水滸伝 2 替天の章

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087744910

感想・レビュー・書評

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  • 号泣だった。それぞれの生き様に涙が出てきて仕方がない。「水滸伝」は中国でもいじられること無く、ほぼ原形を保った状態で語りそして描かれている。先日読んだものもそんな感じで面白味などまるで感じない。

    正直クライマックスは続編に来るような気もするのだが、やはりこの水滸伝はじわじわと近づいてくる禁軍最高の実力者の童貫との最終決戦であろう。

    「女を守れない男だといわれたくない」

    ような台詞を扈三娘に吐き己の命と引き換えに散った「林沖」やっぱり一番好きですね。6万の軍に包囲された林沖率いる黒騎兵の旗手であった郁保四と共に散る。

    この黒騎兵と遊撃隊の中には重要人物である史進、索超、馬麟、扈三娘、徐寧、そして楊令いた。戦の中心はこの騎馬隊になってくるので、それぞれに思い入れは強いが、北方水滸伝が他の作品と違うのはすべての登場人物がタイトルロールであってそれぞれにドラマがある。

    例えば軍の人選に当たっても細かな角度からそれぞれを眺め適材適所に振り分けられる。ただ指示がでてるのではなく、なぜかということまで書かれ読者を納得させてくれる。騎馬隊の華やかさに比べ歩兵の地味さはラグビーで言えばFWのように思える。彼らがいるから戦える。そんな思いを誰もが忘れず戦っているシーンはなんともいえない。本当に泣けるのだ、しかも人物に記憶がないと遡ってまた読んだりとそれを流して前に進むことの出来ない名作に感じる。

    武人の物語、文人の物語、女性の物語もあれば、凄いのは職人の物語もある。それぞれに命を懸けた壮大な物語です。男なら読め!といった感じです。まさに北方ワールドの集大成のように感じられます!

  • 武松ーーー!!と思わず叫びたくなる序盤。
    梁山湖の山寨の行方を賭けた終盤。
    本当に熱すぎる。男として胸踊るものがつまりすぎている。ロマンに溢れている。しかし、王倫は少し可哀想な気もした。元々は志を持ち、ここまで山寨をまとめ上げた人物でもある。杜遷の言うとおり、頭領でなければ、もっと別の形で輝けたかもしれない。
    2巻にして既に心つかまされた。まだまだ同志になりそうな魅力的な人物も、このままやられっぱなしではないだろう政府側も、展開が楽しみだ。

  • 武松が兄嫁のことで悩み、壊れ、子午山へ行くことに。呉用の鮮やかな作戦により、王倫が支配する山塞に林冲を忍び込ませ、官軍を襲い、王倫に受け入れるように迫り、拒まれたところで王倫を討ち取り、鮮やかに山塞を奪取して、替天行道の旗を掲げて梁山泊とする。その間に牢屋から公孫勝が助け出され、致死軍を作る。

    梁山泊を造り、いよいよ壮大な世直しが始まることにワクワクする。

  • それぞれが腹の底に苦しみを抱えながらも、1つの目的に向かって協力していく姿に、心揺さぶられます。生き様がかっこいい。

  • 【所蔵館】
    りんくう図書室

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000951702

  • よいか。男は、自ら闘うことの意味さえわかっていればよいのだ。死んで悔やむのは、その意味がわかっていない時だけだ。
    近くの図書館に続きがないから、別の図書館に行かねば。

  • 梁山湖に浮かぶ梁山泊。まだ人物の関係が整理出来ている。

  • 大義の為に多くを犠牲にして、今後本拠地となるであろう梁山泊の奪取に尽力した林冲の活躍が際立つ。

  • 第2巻
    林冲は王進を脱出させ、その後槍術師範になるが投獄されてしまう。そこから細君の悲劇、脱獄、梁山泊へと話が進む。

    投獄された際の細君への仕打ちにも耐える林冲・・それを支えるものは志なのか。実に痛すぎる巻だった。

  • 巻頭は、武松の物語から始まる。
    魯智深と再開して、王進の元に預けられてしまう。
    王進の元には、成長した魴旭がいて武松もそこで一緒に生活する事になる。
    この水滸伝では、王進が悩みを抱えた好漢の再生役を担っている。

    北方水滸伝は、他の水滸伝とかなり違ってる部分があって、女性陣もかなり印象が違う。
    悪女として描かれる、潘金蓮と閻婆惜が貞淑な女性として描かれていて、非常に新鮮な感じがします。

    この巻で、いよいよ自分の1番好きな人物、楊志が登場します。

    林冲と一騎打ちをして負けたり
    賄賂を運ぶのを失敗して、強奪されたりして、かなりヘタレな感じで描かれてるように感じる。

    物語は、いよいよ林冲が王倫が首領の梁山泊に迎えられて、晁蓋が入山に向けて行動を起こす。

    その行動が、楊志の運搬する賄賂の強奪で、これを切っ掛けに梁山泊への入山を果たす。

    王倫を殺害して、晁蓋が首領になり新生梁山泊として行動を開始する。

    任務に失敗した楊志は、1人で犯人を追跡し始める。

    魯智深は、相変わらず旅に出ているが、徐々に同志を集めている。

    次の巻も、期待させる展開で一気に読んでしまった。
    登場人物は、多いが楽しく読める本です。

    今まで、北方謙三の小説を避けていたのが、勿体ないと思わせてくれる。
    しかし、その分一気読みが出来るというメリットも感じている。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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