雨の塔

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著者 : 宮木あや子
  • 集英社 (2007年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087748963

雨の塔の感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り雨の似合うストーリー。
    隔離されているかのような土地に立つ女子大の寮に住む4人の少女達。大学生ともなると、未成年とは言え少女という感じではないかもしれないが、この物語に出てくる4人は少女以外の何物でもないくらい純粋で清らかだ。心の寂しさや虚しさをお互い埋め合う姿は痛々しい程。
    現実とはかけ離れた耽美な雰囲気が好きな方は是非!

  • 「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」シリーズで知られるピーター・ジャクソン監督の「乙女の祈り」という映画を思い出した。

    世界の果てと表現される世間から隔絶された学園で幽閉生活をおくる少女たち。
    実際は大学生なので少女ってほどでもないけど、みんなまるで少女。
    閉鎖的で排他的な人間関係と脆くて危うい絆にすがり、抑圧されて苦しんでも、それでも食べて寝て息をする。
    切ないけど美しいな。

    ちなみに「乙女の祈り」は、もうずいぶん昔に見たきりなので細かいとこは覚えてないけど、当時すごい絶賛したことは覚えてる。
    こんなおっさんが、思春期の多感な少女たちをこんなリリカルに美しく描いているなんて!という衝撃と、さすが「ロード・オブ・ザ・リング」の監督!と感心する甘美で繊細な表現で、完成度がとても高い作品です。

  • 資産家の娘だけが通える世間から隔離された特別な女子大。なんでも手に入れることができるけど、情報だけは手に入らない。そんな場所で過ごす、様々な事情のある少女たち。同性と心中未遂を起こした少女、母に捨てられた少女、妾腹の子である少女、母親のいない少女。
    閉鎖された空間での憧れ、恋情、嫉妬、執着。
    表紙は砂糖菓子のようにかわいらしいのに、中身には甘く濃密な毒が含まれています。
    世界観は恩田陸さんの「麦の海に沈む果実」のような雰囲気でした。
    「雨の塔」のタイトルの通り、暗く重い雰囲気が漂っています。決してハッピーエンドではないので、読後はもやもや感が残りました。
    「美しい少女たちの美しい孤独」
    百合小説というには、あまりにも耽美的な作品でした。

  • 女の子たちの息詰まる世界。
    まさに倒錯の世界という感じ。
    好きな人はとても好きだと思う。
    私には重たく感じられた。

  • 閉じた世界の、少女たちの孤独。脆く危うい彼女たちの心。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-216.html

  • ここは「世界の果て」。捨てられたわたしたち。
    一番孤独なのは、だあれ?

    少女たちが抱える心の闇・孤独・閉塞感が物語全体を覆っています。
    全体的にモヤで覆われたような雰囲気、現実感のない印象。それが、耽美で美しい。

    誰かに感情移入するよりは、『雨の塔』という作品が醸し出す世界観に浸ることが出来ました。

    閉塞感を感じる中だからこそ、物語の中に出てくる、空の写真のコラージュやマフィン、温かいコーヒー、煙草の香り・・・これらの描写がいっそう引き立っていると感じました。

    私もマフィンを作りたくなりました。




    装丁もとても美しいです。4人の少女が籠の中に入っています。

  • 少女漫画的な流れのストーリー。そこはかとなく耽美チックな内容かと。

    登場する四人の少女の境遇は正に表紙の通り。
    カゴの中に入れられた四人は抜け出すために足掻こうとせず、過去にとらわれ続け、漫然と日々を過ごす。

    ストーリーが展開に従い、四人の素性、ここにいる理由が少しづつ打ち明けられる。
    四人の個性、お互いの関係、想いがゆっくりと変化してゆく。

    最終場面、雨の塔で、一人は絶望的な選択を、一人は成り行きで救われ、一人は友を救うために自ら動き、もう一人はそれにより救われ、それまで以上の絆で結ばれる。

    それぞれ異なる結末が印象的であった。

  • 大雨の音を聞きながら読みました。語り手がコロコロ変わるので最初は少し読みにくかったです。「春狂い」よりは良かったけど、どの章も読んでて痛かった・・・。三島と都岡にもいずれ終わりは来るだろうけど、矢咲と小津のような可哀想な結末にはならないでほしい。

  • 誰かの心の中で一番必要な人になるのは、どうしてこんなにも困難なのだろうか。
    何もかも、世の中のせいなの。全部世の中のせいにするの、そうすると楽になれる。

  •  誰かの心の中で一番必要な人になるのは、どうしてこんなにも困難なのだろうか。
    (P.73)

    人を憎んでも、刺されてるんじゃないかと思うほど胸が痛くても、お腹は空く。
    (P.116)

    もしも私たちに、「今」及び「ここ」以外の場所が与えられるとしたら、その世界の中でも小津と、一緒にいることができるだろうか。「いつか」はこのままでは、存在しないけれども、ふとしたことをきっかけとして、掴むことはできるかもしれない。
     そのきっかけを見付けたときは、小津の手を引いてゆこう、と矢咲は思う。きっと小津も、手を握り返してくれるだろう。
    (P.140)

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