雨の塔

著者 :
  • 集英社
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感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087748963

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り雨の似合うストーリー。
    隔離されているかのような土地に立つ女子大の寮に住む4人の少女達。大学生ともなると、未成年とは言え少女という感じではないかもしれないが、この物語に出てくる4人は少女以外の何物でもないくらい純粋で清らかだ。心の寂しさや虚しさをお互い埋め合う姿は痛々しい程。
    現実とはかけ離れた耽美な雰囲気が好きな方は是非!

  • 「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」シリーズで知られるピーター・ジャクソン監督の「乙女の祈り」という映画を思い出した。

    世界の果てと表現される世間から隔絶された学園で幽閉生活をおくる少女たち。
    実際は大学生なので少女ってほどでもないけど、みんなまるで少女。
    閉鎖的で排他的な人間関係と脆くて危うい絆にすがり、抑圧されて苦しんでも、それでも食べて寝て息をする。
    切ないけど美しいな。

    ちなみに「乙女の祈り」は、もうずいぶん昔に見たきりなので細かいとこは覚えてないけど、当時すごい絶賛したことは覚えてる。
    こんなおっさんが、思春期の多感な少女たちをこんなリリカルに美しく描いているなんて!という衝撃と、さすが「ロード・オブ・ザ・リング」の監督!と感心する甘美で繊細な表現で、完成度がとても高い作品です。

  • 資産家の娘だけが通える世間から隔離された特別な女子大。なんでも手に入れることができるけど、情報だけは手に入らない。そんな場所で過ごす、様々な事情のある少女たち。同性と心中未遂を起こした少女、母に捨てられた少女、妾腹の子である少女、母親のいない少女。
    閉鎖された空間での憧れ、恋情、嫉妬、執着。
    表紙は砂糖菓子のようにかわいらしいのに、中身には甘く濃密な毒が含まれています。
    世界観は恩田陸さんの「麦の海に沈む果実」のような雰囲気でした。
    「雨の塔」のタイトルの通り、暗く重い雰囲気が漂っています。決してハッピーエンドではないので、読後はもやもや感が残りました。
    「美しい少女たちの美しい孤独」
    百合小説というには、あまりにも耽美的な作品でした。

  • 女の子たちの息詰まる世界。
    まさに倒錯の世界という感じ。
    好きな人はとても好きだと思う。
    私には重たく感じられた。

    • kuroayameさん
      レビューを拝見し、「女の子たちの息詰まる世界」と記載されていたので、超女子独特の世界(グループを作るとか)を想像してしまいました!!。
      そ...
      レビューを拝見し、「女の子たちの息詰まる世界」と記載されていたので、超女子独特の世界(グループを作るとか)を想像してしまいました!!。
      そんな世界が苦手なので、私も重く感じてしまうのではと思いました(><)。
      2012/10/18
  • 文庫化するのをずっと待って、やっと購入(笑)
    思っていた以上に濃い女の子同士の関係が描かれていてとても読み応えがありました。私は好きです。そもそも百合が好きなので(笑)

  • 閉じた世界の、少女たちの孤独。脆く危うい彼女たちの心。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-216.html

  • ここは「世界の果て」。捨てられたわたしたち。
    一番孤独なのは、だあれ?

    少女たちが抱える心の闇・孤独・閉塞感が物語全体を覆っています。
    全体的にモヤで覆われたような雰囲気、現実感のない印象。それが、耽美で美しい。

    誰かに感情移入するよりは、『雨の塔』という作品が醸し出す世界観に浸ることが出来ました。

    閉塞感を感じる中だからこそ、物語の中に出てくる、空の写真のコラージュやマフィン、温かいコーヒー、煙草の香り・・・これらの描写がいっそう引き立っていると感じました。

    私もマフィンを作りたくなりました。




    装丁もとても美しいです。4人の少女が籠の中に入っています。

  • 陰鬱な空気感がどうにも苦手。
    入り込めないまま、なんとか読了。

  • 2021/08/27-08/29

  • 狭い世界にいると思考が偏る
    傍にいてくれる、またはたまたま傍にいた人に執着し依存する

    哀しい話だった
    恐らくだけど矢咲は暖かい家庭で育ったからさくらにも小津にも三島にも依存せず一歩引いて見れた結果、僅かに取り乱すだけですみ
    何度も人から捨てられてきた小津は最後に信じたいと思った相手にも捨てられたと思い傷心の末海に散ったのかなと思う

    小津が誰の奴隷でもないさくらとは違う運命だと知っていたら結果は違ったかもしれないし、そうでないかもしれない

    心が弱っているときに読んだら間違いなく悪い方へ引き込まれる本

    三島の天然面倒ぶりに都岡が憐れだと思い、最後に戻ってきたときには驚いた
    早く卒業できるといいねと…

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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