永遠の出口

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087742787

感想・レビュー・書評

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  • 紀子の成長?物語。章ごとに年齢が変わって気持ちとか思うことも変わっていっている。

  • 主観からふと違う視点でみてみると、物事ががらりと変わって見えてくる。お誕生会をしてもらえない友人の家庭、絶対的存在だった黒魔女のような女教師、色々な問題を抱えつつ出かけた家族旅行、恋に恋して周りが見えなくなってしまった初恋、魅惑的で居心地のよさを感じていたアルバイトのレストランでの出来事。確かにそのようなことがあったと、自分の心境に重なり、恥ずかしいような痛いようなせつないような気持ちにさせられる。
    例えばこれが少女マンガだったら、トリとのあいだが恋に発展したり、再会したりする展開もありうるのだろうけれど、そう上手くいかない苦さがあり、ちょっとしんみりとしてしまう。
    人と人とはずっと永遠に一緒にはなれないし、ずっと手をつなぎ合っていることなんてない。だけど確かにその時その場所でつながっていて、それは確かに「私」を成長させる一つになっている。だからこそ人は前進し続けられるのだろう。

    「急に独りになった薄曇りの放課後みたいな、あの懐かしい風の匂いが鼻をかすめるたび、私は少しだけ足を止め、そしてまた歩きだす」

  • そうだよ。小学生の時だって、中学生の時だって、高校生の時だって、その時その時、精一杯やってた私!っておもえた。
    紀子がぐれたときの、叔母さんが紀子の母親に書いた手紙と、紀子の見てる世界のギャップに笑いつつ、大人のわかったふりにどきっと今の自分を振り返ってしまった。今、自分が母だからかな。

  • 紀子という平凡な女の子の小4~高3までの成長を自叙伝風に綴った物語。

    特にドラマティックな何かがあるわけでもなく、
    少女から大人の女性、になるわけでもなく。
    エピローグを読むまでは「フンフン♪」とお気軽に読んでいたのですが、
    エピローグの一言でずしんとやられました。
    ”どんな未来でもありえたのだ、と今となっては思う。”
    この一言で、他人事だと思って読んでいたストーリーが自分に跳ね返ってきました。

    紀子が感じる気持ちにさんざん「あーわかるわ」と共感してきて
    最後にこれを言われると
    否が応でも自分のほろ苦くてちょっと痛い思い出が引きずり出されました。笑
    でもそれがどこか心地よく思えるのは、
    私に負けず劣らず、苦くて痛い思い出を持つ紀子が
    「あの時ああしていれば…」と後悔するのではなく
    「これはこれでいい人生だ」と無理に肯定すこともなく
    "だけど、私は元気だ"と受け入れているからなのだと思います。

    どのエピソードもよかったけど、
    初デートではグラタン、黒魔女撃退が好きかな。

  • いい本を読ませていただきました。

  • 紀子という女の子の小学生~高校生時代を描いた作品。特になにか大きな出来事はないが、すごくリアルで面白かった。
    自分と重なる部分はあまりないはずなのに共感する部分が多々あって、思春期に感じることはみんな似たようなものなのかも、と思った。

    イライラするような部分はなくサラサラ読めるけど、核心的な部分はすっと心に入ってくるのがすごい。



  • 紀子の半生記。私よりちょっと波乱だけど、うんうん、そうそうって感じ。友達大事だけどめんどくさいし、親にもいちいち突っかかったり。世の中の一大事のように恋をして失恋して。将来のこと何も決められないのに、進学か就職か決めないといけないし。でもなんだか楽しい?かな人生ってさ。

  • 昔読んだはず。
    全然覚えてなかった。

    青々とした青春時代。。。
    辛い思い出の方が鮮やかに覚えてますね。
    私の永遠の出口は如何に…。

  • 切ない青春時代。つい自分もティーンエイジャーみたいな気分になって、大人になってない部分と、忘れてしまった初々しさとに思いを馳せる。
    エピローグにもあるように、本編(小学生〜高校生)の先がまだまだ続くし、その先は予測不可能。とはいえ小説だから私からすると「うまいこといってる」ように思うけど、私もエピソードだけを抽出したらうまくいってる、のかな。
    永遠なんてもう考えもしないけど、今しか逆に見えないのが大人なのかな。どっちがラクって話じゃない。とにかく歩いていくしかない。
    図書館のヤングアダルトコーナーに置いてありそうな内容。大人にも十分刺さりましたけど、色々もう遅いような気もする。

  • 自分の力では生きられない子どものころ。学校と家だけが世界のすべてで、閉そく感や鬱屈感、無力感はあったけれど、1年1年がすごく濃密な思い出で彩られていた気がする。初めての親抜きでの繁華街へのお出かけ、快速電車での遠出やバイト、卒業や入学を繰り返すたびに訪れる友だちとの別れや出会いなど、自分もこんなことがあったなぁ・・・と共感できる出来事がたくさんあって、楽しみながら拝読しました。不器用で勘違いも甚だしくて世渡り上手じゃなくてがっつんがっつん周りとぶつかっていたけど、燃料だけはたっぷりあったな。

    ところで森さんは千葉県北西部のご出身なのでしょうか。『みかづき』でも津田沼や八千代という地名が出てくるので、きっとそうなのでしょう。私も高校生のころ、駅前にあったサンペディックという商業施設の屋上によく友だちと行って、ぺちゃくちゃしゃべりながら津田沼駅を発着する電車をばかみたいにずーっと眺めていたっけなぁ・・・。あの駅前の風景が思い浮かべられるので、この本は読んでいてなおさらリアルな感じがした。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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