約束

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 404
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087745450

感想・レビュー・書評

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  • 中学受験の文章問題でよく出題されていた記憶があり、懐かしいなと思いながら読了。
    絵もカラフルで可愛らしい本、内容は切ないけれど。

  • 挿し絵が多く、すぐ読めます。挿し絵が淡い感じできれいでとてもよいです。
    小学生の子供たちのお話だが、1人の子供が原因不明の病気になり亡くなってしまう。
    タイムマシンを作って、何とか助けようとするが時既に遅し。
    最後まで読んだら、文章の得意な子の回想だと気づいた(遅い?)
    大人でも十分楽しめる作品だと思う。

  • 昭和五十一年生まれの仲良し四人組、ヤンチャとノリオとハム太とワタル(僕)は、田舎町の小学四年生。
    いいことも悪いこともいつも一緒の四人だったが、ある時ヤンチャが原因不明の病気で緊急入院してしまう。
    三人は、弱っていくヤンチャの願いを叶えるために、タイムマシンを作り始めるが―。
    懐かしくも切ない記憶を描いた物語。

    この本は、小学校高学年へのおすすめとしてどこかで見たような気がしたのだが、実際に読んでみると、対象はむしろ大人であるように思った。もちろん高学年が読んでも全然構わないのだが、イラストは多けれど、ふりがなが一切ないところから見ても、小学生に向けて語られた物語ではないような。
    昭和五十一年生まれの主人公たちの小学生時代は、私が覚えている昭和の記憶と重なるのだろうと思うと、文頭の『そのころ』というものが急に匂いを持って湧き上がってくる。
    あの頃。昭和の終わり頃の話。

    ヤンチャは、原因不明の病でどんどん弱っていってしまう。アレルギーの一種のようだが薬が効かず、赤い発疹ができ、食欲もなくやせ細っていく。
    公害だろうか。アレルギーという言葉と時代背景から、その可能性を考える。
    ヤンチャの病気について、結局詳しい説明はない。
    そこのところが妙にリアルで怖い。

    読書は、読んでいる時の時節や自分のメンタルが感じ方や捉え方に大きく関わってくる行為だ。
    今、この本を読んだことに、言いしれぬ恐怖と虚脱感を感じた。私達は今、まさに得体のしれぬ言いしれぬ恐怖と闘っているから。
    「死」というものを、普段より一層身近に感じる昨今である。

    「タイムマシンを作ること」は、その時彼らにできる最大で最良のことだっただろう。
    そのきっかけをつくってくれたヤンチャには、そのことがわかっていただろうか。もちろんそんなのは穿ち過ぎだとも思うが、そうでないとも言い切れない。
    結果的にヤンチャは、彼らに苦しみの中で前を向いて生きる活力を与えていたのだから。自分が一番苦しいにも関わらず。
    いや、「完成したタイムマシンに乗る」ということは、ヤンチャ自身の生きる糧にもなっていたかもしれない。

    何かを経験することで、その時得たものが、気持ちが、あるいは失ったものが、人を作っていく。
    ヤンチャという存在が、ノリオとハム太と、ワタルの未来の一片を形作っていく。
    そういう物語だと思う。

    ノリオはタイムマシンを完成させるために、発明家になることを決意する。
    「できるのかな、じゃなくて」「やるんだよ」という言葉を放った、彼が得たものは大きい。
    ワタルは、自分達の物語を書き留めることを依頼されるが…。

    時は流れ、ワタルは〈約束を果たすには力がいる〉ことを知る。
    それは、大人になる、ということだろうか?

    彼らのタイムマシンは完成しただろうか?
    ぜひ最後まで読んでみてほしい。

    最後のp93に、思いが溢れる。

  • 子どもに薦められて。子ども(5年生)の学級文庫にあった本。毎年ボランティアで夏休みのおすすめ本を出すので、それに載せるのにどうかな?と思って読んでみた。挿絵が多く、子どもでも読みやすいかと。

    友達がある日突然入院。その子のために、タイムマシンを作り出す仲間たち。切ない話。

    《約束を果たすには力がいる》
    どれほど固く交わされた誓いも、どんなに強い思いでさえも、それだけでは何の意味もない。実現させるには、実現させるに足るだけの力が必要になる。あの頃の僕にはその力がなかった。…

    強い思いがあるだけで、それを形にする能力がなければ、実現させることは出来ない。
    耳が痛い。自分が本当にやりたいこと、が出来ないから、出来ることを仕事にする人は多い。
    強い思いを実現させるに足るだけの力をつけること。
    子ども達には、自分でそういう力をつけられる人になって欲しいな。

  • 購入して読んだあと、長年本棚にあったうちの1冊。
    「旧い本を、ちゃんと1回読んでから少しずつ断捨離しよう」計画を始めたので読んでみた。

    結構深い話。
    絵も良い。
    でも、やっぱりこういうのは悲しい題材。

    断捨離4

  • 小4の子どもたちの友情の話だが、回想形式なので、児童向けというより、大人の心に刺さる。

  • 「きっと、君にもあるだろう?果たせなかった約束。大人になり、見失いかけて初めてそれが大切なものだって気づくこと。僕らは、祈った。四人の輝くような時間を取り戻したくて。あの頃、僕らはまだ10歳だった。著者初の短編小説。]

  • 突然の友人の病気、そして死別・・・
    タイムマシーンなんてないんだよなあ・・・

  • たまたま、この本を読み終わった後、G8のニュースを見て、この人たちに任せちゃいけないんじゃないか。
    国益も大事だろうけど、もし「ヤンチャ」がなったような病気が出てきてしまっては、元も子もないのではと。

    私たちが、ヤンチャ達へ残すべきもの、残してはいけないもの。

    そして、ヤンチャが感じた理不尽さを自分達の子孫にも与えないようにしなければならないんだなと。

    「約束」して行こう。

  • 幼いころの約束。そこに込められた気持ちを思うととても切なくなります。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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