アウシュヴィッツの図書係

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制作 : 小原 京子 
  • 集英社 (2016年7月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734874

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アウシュヴィッツの図書係の感想・レビュー・書評

  • いつも評価の星を付けるけれどこれはちょっと付けるのに躊躇してしまう。
    所々に年月日が書かれていてその都度「早く45年になってくれ」と思いながら読んでいた。
    読んでる私から見たら戦争は45年で終わる。という事を初めから知ってるからこういう読み方になってるのだけど、当時の人からしたら終わりなんてみえない、いつ終わるか判らない状況の中あの想像を絶する環境に身を置かされていた。「1秒でも長く生きる」その事がどれだけ難しい事か。
    その中で主人公の少女は8冊の本を守り抜いた。
    たかが本、されど本。
    生きる希望・精神的な支柱になっていた本。
    ディタのヒーローであるフレディ・ヒルシュ。
    あんな別れが待ってるなんて。
    ディタとマルギットの友情。
    解放された時2人が交わした「またね」の言葉が本当の意味で使えた事がとても嬉しかった。
    戦争は根こそぎ奪って行くものでしかないね。
    得るものなんて何もない。

  • 何気なく書名にひかれ手に取ったのだが、読みだしたらやめられなくなった。生まれた国、時代、少しの選択で運命はなんと過酷なんだろう。エピローグ以降に少しの救いがやっては来るのだが。著者あとがきによると、この物語は事実に基づいて組み立てられ、フィクションで肉付けとあり、あの人たちはそれからどうなったのだろう・・・で ああ彼らは実在する(した)人々なのだと、あの場所にいたのだと思い知らされる。この退屈な日常のありがたさを少しだけかみしめた。

  • 読み応えがある1冊だった。
    私の場合まず登場人物の名前がなかなか覚えきれないことが多いが、そんなことも(あまり)なく、最初から翻訳されていることを忘れるくらい自然な文章でサクサク読めた。

    読み進めるのが辛くなる描写も多いが、そんな中でも恋愛や友情が生まれることに少しホッとする。
    収容所に送られた人々がどのように生きようとしていたかがひしひしと伝わってくる。
    主人公が本を何度も何度も限られた材料で丁寧に修繕する場面には胸が痛んだ。

    最後にアンネ・フランクの名前が出てきてハッとした。
    完全なノンフィクションではないが、やはり悲惨な歴史的事実に基づいて書かれている。

  • 感動ってなんだ…。
    ノンフィクションじゃなくて、フィクションで肉付けされているというところに、過去の惨劇を伝えたいだけではない何か(ちょっとした冒険譚とかカタルシスとか…)があるんだろうと思ったけど、あまりにも予想通りの重さと、展開の無さに、2度ほど途中でやめようかと思った。
    結局最後まで読んだけど、「読んでよかった」とは思わなかった。
    薄情と捉えられるのかもしれないが、戦争モノというのは、概してそういうものなのかな、とも思ってしまった。

  • 事実をもとにしたフィクション。
    命懸けの図書係の少女。

    11才の誕生日、物資が乏しいなかで親が見つけてくれた簡素な中古靴。
    おしゃれな靴でないことに内心ガッカリするも、喜ぶ素振りを見せて親を安心させる。その夜、もう1つのプレゼントとして親にお金がかからない願いをする。
    「大人の本を読ませてほしい」
    母が時間をかけて自分の本棚から娘の枕元にそっと本を置く光景。夢中で読みふける娘。
    とても胸を打たれた。

    本は洞窟でマッチを灯すようなものだ。洞窟を照らすことはできないが、周囲の闇の深さに気づかせてくれる。
    この文書にもグッときた。

  • 感動的な物語でした。第二次大戦で、アウシュビッツの家族収容所に収容された少女、ディタ・クラウスの実話を基にしたフィクションですが、描写がリアルで登場人物も実在した人物です。ディタは、収容所での秘密の図書係として本を管理しながら、肉体的、精神的に苦しい日々を、本を読んで思索に耽ることで乗り越えていくのですが、その命掛けの日々には、驚きを感じました。終盤の図書館が閉館されてからの命が脅かされる緊張の瞬間が次々と訪れるさまは読んでいて戦慄を覚えました。それからは、ラストシーンまでページを捲る手が止まりませんでした。この本は、「アルジャーノンに花束を」に並ぶ自分の中での傑作となりました。

  • 取り扱っている題材の重さはあるが、文章の丁寧さから、事実はゆがむことなく受け取れたと思う。

    本を大事にする人にも読んでほしい。

  •  「戦地の図書館」に続き、戦火の中の本シリーズということで読んでみた。「戦地の…」がナチス・ドイツと戦う米軍と本の関係で、こちらはナチス・ドイツに虐げられた人々と本の話。前者が攻撃のための武器としての本なら、こちらは防御のための武器、だろうか。
     プロパガンダのための家族収容所や収容所内学校のことは知らなかった。そしてそこで本が人の心の支えになっていたことも。命の危険を冒してまで本を渇望する境地ってどんなだろう、と考えてみたけれど正直想像が及ばない。
     史実に基づいたフィクションということだけど、エンタテインメント性が高くて物語にぐいぐい引き込まれ、登場人物たちの行く末にハラハラしつつ、人類史上最悪の人道犯罪の実態をあらためて知ることができた。山崎豊子タッチとでも言おうか。
     

  • ふー
    やっぱりハードな本だった。
    読み始めると終わりまでいかなきゃ続きが気になるからなあ。
    主人公が今も生きていらっしゃることに驚き、敬意を表し、様々な人の強さに頭の下がる思い。
    本は希望だ。

  • 私にとっては本は娯楽であり、空想の手段であり、ストレス解消であり・・・
    きっとアウュビッツの図書係の女の子にとっての本もそうであるのだろうけれど、
    彼女の置かれている立場や環境が苛酷なものであるがゆえに本と個人の結びつきがより深く重要なものに感じた。
    たった数冊の(中には地図も)本は彼女にとっての生そのものだったのかもしれない。
    自分以外の外の世界と繋がる唯一の手段であり、自分と何か(神?)を繋ぐものだったのかも。
    こんな悲惨な侵略戦争は絶対にあってはいけない。

  • 「戦争なのよ、エディタ。戦争なの」

    ごく当たり前の生活が、滑り台を滑るように地に落ちていく。骸骨や幽霊の昔話を怖がる子供時代は突然に終わり、生きた人間を恐れるようになる。
    死んだ者はもう苦しむことはない。それだけが救い。しかし残された自分たちに、あとどれだけ苦しみが待ち受けているのかは、誰にもわからない。

    ガス室で、飢餓で、伝染病で、処刑で。あらゆる死で溢れかえるアウシュヴィッツ=ビルケナウ絶滅収容所。国際赤十字の目をごまかすために設けられた家族収容所の一角に、秘密の図書館があった。蔵書はたった8冊だけの小さな図書館。その本を大人たちから託され、監視の目から守り、隠していたのは一人の年長の女の子・エディタ(ディタ)だった。
    ブラウスの裏地にポケットを縫い付けてそこに本を隠し持ち、本を必要とする人たちに届け、回収し、本を毎日違う場所へと隠す。
    昨日まで一緒に過ごしていた隣人たちがどこかへ去ってゆき、今日、灰となってディタたちの上に降り注ぐ。地獄のような日々のなかで、本だけがここではないどこか、物語の国へとディタや子供たちを連れて行ってくれる。地図帳を開けば、そこには故郷の国、まだ見知らぬ国を見つけ、思いを馳せることができるのだ。
    そのひとときには、飢えも寒さも、恐怖も忘れることができる。
    戦争が終わったら行ってみたい場所、帰りたい故郷――。赤十字の監視団が、私たちに起こっていることに気づいてくれたら――。連合軍が来てくれたら――。有刺鉄線で閉ざされた、この収容所から出ることができたら――。

    「いつも前に進み続けること、あきらめないこと」という約束を残して謎の死を遂げる青年ヒルシュ。「自分自身を信じなさい」と教えてくれたモルゲンシュテルン先生。ディタを冷ややかに監視するSS、メンゲレ医師。本を愛するディタの戦いと、彼女を取り巻くユダヤ人・ドイツ人たちの生と死を、モデルとなった実在の女性へのインタビューと取材から描く、事実をもとにしたフィクション。
    戦争は終わり、秘密の図書館の物語は幕を閉じるが、実はチェコ系ユダヤ人であるディタ(モデルとなった女性)の物語はその後も続いている。
    読んでいる方が心折れるような、再建と喪失を繰り返す人生だが、彼女は鉄のように強く、いつだって笑顔を絶やさない。
    人はここまで残酷なことができる、と同時に、ここまで強くなれるということを教えられる良書。

  • 今年読んだ本の中では№1。
    事実に基づいて組み立てられ、フィクションで肉付けされている。
    本の持ち込みが禁止されている収容所になぜか8冊の本があり、それが収容されている子どもたちに希望を与えるもとになる。
    それらの本の管理を任されていたディタがこの本の主人公。
    この本が書かれた2012年にはディタは生存していて著者とも交流している。
    そのことがこの本を読む者にさらに感動を与える一因にもなっている、と私は思う。
    アウシュビッツ、ベルゲン・ベルゼン…本当によく生き残ってくれた。
    そして何よりこの本は、本と接することの素晴らしさを教えてくれる。

  • 内容が内容だけに、なかなか読み進められなかった。
    数少ない本を必死に守り、本を守り、本を読むことで、希望みたいなものを持ち続ける、人々。
    普段何気なく手にする本が、人としての尊厳ていうか、希望みたいなものなのだと思わせてくれる。
    本を守ることで戦うディダはすごいです

  • 実在する人物を主人公にしたフィクション。
    それでもあの二度と繰り返したくない出来事を体験したせだいが減っている今だからこそ、こういう物語が必要なように感じる。あの収容所で数冊の本を守り抜いた人々がいた。そして、生き抜いた人がいた。その事実が重い。

  • アウシュビッツについての作品はドキュメンタリー番組くらいしか見たことなかった。アウシュビッツといえば、痩せこけた人々や物のように扱われる大量死体等が強く思い出される。それだけその映像は衝撃的であった。
    本書を読んで、アウシュビッツでの暮らしやアウシュビッツ以前の暮らしを知ることができた。今まで見知っていたあの衝撃的な映像に色がついたような気持ちがした。気づいていなかったが、あの映像についてどこか記号的に捉えてしまっていた。悲惨なユダヤ人という記号である。当たり前のことだが、アウシュビッツに送られたのは普通に暮らしていたユダヤ人であった。今さらながらそのことがとてもショックだった。
    あとがきで、イスラエルに暮らす現在のディタが、夫のオータの本を運んでいる光景が今でも本をとても大事にしているんだと思え嬉しかった。
    強制収容所という極限の状態でも人間らしくいられる人々の強い姿がとても素敵だった。そんな人たちをあっさりと呑み込んだ狂気が恐ろしく、なぜ?と思わずにはいられなかった。

  • ナチス強制収容所体験をつづったもので私のベストは「夜と霧」でした。
    この本は実話に基づく物語。
    本は絶望的な環境の中に置かれている人に希望を見出すものであった。
    本は生きる力を与えてくれる。こともある。

  • ユダヤ人の少女の本を守っての健気で勇気ある振る舞いに,悲惨な現実の中の小さくても強い光を感じた.そして,アウシュヴィッツで行われている非人間的な世界の中にももちろん人間らしい営みがあり,友情や親子の愛情や恋愛,あるいは民族愛など,素晴らしい人たちがいたことに感動した.戦争は本当に恐ろしい.

  • 時には読んでいて胸が痛く息が苦しいほど。絶望の日々。でも、本を読むこと、本の世界に空想を広げることが子どもたちの日々にほんの少しでも喜びを感じさせ、ディタに勇敢であきらめない心を維持させ、ヒルシュの言葉や行動の意味を考えさせ続ける力となったのは確か。命の保証がない状態で本に意味があるのかというのも確かに確かなのですが、それでも、本にも学びにもそれだけの価値がある。

  • そこにあるのは飢えと恐怖と絶望、そして死。
    平和の中で安穏と生きている私はこの物語について語る言葉を持たない。
    けれど、この極限状態の中で命をかけて本を守ろうとした少女がいたことを覚えておかなければならないと思う。
    一冊の本が、人の生き延びる力となりうることを覚えておかなければならない、と強く思う。

  • 多くの人にぜひ読んでもらいたい。感想を簡単に言葉で書く事は難しい、戦争の悲惨さ、その中で希望を失わず強く生きた人たちのお話。凄まじい惨状が生々しく描かれ、本から顔を上げて現実を見回し、今は何て平和なんだろうと幾度も感じさせられた。三度の食事に感謝せざるを得なくなる。戦争を生き抜いた人には本当に頭が上がらない。

  • 一冊の本の持つ力…始まりはスペインのジャーナリストがアウシュビッツ博物館の売店で手にした名もなき作家の本。
    そしてそこにある史実をもとに描き上げられた感動の物語を大使館が日本に持ち込みそれに注目した出版社が熟練の訳者の協力を経て生まれたのがこの一冊、どこが欠けても私たちの国の書架に並ぶことはなかっただろうことを思うとこの本のテーマの持つ執念を感じざるを得ない。
    私たちは知っておかねばならない、そこで何が行われていたのかを、そしてそんな絶滅収容所にあっても汽車に乗ってバケーションに出掛けられる偉大な本という存在があることを

  • 読むことの力を感じさせられる。

  • (翻訳文は、個人的には読んでいても響いてこないことがあるが、そういった文体などについては排して)、知るべき、読むべき記録(ノンフィクションではないが)の本だと思った。
    人間の、娯楽や趣味の欲求は最後の域と思われていて、実際食べないと死んでしまうが、遊ばないと死ぬわけではないことは確かだが、でも、「教養娯楽」がいかに、心の栄養になるのかが、とても具に、置かれた状況が「地獄」であるがゆえに、余計に迫ってくる。
    これが実話に起こったことという事が、真にどういうことなのか。読んで想像しなければ。
    読むべき本。

  • タイトルに引っかかりました。「そんなまさか。ありえないだろう」とまず思い。そして本作が事実を元に書かれた小説であるということを知り、これは読んでみるしかないと思い切って手に取りました。もう、このタイトルを見たときから手に取るのには覚悟がいりますよね。

    人は何によって生きるのか、ということを考えさせられましたね。
    図書係が主人公であるものの本当の主人公は図書係を任命した彼の方であるだろうと思いました。
    著者は小説家ではなくライター。そういう書き方だ、と思いましたがそこが逆に登場人物に感情的に肩入れしている感がなく良かったような気がします。訳もいいのでしょうね。
    大変苛烈な事実が次々と出てくるのですが文章自体はとても読みやすい。
    どれだけ過酷な状況に置かれても、人は芸術や文学や自分以外の世界というものに心惹かれずにはいられないものなのかと思い知らされた思いです。生きる支えというのはそういうものなのかもしれないとも思います。

    著者あとがき及び訳者あとがきを読むと、この一冊が世に出る必然があったような気がしてきます。
    手に取りにくいけれどたくさんの人に読んでいただきたい一冊です。

  • 最初はそんな過酷な環境で本を読んでる場合じゃないだろうと思ってたけど、読み進めると命をかけてでも心を守るために必要なんだというのが分かってきた。
    その本を守り続けたディタの強さは本当に尊敬に値する。

    全編に渡って戦争のむごたらしさが伝わってくるが、とくに看守エリザーベトに対して、戦争がなければ善良な美容師に過ぎなかっただろうとディタが想像を巡らせるところが、かなりキた。
    看守たちはもとから『恐ろしい人』ではない。
    どこにでもいる普通の人が、戦争によって恐ろしい加害者になる。
    それが戦争の怖さの一つだと。

    それと、脱走したルディ。
    彼がアウシュビッツの真実を訴えても誰も耳を貸さなかったところがキツい。
    あの時誰かがルディの訴えを真剣に受け止めていたらもっと早く収容所の人たちを救えたかもしれないのに。

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アウシュヴィッツの図書係の作品紹介

1944年、アウシュヴィッツ強制収容所に作られた秘密の図書館。本の所持が禁じられているなか、図書係をつとめる十四歳のユダヤ人少女ディタは、命がけで本を隠し持つ。実話に基づいた感涙必至の大作!


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