オートフィクション

著者 :
  • 集英社
3.21
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本棚登録 : 622
感想 : 126
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753646

作品紹介・あらすじ

破綻した世界で、私はなぜ神となったのか?私が殺した過去と過去が殺した私の記録。

感想・レビュー・書評

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  • オートフィクションは、自伝のように作者と語り手とが同一人物であることに依拠しながら、同時にフィクションを、主として小説の形態で描く物語のこと。

    金原ひとみさんの4作目は、イカれてて重い小説だ。
    世界観が最も色濃く出ている作品の一つではないかと思った。

    22歳冬→18歳夏→16歳夏→15歳冬と遡っていく連作短編集。
    メンヘラ女子リンは、それぞれの時期にシン、シャア、ガトウ、にゃんこと付き合っている(あるいは、結婚している)。あぶなっかしい、というか破滅的な距離感で清々しいまでに全てをぶち壊していく。
    凄まじい。

    • たけさん
      naonaoさん

      恒岡章さんはチャットモンチーのサポートやってたんですね。
      チャットの「こころとあたま」はドラムが炸裂した名曲です。
      追悼...
      naonaoさん

      恒岡章さんはチャットモンチーのサポートやってたんですね。
      チャットの「こころとあたま」はドラムが炸裂した名曲です。
      追悼に繰り返し聴いています。
      2023/02/17
    • naonaonao16gさん
      たけさん

      金太郎飴っていう表現、いいですね!
      金原さんの描く、特に女性はただでさえ苦しいのに、ティーンエイジャーだと尚更でしょうね…

      チ...
      たけさん

      金太郎飴っていう表現、いいですね!
      金原さんの描く、特に女性はただでさえ苦しいのに、ティーンエイジャーだと尚更でしょうね…

      チャットモンチー、わたしあんまり音楽の方向性合わなくて聞いてなかったので、サポートやってるの知らなかったんですよ!笑
      でも、51歳は本当に若いし、昔の人が飛びまくってる映像みて打ちひしがれています…

      あと、今までAmazonMusicでしか配信されてなかったELLEGARDENのトリビュート・アルバムが他のサブスクでも配信されるようになったので是非!
      2023/02/17
    • たけさん
      naonaoさん

      エルレトリビュート了解です!
      naonaoさん

      エルレトリビュート了解です!
      2023/02/18
  • 胸が痛い。むねがいたいよう・・・・
    現代から遡っていくまるで映画のように並行しているかのように。
    一人の女のオートフィクション。
    さかのぼればさかのぼる程痛くなるのはなんでだろう。
    そして、何度でも何度でも人は再生して、それって15歳の頃に彼女が望んだこととはなんて真逆にある行為なんだ。
    彼女はその時、その時でいかに生きていることに深みを残していることか。
    全部その刹那がすべてで、そのおかげですべての行動、行為に深みがある。それは賞賛でもなんでもなくって、面倒くさい、大変なことなのです。
    無限ループみたいにくりひろがって行く彼女の自問自答。
    かったるい言葉遊びのようでいてそこに彼女と現実とを引き結んでおく最後の手段であるとおもえるそういう切ない言葉の羅列。
    どこまでもどこまでもアホらしくしたい、でも自分はどこかですべてを悟っているように思っている、それは本当にそうなのかどうなのか分からないけれど、彼女は病んでいる。
    世界をこんなにも諦めて、人をこんなにも愛する人。
    すごく淡白に感じるし、だけど病的だし。
    セックスばっかりだしでも濃厚なセックスには全然おもえないし。
    魚みたい。
    ほんとうは彼女・・・・
    深部にどんどんさかのぼって。
    どうして15歳までなのだろう。
    すでにこの時に彼女は救いを見出していた。
    そして人を殺す情熱をなくしていた。
    それ以前の彼女をいつか見れるだろうか。
    オートマティックにいけるのもここまでで、ここからだったんだ。
    その先、その向こうが痛すぎておもえない。
    ああ いつか・・・・

    ほんとひとみ嬢好き・・・・
    順番に読んでいるので次はハイドラだ・・・

  • 18才位から遡りながら自伝(?)と思わせるような小説家という主人公の設定。
    大して状況の変化もないのに、頭の中での思考を幼稚な文体で延々と書きつつられているのを読むのはかなり辛い。

  • 愛してる人に
    本気で
    「死ね」って思ったり、
    その次の瞬間に
    「愛してる」って思ったり。
    20代からどんどん前に遡り書かれる自伝小説。
    ほんとに自伝なのかはわからないが、
    本の中の作家の自伝として描かれてる。

    内容だけで見ちゃったら、
    グロくて、下品で、支離滅裂。
    「なにこれ?」
    って感じるだけだと思うんだけど、
    なんか違うんだよ。
    文として書かれてることよりも
    もっと強く大切ななにかを本から感じる。
    いつもそれが金原ひとみだ、と思う。

    それはきっと作者が
    痛いほどの感受性と
    苦しみや悲しみを
    そして「自分でもわけのわからない、でも強いなにか」を
    包み隠さず書いた結果だと思う。

    私の中では林真理子と凄く似てる。
    もちろん、内容とか、人物とか全然違うし
    この二人は相いれないと思うけど、
    他人からの好き嫌いが完全に分かれる点と、
    他の人が同じこと書いたら完全にアウトなのに
    彼女たちが書くと人を惹きつける何かにかわるところ。
    そこが似てる。

    ただ一つ言えるのは、
    これは才能だ、ということ。

  • わくわくチンチン3回目⁡
    ⁡⁡
    ⁡ってな事で、金原ひとみの『オートフィクション』⁡
    ⁡⁡
    22nd winter⁡
    ⁡18th summer⁡
    ⁡16th summer⁡
    ⁡15th winter⁡
    ⁡⁡
    ⁡⁡の逆時系列。⁡
    ⁡⁡
    ⁡22nd、18thはクッソ下らん内容で、これホント金原ひとみの本かなって思いながら読んでたけど、16th、15thになるにつれてまずまずオモロかったかな。⁡
    ⁡⁡
    ⁡15、16の時の方が凄まじい人生で、オートフィクションって自伝小説って意味合いもあるらしく、金原ひとみさんの自伝なのかと思うと、サンドの伊達ちゃんじゃないけど、興奮してきたな
    ⁡⁡
    ⁡愛と裏切り、愛と拘束、愛と自由、愛と洗脳、愛と従順、愛と言う名の幻想に取り憑かれとる様な
    ⁡⁡
    ⁡2022年20冊目

  • なかなか斬新な口調で短編も相まって一気に読破した。金原さんっぽい小説。蛇にピアスを思い出した。色んな世界線があるんだなと考えさせられる小説。誠実に生きたいな。

  • 金原さん好きだけどこの本が1番苦手だった。ストレートにめちゃくちゃだった。主人公は執着心と被害妄想が強くてヒステリック。最初はこんな感じのホラーかと思って読んでたら口汚く罵ってるセリフはちょっと真の口の汚さがなくて頑張って罵ってる感じとかちょっとしっくりこなかった。ヒステリックな部分はコメディ感がある。

  • ラストの章、「15th winter」が特によかった。分裂は金原文学の特徴的な主題だけど、親の分裂として生まれた自分という観点は、この4作目ではっきりと示された。両親が初めて登場したことにも注目したい。

  • 大学の生協に置いてあってパラパラ立ち読みしたことはあったけど、ちゃんと読んだのは初めて。
    約10年超しの再会。
    やっぱりよかった、分かる分かる分かる分かる好き好き好き好きとなった。
    わたしだって普段必死で噛み殺してるだけで、
    もっと構ってほしい、独占したい、わたしだけを見てほしいっていう思いは常にどこかにある。
    何か弾みがつけばわたしだって主人公のように錯乱し、口汚く罵ってしまうかもしれない、と金原さんの本を読んでいるといつも少しヒヤヒヤしてしまう。
    錯乱しているのに主人公の言葉はきちんと読むと
    論理的で筋も通っていて、ほんとに金原さんって狂った感情を俯瞰してるというか頭のいい人だなぁと思う。
    クレイジーな感じで思われがちかもしれないけど、
    しごく冷静なまっとうな人だと思う。
    「ノンストップ溌剌トランス」とか「ノンストップ溌剌レゲエ」とか思わず笑ってしまった。金原ひとみさんってモデルみたいに澄ましたアー写のお顔しか拝見したことないのですが、実はめっちゃ面白い人なんじゃないかと思う。友達になりたい。

  • 『ああどうして、世界は彼が浮気した瞬間に破滅するシステムになっていないのだろう。そうなっていれば、私は彼が浮気をした世界など生きなくてすむというのに。』

    「いやー、びっくりしましたよ。UFOの雑誌の"私UFO信じてます"って記事のインタビューでUFO信じてないって言うんですもん。ちょっと感動しちゃいましたよ」

    「何ですか? オートフィクションって」
    「一言で言えば、自伝的創作ですね。つまり、これは著者の自伝なんじゃないか、と読者に思わせるような小説です。」

    『私は常に皮膚感覚を信じて生きている。視覚や聴覚や嗅覚などほとんど信用していないと言ってもいい。皮膚が感じた事だけが全てだ。』

    『何だこの恐怖。きょうふかーん。叫びながら踊っていると足ががくがくした。気持ちいい恐い死にたい! この私の喘ぎ声よ天まで届け。』

    『どうして私は嘘ばかりなんだろう。私の頭の中を覗く人なんていないのだから、一人で考えている時くらい正直になればいいのに。』

    『子供を堕ろしてもらいたいという意思だけ分かればもう充分だというのに、それなのに私は自分で自分の生傷に指を突っ込む。爪をたて、肉を引っ掻く。爪を食い込ませ、脂肪を掻き分け、何かをえぐり出そうとしているかのようにぐりぐりと傷を広げる。何も出てこないよ。知ってるよ。』

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2004年にデビュー作『蛇にピアス』で芥川賞を受賞。著書に『AMEBIC』『マザーズ』『アンソーシャルディスタンス』『ミーツ・ザ・ワールド』『デクリネゾン』等。

「2023年 『腹を空かせた勇者ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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