白夜行

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087744002

作品紹介・あらすじ

偽りの昼に太陽はない。さすらう魂の大叙事詩。

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾氏の代表作を、一気読み。ワクワクドキドキとは違うのに、先が気になる。各章毎に時代がかわり亮司と雪穂のストーリーが交互に詰め込まれ、短編集のような構成。後半になるにつれ明らかになる真実。よく練られている。
    大人たちに翻弄された子どもたちが、たいして矯正もされずに大人になってしまうと、怪物に成長してしまったという感じ。
    どんな背景があろうとも、犯罪を犯すと一生日の目をみることはない、社会的にも、心理的にも。まさに白夜行。
    社会的に成功した雪穂の人生も色々なエピソードがつまびらかにされるにつれて、「成功はしているけど、幸せではないだろう」と思えてしまう。

    2人の怪物を作り上げたのが、幼少期の体験や環境によるものだと思うと、愛着の大切さをまざまざと考えさせられる。悲しい物語だった。

  •  事件は、大阪は真澄公園の前で、バブル経済崩壊後の煽りを受け建設中断となり今や廃墟と化したビルの中で男性の死体が見つかった。第一発見者は、小学二年生の少年だった。彼は自宅に帰り、母親を通して西布施警察署に通報された。
     そして大阪府警本部に配属されていた刑事笹垣潤三が現場を見聞した。
     物語は、「質屋殺し」が発端に始まった。

    被害者は、桐原洋介 当日銀行から百万円を出金していた。現場は、空調のダクトが張り巡らされ子供達の恰好の迷路遊びの場となっていた。犯人のものと思われる痕跡は、皆無であると思われたし凶器も発見されなかった。
     捜査が進むにつれて数人の容疑者として挙げられたが、何れも決め手が乏しく迷宮入りとなった。その後、十九年間も事件に疑問を抱いていた笹垣は、執念深く捜査を継続し、今や老練の域に達している。
     当初事件の捜査線上に挙げられてなかった男女二人が、この小説の主人公桐原亮介と西本雪穂が浮上することになる。

     この小説は、同著者「幻夜」とよく比較される。幻夜の続編ではないかと思われる方も多々いる。
     確かに幾つかの点で酷似しているのです。
    主人公は、男女二人であり、双方に忌み嫌う過去があること。その過去が暴かれる根拠となる事象は、狡猾で卑劣な手段で身内でさえも排除する等々。

     白夜行と幻夜の女性の主人公は、私たちに昼間は無いと言っていたのは興味深い。

     白夜行を読んで思っていたのは、犯人と目される「二人の心理描写は、何処にも書いていない」。唯一語ったのは、桐原亮介の『昼間に歩きたい』だろうか?
     決定的に違う点は、「白夜行」の中に書かれていた「相利共生」で、「幻夜」では私利私欲のため、雅也は美冬に魂を奪われた。

     最後に、東野作品の長編小説を二回読了しても尚おおっと呻った。しかし、どちらが優れているか?ふと想うと甲乙つけ難い。何故なら、これは著者(サンタ)から読者へのプレゼントだから…。
      実におもしろい!

  • 長さを感じさせず、一気に読める。

  • もちろん再読です。というか、もう何回読んだか思い出せないくらいです。最初に読んだのは発売された、1999年。22年経ってるんですね・・。読んだ方ならお分かりのとおり、この時期に読み返したくなるのです。とても怖くて、だけど、とても悲しいお話です。

    東野圭吾さんの作品は、文庫待ちしてる少し(おそらく1作品)を除き、全部読んでいます。東野さんご本人に言ったら不本意なのかもしれませんが、やっぱりやっぱり、いまだにこの作品は一番だと私は思うのです!間違いなく傑作です‼︎(もちろん好きな作品はいっぱいありますが)

    有名な作品ですが、もちろん未読の方もいらっしゃると思うので、以下、ネタバレっぽい部分あるかと思います。ご注意を。

    大阪でのある殺人事件から物語は始まり、完全な解決を見ないまま、月日が流れます。章が変わるたびに、新たな登場人物や、まったく関係ないような話になりながら、読者はあれ??と思いながら、少しずつのヒントも見つけつつ、じわじわと怖い気持ちで読み進め、止まらなくなるのです。
    今回も一気読み。結局、面白い作品は、すぐその世界に没頭してしまうのです。

    この話の何が凄いかって、私が一番に思うことは、桐原亮司と唐沢雪穂(とりあえずこの苗字で)が直接会っているシーンは1つたりとも描かれていない、ということ。すべて私たち読者含め、誰かの伝聞や、想像の中でしか二人は一緒にいないのです。(このあたりが、私自身はTVドラマはイマイチでした。青春編という感じで見せ過ぎ)

    だけど、読んでいくと分かる、じわじわと分かっていく、繋がっている…ということ。その強さと共に恐ろしいのは、『人をコントロールする』ということの巧みさと容赦なさ。ああ…怖くて悲しい。ラストに向けて、題名の意味が胸に沁みます。

    何度読んでも面白く発見があります。最初に読んだ時は、ひたすらビックリして、繰り返し読み、また自分も歳を重ねていくと、違った感想もでてきます。
    こんな風に生きる以外、自分達を守れなかったのか、一つの秘密は、より大きな秘密で包んでいくしかなかったのか…。
    人は自分が騙されたとも気付かずに、運命だと思って生きていってしまう…もしかしたら、自分自身も気付かないまま、誰かに操られていることもあったのかしら?などと考えてしまうほど、夢中で読めるミステリーです‼︎

    また、いつか読み返すだろうなあ〜と思ってページを閉じたのでした。

  • ドラマでは主人公の亮司と雪穂が逃避行というストーリーだったが、原作では二人が一緒にいる描写は一つもない。加えて二人の主観的な描写もない。二人に関わる周囲の語り手の中で、生きていく二人。
    結局真相は明らかにされないが、1つ分かったことは「女って恐ろしい」。

  • 罪と罰。
    罪を犯す事でしか愛する者を守れない愛がある。
    それが間違ってても。

    • Meyesさん
      愛することが、罪だった。

      会えないことが罰だった。

      太陽の下をただ二人で手を繋いで歩くことが全てだった。

      こんなにも切なく心に残る本は...
      愛することが、罪だった。

      会えないことが罰だった。

      太陽の下をただ二人で手を繋いで歩くことが全てだった。

      こんなにも切なく心に残る本は二度とない一冊です。
      2021/05/02
  • とても長いですが、中だるみは一切ありませんでした。
    イヤミスに分類されると思いますが、伏線が張り巡らされており、時代が進むと謎が少しずつ解明していきます。
    読了後は、ぜひネタバレサイトで復習されることをお勧めします。

  • 雪帆と亮司はどんな絆があったんだろうとか、どういう経緯で犯罪をいくつも重ねてきたのかとか、詳しく書かれていないからこそ自分の中で想像して心が苦しくなる。 想像がいくらでもできる形態だからもう一度読んでみたいとも思った。

  • 私が小説にはまる切っ掛けとなった本です。
    とにかく良いです。読了後、なかなか本の世界から抜けれずに、深く深く浸ってしまいました。またこの読後感を味わいたくて、いろいろな本を読みました。おかげで面白い作品にたくさん出会うことが出来ましたが、まだこの作品を越える様な深い読後感には出会えていません。

  • 離島の古民家の本棚にありました。雨の日に1日で読み終わりました。長い映画をみた気分にさせてもらいました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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