Time Magazine's All-Time 100 Novels」

  • 読むのがしんどいぐらいの設定。ヒトラー学の教授が主人公。

  • 親父が家族に翻弄される姿は小島信夫『抱擁家族』を想起したりもする。圧倒的な知性と不透明な暴力(死)。最高。

  • 全米図書賞を受賞したドン・デリーロの代表作。メディアやテクノロジーが発達した現代社会における死の恐怖が一つのテーマとなっている。
    ex.画面の向こう側で凄惨な事故が起こることによって、それを画面越しに見ているジャックの日常は担保される。家の近くで空媒毒物事故が起こったとき、ジャックはそれが自分に降りかかるはずはないと信じ込み、いつも通り食事を続けようとする

  • ボディ・アーティスト後に、デリーロはどういう作家か知りたくて、代表作らしいホワイト・ノイズを読んだ。
    まず、訳が悪くて大変読みづらい。逐語訳的な、英語の構文が透けて見えるような文章ばかりなのはわざとなのか?おそらく、原文も硬く難解なタイプなのだろうが、だからってたとえば、日本語では「<名詞>が彼を<動詞>させるように導いた」、などとは言わないのだ。また、この訳者が致命的なのは、後書きであらすじをすべて書いていること。柴田訳でやり直してくれないものか。

  • 訳文が悪いのか原文が元々そうなのか凄く読みにくい上、登場人物の殆どが日常生活とはかけ離れた抽象的で象徴的な会話しかしかしないから非現実感が甚だしい。死についての物語でいたるところに死が顔を覗かせるのだけれどもその非現実感のせいで登場人物に生が感じられないから彼らが語る死への恐怖自体もまるっきり現実感がなく滑稽であるほど。でも読み進めるうちにその非現実感と滑稽さがまさしくアメリカ的であるように感じてきて割と癖になるから面白い。

  • 80年代は日本でもアメリカでもテレビや雑誌や広告が過剰で余剰なノイズを発した時代だった。『ホワイト・ノイズ』は80年代が個人がメッセージの発信者になることができるようになったインターネット時代の前の、自信過剰で恥知らずのマス・メディアが生活の中に押しつけがましく入り込んできた時代だったことを思い出させてくれた。
     そうした押しつけがましいメッセージを高度消費社会のゴミと片付けないで死の恐怖を忘れさせてくれるホワイト・ノイズ(騒音をかき消すためのノイズ)として受け入れる、愛する人がいて、こまっしゃくれた子どもたちに囲まれて、噂話や社会批判をゆるく禅門答みたいに話せる同僚がいたら、面白おかしく生きていけるのだといっているようにとれないこともない。
     死はだれにでも不意に訪れる可能性があるのに、それを忘れてうかれていていいのかという疑問にとれないこともない。主人公のジャックも、妻のバベットも、緊急事態のための避難訓練に真剣に参加する娘も、猛毒のあるへびと檻の中で過ごしてギネスブックに載ろうとする息子の友人も、それぞれのやり方で死をコントロールしようとしている。
     死を身近なものとして怖がろうが怖がらなかろうが目を凝らして、耳をすませれば世界は死からの逃避に溢れていて、それは滑稽だったりグロテスク(死が怖くなる薬)だったり無垢だったり、ブラックスミスの老若男女がぞろぞろ集まってみにいく夕焼けのように単純に美しかったりする。まあそんな理屈はさておき、ブラックスミスの住人になり、のぞかで人工的なアメリカ郊外の荒唐無稽な日常を一緒に生きるのが一番適切な読み方ではと思う。

  • 2009/04/09購入

  • 日常の不安を描き、芸術作品まで高めたと評された作品。

  • ヒトラー学科の教授、夜空を覆う化学物質、現実にはあり得ないんだけど、現代の「リアル」を感じさせます。

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著者プロフィール

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー。代表作に、本書『ホワイトノイズ』(1985年)の他、『リブラ――時の秤』(1988年/邦訳=文藝春秋、1991年)、『マオⅡ』(1991年/邦訳=本の友社、2000年)、『アンダーワールド』(1997年/邦訳=新潮社、2002年)、『堕ちてゆく男』(2007年/邦訳=新潮社、2009年)、『ポイント・オメガ』(2010年/邦訳=水声社、2019年)、『ゼロ・K』(2016年)、『沈黙』(2020年/邦訳=水声社、2021年)などがある。

「2022年 『ホワイト・ノイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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