相剋の森

著者 :
  • 集英社
3.51
  • (3)
  • (15)
  • (17)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087746709

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 山形県との県境に近い新潟県の熊田の村でマタギとして熊狩をする猟師の生きざまをライターの佐藤美佐子が追いかける。「今の時代、クマを食べる必要性があるのか」とマタギの滝沢に詰め寄る。動物愛護と自然保護、山深い猟師として生きてきた歴史を美佐子は、春の熊狩に参加することにより理解を深め歩み寄る。「山は半分殺して(のして)ちょうどいい」ある程度、人が手を入れ山の恵みを利用しながら暮らす、そこに相剋の理念を感じられた。里に降りてきた熊を殺処分だけではなく奥山放獣による人と熊の住み分け共生の必要性も感じた。

  • 20151204 動物愛護と人間の生活、共生を目指すためにも解決しないといけない課題に取り組んでいる。結果は読者に引き継がれるのだと思うが、このテーマについて今後も掘り下げてもらいたい。

  • マタギをテーマにした小説。
    「自然観」を広い観点から問い直してると思います。
    これは読んでよかった。自分の中でのいろんな疑問も、答えは出ないけれど、問いかけはあった。
    シリーズの他の本も読みます。

  • (前略)目的がいつか達成されたとして、その後、我々はどこに向かうんでしょうかね。すべての動物たちと仲良く暮らす心穏やかな未来ですか? 葛藤も相克もない、愛に溢れた自然との共生ですか? 僕はそんな世界は面白くもなんともないな

  • ・タイトルに違わず狩猟と野生動物保護の相克を描く一冊。全く別の所から発生した2つの概念がうまく折り合えるわけもないんだけれども、ところどころ示唆に富んだ指摘を見せつつ上手に書いてると思う。きっと作者は狩猟に肯定的なんだと思う。そもそも狩猟イコール野生動物の減少・絶滅って単純な二軸的な捉え方ってどうなんだろうと考えさせられた。「邂逅の森」の世界を引き継ぐ続編でもある。

  • 「邂逅の森」の続編のつもりで
    読み始めたので
    初め あれっ と思ってしまったけれど
    ものの 20ページもしないうちに
    しっかり 本の中に連れて行ってもらった

    今日一日 予定を入れなくて良かった
    と つくづく思わせてもらえた一冊

    マタギ 自然保護 雑誌
    の 三題噺 としても おもしろいかな

  • これで熊谷達也の、なんとかの森シリーズ3冊を読み終えた。感想を書くと「くそ!最初にこの本を、いやぁ、まだ読んでないウエインカムイのなんとかという本を先に読まねばだみだこりゃ」です。みなさまもお気をつけ下さい。但し、この本は面白いのでそういう順番の達成が無理な方はいますぐ読んでみれば? すまんこってす。

  • クマを狩ることの是非を巡る記事を書くことになった女性編集者が、マタギの里と関わるうちに当初の否定的な立場から肯定的な立場へと心変わりしていく話。
    クライマックスでは主人公の女性が実際に巻狩りに同行し、そこでちょっとハプニングがあったので、ページ数残り少ないのにここから対決に移行?とちょっと驚いたらそんなこともなかった。
    全体的には面白かった。

  • 東北などを舞台とした作品です。

  • 熊谷達也のマタギシリーズ第2弾
    ボリューム満点でした。
    しかも、実はこれがマタギシリーズ第1作だと、読み終わってから気付きました。
    第2作から読んじゃったよ(ノ∀`)タハー
    でも、実際には、「邂逅の森→相剋の森」の順番で読んでも全然OKでした。
    むしろこの順番でイイじゃんってくらい(笑)

    「今更、熊を獲って食べる意味なんてあるんですか!」からスタートした女性ライター美佐子の考えは、現代のマタギ、熊の奥山放獣のNPO、熊とマタギを追うカメラマンと出会うことで大きく変化します。

    熊は保護すべきなのか、追放するべきなのか
    そして、マタギは受け継がれていくのか、消えていく運命なのか
    結論は、自分で読んで確かめてみてください。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

熊谷達也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×